■『クロッシング』
やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]
2008年/韓国映画/107分
監督:キム・テギュン
出演:チャ・インピョ/シン・ミョンチョル/ソ・ヨンファ/チュ・ダヨン
2010年 第26回 やりすぎ限界映画祭
■2010年 ベスト10 第1位:『クロッシング』
■やりすぎ限界パルムドール/やりすぎ限界男優賞/やりすぎ限界女優賞/やりすぎ限界監督賞/やりすぎ限界脚本賞:『クロッシング』
D.B.G.生涯の映画ベスト100
■第39位『クロッシング』
[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。
■やりすぎ限界男優賞:チャ・インピョ
■やりすぎ限界男優賞:シン・ミョンチョル
■やりすぎ限界女優賞:チュ・ダヨン
[北朝鮮の極限真実「殆ど実話」]
『クロッシング』は2002年に脱北者25人が北京のスペイン大使館に駆け込んだ事件をモチーフにしてる。4年間の製作期間でキム・テギュン監督は100人近い脱北者へのインタビューを行い、事実に基づいた100人のエピソードを1組の家族の人生としてまとめた。
映画はフィクションだが「北朝鮮の現実」を描く韓国初の映画となった。脱北者の証言と膨大な資料を基に「北朝鮮の真実」を極限のくそリアリズムで再現した。
[「幸せ」は当たり前ではない]
■ボロボロのサッカーボール
■貧窮の食物
■缶詰がごちそう
■サッカーグラウンドがない
■エアコン、ガスがない
■ボロボロの衣服と靴
■盗んだ食べ物を大人に殴られながら食べる子供
日本の生活環境が外国の視点からどれだけ「幸せ」かを意識してる日本人は少ない。この世にはここまで苦しんでる人間がいる。もはや同じ人間と思えない極限状態だ。日本人は賞味期限が切れた食べ物を「何も疑わず」平気で捨てる。それが「狂気」にしか見えない国が現実にたくさん存在する。「幸せ」が当たり前と絶対思い上がってはいけない。『クロッシング』の現実の前に日本人が自殺する理由など存在しない。破産宣告して刑務所に入っても日本人は『クロッシング』より幸せだ。いつか日本に天誅が下る不安に僕は怯えて生きてる。
[ペック]
北朝鮮で肉は食えない。妊娠中に栄養失調で結核になった妻を救うため愛犬ペックを殺すヨンス(チャ・インピョ)。泣き叫ぶ息子ジュニ(シン・ミョンチョル)。極限の「命」の選択におしっこは全部出尽くした。
[治せない結核]
北朝鮮で結核は治せない。結核の薬を手に入れるためヨンスは脱北する。極限状況に生きる人間の現実に大きい方が出る寸前まで追いつめられた。韓国では結核の薬が「無料」という哀しさに涙が出た。
[強制収容所]
脱北に失敗したジュニとミソン(チュ・ダヨン)が強制収容所に投獄される。強制収容所の反動分子への暴力は妊婦や子供も容赦しない。この現実に震撼する以外もはやなす術はない。
[ジュニとミソン「ネズミの皮」極限の恋愛]
■「うん たのしい
このまま天国まで
行けたらいいな」
北朝鮮の医療技術の貧窮。傷口に「ネズミの皮が効く」と信じてる子供に驚愕した。ミソンの怪我を治すためジュニがネズミの皮を手に入れる。「極限の恋愛」に魂が震えた。この極限のやりすぎ限界映画を涙なしに見れるかを問いたい。
[本当に「幸せ」な日本]
『クロッシング』を見て自分がどれほど「幸せ」か思い知らされた。この幸せは絶対「当たり前」ではない。自分の「幸せ」をもっと強く自覚し、人生で意味のある生き方をしたいと痛感した。
画像 2014年 6月