「きょうは会社休みます。」第6話~こじらせ女にサインください | 日々のダダ漏れ

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「きょうは会社休みます。」

今日会社を休みます。

第6話 こじらせ女にサインください
新しい靴は復縁サイン?壁ドン悲劇


朝倉) 一つ忠告してもいいかな? 友達として。
花笑) えっ? 友達…ですか?
朝倉) 友達だから仕事に協力してくれたんじゃない
    の? 君は、彼に全ての事情を説明するのが
    愛情だと思ってるだろ? まっ、それが君のい
    いところではあるが。人によっては違う感想を
    持つ場合もある。すなわち、ばか正直。


**********

朝倉) 怒ってんの? 誤解しないでほしいな。別に
    怒らせたくて言ったわけじゃないんだ。
花笑) 別に怒ってません。考え事してるだけです。
朝倉) 困ってる友達がいたら、
    アドバイスするのは当然だろ。
花笑) 私達、友達じゃありません。
朝倉) じゃ、何なの?
花笑) 犬猿の仲です。
朝倉) 俺はね、君のことを
    猿だと思ったことは一度もないよ。
花笑) 朝尾さんが猿で私が犬です。
朝尾) 犬ってもっと
    可愛げのある生き物じゃなかった?
花笑) 犬をもっと勉強してください。可愛げを
    ウリにしない犬だっているんですから。


**********

 

 

光代) ホントにダメな時はちゃんと向こうから

 

 

    サインが出るから。そんなに心配しないの。
花笑) サイン? 例えばどういうの?
光代) それはほら…無視されるとか、視線が合わ
    なくなるとかいろいろあるでしょ。大丈夫よ! 
    家に来て挨拶までしてるのよ。それにほら、
    家の合鍵もらってるんでしょ?
花笑) うん。
光代) 男は生半可な覚悟じゃ合鍵なんて渡さない
    んだから。少しは自信持ちなさい。


**********

しばらくというのはどれぐらいの期間を指すのだろう。
永遠の別れではないのなら、せめて会わない期間、
電話やメールは可能なのか、ちゃんと確認しておく
べきだった。その後ひろ乃ちゃんから連絡はない。
「悪く思わないでください」ということは、つまり、私に
とって悪いことをする気があるという、宣戦布告のサ
イン。初めて田之倉君からもらったクレーンゲームの
ぬいぐるみ。まるで2人が、私を置いて逃避行してい
るように見える。不吉なサインだ!


**********

今のところ、特に変わった様子はない。あえてサイン
らしきものを探すとすれば、今日は新品の靴を履い
ている。「オシャレは足元から」というが、「別れのサ
インは足元から」とは、まだ聞いたことがない。


**********

大城) いや…加々見のことたまに見失う時あるから、
    お前来てくれるとホント助かるんだわ。
悠斗) 見失うって?
大城) いや、あいつとの会話って、
    ちょっとしたラビリンスだろ?
悠斗) 俺、大城さんの方を見失いそうなんですけど。
大城) 今、俺のこと見えてる?
悠斗) フフッ。はい。


**********

大城) あっ、そうだ! 壁ドンやれよ、壁ドン。
加々見) 何ですか? 壁ドンって。
大城) えっ、お前知らないの? ターゲットを、壁際に
    追い込んで告白する。最強の恋愛テクニックだ
    よ。日本の女は全員壁ドンで落ちるって噂だぞ。
加々見) そういうのは田之倉みたいに恵まれたルッ
     クスの男がやるもんですよ。
大城) そんなことないよ。なぁ、田之倉。
悠斗) えっ…はい。
大城) ん? どうした?
悠斗) いや…最後はやっぱり、気持ちだと思います。
加々見) どうせお前は恋愛負け知らずで、
     良い思いばっかりしてるんだろ?
悠斗) そんなことありませんよ。
加々見) ウソをつくな! ウソを!
悠斗) 本当です。
    俺も最近、全然うまくいってないんで。
大城) ほら見ろ! 田之倉だって苦労してんだよ。
加々見 ホントですか~?


**********

ひ…引っ越し? これはサインだ!
私に残された唯一の希望であった合鍵。
恋人の証しである、この合鍵が、
ただの鉄クズになろうとしている。


**********

大城) それがさ、田之倉も今ヤバいらしいんだよ。
花笑) えっ? ヤバいって?
大城) 何か女関係でうまく行ってなくて
    相当悩んでるらしい。


な…悩んでる? まさか、大城君にもサインを?

