ネヴァーマインド / ニルヴァーナ
NEVERMIND / NIRVANA
①SMELLS LIKE TEEN SPIRIT スメルズ・ライク・ティーン・スピリット
②IN BLOOM イン・ブルーム
③COME AS YOU ARE カム・アズ・ユー・アー
④BREED ブリード
⑤LITHIUM リチウム
⑥POLLY ポーリー
⑦TERRITORIAL PISSINGS テリトリアル・ピッシングズ
⑧DRAIN YOU ドレイン・ユー
⑨LOUNGE ACT ラウンジ・アクト
⑩STAY AWAY ステイ・アウェイ
⑪ON A PLAIN オン・ア・プレイン
⑫SOMETHING IN THE WAY サムシング・イン・ザ・ウェイ
⑬ENDLESS, NAMELESS エンドレス、ネームレス (シークレット・トラック)
本日紹介するのは、1991年のニルヴァーナのアルバム「ネヴァーマインド」です。
80年代中期以降、MTVの台頭などで巨大ビジネスと化した音楽シーンは、売れ線狙いの娯楽性の高い「産業ロック」が幅を利かすようになっていました。
また、ヒップ・ホップやハウス・ミュージックといった新しい音楽も注目を集め始め、若者を熱狂させるロックはすっかり影を潜めてしまい、彼らはそれをインディ・シーンに求め始めたのです。
こうしたインディーズから出てきた新しいロックは、メインストリームの産業ロックに取って代わる、という意味で「オルタナティヴ・ロック」と呼ばれました。
そして、その産業ロックに反抗するかのように、激しくギターをかき鳴らしながら心の叫びを歌う彼らは、そのボロボロのファッションから、やがて「グランジ・ロック」と呼ばれるようになったんです(「グランジ」とは「薄汚れた」という意味です)。
そうしたロックの流れが変わりつつある状況の中で、インディからメジャーへ一気に駆け上がってきたのがニルヴァーナでした。
このアルバムは発売されると同時に若者に熱狂的に受け入れられました。
正にロックの新しいヒーローの誕生でした。
ニルヴァーナは、ギター兼ヴォーカルのカート・コバーンを中心とした3人編成のバンドです。
これは、彼らのメジャーデビューアルバムになります。
このアルバムの最大も魅力は、ハードロックとパンクを融合させたかのような轟音ギターとドカスカ鳴るドラム、それをバックに歌われるポップでわかりやすいメロディ、それらが絶妙のバランスで混ざり合ってるところだと思います。
文句なしにカッコイイ、大ヒットした名曲①、
ハードでドライヴ感溢れる④、
パンクな⑦、
アコースティックギターだけで静かに歌われる⑥、
ポップなメロディが際立つ⑧⑪、
静かで不気味なイメージの⑫、
など、とにかく破壊衝動に駆られるアルバムです。
当時、オレもグランジ・ファッションをキメてこのアルバムを聴きまくってましたw
釣り針に引っかけられたお札を追いかける赤ん坊、というジャケットも、
産業ロックへのあてつけみたいで(・∀・)イイ!!
このアルバムは大ヒットを記録したのですが、その成功が後に悲劇を生むことになります。
産業ロックへの反抗、というパンクな姿勢のニルヴァーナでしたが、あまりに売れ過ぎてしまったために、自らが産業ロックの代名詞となってしまったのです。
そうした成功と産業ロックへの抵抗との葛藤のせいなのか、1994年にバンドの中心メンバーであるカート・コバーンが、ライフルで頭をぶち抜き自殺したのです。
27才でした。
文字通り「涅槃(ねはん)」へ行ってしまったのです(Nirvana は涅槃という意味です)。
スメルズ・ライク・ティーン・スピリット
拳銃に弾をつめて仲間を連れて来い
ハメをはずして遊ぶのは面白いぜ
彼女はひどく退屈で独りよがり
あぁ ひどい言葉知ってるだろ
ハロー ハロー どれくらいひどい?
