[追記あり] "躍動感のあるバスドラ" に導かれ・・・　我を忘れて踊る。

昨日は・・・・　束の間の夢か・・・・

ということで、昨日は『Perfume 6th Tour 2016 ｢COSMIC EXPLORER｣』静岡公演・二日目に参加したわけだが、一言で言えば横綱相撲を見ているような安定感と圧巻のステージで・・・・　本当に素晴らしかった。そしてPerfumeさんって、まだ伸び代があるんだなぁ・・・・　そう感じさせるステージング。本当に凄い(笑顔)。

書きたいことはたくさんあるのだが、あ～ちゃんから "セットリストなどのNet上などでの書き込みをしないで欲しい" との懇願があった。彼女のファンやオーディエンスに対する配慮はひしひしと伝わってきた。そうなると・・・・　このネタしか書けないでしょ(笑顔)。

となれば・・・・　このBLOG恒例(?!・笑)のマニアックなネタのエントリーをお一ついかがということで。

○F.O.Hスピーカー関連

今公演もスピーカーレイアウトを詳細に書くと・・・　ステージ配置のネタバレになる可能性があるので、ざっくりと(苦笑)。ちなみに観戦場所は南側(西側・W3)の中段。比較的ステージに近く見やすい位置。演出などの全体像も俯瞰で把握できる感じだ。また位置的に定在波が発生しにくい場所だったこともあって、開演前からその期待が高まった。

まずSub-Wはグランドスタッキングでステージ下に設置し、その上にアリーナのオーディエンスにサービスするためのフィルスピーカーを載せて設置していた。またスタンドのオーディエンスにサービスするためのSRスピーカーはステージのトラスにリギングされていた。

リギングされていたSRスピーカーは筐体に象徴的な「M」のレタリング。もうこうなればこのSRスピーカーしかない。このBLOGでもさんざんご紹介してきたPA界に革命をもたらすシステムと言われるイギリスのMartin Audio社の『MLA』(Multi- cellular Loudspeaker Array)という次世代ツアーリングシステムを用いていた。

　*『MLA』(『Inter BEE 2012』でパワーわんこが撮影したもの)

ちなみにまだ『MLA』の特徴についてご存じない方々は、こちらの動画を参照して頂ければと思う。

それでグランドスタッキングされていたSub-Wとフィルスピーカーは、スタンドからだとしっかりと視認できなかった。しかし縮尺から考えると、Sub-Wは『MLA』システムを構成する「MLX "サブベース"」と思われる。

*『MLA』システムの「MLX "サブベース"」(『Inter BEE 2015』にてパワーわんこが撮影)

またフィルスピーカーはその縮尺から『MLA』システムの「MLD "ダウンフィル"」か『MLA compact』を用いていたように思われる。いづれにしても、背面に書いてある"MLA" のロゴは視認できた。

*『MLA』システム背面のロゴ(『Inter BEE 2015』にてパワーわんこが撮影)

しかし・・・　とうとう『MLA』システムが、PerfumeのLive TourのレギュラーSRスピーカーになるとは。感慨深すぎる(笑顔)。しかもスタジアム級・ドーム級でもない公演に、このSRスピーカーを投入する。本当に贅沢な話だと思う。

さて4年前の『Perfume 3rd Tour　｢JPN｣』・静岡公演では、SRスピーカーにL-ACOUSTICS社の『V-DOSC』を用いていたわけだが・・・・　もちろん『V-DOSC』の響きも素晴らしかったが、『MLA』の出音はやはり世代感がまったく違う。オレの座席では低音域から高音域の全帯域でクリアで、周波数特性もフラットなかなりHi-Fiな傾向の響きがサービスされていたのが象徴的だった。

*『MLA』の周波数特性

『MLA』システムって・・・・　やっぱり、いつ、どこで聴いても素晴らしい出音であることを再確認させられる(笑顔)。

○コンソール関連

今回のF.O.Hブースは北側(東側)のアリーナに設置されていたため、オレが観戦した場所とは対面となる。したがって終演後にしっかりとブースを見ることが出来なかった

しかし対面であっても、幸か不幸かブースはオレの正面に位置する(笑)。F.O.Hエンジニアの人影も視認出来た。また遠目に、ミキシング・コンソールの背面には誇らしげに "MIDAS" のロゴが見える・・・・　

