種まき蔵 / Jin-Machine | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

種まき蔵(松コース) (CD+DVD)/Jin-Machine

¥5,500
Amazon.co.jp

1. 宇宙忍者アメリカ
2. さよなら†黒歴史 (album ver.)
3. たのしい日本語
4. 父に捧げる羅布甦泥 (album ver.)
5. 夢の中で
6. 母に捧げる破羅亜怒 (album ver.)
7. New Life (album ver.)
8. 警察24時
9. モンスターペアレンツ
10. 恋はMOCHO-KO-CHE
11. 老人パワー
12. まんざいC
13. じんましーんのくるくるロックンロール



  種まき蔵(竹コース) (CD+DVD)/Jin-Machine

¥3,900
Amazon.co.jp

1. 宇宙忍者アメリカ
2. さよなら†黒歴史 (album ver.)
3. たのしい日本語
4. 父に捧げる羅布甦泥 (album ver.)
5. 夢の中で
6. 母に捧げる破羅亜怒 (album ver.)
7. New Life (album ver.)
8. 警察24時
9. モンスターペアレンツ
10. 夕焼け、メランコリー
11. 「最幸論」
12. じんましーんのくるくるロックンロール


  種まき蔵(梅コース) (CD2枚組)/Jin-Machine

¥3,200
Amazon.co.jp

DISC1
1. 宇宙忍者アメリカ
2. さよなら†黒歴史 (album ver.)
3. たのしい日本語
4. 父に捧げる羅布甦泥 (album ver.)
5. 夢の中で
6. 母に捧げる破羅亜怒 (album ver.)
7. New Life (album ver.)
8. 警察24時
9. モンスターペアレンツ
10. 約束の丘中学校校歌
11. じんましーんのくるくるロックンロール

DISC2
1. じんましーんのアホースティックライブ
2. 「種まき蔵」座談会

Jin-Machineの2ndフルアルバム。
とにかくインパクトのあるジャケットが目印です。

3タイプの同時リリースで、ボーナストラック6曲が、それぞれに散りばめられている仕様。
"松コース"は、「さよなら†黒歴史」と「宇宙忍者アメリカ」のMV等が収録されたDVDと、巾着袋や種が付属、ボーナストラックも3曲入っている豪華盤。
"竹コース"は、ボーナストラック2曲に加え、「さよなら†黒歴史」購入者イベントとして行われた"アホースティックライブ"のDVDが。
"梅コース"は、ボーナストラックは1曲と、本編としての収録曲はもっとも少ないのだけれど、ボーナスディスクとして、"アホースティックライブ"+αが音声作品として付いてきます。
インストアイベントのために何枚も購入するファンであれば、色々とタイプがあるほうが精神的負担は少ないのかもしれませんが、曲だけ聴きたいライトなファンには、やや手を出しにくい販売形態ではあるかなぁ。

さて、内容ですが、勝負を賭けてきたな、といったところ。
前作「かってくれェ~」は、お笑いバンドとしてのJin-Machineの集大成的な構成で、面白さを重視するという狙いはあったものの、ヴィジュアル系バンドとして洗練されたものではなかったのも事実。
その点で、本作ではヴィジュアル系というジャンルを深掘りし、サウンド的にもV系リスナーを満足させようとする意図がはっきり理解できます。
もちろん、面白さを捨てたわけではなく、歌詞は相変わらずネタ要素が強いものばかり。
サウンドが格好良いからこそネタが引き立つ、というギャップの使い方が上手くなり、これが彼らにおける成長の形なのでしょう。

リードトラックは「宇宙忍者アメリカ」。
パッと聴いただけではよくわからない世界観ではあるのですが、MC.featuring 16さんの中では確固たる世界設定があるのだろう。
耳に残るフレーズが次々と押し寄せたうえ、キャッチーなサビが待ち受ける。
なんとなく聴きやすいイメージがあるのですが、展開は案外複雑で、メロディのパターンが多い演奏しようと思うと難しい楽曲。
マニアックな演奏を、面白さでコーティングする彼らのスタイルは、ある意味、マイナージャンルを大衆化できる可能性を秘めているのかもしれないですね。

