日本におけるアンチ・ヒーロー、ダーク・ヒーローというと、私の年代ならハカイダーとかデビルマンとか、その辺でしょうか。あとは中村主水@必殺仕事人とかそっち方面になってしまうような。で、彼らに共通するのは安っぽいヒロイズムなど存在しないという点。自己犠牲などもっての外。そこにあるのは彼らの実直なる"俺流"のダンディズム。そして観客は勝手に切ないセンチメンタリズムをそこに見い出すのであります。
元祖アメコミのキャラクター設定がどんなものかは知りませんが、クリストファー・ノーラン監督が再生したバットマンにはそれがない。愛する者やお国を守るために無実の罪を背負うなど、どこぞの時代劇の熱血若侍のような正義感ぶり。黄門様や大岡越前守や金さんに真実を暴いてもらうサブキャラと同レベルですよ、それじゃ。
最大のライバルを迎えて「闇の騎士(THE DARK KNIGHT)」誕生を描いた本作品。2作目が一番脂が乗っているというのが、これまたヒーロー物の常。ヒース・レジャーの鬼気迫るジョーカーは合掌物ではあります。極々近未来的に構築したゴッサム・シティの世界観と用意周到に畳み掛ける展開は見応えある一方で、魔法のようなIT機器と安易な裏切りの多用に途中でお腹一杯になりました。おまけに前作でも本作でも他の悪者は皆さんめでたく転落死しているのに、ジョーカーだけは特別扱いですか。
新作公開前にそれまでの作品をリバイバル公開。「ボーン」シリーズとか「ハリー・ポッター」もやって欲しかったなー。「映画は映画館で観るもの」を信条としている私にとっては嬉しい企画・・・・だったのですが、「インセプション」といいどうもこの監督を評価する気になれない。頑張って溜まった宿題を片付けたのに、第3作を観に行く元気が無くなりそうです。
日付:2012/7/25
タイトル:ダークナイト | THE DARK KNIGHT
監督:Christopher Nolan
劇場名:シネプレックス平塚 シネマ2
評価:★★★