書店員ミチルの身の上話 第7回 「別れ話」 | 日々のダダ漏れ

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よる★ドラ
書店員ミチルの身の上話

第7回 「別れ話」

窮地に立たされた豊増(新井浩文)はミチル(戸田恵梨香)
に「君のために破滅した」と言い、一緒に逃げて欲しいと頼
み込む。が、ミチルは預金をおろして豊増に500万を用
てることにし、豊増との別れを決意した。しかし豊増は、

束の時間にミチルのマンションに現れなかった。

久太郎
(柄本佑)の死以来、沈み込んでいた高倉恵利香
(寺島咲)はミ
チルに竹井(高良健吾)が怖いと打ち明ける。

**********

私の妻ミチルは、長崎の小さな町に暮らす平凡な女でした。
偶然手にした宝くじが、一等二億円の当選券だとわかり、
ミチルの人生は、思わぬ方向に舵を切ります。
故郷も捨て、不倫相手との別れも覚悟し、二億円の通帳が
入ったリュックだけを抱きしめ、一人生きていこう、と決めた
矢先のことでした。


**********

豊増) 浜田山のマンションは?
ミチル) 今は住んでない。こっから仕事にも通ってる。
    だから、もう浜田山は必要なくなったわけ。
豊増) 必要なくなったって・・・
ミチル) それで、引っ越し祝にもらった、エアコンと冷蔵
    庫とテレビ、要らなくなったの。それと立て替えて
    もらった敷金も返す。
豊増) 別れ話してんの?
ミチル) そう。
豊増) 突然すぎるでしょ!
ミチル) もう人目を気にして、
     ビクビク生きていくのがイヤになったの。
豊増) ビクビクって・・・



ミチル) 寂しくて、心細くて、相談したくても誰も頼れる
    人がいない。
豊増) 僕がいるじゃない。
ミチル) 怖いの! きっと、罪の意識があるから。
    そう・・・罪なの!
豊増) ミチルちゃんさ、
    ミチルちゃんそれ、本気で言ってんの?
ミチル) 本気。あたしの話はこれでおしまい。
    一樹さんの話は?


**********

高倉) こんばんは。竹井先輩が、ミチルさんが一緒に
    いたいって言ってるって。
ミチル) うん、待ってた。
高倉) ホントに来てもよかったですか?
ミチル) うん。ホント、ホント。
高倉) お客さんですか?
ミチル) 豊増さん。こっちは、竹井の後輩の高倉さん。



**********

豊増) ねえ、何? あの女? 気持ち悪いよ。
    僕らが外、出ようよ。
ミチル) イヤだって!
豊増) 浜田山のほうが落ち着いて話せるじゃん!
ミチル) イヤ!
高倉) ミチルさん、梨、剥きましょうか? 家からたくさん
    送ってきたんで、持ってきたんです。


瞬間、妻は上林久太郎の最期を思い出しました。
男がミチルに乱暴な振る舞いをする。
高倉恵利香が、ミチルを守ろうと、ナイフで男を襲う。
そんな先走った想像に、ミチルは身震いしました。

**********



豊増) ミチルちゃんさ、上林君と会って、心変わりしたん
    でしょう? それで、浜田山のマンション引き払って、
    上林君と
長崎一緒に帰ろうと思ってんでしょう?
ミチル) 勘違いにもほどがある。
豊増) 絶対うそ。絶対そうだもん。そうやってさ、僕のこと
    捨てるんでしょ。
なんでさ、ねえ・・・
ミチル) やめてよ!

**********

その後、豊増一樹から聞かされた話は、ミチルにとって、
全く現実感がありませんでした。カード決済、キャッシン
グ、穴埋め、領収書の偽造。カラ出張。どこをどう辿って、
今の窮状に陥ったのか、ただわかったのは、男が、抜き
差しならないトラブルの中にいる、ということだけでした。


豊増) だから・・・ミチルちゃん、僕と一緒に逃げて。

ミチル) なんで、あたしが一緒に逃げるの?
豊増) だってさ・・・
    僕、ミチルちゃんのために破滅したんだよ。
ミチル) あたしのため?
豊増) もう他に帰る所ないんだよ。
ミチル) 練馬の、奥さんのところに帰ればいいじゃない。
豊増) 妙子は・・・マンション売って出てった。離婚だよ。
ミチル) ふーん。
豊増) もう、ミチルちゃんしかいないんだって。
    ミチルちゃん一緒に逃げてよ。
ミチル) いくらあれば、逃げずに済むの?
豊増) 明日までに、とりあえず、500万。
ミチル) 500万・・・。明日までにあたしが用意する。
豊増) え?
ミチル) だからそれで別れよう。
豊増) そんな・・・
ミチル) 500万、明日までに必要なのよね?
豊増) そりゃそうなんだけど。
ミチル) じゃあ決まりね。
    浜田山のマンションに、明日夕方4時。待ってて。
豊増) ミチルちゃん、僕と一緒にさぁ・・・


**********

豊増に電話する立石(濱田マリ)。



立石) あたし、少しなら用立てることできるけど。
豊増) ミチ、古川さんが、全部なんとかしてくれるって。
立石) なんとかって?
豊増) 500万円用意してくれるって。
立石) 500万も? やっぱりあの子、宝くじ・・・
豊増) いや、それはわかんないけど、
    とりあえず急場はしのげそう。
立石) そう。ならよかった。明日の夜また電話しますね。
    じゃあ。
豊増) ありがとう。