明かりを消したほうが危険は少ない
さあオレたちはここだ
楽しませてくれ
白黒混血児
白子
蚊
オレの性的衝動
そして否定
このアルバムが発売された1991年という年は、ソ連が崩壊し、湾岸戦争が始まった年でした。
世の中が変わりつつあることを予感させるアルバムだったのです。
まぁ、日本の社会もオレの生活も何も変わらなかったんですけどね。
二十歳の恋 / 小島麻由美
二十歳の恋 / 小島麻由美
①あの娘の彼
②真夏の海
③飾窓の少女
④パレード
⑤移動式遊園地
⑥マイモンキーはブルー
⑦二十歳の恋
⑧私の誕生日
⑨さよなら、カエル
⑩月夜のブルース
本日紹介するのは、1996年の小島麻由美のアルバム「二十歳の恋」です。
小島麻由美というのは不思議なアーティストです。
彼女が作るのは昭和歌謡やジャズ、フレンチポップやボサノヴァ、ブルースをミックスさせたようなノスタルジックで時代錯誤的な独特の雰囲気を持つ音楽です。
ここでいうブルースというのは、エリック・クラプトンやロバート・ジョンソンではなくて、淡谷のり子や青江三奈とかが歌うソレです。
彼女はJ-POPのどのジャンルにも属さない、その存在自体も不思議なアーティストです。
(ま、J-POPてのがすでにジャンルになってるという笑えない事実がありますがw)
凡百のクソラップやヘボR&Bが蔓延る現在のJ-POPシーンにあって、
彼女の才能は一際輝いて見えます。
このアルバムは、「セシル3部作」と言われる彼女のデビュー作「セシルのブルース」~3作目「さよならセシル」の中のちょうど2作目にあたります。
この3作は彼女の才能が存分に発揮されていて、どれも素晴らしい出来なんですが、その中でもこの「二十歳の恋」が、アルバムとして最も出来がいいとオレは思います。
ジャケも最高です。
ウッドベースのイントロで始まるジャジーな①、
恋人との海水浴のデートを歌う切ない②、
ビッグバンド歌謡風の④、
スキャットの⑤、
美しいメロディのピアノのインスト⑦、
車に轢かれたカエルを歌う⑨、
など、不思議な魅力が満載で、ノスタルジックなメロディとその演奏は時代性を全く感じさせません。
また、意図的かと思うほど斬新なアレンジも非常に興味をそそられます。
①は、エンディングがブツ切りされるように突然終わり、
⑦は曲が進むごとにピアノがぶっ壊れていき、
⑧では彼女の叩くドラムがびっくりするほどテンポを保ってないですし、
⑨はサビの部分が思い切り音が歪んでますし、
⑩は60年代ぽく演奏とヴォーカルのチャンネルが左右に分かれていて、しかも故意に音をこもらせてます。
もうね、天才なのか天然なのかよくわかりません。
こうした音楽が時代の潮流に乗るとは思えないので、あまり売れていないというのは何となくわかるような気がするのですが、もうちょっと世間に認められてもいいのではないか、とも思います。
最近ではエゴ・ラッピンとか、倉橋ヨエコとか、奥村愛子とかが彼女と同系列で語られているようですが、
オレに言わせたら笑止千万もいいとこです。
チャーハンとピラフが一緒だと言ってるようなもんですよ。
発泡酒を飲んで「仕事の後はやっぱこれに限るな!」とか言ってるようなもんですよ。
そんな小島麻由美ですが、
ヴィレッジヴァンガード ではなぜか彼女を大プッシュしています。
しかもヘヴィーローテーションらしいです。
しばらく行ってないので本当かどうかわかりませんが。
ですので彼女のアルバムを買おうとするなら、ヘタにその辺の大型外資系輸入CD店へ行くよりも、
ヴィレッジヴァンガードへ行くほうが彼女のCDの品揃えが充実しているみたいですよ。
アナログ盤も置いてあるらしいですし。
店員に言えばその場でかけてくれるかも知れません。
さよなら、カエル
こんなところでうっかりと
車にひかれてペッチャンコ
100万個の思い出が
ちっちゃな頭に浮かぶよ
もうじきさよなら
