フトゥーロス・アマンチス / アナ・マルティンス
FUTUROS AMANTES / ANA MARTINS
①A VIDA LEVA
②FUTUROS AMANTES
③NA DUVIDA
④WAVE
⑤NADA PARECIDO COM VOCE (THERE WILL BE ANOTHER YOU)
⑥BRIGAS NUNCA MAIS
⑦TREVO DE QUATRO FOLHAS
⑧PROSSIGA
⑨ESTATE
⑩TIM TIM POR TIM TIM
⑪CANCAO DE SAL
⑫AVARANDADO
本日紹介するのは、アナ・マルティンスの2000年のデヴューアルバム「フトゥーロス・アマンチス」です。
彼女はブラジルのボサノヴァ・シンガーで、ボサノヴァの有名な女性シンガーソングライターであるジョイスを母に持ちます。
オレはジョイスの名前は聞いたことはありますが、彼女の音楽は未聴です。
ボサノヴァの歴史は以外にも浅く、1950年代後半に誕生し、広まったのは60年代に入ってからです。
ボサノヴァの生みの親は、アントニオ・カルロス・ジョビンが有名ですが、一説には、50年代に流行していた4ビートのジャズを、ブラジルの演奏家が独自の解釈で演奏したのが始まり、とも言われています。
当時としてはこのボサノヴァは全く新しい音楽であり、ボサノヴァというのは、BOSSA NOVA = 新しい波、という意味であり、文字通りニュー・ウェーヴだったわけです。
ボサノヴァの魅力はその独特のリズムとちょっぴり切ないようなメロディ、そして抑揚を抑えた唱法にあると思います。
このアナ・マルティンスのアルバムはいくつかの新曲とボサノヴァのスタンダードで構成されています。
夏のけだるい昼下がりに聴くにはもってこいのアルバムです。
ビール片手にこのアルバムを聴きながらゆっくり出来ればどれだけ幸せでしょう。
オレのオススメは④の「ウェーヴ」です。
この曲は前述したアントニオ・カルロス・ジョビンのカヴァーですが、これが非常にいいです。
何人かのシンガーがこの曲を歌っているのを聴いたことがありますが、その中でもこのアナ・マルティンスのカヴァーは出色の出来です。
この切ないような懐かしいような感じは聴いていてとても新鮮です。
それでいて暗くもなく、重くもなく、湿っぽくもないんです。
「ウェーヴ」だけでなく、アルバム全体がそうした静かなトーンで覆われています。
シャウトするヴォーカルも、派手なギターソロも、うねるようなベースも、踊れるようなビートもありませんが、それらにはないものが、ここにはあります。
ブラジルには「サウダーデ saudade」という言葉があります。
いろんな意味があって日本語に直訳するのは難しい言葉らしいのですが、簡単に説明すると、
懐かしさ・愛惜・郷愁
などといった意味で、主に、
「無くしてしまったものや過去のもの、別れてしまった人などに対する感情」
を表すようです。
日本でいうところの「祭りのあとの静けさ」みたいなもんでしょうか。
それとはまた違う気もしますが。
何年か前に「サウダージ」というタイトルの曲が流行ってましたが、同じ意味です。
サウダーデ = サウダージです。
世界史に例えれば、カエサル = シーザー 、みたいなもんです。
このアルバムを聴いて、サウダーデを感じて下さい。
ウェーブ
さあ目を閉じて
それが一番素敵な方法だから
心はいつも一人ぼっちという事
それはもう過去の話
あなたとわたしが夢を見る時はいつでも
このどうしようもない孤独から逃れられるの
否定しないで
昇りゆく太陽や月、夜空の星を受け入れて
そして私を受け入れて
あなたと最初に逢ったのは忘れもしない3時半
そして目と目があったその瞬間
それは永遠に変わった
今まさに二人の波は重なりかけている
さぁ、あと少し
愛することに戸惑わないで
あなたとわたしが夢を見る時はいつでも
このどうしようもない孤独から逃れられるの
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド / ザ・ビートルズ
SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND / THE BEATLES
①SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
②WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ
③LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
④GETTING BETTER ゲッティング・ベター
⑤FIXING A HOLE フィクシング・ア・ホール
⑥SHE'S LEAVING HOME シーズ・リーヴィング・ホーム
⑦BEING FOR THE BENEFIT OF MR.KITE! ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト
⑧WITHIN YOU WITHOUT YOU ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー
⑨WHEN I'M SIXTY-FOUR ホエン・アイム・シックスティー・フォー
⑩LOVELY RITA ラヴリー・リタ
⑪GOOD MORNING GOOD MORNING グッド・モーニング・グッド・モーニング
⑫SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND (Reprise) サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (リプリーズ)
⑬A DAY IN THE LIFE ア・デイ・イン・ザ・ライフ
本日紹介するのはビートルズの1967年のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」です。
このアルバムは「ポップ・ミュージックの金字塔」であり、「ロックを芸術の域まで高めた」まさにロックの頂点に立つ歴史的傑作です。
で、このアルバムのどこがそんなに凄いの?
