INTERSTELLAR

 

命を育む惑星としての寿命が尽きようとしている未来の地球。

人類を救う為にイスカンダル並みに遥か彼方の惑星をめざす事になったクーパー(マシュー・マコノヒー)と、父の言葉を信じて帰還を待つ娘との、時空を超えた切ない交流。

 

懸命に人類の移住先を探す彼らの行く手を阻む難題に対し、ノーラン監督は我々観客を相対性理論で煙に巻き、時に「愛」なる抽象的&説得力の無い言葉で撹乱し、人類の力不足は5次元の世界を生きる"彼ら"の手助けを借りるというご都合主義で乗り切ろうとする。

 

そんな数々のツッコミどころや「?」を気にしないで済むのは、全編を貫く父と娘の親子愛を清く正しく美しく描けているから。どんな作品ジャンルであっても父親の娘への愛情はかくも普遍的な力を持って心に響く。娘を持つパパはずーっと涙をこぼしながら観る事になる。

果てしない宇宙空間に身を投じる孤独感と、親子の絆を遮断する絶望的な距離感とが交錯する中、リアル浦島太郎的時間軸のスリルが加わって飽きさせもしない。

 

クリストファー・ノーラン監督作品は新バットマン・シリーズで好印象を持っていたのだけれど、この人「インセプション 」も撮っていたんだ。彼の良い面と悪い面とが程好く同居したかのような本作品。力作、大作なのは判るけれど、やはり論理性に欠ける。一方で意外とエモーショナルな盛り上げ方が上手い。

ラスト近くのシーンを観ながら、もしガンダムをハリウッドで実写化するのなら、監督はマイケル・ベイではなくノーラン監督の方が適任だと思ったりもした。彼は007シリーズの監督も熱望しているそうですが、そっちはやめておいた方が良い気がします。粋なボンドは描けても、スパイ物として破綻しそう。

 

"親子愛"を主軸にしておきながら、最後の最後で監督がクーパーに用意した第2の人生。人類の明るい未来には、愛が一つじゃ足りないあたり、食えない監督だ。次回作も一応楽しみです。

 

日付:2015/1/28

タイトル:インターステラー | INTERSTELLAR

監督・共同脚本:Christopher Nolan

劇場名:丸の内ピカデリー3

評価:★★★

 

INTERSTELLAR
 
INTERSTELLAR
 
INTERSTELLAR