「きょうは会社休みます。」
第3話 こじらせ女のお泊りデート
初カレの家・・・甘いムードで大惨事!
は、30歳の誕生日に、あろうことか9歳も年下
のバイトの大学生と、一夜を共にしてしまう。
まさかの告白を受けるも、
信じる事など到底できるはずもなくて…。
金銭目的の疑惑が晴れて安堵したのも束の間、
下の名前で呼び合う親密な女の子が現れたり、
メールの返事が来なかったりでパニック状態に
なるも…。
ついに初めての彼氏ができる。
下の名前で呼ばれたことに驚いているのだ。
そして突然にして、初めてのため口。
「青石さん」だった呼び名が、1日にして「花笑さん
に変わり、敬語とため口が、交互に押し寄せる。
メンマを注文していいか聞かれただけなのに、
この幸福感は、一体何だ?
7年前に社会人になってからというもの、映画は一人、
レディースデーの日に観に行くのが決まりだった。映
画館にいるカップルは、みんな幸せそうに見えたし、
感想を言い合える相手の存在が、とても羨ましかった。
彼氏ができて、しかも一緒に映画に行く、ちょっと前ま
での自分には、夢の中の出来事でしかなかった。
**********
大城君は、彼氏がマモルという事に関しては、
全く疑って来ないので、非常に助かっている。
マモルとは、うちで飼っている犬の名前で、
最近ようやくお座りを覚えた。
大城君が言うように、
もし彼と結婚するような事になれば、
私の名前は、田之倉花笑となる。
田之倉花笑。字面と響きは悪くない。
姓名判断で字画が大吉と出れば、
さらに言うことなしだ。
**********
朝尾) くれぐれも
重い女にならないように気をつけて。
重い女? 私が、重い女?
幼稚園から今の職場に至るまで、私はいかに組織
の重荷にならないかをずっと考えて来た。朝1番に
出社してコーヒーを入れることも、掃除をすることも、
社員の皆さんに少しでも気持ちよく働いてもらえれ
ばという、私なりの気遣いともいえる。
そもそも重い女とは、どういう女のことを言うのだ。
そう、重い女とは、自分の理想を押しつけて相手の
負担になる。私に限ってそんなことは…。
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(悠斗からのメール)
「土曜日の映画のあと、ウチで鍋しません?」
ウチで鍋?
(悠斗からのメール)
「次の日休みだし、ウチに泊まる?」
そしてお泊りの誘い。これはすなわち、正真正銘、彼
女という証し。ただ、付き合い始めて最初のデートで
家まで行くのは、いかがなものか? 私が思い描いて
いたお宅訪問までのプロセス。水族館にも、プラネタ
リウムにも行ってないのに。お家にお邪魔するのは、
だいぶ早い。それはお座りもおぼつかないマモルに、
さらにお手やお代わりを求めるようなもの。
マモルがこんなにも頑張ってるというのに…
(花笑からのメール)
「楽しみにしております」
(回想)
田之倉君に負担を掛けるような、
重い女には絶対にならない。
(花笑からのメール)
「いいね」
必ずなってみせる。軽やかな女に。
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朝尾) 遊びだったら早目にリリースしてあげてね。
悠斗) どういう意味ですか?
朝尾) 彼女と付き合うことがどういうことか、
分かってる?
悠斗) もちろん分かってます。
朝尾) あんまり軽々しく分かってるとか言ってほしく
ないな。君はまだ誰かの将来を背負えるほど
の立場じゃないと思うんだが。
悠斗) 独身の人に言われても
全然説得力ありませんよ。
朝尾) フッ。確かにね。
身近にいい人いたら、紹介してよ。
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瞳) 私にとって結婚はビジネスなんです。より良い
人と結ばれることで、子孫、生活、経済、老後、
全てを実りある人生に変えることができる。大学
の同期はみんなやりたいこと仕事にして、プライ
ベートもそれなりに充実してて。何の取り柄もな
い私が、彼女達に勝とうと思ったら、結婚相手し
か残されていないんですよ。だから、私は意地
でも朝尾さんと結婚します。どんなてを使ってで
も絶対に。
大城) くぅ~!