ってことなんですが、
このアルバムは”サージェント・ペパ~”という架空のバンドのショーに見立てています。
オープニングはバンドを紹介するタイトル曲で始まり、「ビリー・シアーズが次に歌を歌います!」と言ってメドレーで②に続き、⑫でショーの終わりで再びバンドを紹介する曲を演奏し、アンコールの⑬で幕を閉じる、という設定になってます。
現在ではそうしたひとつのテーマに沿ったアルバムを「トータル・アルバム」とか「コンセプト・アルバム」と呼びますが、シングルの寄せ集めでアルバムがリリースされていた当時にあって、アルバム全体をひとつの「作品」として世に知らしめたのは、この「サージェント・ペパー」が初めてだったのです。
レコーディングやアルバムジャケットに莫大な時間とお金をかけるというやり方も当時としては考えられないものでした。
前年の1966年夏以降、ビートルズはライヴ活動を休止しています。
そうしてスタジオに籠り、セッションをしながら試行錯誤を繰り返して出来上がったのがこのアルバムです。
また、当時のドラッグ・カルチャーの影響もあってサイケ色の濃い内容になっています。
②では「友達の助けがあればハイになれる」と歌い、
③は浮遊感漂うキーボードをバックに歌われ、「マーマレードの空」「万華鏡の瞳をした少女」「セロファンの花」「新聞紙のタクシー」「鏡のネクタイ」といった歌詞はドラッグをイメージさせます。
⑥は家を出て駆け落ちする娘の歌。メインヴォーカルのポールが娘の立場で歌を歌い、ジョンがその両親の立場からバックコーラスを歌う、非常に味わい深い曲です。
人生を捧げ、生活を犠牲にまでして可愛がって育てた娘が家を出て行く、という内容ですが、ラストの「楽しみだけはお金で買えなかった」と歌うジョンのコーラスに胸を打たれます。
⑧はジョージによるインド音楽です。もうまるっきりインド音楽です。インド音楽って聴いたことないんですけど、これはインド音楽です。
歌詞の内容も哲学的です。
そして圧巻はなんといってもラストの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」です。
この曲こそが名作「サージェント・ペパー」のイメージと評価を決定づけているとオレは思います。
もう凄すぎてゾクゾクしてくる曲です。
今日新聞を読んだらこんな記事があった、というたわいもないけどシュールな歌詞をジョンがアコースティック・ギターを弾きながら静かに歌います。
それが終わるとオーケストラの不協和音が次第に大きくなり(オレは何かが爆発するようなイメージを受ける)、爆発寸前でフッとオーケストラの演奏が止まり、目覚まし時計のベルが鳴ってポールのヴォーカルによる日常の通勤風景が歌われます。
現実に引き戻されたような感覚からオーケストラの演奏がさりげなく入ってきて、その音が爆発寸前でフッと止まると再びジョンの歌が始まり、再びオーケストラの演奏が大きくなって、最後はピアノの鍵盤を思い切り力をこめて叩いたようなバーン!という音で幕を閉じます。
何だか現実と夢の間を行ったり来たりしているみたいで、夢かと思っていたらそれが現実で、現実と思っていたらそれが夢で、どっちがどっちだかわからなるような、そんな不思議な感覚に囚われる名曲です。
最後のバーン!というピアノのコードの余韻は約1分続きます。
このアルバムのコンセプトはポールの発案で、収録曲もポールの曲が多く、ジョンの貢献度が少ないように思われますが、この曲でのジョンのヴォーカルは圧倒的に存在感があります。
このブログのタイトルもこの曲のタイトルからきています。
そのまんまなんですけどね。
オレがこのアルバムを初めて聴いたのは中学2年の時でした。
当時、ビートルズに夢中になっていた時期で、期待に胸を膨らませてこれを聴いたんですが、
なんかつまらんな、っていうかワケわからんな、っていうかこれってライヴ・アルバム?
っていうか曲のタイトル長過ぎ
というのが最初の正直な感想でした。
このアルバムにはインパクトのあるシングル向けの曲、一聴して気に入るような「ヘルプ!」や「抱きしめたい」のようなゴキゲンなロックナンバーや、「イエスタディ」や「レット・イット・ビー」のようなメロディアスなバラードがないんです。
「ポップ・ミュージックの金字塔」なのに決定的にポップな曲が少ないというこの矛盾!
