(9)ゴールする
気持ちが切れればすぐに足は止まってしまう。そんな状態が続いています。でも気持ちさえ切れなければ、ヨタヨタしながらでも走れるものです。本当に走れなくなるまで力を出し切るというのはどんな状態なのでしょう。おそらく私はまだそんな世界は見ていないのではないでしょうか。もしも見ているとしたら、初フルのときと初100kmのとき。このときはゴール直後に精根尽き果てて、ほとんど動けなくなりました。
それ以外のときはどうだったでしょう。「これが限界」と思ってリタイアしても、まだまだ限界じゃなかったという記憶しか残っていません。まだまだ私の中には、潜在的な力が残っているはずです。
53km地点は5時間56分30秒。この間の2kmは12分29秒です。いや、実際はキロ6分台で走れたとは思えませんが、気持ちを切らさずに走れていることに間違いはありません。
しばらくすると、12時を告げるサイレンが鳴ります。今年もこのサイレンを聞く前にゴールすることはできませんでした。来年以降への宿題が残りました。
やがてフェリーターミナルの近くに出てきます。ここまでくればあとひと息です。45kmを過ぎてからは2kmおきにあった距離表示が、ここだけは1km間隔となり54kmの表示があります。6時間04分13秒。この1kmは7分43秒です。
いよいよ最後の1km・・・と400m。この大会、「55km」となっていますが、コース図に書かれているエイド間の距離を合計すると、55.4kmになります。最初はそのことを知らず、54kmからゴールまでの1kmがずいぶん長いと感じたものです。
急な坂を上り、鴛泊市街地の道を走ります。この道もアップダウンがあることがなんとも邪魔くさく思えます(笑)。
セイコーマートの看板が見えると、「あそこを左折だ!」と思えてしまいます。でもそこを左折していたのは、まだ古い開発総合センターがあったときのこと。今はさらにここから次の交差点まで直進しなければなりません。なんだか損をしたような気分になってしまいます。
最後の交差点を左折するともうひと息です。でもここもまた上り坂で、最後の最後までいじめてくれます。
坂を上りきり、りぷらの前に設けられたゴールに向かいます。ゴールの脇には、すでにゴールをしている走る人の仲間たちがいました。
どうにか最後まで気持ちは切らさず走りきりました。小さくガッツポーズをしてゴールテープを切りました。回れ右をしてお辞儀をして、それから時計を止めます。やや霞む目で見ると、6時間17分台を表示しているように見えました。
ああ・・・最後の望みだった自己ベスト更新も叶わなかった・・・。ちょっとショックでした。
仲間たちと合流し、いろいろ話します。ゆーすけさんはもちろん、よっこさんもるなりんさんも6時間を切ったとのこと。みんな見事です。
残念ながら私は目標をなにひとつクリアできませんでしたが、余力を残したとは言えないまでも、苦しいながらもまだ走れるぞ、という状態ではゴールできました。あと15kmくらい・・・走れるかどうか微妙に思えますが、速く走るのは無理でもまだしばらくは走れそうです。実際、走る苦しみから解放されたおかげか、比較的普通に歩くことができました。
りぷらの中に入り、まずは腹ごしらえです。ごはんと豚汁をもらい、焼き魚や漬物ともども食べます。するとまもなくりんごちゃんもやってきました。まだまだ復活途上のりんごちゃんですが、見事に6時間台でのゴールです。昨年の私より速いじゃないですか!お見事です。
昼食を終えて、シャトルバスで利尻富士温泉に行くことにしました。参加賞ということで、完走後に無料入浴券をいただいています。レラモシリの温泉も、今日は14時から入れるということでしたが、まだちょっとそれまで時間があります。そこでまず利尻富士温泉に行き、体にこびりついている塩を洗い流すことにしました。
利尻富士温泉に行ったもう一つの理由はこれです。
走って温泉に入って、その後の生ビールは最高ですからね。
ビールを飲み終えた後、歩いてレラモシリに帰ります。到着したら14時を回ったところです。部屋に荷物を置いて、今度はレラモシリの温泉に向かいます。ゆーすけさんが先に入っていましたが、いっしょにのんびりと温泉につかりました。
このあと16時30分から閉会式&表彰式&完走パーティです。それまでしばし休憩です。(つづく)