続・Perfume LIVE @東京ドームのマニアックな話題をお一つどうぞ② | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

続・Perfume LIVE @東京ドームのマニアックな話題をお一つどうぞ②

前回は "点音源" 方式のスピーカー(通常のスピーカー)をホールやスタジアムなどで使用することによる明瞭性の低下や音波の減衰について説明した。


このような "点音源" 方式のスピーカーの問題点を改善し、ホールやスタジアムにおいて会場の "どの場所" で聴いても、高い明瞭性と遠達性を達成するために開発されたのが、 "線音源" 方式の『ラインアレイスピーカー』と呼ばれるシステムであり、Perfumeの東京ドームLiveでも採用されていたものだ。


"線音源" 方式の研究は Heil Christian博士 と Urban Marcel教授の「多数音源アレーの放射する音場(1992年)」が有名だ。これは円柱状音波の物理的性質を研究したものである。

これらの研究などから "線音源" 方式の『ラインアレイスピーカー』は、スピーカーユニットを縦に一直線に積み重ねて配列する構造を採用している。このような構造から音波は円筒状に放出され、水平方向には広がるが垂直方向には広がり難い。したがって、音波は "線状" にオーディエンスに向かっていくのである。

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このことによって音波の乱反射が抑えられ、残響音や定在波の低下による明瞭性が向上。簡単に言えば " 狙ったエリアにピュアな音波を届ける" ことが出来る。

また、垂直方向には広がりが抑えられることによる、水平方向に対する音波エネルギーのロスが減少( "点音源" 方式のエネルギーロスの1/2程度)。乱反射の減少による音波の減衰の抑制と相まって音波がより遠くまで到達することになる。


したがって "点音源" 方式のスピーカーでは適えられなかった、体育館やアリーナ、ホールやスタジアムなどの音響条件の悪い空間においても、高品位なサウンドを達成することが出来るようになったのである。





それでPerfumeの東京ドームLiveでは、どの『ラインアレイスピーカー』を採用していたかというと、L-ACOUSTICS社の「V-DOSC」という誉れ高き名機である。


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「V-DOSC」といえば、前述の原子物理学者であるHeil Christian博士 が考案したWST(Wavefront Sculpture Technology)理論(1987年)を具現化したシステムだ。

このシステムが発表された当時には、極めてシンプルな構成なのにもかかわらず会場の各地点において音圧の差が少なく、音質の劣化は極端に少なく、さらに遠達性に優れているということで「これでアリーナ、ドームクラスの音響・音質もかなり改善される」と業界内の話題をさらい、PAエンジニア達もかなり高く評価していたようである。


ちなみに音圧(SPL)の公式なデータは以下の通りである。

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しかし、10m地点と200m地点の音圧差がたった-13dBしかないなんて・・・・ なんてすばらしい遠達性能なのだろうか・・・・。


オレは当然、昨年のPerfumeの『⊿TOUR』で「V-DOSC」のサウンドを体験しているわけだが、実は他のアーティストのLiveでも「V-DOSC」を幾たびも体感してきた。その経験から、他社の『ラインアレイスピーカー』を比較すると「V-DOSC」は "緻密でパワフルな低音の質感" を備えており、オレはその響きが非常に好みであった。


つづく・・・・・・ かな??? つづかないかも(苦笑)




○追記

ちなみに、某有名ブロガーさんは『⊿TOUR』・横浜アリーナ公演の音響・音質の悪さを指摘していたが・・・・ オレも同じ会場にいたが・・・・ 本当にそう感じたのかな・・・・・・ 不思議だ。まぁ、さぞ良い耳をお持ちなのだろう。それに比べて、オレは良い耳を持っていないということになるのかな?(苦笑)

ponchoさんと同じく、修行の旅に出なければ・・・・・(笑)。