この微妙な難解さが、逆に言えばロックを「芸術」までに押し上げた(と言われる)所以かも知れません。
で、話は戻りますが、何度かこのアルバムを聴いてるうちに、このアルバムがだんだんと「分かってきた」のです。
もうね、聴けば聴くほどその凄さが伝わってくるようになったんですよ。
味わいがあるというか、奥が深いというか、あぁ、オレもこういう音楽の分かるようになったんだな、などと中学生ながらに思ったもんです。
グッド・モーニング・グッド・モーニング
女の子たちのスカートを眺めながら
ムラムラしてくる君は今日も絶好調
おはよう おはよう
このアルバムが世に出されてから40年が経とうとしています。
オレもこのアルバムが出た年に生まれました。
オレも世に出されてから40年が経とうとしています。
('・ω・`)
つづれおり / キャロル・キング
TAPESTRY / CAROLE KING
①I FEEL THE EARTH MOVE 空が落ちてくる
②SO FAR AWAY 去りゆく恋人
③IT'S TOO LATE イッツ・トゥー・レイト
④HOME AGAIN 恋の家路
⑤BEAUTIFUL ビューティフル
⑥WAY OVER YONDER 幸福な人生
⑦YOU'VE GOT A FRIEND 君の友だち
⑧WHERE YOU LEAD 地の果てまでも
⑨WILL YOU STILL LOVE ME TOMORROW? ウィル・ユー・スティル・ラヴ・ミー・トゥモロー
⑩SMACKWATER JACK スマックウォーター・ジャック
⑪TAPESTRY つづれおり
⑫(YOU MAKE ME FEEL LIKE) A NATURAL WOMAN ナチュラル・ウーマン
本日紹介するのはキャロル・キングの1971年のアルバム「つづれおり」です。
70年代を代表する超名作であり、全米アルバムチャート15週連続ナンバー1、そして302週にわたってチャートに留まっていた驚異の作品であり、全世界で2,200万枚を売り上げた、正にモンスターアルバムです。
全曲、キャロル・キングの作詞作曲です(一部共作あり)。
アルバム収録曲はほとんどがミドル~スローテンポのラヴソングで構成されています。
現在でもCMで使われたり、カヴァーされたりしているので、キャロル・キングというアーティストを知らなくても一度は聴いたことのある曲がいくつかあるはずです。
このアルバムの魅力はシンプルでありながらも美しく忘れ難いメロディにつきます。
最初から最後まで、全ての曲がこのアルバムのハイライトです。
本当にいい曲ばかりです。
このアルバムが大ヒット・ロングセラーした背景のひとつにベトナム戦争があると思います。
戦争の渦中にあったアメリカで(戦場はあくまでベトナム本土でしたが)、人々は「癒し」を求めていた、とオレは思います。
そうした時代のニーズにこのアルバムは見事にマッチしたのではないでしょうか。
②では、
「あなたは遠い彼方へ行ってしまった」
④では、
「もう一度、家に帰れるかしらと時々思う」
と、歌われてます。
そうした歌の中に、当時のアメリカ人はベトナムへ赴いた家族や恋人のことをダブらせたのかも知れません。
チャートインし続けた302週というのはほぼ6年近い期間になります。
71年~76年がそれに当たりますが、ベトナム戦争の終結が75年であることを考えると、やはりこのアルバムは「時代」に求められていたように思います。
もちろん大ヒットした最大の理由は彼女のソングライティングの能力と楽曲のクオリティの高さですが。
ケビン・コスナー主演の「ファンダンゴ」という映画(1985年作品)があります。
数日後にベトナム出兵しなければならない青年たちが、青春の思い出に車で旅をする、というストーリーです。
主人公たちが車を運転していてキャロル・キングの「イッツ・トゥ・レイト」が流れる場面があるのですが、とても心を打たれるシーンです。
戦争に行きたくない主人公たち、そうした現実を逃避する意味もあるこの旅、そして車のラジオから流れるキャロル・キングが「もう遅すぎるのよ」と歌っている...。
このシーンを観るだけでもこの映画を観る価値はあります。
ちなみに「つづれおり」とは、織物の織り方のひとつです。「綴れ織り」と書くらしいです。
詳しく知りたい方は勝手にググって下さい。
キャロル・キングはこの綴れ織りを人生に例えて歌ってます。
個人的には、このアルバムタイトル曲の⑪が白眉です。
ところで最近、このアルバムのリマスター盤がリリースされました。
それ自体は良いことだと思うのですが、ボーナストラックが2曲入ってるんですよ。
もうね、アフォかと。
最後「ナチュラル・ウーマン」で終わるのがイイんですよ。
それなのにそっからまだ2曲もあるんです。
これはもう何ちゅうんですかね、映画で例えるならエンディングのあとにその後のストーリーを何分か追加するようなもんですよ。
食事に例えるなら最後デザートを食べ終わったのにまた料理が出てくるようなもんですよ。
ミニスカートに例えるなら丈を何cmか長くするようなもんですよ。
もう全体が台無しですよ。
2曲多いからトクした、と思って購入する人より、アルバムコンセプトを無視してボートラを入れるなんぞけしからん!といって買わない人のほうが多いような気がするのはオレだけですかそうですか。
最後に、キャロル・キングはポップミュージックにおける女性シンガーソングライターの第一人者であるとオレは思います。
つまり、現在活躍している女性シンガーソングライターのルーツはキャロル・キングなんですよ。
つづれおり
私の人生は豊かで気高い色のつづれ織り
変化し続ける視界の不朽のまぼろし
青と金とで素晴らしく織られた魔術
感じたり見たりは出来るけど
手に触れることはできないつづれ織り
宇多田ヒカルや浜崎あゆみや椎名林檎や矢井田瞳を聴く暇があったらコレを100回聴け!です。