大城) だから、ガツンと言ってやったんだよ。そんな
    悩むような恋愛すんだったら次の女探せって。


何てことを言ってくれたんだ! 同期だというのに、
どうして私の足を引っ張るようなことを!


花笑) それで、田之倉君は何て?
大城) あぁ…微妙に笑ってたけど、
    別に否定はしてなかったな。


傾いてる。すでに心はひろ乃ちゃんに大きく傾いてい
るのだ。そう考えると、今日履いてきた新品の靴は新
しい一歩を踏み出すサイン。そして気分を一新する
ための引っ越しというサイン。点と点が、線になった。
普段めったにテラスに姿を見せないのに、なぜ?
わ…別れ話? テラスに田之倉君がいるということは、
これは、あの日と同じ!


回想・悠斗) だから無理だって…。終わったんだよ。

花笑) いつか聞いたあの言葉。

回想・悠斗) もっと恋愛のこと以外に
       目を向けてみなよ。


花笑) 今度は私が言われる番に…。

**********

(花笑の妄想)
花笑) 何だか、とても眠いんだ…マモルッシュ。
(悠斗とひろ乃のウエディング姿の肖像)
花笑) もう、散歩には行けないから。
(赤いシュシュを頭に載せるマモル)
花笑) それ、私のじゃないから。
    今、お手いらないの。今お手いらないの。


**********

私達の恋は、あのぬいぐるみから始まり、そして今、
終わろうとしている。でも、もう一度あのぬいぐるみ
を手に入れることができれば、それは私達が元通り
の2人に戻れるという、サイン。


**********

(回想)
ひろ乃) 私を選んでください。
     青石さんのどこがいいんですか?
     いい人だけど、それだけじゃないですか。
悠斗) 人として信頼できるんだ。
    俺と誠実に付き合ってくれてる。
ひろ乃) そんなの私だって…。
悠斗) これが誠実なの? ひろ乃ちゃんのことで
    あの人、すごく苦しんでるから…。
    こんなことして悲しませたくないんだ。


**********

よかった。
田之倉君がひろ乃ちゃんの申し出を断ってくれて
いた。でも、私達2人に、復活のサインは見えない。


**********

朝倉) 彼とは、仲直りできたの?
花笑) いえ、まだですが…。
朝倉) 向こうは仲直りしたいって
    思ってるかもしれないよ。
花笑) さぁ、どうでしょう?
朝倉) 男ってさ、頑固な生き物だから、1度口にした
    事を自分の口から引っ込める訳にはなかなか
    いかないんだよ。向こうのアクションばかり待
    っていないで、自分から仕掛けてみればいい
    のに。
花笑) オフィス内では、
    人の目もありますし、なかなか…。
朝倉) 何かないの? 2人にしか分からない、
    決め事みたいなものは。
花笑) まぁ、ないこともないんですが…。


**********

加々見) 僕、大城さんの声が
     聞こえない体になりました。
大城) 昼飯おごってやるから。
加々見) 僕、食べ物では動きませんから。


**********

悠斗) えっ、ホントにやったんですか?
大城) 昨日の壁ドンは失敗したけど、加々見は
    こんな事でめげるような男じゃないから。
加々見) 二度としませんよ。
大城) もう少しなんだよ、もう少し俺の言うこと
    聞いてたら必ず実を結ぶから。
加々見) 絶対に騙されませんから!
悠斗) でも意外でした。
大城) 何が?
悠斗) 加々見さんって斜に構えてるようで、
    ホントは素直なんですね。
加々見) バカにしてんの?
悠斗) いえ、尊敬してます。
加々見) バカにしてんじゃねえかよ。
大城) 失敗した~!
    ナポリタン大盛りにしときゃよかった。


**********

大城) 加々見ってさ、青石に似てんのかもな。
加々見) 似てませんよ。
大城) 似てると思わない?
悠斗) どのへんがですか?
大城) 不言実行タイプっていうの? 人に多くを語ら
    ないけど影でこっそりやってる感じがさ。
加々見) 僕あんな善人じゃありません。
大城) あ~確かにな。青石ってホントに人がいいか
    らなぁ。何年か前に社員旅行に行った時も、課
    長が迷子になった!って大騒ぎになってさ。一
    番必死に捜してたのが青石でさ。結局課長は
    すぐに見つかってバスが出発したんだけど、青
    石乗せてない事にだいぶ後から気づいてみん
    なで大笑いよ。
加々見) あっ、うちの学校にも似たような生徒いまし
     たよ。掃除を一生懸命やり過ぎて、逆に先生
     に怒られちゃう奴。
悠斗) どうしてですか?
加々見) ん? 「お前がやり過ぎるから、 
     他の生徒がやらなくなるんだ」って。
大城) そうそう、青石はまさにそういうタイプ。
    人が良過ぎていっつも貧乏くじ引いてる
    イメージだな。
加々見) 僕とは似ても似つかないですよ。
大城) 言われてみると確かにな。
加々見) (ふくれっ面)


**********

加々見) 何ですか?
花笑) えっ?
加々見) こんなメモじゃなくて
     直接言えばいいじゃないですか。


どうして加々見君の元にそれが?

