恋人ピアノ -JACKPOT REMIX-追い出されたパイプオルガン、祝福なんて鳴らせなかった、弾けないわけじゃなかったよ、弾きたくなんてなかっただけで、荘厳より下世話さばかり叩きつけてた、苛立ちばかりをぶつけてた、おかげで鍵盤欠けたピアノしかない、優しさなんてウソくさくて笑ってやった、それで分かる、それじゃピアノは鳴らせないんだ、空気震わす響きにならない、恋人に触れたとき、あの指先なら鳴るメロディ、いまならまだ思い出せるような気がする、壊れたグランドピアノの下で泣いてた、あの子供は胸のなかに生きたまま、今は自分で歩いてゆける、恋人に初めて触れた、あの手の平も生きている、そぼ降る雨の柔らかさ、それを鳴らしてみようと目を閉じる、