痛い
 痛い
 ああ、痛い
 この古傷が、うずくから
 僕は今、生きている
 それ以上に大切なものを
 見つけるために
 旅を、始めよう


 初期の詳しい検査値とかについては、記録がどっかいっちゃってるので、省かせてもらう。

 精神科の主治医に検査を勧められなかったら、心筋梗塞か何かで死んでたと思う。(後で聞いたのだが、主治医が内科の診察を進めるのは、大変珍しいことだったそうだ)


 精神科の薬の、統合失調症向けのやつで、ある薬を二種類飲んでいたのだが、その薬と、過食が原因なのではないかということだった。悪い相乗効果。もともとの遺伝もあったかもしれない。母方の祖母が糖尿病だったのだ(私より発症は遅かったが)。

 初めの頃、尿酸値がなかなか下がらなかった記憶がある。糖尿に関する数値は全部赤。中性脂肪がすごかった(95kgの50%も脂肪があれば当然だろうが)。


 自覚症状は、多飲だろうか。何を飲んでもすぐ渇く。それと、体重の減少。一年~二年くらいで体重を20kg落としたのは、糖尿のせいではないかと思っている。漢方やダイエットもしていたが、数値の良くなった75kgあたりに達してからは、1kgも減らなくなったから。

 ワインを一晩数時間で一本空ける酒飲みだったが(酔っ払うのが目的ではなく、味わうのが目的だった)、当然ほぼ禁酒状態。週に一回とか。90kg台の時はほとんど飲まなかった。それ自体はつらくなかったが、ストレス解消というか、趣味が一つなくなったのが寂しかった。色んな世界の酒を味わうのは楽しみだったのに。


 最初の診察で、栄養士さんから食事指導を受けた。一日の総摂取カロリーが1600kcalで指導された。それによると、米飯は一食160gなのだが、私には前述したように、夜食を食べるクセがあった。それは急には無くせないだろうということで、毎食の量を120gに減らして、夜食分120gを捻出してもらった。当然だが、白いご飯の変わりに食べていた、高カロリーの味噌ラーメンは禁止。色々禁止。

 薬を飲むようになってから、低血糖にも注意した。薬局からブドウ糖をもらって常備していた。何度か、ものすごい空腹感やめまいのようなものを体験した。それらは、そのときはひどいが、ブドウ糖を適量摂取することでなんとかなった。今思えば、糖尿病の診断が下る前に起きていた、時々のものすごい空腹感も、低血糖だったのかもしれない。あのときは食べることで解決していたが…。


 糖尿病手帳をもらったのは2009年になってからだ。それまでは、順調に減っていく体重と、徐々に良くなっていく数値のせいで、「優等生」扱いを受け、手帳の存在すら知らなかった。記録をつけ始めた頃から悪くなっていった気がする。半年で10kg増えた。リバウンドだ。過食エピソードは過食の項で触れたので書かないが、それとは量もカロリーも違うが、毎晩毎晩、何かを食べていた。カップラーメンがあればそれを食べ、サバ缶があればそれの皮と骨だけを食べ、ご飯が残ってればお茶漬けにする、といった具合で。糖質&脂肪貯金だ。その悪い貯金のせいで、せっかくのダイエットが台無しになってしまった。数値も、全赤とは行かなかったが(すい臓と肝臓がだいぶ回復したので、頑張ってくれているに過ぎない)糖が高くなったり、中性脂肪が高かったりした。検査の前の日、食べたものがかなり影響するのを知っていたのだが、発症当初頃より緊張感がないせいか、忘れて、小さいつまみ食い、一本のジュース(もちろん、ごくたまに飲んでいるのがたまたま検査前だったとか)などで、検査値に反映されてしまっていた。


 糖尿病を軽んじているわけではない。そういう、過食エピソード多数の頃にあった悪癖が、なかなか修正できなかっただけである。それは自分との闘いで、魔物のように襲ってくる食欲に、毎日勝ったり負けたりしていたのだ。

 今現在は、2009年前半に眼科で診断された、単純性網膜症も改善し、少しずつ良い方向へ向かっている。ただし、まだ内臓に負担のかかっている状態には違いない。減量の道以外にない。


 私の体質は、運動すれば、食事を減らせば、すぐ体重に影響が出る、というものではないので、なんとも言いがたいし(太るのは簡単だが…)、ハードな運動は血糖値が余計高くなるということで禁じられているので、ここから先、どうやって痩せていけばいいのか、全く検討もつかないが、夜、食べないことは大事だ。過食の悪魔と、睡眠でしか闘えない、無力な自分が憎たらしいが、今はそれしかできない。

 糖尿病にかからなければ、内臓に感謝し、労わることもなかっただろうが、精神疾患と違って、生活習慣病のこれに対しては、なって反省、後悔先に立たずで、いいこと、というのはまるでない。ならないほうが良い訳で。がんや他の病気とも違う。「肥満や生活習慣病・糖尿病のまま、明るく生きていこう」なんて運動、あまり見かけない。先天的なものや、一部の事情を除けば、圧倒的に自分の行いが悪いわけだ。治すべきものなのだ。だから、合併症などで脅されはしても、同情はされないのである。


 これまでの、糖尿病と無縁の生活が、嘘みたいだ。


 血糖値の高い皆さん、少し(食)生活を改めてみませんか。糖尿病になって、医者や周り、糖尿病先輩から、壊疽だの失明だの、合併症のことでさんざん脅されながら、初めて食生活を改めるのでは、あなたの人生によくない。自分から改革したほうがいいに決まっている。食事を思い切り制限し、薬と血糖コントロールをしながらびくびく余生を暮らす(私は月一の採血のみの検査ですが)なんて、馬鹿らしいことですよ?ほんと、馬鹿らしい。特に、家族とまるきり同じものが食べれない、同僚や友人と、すっかり同じように酒を飲めない生活なんて、なんと味気ないか。病気にかかる前に、無駄な食べ方を摂生すればいいだけの話なんです。そんなの、糖尿病食に比べたら、なんてことはないものですよ。ならないのが一番!病気になってから学習しても健康は取り戻せませんからね!苦労・面倒・甲斐なし!糖尿病は高い授業料です!なっちゃダメ!


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エッセイ 「僕の病歴ですが、なにか?」目次

はじめに

カルテ0 誰が誰を差別するんだ?

カルテ1 パニック障害でしたが、なにか?

カルテ2 うつ状態でしたが、なにか?

カルテ3 過食状態でしたが、なにか?

カルテ4 糖尿病ですが、なにか?
カルテ5 統合失調症ですが、なにか?

カルテX 大事なことを、一つか二つ