花笑) あれ? あっ、ちょっ…。
加々見) 呼び出しといて黙ってるの
     反則じゃありません?
花笑) あ…うん、ごめん。
    どう言おうかちょっと整理してて…。
加々見) じゃあ僕の話、してもいいですか?
花笑) あっ、うん。どうぞ。
加々見) 僕、前からどうして青石さんに
     彼氏がいるのか、興味あったんです。
花笑) えっ?
加々見) 性別は違っても、人間のランクとしては、
     僕達同じところにいるじゃないですか。


何て失礼な男だ。いや、私のほうが失礼だ。
同じランクの人間と言われて不快に感じたのは、
加々見君を下に見ていたからに他ならない。


加々見) だから青石さんが植物を育てることに依存
     する気持ち、よ~く分かるんですよ。
花笑) 私、別に、依存なんてしてませんけど。
加々見) 生きる価値を見出せなくなった時って、植
     物育てるしかなくなるんですよね。少なくとも
     こいつらは、僕を必要としてくれてるって。


君は普段どんな闇の中を生きているのだ。

加々見) これ(スマホの画像)見てくださいよ。
     うちのベランダ。
花笑) す…すごいね。
加々見) 僕達、似てませんか?
花笑) えっ?


回想・悠斗) 僕達、似てませんか?

同じ言葉なのに、こんなにも違うものか。

加々見) 僕ね、昔から飽きっぽくて、何でもすぐにや
     めちゃうんです。部活も趣味も、長続きしたこ
     とありませんし。この会社もどうせ長続きしな
     いだろうって思ってたのに。どういう訳か辞め
     られません。
花笑) それは…瞳ちゃんがいるから?
加々見) えっ! し…知ってたんですか?
花笑) 掃除のおばちゃんも含め、うちの会社の人、
    全員知ってると思うよ。
加々見) もうこっぴどくフラれてるんで、
     本当ならすぐにでも辞めてるはずなのに…。
     また来ちゃうんですよね、会社に。


一瞬いい話を聞いている気になるが、
社会人として当然のことを言っているだけだ。


加々見) 恋を諦める方法で、いいの知りませんか?
花笑) えっ?


私に恋愛相談?
私の恋愛経験値はたったの1人だ。
その1人だって、いまや風前のともしび…。


加々見) 戻りますね。
花笑) あ…ちょっと待って。これが、答えになるかど
    うか分からないんだけど…。私も、しょっちゅう
    「もう無理だ」とか、「諦めるしかない」って思う
    んだけど…。ダメなんだよね。心のどこかで、
    絶対に諦めきれない自分がいて。諦めること
    も、結局断念するしかなくて。だから、その…
    諦めることを、一回諦めてみたら?
加々見) でも、うまく行かないって
     答えはもうとっくに出てるんですよ。
花笑) それは、加々見君が頭の中で、勝手に出して
    る答えでしょ?  何となくだけど、諦めずに先に
    進まないと、本当の答えは、出ないように出来
    てるんだと思う。
加々見) 社会の仕組みの話ですか?
花笑) 成功とか失敗はただの結果で、物事には全
    て、決められたゲートが用意されていて、そこ
    を通過しないと、次には、進めないんじゃない
    かな。
加々見) ふ~ん。そういう考え方もあるんですね。
花笑) うん…。