* "MIDAS" のロゴが誇らしげに主張する。エンジニアや音響好きにはたまらない光景。これはMIDAS社のハイエンド・コンソールに施される伝統だ。

やはり名門MIDAS社のデジタルコンソールの『PRO Series』が導入されていた。おそらく昨年の『LIVE 3:5:6:9』日本武道館公演でも用いられていた『PRO6』だと思われる。

*MIDAS社・『PRO6シリーズ』

　
*『Inter BEE 2012』にオレが出向いたときに撮影した『PRO6シリーズ』

このコンソールは『Perfume 5th Tour 2014 ｢ぐるんぐるん｣』東京公演や『Perfume WORLD TOUR 2nd』イギリス公演でも用いられていたものと同様のものだ。

○音響staff関連

"マエストロ・佐々ふみの志" を引き継いだ小林雅彦氏が、今回もF.O.Hコンソールを捌いている。そして『Perfume 5th Tour 2014 ｢ぐるんぐるん｣』から小林氏の補佐としてMonitorエンジニアニングを手がけていた倉橋舞氏が、今回もMonitorエンジニアニングを担当している。

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『Perfume 6th Tour 2016 ｢COSMIC EXPLORER｣』の主要な音響関連スタッフ(公式Liveパンフレットより)

○　Sound coordinator ・・・　村田孝[MSI JAPAN AGENCY]
○　System engineer　　・・・下窪ともや[MSI JAPAN]
○　Monitor engineer ・・・　倉橋舞[MSI JAPAN]
○　F.O.H engineer ・・・小林雅彦[MSI JAPAN]

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Perfume Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP
『LIVE 3:5:6:9』の主要な音響関連スタッフ(公式Liveパンフレットより)

○　Sound coordinator ・・・　村田孝[MSI JAPAN AGENCY]
○　System engineer　　・・・下窪ともや[MSI JAPAN]
○　Monitor engineer ・・・　倉橋舞[MSI JAPAN]
○　F.O.H engineer ・・・小林雅彦[MSI JAPAN]

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これで音響チームも磐石な体制となって、安定した仕事と響きを我々に届けてくれると思う(笑顔)。

○今公演の会場の構造とその音響傾向

静岡エコパアリーナは元々はスポーツイベントを想定した体育館であり、音質は期待できない・・・・　と短絡的に思うなかれ(苦笑)。

天井材には、一区画が梯子状になっており、吸音効果を備えているシステム天井材が施工されている。このタイプの吸音システム天井材は横浜アリーナにおいても施工されていることを確認している。また側壁にも同じような吸音効果を持つ、壁面材が使われていた。

　* 静岡エコパアリーナ内部(公式HPより)

その結果、静岡エコパアリーナの公式発表では、その残響特性が "1500ms(1.5秒)" という極めて短い値を達成しており、音響的に優れたものとなっている。これはあの日本ガイシホールの "2000ms(2秒)" を500msも上回る結果でもあるのだ。

この500msの差は、リバーブやディレイなどの空間表現系エフェクターを使ったことがある方々なら、大きな差であることはお分かりかと思う。このようなことからも、この会場はなかなか良質なルーム・アコースティックを提供してくれることが想像できるだろう。

実際に昨日の公演に参加した方々の中で鋭い人は、このクラスの会場にしては手拍子などの遅れもさほど気にならず、また拍手などの反射が思ったほど多くなかったと気づいた人もいらっしゃると思う。このことはこの会場の残響の短さが大きく貢献していると思われるのだ。

ただし欠点が無いわけではない。スタンド両翼の端の座席はかなり壁が迫っており、また角にもなっているためどうしても反射と定在波の影響を受け、音響特性が乱れる座席位置があることも想像に難くない。昨日の公演では暗幕を張って対応していたが・・・・　限界もあるし。そのような意味でもこの辺の座席のオーディエンスは不満が残った可能性も否定は出来ない。

