雪の日ピアノ
ガソリンは琥珀色、枯れた花に火を点けたら、
狂って咲いてるみたいに鮮やかだった、
奏でる雪はアルペジオ、
拙いピアノを鳴らす雨に変わった、
白いカラスの群れが星のない夜、
泣く声、それはホームシックの孤独、
いつもみたいに舌を出して笑いなよ、
唇歪めて笑いなよ、
君が待つ星に帰りたい、擦れ違いずいぶん時間が経って、
例えあの歌声が聞けなくたって、
古びも消えもしないからって、
分かるんだ、君は今もその瞳を閉じて、
欠けた鍵盤、歌ってるって、
光に包まれてたい、限りのあるを生きてても、
分かるんだ、僕はずっと君の名前ばかりを呼んでるよ、
体の奥から言葉のつかない力が宿る、
僕も同じ歌を口ずさむ日々、
空は暗く宇宙になって、
咲いた花は目を閉じる、明日またねって小さな子は呟いた、
ドレミファからソラシドへって、
雪はちらつくアルペジオ、
さらさらと降るピアノみたいな雨に変わった、
白いカラスの群れが星のない夜、
泣く声、それはホームシックの孤独、
いつもみたいに飛び立ちなよ、羽根で鍵盤鳴らしなよ、
僕もゆくから次の海を渡りなよ、
ドレミファからソラシドへ、
━━━━━━━━━━━━━━━
⇒ピアノ・ガールフレンド
⇒ピアノと森の空
⇒100年ピアノ
⇒恋人ピアノ
━━━━━━━━━━━━━━━
あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)
あの人への想いに綴るうた