私は、自分のことを棚に上げて、何を偉そうに語って
いるのだ。浅い傷で済むような方法ばっかり考えて、
ゲートの前で立ち往生しているのは、自分じゃないか。


**********

も…もうすでに引っ越してしまったのだろうか?
見知らぬ住人が、ドアの向こうに…。


**********

悠斗) えっ…花笑さん? 
花笑) 勝手にお邪魔して、大変申し訳ございません。
    ご迷惑とは思いますが、少々、お話しさせてい
    ただいても、よろしいでしょうか?
悠斗) どうぞ。
花笑) こ…この度は、私の不手際により、多大なる
    ご迷惑を、お掛けしましたこと、深くお詫び申し
    上げます。まだ、お付き合いを始めて、日も浅
    いですが、初めて、田之倉君と、意見が食い
    違うという、経験をしました。そして、しばらく、
    口を利かないという、辛い経験も致しました。
    そして…自分と向き合い、あらためて思いまし
    た。初心に帰り、もう一度、田之倉君とやり直
    したいと。
悠斗) 俺からもいい? ごめん。ひろ乃ちゃんとの事、
    カッとなって花笑さんに、ひどいこと言って。
    俺はこれからも、人の気持ちを大事にする花
    笑さんでいてほしい。で、思ったんだけど…。
    ちょっと来て。座って。
    俺たちさ…一緒に住まない?
花笑) えっ!?
悠斗) もうすぐアパートの更新で、
    部屋探してたんだけど。
花笑) あ…更新。
悠斗) この先花笑さんと別れるって選択肢、俺に
    はないから。もう少し広めの部屋探してさ。
花笑) 同棲の件は、すぐに返事できません。
悠斗) うん。
花笑) でも…すごく、嬉しいです。
悠斗) これからゆっくり考えよう。
花笑) うん。
悠斗) あぁ~! びっくりした。
    完全に別れ話されると思った。
花笑) そんなこと、私からすると思う?
悠斗) だってこの前俺のこと避けたでしょ?
    テラスで待ってたのに。
花笑) え…いやあれは…
    別れ話をされると思ったから。怖くなって。
悠斗) いや、逆だよ、逆。
    ちゃんと謝ろうと思ったし、同棲したいって事も、
    あの時言おうと思ったんだよ。   
花笑) そうだったの?
悠斗) 完全に嫌われたかと思って
    さすがにへこんだよ。ヘヘ…。


話ができなかったこの数日間、田之倉君も私と同じ
ような気持ちでいてくれた事が、とても嬉しく思えた。


**********

加々見) 例の件、やっぱり断られました。
花笑) そっか。
加々見) あっ、でもね、いい断られ方でした。
花笑) えっ?
加々見) この前は、一瞬で断られたんですけど、
     今回は、断るまで3秒ぐらい考える間が
     ありましたから。
花笑) そう。
加々見) 次はもっと、
     秒数使ってもらえるように頑張ります。
花笑) うん。
加々見) ハハハッ!


どうせならOKしてもらえるように、
頑張れ! 加々見君。


**********

ああ、もう、加々見君が、面白すぎる~! 何なの、こ
の可愛さマックスな生き物はっ! 原作ではパッとしな
いキャラなのに、千葉くんの魅力を最大限に生かした
キャラに大化け。いや~ラビリンスな彼から目が離せ
ない~! 今週はもはや、加々見くん祭りと言ってもい
いぐらい、加々見くんの魅力が炸裂した回だと思う!
(って、主役より目立っていいのか?って疑問も…w)

加々見君の恋愛相談に答えているうちに、自分の中
の問題点にも気が付いてきた花笑。そうそう、自分の
頭の中で勝手に出した答えに振り回されちゃダメ~!
物事には全て、決められたゲートが用意されていて、
そこを通らないと、先には進めないように出来ている。
うんうん。そういう感じ、あるある。てか、そのゲートを
通る事から無理やり逃げてしまうと、絶対に後悔する。

 

 

それは、加々見君が頭の中で、勝手に出して
答えでしょ?  何となくだけど、諦めずに先に

まないと、本当の答えは、出ないように出来

るんだと思う。

 

 

 
成功とか失敗はただの結果で、物事には全て、
決められたゲートが用意されていて、そこ
を通
過しないと、次には、進めないんじゃない
かな。


頭の中の答えは、仮定でしかないから。確かめること
から逃げて、互いの空想の答えを勝手に肯定して自
爆してしまう人っているなぁと。それに気づけた花笑
の恋愛偏差値は、かなり上がったはず! フランダー
スの犬劇場…マモルッシュの妄想劇も面白かったん
だけどね。加々見ッシュの百面相には敵わなかった。

映画もドラマも壁ドン祭りが続く中、加々見君の壁ド
ンが一番面白かったと思ったよ! 彼のスピンオフが
観たいって思うほど…今回は加々見君の一人勝ち!

 

 

 

 

●「きょうは会社休みます。」HP

●原作漫画の試し読みはこちらからどうぞ↓
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