さてオレは、4年前の『Perfume 3rd Tour　｢JPN｣』・静岡公演・二日目でオレは初めてこの会場に来た。そのときは体育館的外観であったため、音響的には全く期待していなかった。しかしその出音は想像をはるかに超える良質なもので、かなり気に入った会場だ。

個人的には "あの日本ガイシホール" よりも、音響特性的にかなり好みの傾向であったため、次にPerfumeのLiveがあるときには「遠征してもでも行きたいと思った会場の一つ」となったのだった。

そのような意味から鑑みても、昨日の公演の出音は『MLA』システムの周波数特性がフラットなHi-Fiな傾向と、静岡エコパアリーナのルーム・アコースティックの組み合わせは非常にバランスがよく、お互いの持ち味が引き出されている印象を持った。

要するに昨日の公演の出音は、まさしく低音域から高音域まで目立ったピークやディップも無く、全帯域でクリアでまさしくフラットな響き。メンバー三人の声質の持ち味を生かした、非常にナチュラルなボーカルが楽しめた響きだった。またピーキーさやこもり感が無かったため、MCの内容もしっかりと聞き取れるところも嬉しい。この特性についてはスピーカー・レイアウトも大きく貢献していると考えられるが・・・・　今回はそれについては書けないので割愛させて頂くとする。

まぁ、あえて言うなら、低音域はもう少し量感のある傾向という選択もあったかもしれない。そういう意味では『LIVE 3:5:6:9』日本武道館公演の低音域は圧巻だった。ただしそのバーターとして問題点も浮き彫りになったわけだが・・・・。

しかし、この傾向は4年前の『Perfume 3rd Tour　｢JPN｣』でも感じたのだが、静岡エコパアリーナという会場は、そもそも低音域のダンピングを効かせた響きを狙った傾向の会場ではないかということだ。

要するに、締まった歯切れの良い低音域がこの会場の持ち味なのかもしれない。しかしダンピングが効いていると "量感が物足りなくなる" ところでもあるのだが、この会場の量感は十分であり、非常にバランスの取れた低音域だと感じられたのだった。

この歯切れの良い低音域が躍動感のあるバスドラを演出し・・・・　いゃ、昨日はそのバスドラの響きにつられて、我を忘れて踊ったなぁ(笑)。そういった意味で、この会場では圧巻の低音域というよりかは、躍動感のあるバスドラが楽しめる会場ということなのだろうと思う。

やっぱり "静岡エコパアリーナ" は程よいサイズ感で見やすく、音響特性もバランスが取れていて・・・・　本当に良いハコだなぁ(笑顔)。

今度またここでLiveがあるなら、遠征してもでも行きたいと再確認した、素晴らしい公演内容と会場だったことを改めて書き記しておきたいと思う。

<○追記・24日pm19:20>

質の高い音質と安定した再生伝達音響を考えると、良質の電源電力が重要であることはご存知の方も多いかと思う。実は今回の公演では過去の公演よりも、一段とパワフルな電源車を投入していることが印象的だった。

　*『Perfume 3rd Tour　｢JPN｣・静岡公演(2012年)』に投入されていた、MITSUHO(三穂電機)の「特殊防音電源車」。クラスは "Middle Range Generator" の200KVA ～ 375KVA前後の電源電力の供給能力と思われる[パワーわんこが撮影]

*『Perfume 6th Tour 2016 ｢COSMIC EXPLORER｣』静岡公演に投入されていた「特殊防音電源車」。　｢JPN Tour｣と同じくMITSUHOのものだが、クラスが上がっていることに注目して欲しい。クラスは "Large Range Generator" の420KVA ～ 1000KVA前後の供給能力という、圧倒的な電源電力を供給できるものを2台も投入しているのが特筆すべきところだと思う[パワーわんこが撮影]

素晴らしい響きや安定したステージングを支えるのは、「たとえ見えない部分であったとしても・・・　決して手は抜かない」という心配りだったり、気概だったりするのだ。

そういう意味からも・・・・　支えるstaffの "このTourにかける想いとその心意気" が、このような目に触れない部分の一つ一つからひしひしと伝わってきて・・・・　そこはかとなく嬉しさがじんわりと湧いてきたのだった(笑顔)。

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