先行シングルである「
さよなら†黒歴史」、配信限定でリリースされた「母に捧げる破羅亜怒」、「父に捧げる羅布甦泥」、「New Life」については、アルバムに馴染むように再録もされています。
ライブ感が強まったというか、生音が前に出てきたような。
また、Dr.ルーベラ・木村・カエレさんの楽曲が採用される割合が高まったからか、メインコンポーザーであるGt.マジョリカ・マジョルカ・マジカル☆ひもりさんが歌詞を担当した楽曲が増えたのもポイントかな。
「夢の中で」、「New Life」など、ストレートなタイプの歌詞が多いのだけれど、「たのしい日本語」のような遊び心ある楽曲もあって、Jin-Machineが、featuring 16さんのワンマンバンドから、メンバー全員のチームワークなくては成立しないバンドへと進化したことを象徴しています。

"松コース"に収録されたボーナストラックは、「恋はMOCHO-KO-CHE」、「老人パワー」、「まんざいC」の3曲。
「恋はMOCHO-KO-CHE」は、ボサノヴァとスカを組み合わせたようなフレンチポップで、カフェに流れていそうなお洒落感があるのだけれど、歌詞がすべて津軽弁という。
しかしながら、東北弁とフランス語は相性が良いと言われるとおり、ぼそぼそと流れるような津軽弁は、凄くマッチしているように聴こえてしまうから発明である。
エレクトロとラウドを融合させた現代型邦ロック「老人パワー」は、ツインボーカルがハマり、サウンドだけ聴いていれば素直に格好良い。
リードトラック候補だったという「まんざいC」も、破壊担当、あっつtheデストロイさんとの漫才の掛け合いを音楽に乗せてしまうアイディアが画期的。
本編で、王道のヴィジュアル系を表現した分、ここで遊びを入れてみたといったところかもしれませんが、それがしっかり機能しています。

"竹コース"の「夕焼け、メランコリー」、「最幸論」が、個人的にはツボでした。
どちらも、マイナーコードで疾走する和メロを活かしたナンバーで、こんなセツナロックを、Jin-Machineがやるようになったのか・・・と驚いた。
歌詞も真面目といってもいいくらいで、"松コース"ではお笑いのほうに振り切った楽曲を入れたのに対し、こちらは、シリアスな彼らを見せるためのボーナストラックということなのでしょうか。
これは、素直に参った。
この甘酸っぱい感じ、たまらないです。

そして、"梅コース"は「約束の丘中学校校歌」ね。
こちらは、ヴィジュアル系に対するメタ要素。
王道のコテコテサウンドに、コテコテな歌詞をぶっ込んで、何を思ったのか、"校歌"というフォーマットに落とし込んだ問題作です。
出落ち感もあるが、曲としても無駄に格好良いからズルい。
"V系あるある"の"約束の丘"であるが、こういう形で持ち出されると、"あぁ、あの曲に出てくる約束って、中学時代の話なんだ…なんか、ピュアだな…」とか思ってしまうようになった。
どうしてくれよう。

どの曲にも個性があり、アルバムとしても役割があり。
バンドの性格上、誰からも受け入れられるバンドではないにしても、最高傑作というのも頷けます。
どれか1枚を買うのだとすれば、おススメは"竹コース"かなぁ。
内容と価格のバランスが取れていると思いますし、何より、ボーナストラックが好みすぎた。
ネタバンドというだけで切り捨ててしまっていると、後で後悔しそうなアルバムです。

<過去のJin-Machineに関するレビュー>
さよなら†黒歴史
マグロご期待ください
ばいばい
UNCERTAIN 【DE】CISION
バーニング俺ファイヤー
ビジュアル戦隊バンド麺~BOX SET~
漆黒の舞踏会
クリスマスおわっちゃった
さよならアキラメロン
かってくれェ~
-MEMBER-