こんな切ない話、久しぶりに聞いたわ~。
私より5歳も若いのに、結婚をビジネスだと言い切っ
てしまう瞳ちゃん。それに比べて私は、田之倉君と
目が合ったぐらいで浮かれている。小学生レベルだ。
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鮫島) はぁ…残業代もらいながら、
男口説けるなんて羨ましいよねえ。
加々見) え~鮫島さん、
男の人口説きたいんですか~?
鮫島) はぁ~? ハハハ…。はぁ? はぁ?
お前何言ってんの?
誰もが見て見ぬふりをしている場所に
土足で踏み込んでいく大胆な発言。
やはりあの新入社員、ただ者ではない。
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最近お父さんは、会話に男の匂いを感じ取ると、
無意味な会話を延々とし始めるようになった。
都合の悪いことから極力目をそらしてきた私の
性格は、父親譲りなのかもしれない。
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朝尾) 恋愛とは、相手に関係なく、
結果が変わらないものだね。
瞳) ちょっと、それどういう意味ですか?
朝尾) どんな恋愛でも、行き着く所は、執着でしょ?
それに女性は、結婚、収入、安定。相手が誰
であろうと、最後に求めるものはさほど変わら
ない。結末が分かってる恋愛ほど、無駄な時
間はないからね。
瞳) あ…今まで、
出会った女性が悪いんじゃないんですか?
朝尾) 確かにその可能性は否定できない。
最近珍しいタイプの女性に遭遇して、
考えが揺らぎ始めている。
**********
夕方には映画を観終わり、
きっと今頃は田之倉君ちにいる。
頑張れ! 明日の私。
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私はゾンビ映画が大好物だ。どんなに醜くても、
倒されても何度でも立ち上がる不屈の精神力。
でも初めてのデートでゾンビ映画をせがむ女は、
きっと重い。
それに、田之倉君もゾンビ映画を選ぶかもしれ
ない。もしここでゾンビ映画を選ぼうものなら、
それこそ運命。
これは先月、先行ロードショーで観た映画だ。
それでもいいじゃないか。
こうして一緒に映画を観られるのだから。
キムチ鍋が2日続いたっていいではないか。
こんなことになるなら、手土産にキムチを持って
くればよかったか? いや、突然キムチ鍋をやる
と言われたのに、カバンから即座にキムチが出
てくる女は、一周回って重い女だ。
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花笑) ふ~ん。結構きれいにしてるんだね。
これ以外のフレーズが全然思いつかない。このフ
レーズだって、大昔に見た何かのパクリだ。料理
を手伝うべきだろうか? いや、今日は手伝うこと
よりも、おいしく食べることのほうが軽やかな気が
する。それよりは洗濯物を畳むほうが軽やかでは
ないか? でも部屋に来るなり洗濯物を畳み始め
る女は、きっと重い。
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悠斗) 花笑さん。
花笑) な…何でしょう?
悠斗) こっち見て。
(花笑にキスする悠斗)
男の一人暮らしの家には不似合いなもの。
その名もシュシュ。
私以外にも、この部屋に出入りする、
別の女性が?
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私は重い女だ。
彼氏の家に、
他人のシュシュがある事を許せない。
重い女だ。
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どうしてこんなものを持って帰ってきてしまったんだ。
でもたとえシュシュがどんなに憎かろうと、
人様の物を黙って持って来るのは、泥棒と一緒だ。
**********
一華の言うとおり、
私の手に負えるような相手ではなかったのだ。
短い恋だった。何も恐れることはない。
少し前の自分に戻ればいいだけの話だ。
**********
少し前の自分に戻っただけ。
なのに、何でこんなに…会いたいんだろう?
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花笑) あの…。もしかしてなんですけど…。
ほ…他に、お付き合いしている女性が、
いるんですか?
悠斗) えっ?
