庵野秀明監督が学生時代に製作したという「DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン」を最近WOWOWで観たのですが、もうビックリ。

そのカメラワークやカット割り、独特のカメラ目線が既に確立されていて、庵野イズム満載の仕上がり具合。「シン」シリーズの原点ここにありと実に興味深くもあり、後年こうやって鑑賞する意義を感じさせてくれる作品でもありました。

 

クリストファー・ノーラン監督の長編デビュー作が四半世紀を経てリバイバル上映されていると知り、彼の“原点”を覗いてみたくなった本作。

初期のモンキー・パンチ氏の作品のような、最後の最後で全ての伏線が回収されるその展開、しっかりやられました。2重3重の罠を巡らし、時間軸を前後させながら観客を翻弄。1998年の作品という事ですが、更に四半世紀程遡った時代のフィルム・ノワールの匂いも漂わせつつ、逆に映像は古さを感じさせない。今回監督自身も監修した「HDレストア版」(HDってHigh Definitionの略?)での公開という事で、映像の鮮度は申し分ない。小気味よい小作品といった感じ。

 

「オッペンハイマー」公開直後という事もあり本作への鑑賞意欲が湧きましたが、クリストファー・ノーランという監督を理解する上での一助には確かになると感じます。改めて彼の作品を観た感想を振り返ってみると、割と辛口な感想が目立つ。

バットマン ビギンズ ★★★

ダークナイト ★★★

インセプション ★★★

ダークナイト ライジング ★★★★

インターステラー ★★★

ダンケルク ★★★

ダンケルク ★★★☆

オッペンハイマー 6

“ご都合主義”が鼻に付いている作品(「インセプション」「インターステラー」)、美学を感じられない作品(「ダークナイト」)の計3作が、この監督と私の相性の悪さを明確に感じさせます。決して巷の評価とも合致していませんから。ただいずれの作品も、「(観に行って)損した」感はないんですよね。そこはさすが。

 

そんなノーラン監督の長編デビュー作は、彼の手腕が遺憾なく発揮されていました。低予算だからこその、引き算の魅力と言いますか、シンプルに自分の得意な武器だけで勝負した結果、その仕上がり具合はとてもイイ感じ。

スルーした作品を改めて観てみたくなりました。

 

№14
日付:2024/4/14
タイトル:フォロウィング | FOLLOWING

監督・脚本:Christopher Nolan
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン3
パンフレット:あり(\800)
評価:5.5

 

 

 

 

4月13日

本厚木で映画を観た帰り道、平塚のビーノさんを初訪問。

 

 

ボルドーの泡

 

ドイツのピノ・ノワール

 

スペインのグルナッシュ

 

実はこれ以外にもイタリアの地葡萄ワインをグラスで頼んだのですが、極々軽いブショネかもしれないと申告したところ、即座にロハにして下さいました(全部飲んじゃったのに)。

 

シチリア産オリーブ

 

鶏レバームースとnicoさんのパン盛り合わせ

 

胡瓜のパリパリ漬け

 

ブルスケッタ

 

この日頼んだアテは全部2~3百円台。コスパ良いし、なによりメチャ居心地良いです。

 

 

4月15日

八王子で一人暮らしを始める娘を見送ったこの日、超久し振りにcancanさんを訪問。コロナ禍が開けて以降はいつも店内賑やかで、入店を怯んでいました。平日17時過ぎに通りかかったら、ご覧の通り店内ひとり占め。

 

 

このボージョレイ、とっても飲みやすくて気に入りました

 

コンソメ炊き昆布と親鳥かわふき味噌

 

コロナ以降ほぼ在宅勤務を続けている私ですが、当初は雨の日限定だったのに、いつの間にか妻と娘を毎日送迎するのが当たり前になってしまった。そうなるとね、飲めないんですよ。ビーノさんもcancanさんも16時から開いているというのに。

送り迎えする相手が1人減って、時間差でピストン輸送する事もなくなった。一方で、幸せ感じる日々のルーティンを一つ失った気分です。

 

 

 

若い頃から監督業引退を公言していたリュック・ベッソン氏ですが、未だにコンスタントに監督作品が公開されている。その作品がフィルム・ノワール的アクション劇だと、つい淡い期待を持ってしまいます。でもって前作の「ANNA/アナ」が久々会心の作だった事もあり、続けて足を運んだ本作。往年の地を這うカメラワークで幕を開けるオープニング映像に期待が高まります。

 

リュック・ベッソン監督は実はディズニーの大ファンで、幼い頃に観た「101匹わんちゃん大行進」のような映画を自分も撮ってみたいと思い続け、遂に念願叶ったのが本作。

 

な訳がない?