永いさよなら
バイバイ
散歩の途中でさよなら、カエル
CALLING YOU / ホリー・コール・トリオ
BLAME IT ON MY YOUTH / HOLLY COLE TRIO
①TRUST IN ME トラスト・イン・ミー
② I'M GONNA LAUGH YOU RIGHT OUT OF MY LIFE アイム・ゴナ・ラフ・ユー
③IF I WERE A BELL イフ・アイ・ワー・ア・ベル
④SMILE スマイル
⑤PURPLE AVENUE パープル・アヴェニュー
⑥CALLING YOU CALLING YOU
⑦GOD WILL ゴッド・ウィル
⑧ON THE STREET WHERE YOU LIVE 君住む街角
⑨HONEYSUCKLE ROSE ハニーサックル・ローズ
⑩I'LL BE SEEING YOU アイル・ビー・シーイング・ユー
本日紹介するのは、ホリー・コール・トリオの1992年のアルバム「CALLING YOU」です。
ホリー・コール・トリオは、ホリー・コール(ヴォーカル)、アーロン・デイヴィス(ピアノ)、デイヴィッド・ピルチ(ベース)の3人で構成されるジャズ・トリオです。
ジャズといってもポップなものが多く、非常に聴き易い内容になっています。
ピアノとベースだけの演奏(一部ヴァイオリンやクラリネットが入る曲がありますが)をバックに、ホリー・コールの表情豊かなヴォーカルが絶妙に絡みます。
静かでゆったりとしたシンプルな演奏なので、メロディの美しさが際立って聴こえます。
リラックスしたい時や、ゆっくりとお酒でも飲みたい時、また午後のティータイムのBGMにも最適です。
しかもおしゃれです。
アンニュイで、モノクロームで、ノワールです。
ってワケが分からないですね。
このアルバムに収められている曲は、そのほとんどがジャズのスタンダードであったりカヴァーであったりするんですが、取り上げる曲のセンスが絶妙です。
全10曲で収録時間が38分というちょっと物足りないな、という腹八分な感じもちょうど良かったりします。
10曲全部いいのですが、中でもオレが好きなのは、
スウィングしているスタンダードの③(ヴァイオリンもスウィングしている!)、
しっとりしたメロディで、情景が目に浮かぶような表情豊かな⑨⑩、
チャップリン作の④、
トム・ウェイツ が書き下ろした⑤(名曲!)、
です。
そして何といってもこのアルバムのハイライトはアルバムタイトル曲の⑥でしょう。
この曲は、1987年の映画「バグダッド・カフェ」の主題歌のカヴァーです。
地味ですが素晴らしい曲です。
ホリー・コールのカヴァーもオリジナルとはまた違った意味でいいです。
もう何というか、アンニュイというか、モノクロームというか、ノワールというか。
ってワケが分からないですね。
このアルバムは今聴いても全く色褪せてません。
5年後も10年後も色褪せてないでしょう。
なんてったってモノクロームなんですから。
CALLING YOU
ヴェガスからの砂漠の道はどこへも続かない
どこかもっとましな場所はないものか
壊れかかったコーヒーマシン
道の曲がり角にある小さなカフェ
私はあなたを呼んでいる
熱く乾いた風が私の中を吹きぬける
赤ん坊の泣き声で眠れそうにない
けれどたしかに新たな変化は近くまで来ている
だんだんと近づいてくる甘い救済の匂い
私はあなたを呼んでいる
ちなみにこの「CALLING YOU」というアルバム、原題は「CALLING YOU」ではなく、「BLAME IT ON MY YOUTH」です。
で、「BLAME IT ON MY YOUTH」という曲が、彼女たちの別のアルバムに収録されています。
また、「バグダッド・カフェ」という映画も、原題は「BAGDAD CAFE」ではなく、「OUT OF ROSENHEIM」です。
あぁややこしい。