たった今、ワシントンで行われた安倍首相とトランプ大統領の共同記者会見が終わりました。
 
私がテレビの生中継を見ていて象徴的だと思ったのは、トランプ大統領の演説の方は、mutual leadership (相互的なリーダーシップ)とか、fully engaged partner(完全にタッグを組んだパートナー)というような言葉で日米が「対等」なパートナーであることを強調していたのに対して、日本側は少し違うように聞こえました。
 
安倍首相の演説の中では、「まだ将軍に支配された日本にアメリカが来て、日本は民主主義に開眼した」(英文を訳すとこうなった)と述べていたのが、まるで「日本はもともと民主主義国家ではなく未開の独裁国家であった。アメリカに教えてもらって民主主義になれた」と聞こえたのが残念でした。せっかく、アメリカの方は「アメリカは日本の伝統を深く深く尊重している」と言ったのに。
 
今日は、こちらでは2月10日ですが、日本では建国記念日。安倍首相がわざわざ建国記念日にアメリカに行って、「民を第一に考える」日本にもともとあった日本ならではの民主主義を忘れてしまっているようで残念でなりません。アメリカは、「記念日の狙い撃ち」を昔から得意技としていたのですが(これについては、後で書こうと思います)、日本人もそろそろ、気づいた方が良いのではないかと思います。
 
アメリカの大統領がアメリカの国民的な祝日である独立記念日に外国に行って、同じようなことをしたら絶対に国民に受け入れられないです。誕生日のパーティーに主賓が欠席するようなものですから。アメリカには、大統領が自分の国の誕生日を欠席してまでも駆けつけなければならない国はないです。仮にそんな国があったとしたら、その国とは「対等」ではないはずです。
 
記念日を狙い撃ち」されても、幸い日本には長い長い伝統があるので、政治のトップが外国に行くくらいで国の基礎が揺らいだりはしませんけどね。しかし、この日程を決めた人物が日本側だったのか、アメリカ側だったのか、気になります。日本の弱体化を狙う国内勢力があえて建国記念日に首相をアメリカに送り出している可能性もありますから。日本の官邸に「国益や歴史を踏まえて日程を決める」習慣が必要だと思います。
 
安倍首相の演説には「尖閣諸島が日米安全保障の適用範囲内だと確認した」など細かいことも演説に入っていて、アメリカのニュース解説者も、「戦後、日本はアメリカの軍事力に守ってもらっていたから、そこが不安で強調したのだろう」と解説していました。
 
アメリカの方は、「対等で行こう」と(表向きは)言っているのに、日本の方はまだ属国根性というか「守ってください。よろしくお願いします」感が満載なのです。
 

 
トランプ大統領に対する記者からの質問は、ほぼアメリカ国内問題ばかりで、「今の質問は、この記者会見の目的とは違うけれど答えよう」と言って長々と回答して、ほぼ日米関係に関しての質疑に対する答えはありませんでした。アメリカ・ファーストなのは分かっていましたが、ここまでとは(笑)。日本の首相が隣にいるのに、そっちのけな内容でした。
 
そして、中国に関しての質問に答えた際には「中国と日本とアメリカ、うまくやっていけると思う」と答えていましたが…。
 
 
トランプ大統領は「アメリカの利益」のみを追求していくと思われますが、アメリカの国益に適えば、誰とでも組むし、何でもするということです。日本も、「対等」になれるように努力しないと…。
 
しかし、全体的には安倍首相はこちらでは物腰も洗練されていると好感度が高く、一般のアメリカ人の間でも「なかなかハンサムな首相じゃない?」と評判でした。今までの日本の首相にはなかった圧倒的な存在感があります。今までの日本の首相は、アメリカのテレビに映ることもほとんどありませんでしたし、名前も覚えてもらえていなかった。「アメリカの大統領と日本の首相がゴルフをするのはアイゼンハワー大統領以来だ」とこちらのテレビでは解説がありました。全体的には、アメリカでの安倍首相は評判が良く、「日米関係はより強固になるのではないか」という見方で一致しているようです。
 
 
とにかく、「日本人は建国記念日を祝わないと!!!」というのが今回の共同記者会見の感想でした。