では大の犬好きの監督が、一度犬を主役に作品を撮りたかったとか?

まるで主人公ダグラスを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズのワンマンショーのようなお話ですが、不幸の塊のような主人公と犬達の生活防衛権を巡る戦いを描いた本作を観ながら、この作品の制作動機が気になって仕方がありませんでした。

そのラスト、様々な事を暗示させますが、まさか続編なんてないですよね?

 

日付:2024/4/13
タイトル:DOGMAN ドッグマン | DOGMAN

監督・脚本:Luc Besson
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン2
評価:5

 

 

 

 

 

飲んだ日:2024/4/7
国・地域:仏ブルゴーニュ
Vintage:2021年
銘柄:Bourgogne Cuvee Vieilles Vignes(赤)
ランク:Regionale
造り手:MAISON Ambroise
輸入業者/購入店:(株)ラック・コーポレーション/ウメムラWine Cellar
価格:\3,690(税込)
購入日:2024/1/17
飲み頃度:まだ早い/満足度:5/10

 

例年のバランスの良さが影を潜め、先ずは酸味が先に立ち、黒系のコーヒーやカカオ風味が後に続き、最後に結構強烈にイガミと苦みが口中を覆う。やや痩せ気味な印象も感じますが、何よりバランスが悪い。日を追ってもそれほど大きな変化はなく、やや黒から赤系の良さが顔を覗かせた。このボトルは当たりとは言えなかった模様。

 

 

 

 

NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」という番組で「マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪」という放送回があって、結果的にこの番組が彼の担った役割を予習する役割を果たして観賞に臨んだ本作。

 

先の大戦の命運を握る一大国家プロジェクトとして、かつてない威力を持つ新兵器開発競争の先頭に立った物理学者オッペンハイマー。その壮大な計画の内幕と完成までのプロセスをスリリングに描きつつ、“原爆の父”ともてはやされた彼の栄光と挫折を、大戦の前後の時代を行き来しながら振り返る。

 

これまで数多の歴史上の事実が映画と言う娯楽作品の“原案”として採用され、幾つもの名作も生まれてきましたが、クリストファー・ノーラン監督はある意味物凄く正攻法でオッペンハイマーの人生を描いてみせた。錚々たる俳優陣が、まるで歴史上の写真館から抜け出てきたかのように実物と相似している様は、監督と俳優達による登場人物への徹底したアナリーゼの賜物に違いない。

マンハッタン計画の成功に対して、戦後の赤狩りにより彼が裁きを受けるプロセスは登場人物の多さが災いし、状況把握に苦労(特にシュヴァリエ事件に関するエピソード)しましたが、彼の政治信条の系譜と人間関係が、彼の“政敵”に巧みに利用されていく様子もまた緊迫のフィクション劇であるかのよう。
 

通常のシネコン劇場で観賞しましたが、爆音が腹に響く。かつて「センサラウンド方式」と銘打って上映された「大地震」を思い起こした。IMAXでの観賞はおススメするに値すると確かに感じます。そもそもIMAXの申し子みたいな監督さんなので、できればフルスペックの劇場で観るべきなんでしょうかね?

インターミッションなしの上映時間3時間と知って劇場への足取りが重くなりましたが、3時間必要でした。再見したいです、IMAXで。

 

公開までの道のりが随分と長いものになってしまった本作。この点に関しては一映画ファンとしてとても残念だし遺憾でもあり、特に観終えた今はその念が更に強まった。当初配給会社が公開を尻込みしなければならなかった理由は、何処にも見当たらなかった。

オスカー受賞も納得です(R・ダウニー・Jr.の不遜な態度のみ喝!)。

 

日付:2024/4/7
タイトル:オッペンハイマー | OPPENHEIMER
監督・脚本:Christopher Nolan
劇場名:シネプレックス平塚 screen8
評価:6