花笑) あっ、いや・・あの、いるならいるって正直に
言って頂いて結構です。こちらも心の準備は
十分致しておりますので。
あの…こちらをご覧ください。
悠斗) 何? これ。
花笑) あ…シュ…シュ…。シュシュと言いまして。
あの…主に、女性の髪を束ねるのに使う商品
で。その…先日お邪魔した時、ベッドの下に
あったものを、勝手に持ち出してしまいまして。
申し訳ありませんでした。
悠斗) やっぱ花笑さんは花笑さんだ。
花笑) え…?
悠斗) 普通の人だったら、こんなの見つけたらギャ
~ギャ~大騒ぎするのに。花笑さん、自分の
方が悪いみたいな顔してた。
花笑) ごめんなさい。
悠斗) 俺こそ、不安にさせて、ごめんなさい。家に呼
んどいて、これを処分し忘れていたことは、軽
率でした。ホントに…すいませんでした。
手、出して下さい。
花笑) え?
悠斗) 貸して。俺、何もやましいことないですから。
いつ来ても大丈夫です。
(花笑に部屋の合鍵を渡し、抱きしめる悠斗)
悠斗) こんなんで別れると思った?
**********
けんかしても終わらない関係は、
家族だけだと思っていた。
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うわ~メンドクサイ! こじらせ女子、メンドクサイっ!
いるよ、いるいる。こういう妄想自己完結型の女子!
恋愛相談でもよく見かける、このての「聞くのが」「確
かめるのが」怖いっていう人。いやいやいや、気にな
ることが聞けない、話し合いができない時点でダメで
しょ。相手を信じてないし、相手の話を聞いたら終わ
ると思ってる時点でその関係性に疑問アリアリだし。
一華ちゃんが言ったとおり、その場で「これ、何?」っ
て聞ける関係が健全。誤解ならすぐ解けるし、何より
ありもしない想像であれこれ悩む時間が勿体ない!
漫画だからっていうのもあるけど、こういうメンドクサ
イ女子に寛容な男は、そうそういないからね~。てか、
若い子か、綾瀬はるかじゃなきゃ、許せないから~。
だって、綾瀬はるかちゃんの魅力を持ってしても、今
回はかな~りイライラしてしまって。こじらせ女子って、
瞳ちゃんの言うとおり、「傲慢」なんだなって思ったよ。
やるべき努力もしないで、ただ漫然と白馬の王子様
を待ってる…みたいな。いや~これ、漫画だからね!
悠斗君や朝尾さんみたいな人は現れないから~!!
(夢を壊すようなことを書いちゃって、ゴメンナサイw)
ところで今回のテーマ、重い女とはどんな女なのか?
要するに、相手にとって荷が重い女というか…。私が
考える重い女は、いちいち相手に見返りを求める女。
私が~したんだから、~してくれるはず。私が~して
あげたのに、~してくれないっていう感覚? まあ、一
番重いのは、「あなたなしでは生きていけない!」っ
て女だと思うけど。何もかもおんぶに抱っこ、お姫様
抱っこされて生きていきたいって女は、相撲取り並み
に重いと思う。あなたなしでは…って気持ちは嬉しい
けど、ホントにそうされたら怖いって話なわけですよ。
私は原作漫画の連載をリアルに読んでいるのだけれ
ど、ドラマのほうがキャスティングのおかげで数倍面
白いです。加々見君や瞳ちゃんはドラマの方がいい。
漫画のドラマ化は、ホント、キャスティング命だなあと。
こじらせ女子が、少しずつ成長していく物語に、こじら
せ女子が、幸せになれるドラマになってほしいです♪
第1話~こじらせ女の初恋
第2話~こじらせ女のラブメール
第3話~こじらせ女のお泊りデート
第4話~こじらせ娘とこじらせ父
第5話~こじらせ女の初修羅場
第6話~こじらせ女にサインください
第7話~こじらせ女のお部屋探し
第8話~こじらせ女の孤独
第9話~こじらせ女の恩返し
第10話~こじらせ女の選択
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きょうは会社休みます。 1 (マーガレットコミックス)/集英社