**********

500万円を用意し、山本(堀杏子)はミチルに・・・



山本) このままお持ちになりますか?
ミチル) はい。
山本) 他行での運用か、何か? あ、ごめんなさい。立ち
    入ったことを。高額当選者には、寄付の依頼とか、
    いろいろあるって
お聞きしますので、古川様の事が
    心配で。
どうかお気をつけて。有難うございました。

**********

ミチル) 終わった・・・



二ヶ月前、故郷の町から連れ出してくれた男は、王子様

でした。気まぐれから始まった恋は、あっけなく終わりを
告げました。その後の豊増一樹の行方を、妻は知るよし
もありませんでした。

**********

ミチル) ゆうべなんかあったの?
高倉) ミチルさん・・・あたし
、もう駄目です。
    先輩と上手くいかないかもしれません。
ミチル) 喧嘩でもしたの?
高倉) 喧嘩なんてしてません。
    全部、あたしが悪いんですよね?
ミチル) え?
高倉) 
ミチルさんもそう思ってますよね?



ミチル) 竹井になんか言われたの?
高倉) いいえ、何にも。先輩はまるで何もなかったみた
    いに今まで通りです。
ミチル) じゃあ大丈夫なんじゃない?
高倉) でも、無言の圧力をかけてくるんです。
ミチル) どういうこと?
高倉) 先輩はあの晩のこと、一切話さないけど、最初に
    あんなことしたあたしが悪いって、罪を全部あたし
    に押しつけようとしてる
んだと思います!
ミチル) まさか。
高倉) 絶対そうなんですよ!
ミチル) でも竹井は、高倉さんの事心配してるよ?
高倉) どういう風にですか?
ミチル) 高倉さんが落ち込んでるから、できるだけ一緒
    にいてやってほしいって。
高倉) ふ・・・それは、お互いを監視させてるんですよ。
ミチル) どういう意味?
高倉) 私も、ミチルさんも、妙なこと考えでもしたら、
    竹井先輩困りますよね? 
ミチル) 高倉さん、
    そんな竹井を悪人みたいに言うのおかしいよ。
高倉) おかしいですか?
    ミチルさん。じゃあ、先輩は善人ですか?
    ミチルさん、ミチルさんは先輩を昔の目で見てる。
ミチル) 昔の目?
高倉) ミチルさんのそばを離れなかった、
    幼なじみの竹井としか見ていない。
ミチル) でもあの晩起きたことは、誰のせいでもない。
     私たちみんなのせい。
高倉) でも、一番悪いのはあたしなんですよね?
    ミチルさんも本当はそう思ってますよね?
ミチル) うううん。
高倉) 私が浜田山のマンションを見つけて、私が果物
    鉢をプレゼントして、私が、フライパンを振り下ろ
    した。
全部、あたしがやったことです! 
    ミチルさん、あたしを怖がってます? 怖がってま
    すよね? こんなことしてしまって、怖がられて当
    然だと思います。でも・・・今あたしは、竹井先輩
    が怖い。好きなのに怖い。でもね、でも一方で、
    見捨てられるのも怖い。ミチルさん、あたしもうど
    うしていいかわからない。どうしたらいいですか、
    ミチルさん。教えてください。
ミチル) 高倉さん、
    高倉さんあなたちょっと疲れてるのよ。竹井と話
    したら、きっと落ち着けるんじゃないかな。
高倉) そうかもしれません。
ミチル) 電話してみたら?
高倉) そうですね。

**********

高倉) ミチルさん、これから先輩と会ってきます。
ミチル) あ、そう、よかったじゃん。



高倉) 今夜は私、自分の部屋に帰りますから。

    ミチルさん、話を聞いてくれて嬉しかったです。
ミチル) うううん。
高倉) じゃあ、おやすみなさい。
ミチル) おやすみ。


**********

竹井) ミチルちゃん、落ち着いて聞いて。
    高倉さんが死んだ。
ミチル) うそでしょう? だって、あたしさっきまで。
竹井) 自殺らしい。とにかく今夜は遅くなるから。
    先に寝てて。

ミチル) うそでしょう? 高倉さんが自殺だなんて。




竹井の優秀な助手のように、久太郎の後始末をして
いた高倉が、むしろ、積極的に加担していたかに見
えた高倉が、それほどまでに苦しんでいたなんて。
気づいてやれなかった自分を、妻は責めていました。


**********

ダメ男豊増の正体が、情けなさ過ぎて、100年の恋も
一瞬で醒めるのも当然かと。僕のことを捨てる気か
とか、ミチルちゃんのために破滅したとか、よくもまあ
言えるもんだと。でも、そんな男だからこそ、二股不
倫も出来ちゃうのよね。いい加減で甘えた男だから。
立場がすっかり逆転してしまったミチルは、ある意味
男らしくも「お金」を提示してしまう。一番やっちゃいけ
ないことをやってしまうから、ドラマになるわけで。武
器を持っていると使ってしまうように、お金も持ってい
ると、使ってしまいたくなるのかも。あるのにないフリ
を続けるのは、案外と難しいものなのかもしれない。

それにしても、高倉さんの白髪が怖い怖い。一気に
サスペンスというよりホラーな雰囲気に。竹井も怖い
し、どんどん、恐ろしい展開になっていきそうな予感。


「書店員ミチルの身の上話」関連ブログ↓
第1回 「平凡な女」
第2回 「嘘」
第3回 「宝くじ」
第4回 「秘密」
第5回 「後始末」
第6回 「疑念」
第7回 「別れ話」
第8回 「正体」
第9回 「放浪」
第10回(最終回) 「告白」

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