「機動警察パトレイバー」に関する現実的考察1
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「機動警察パトレイバー」に関する現実的考察3
「機動警察パトレイバー」に関する現実的考察4

「機動警察パトレイバー」に関する現実的考察6 最終章


パトレイバーの話を書くつもりが、
バビロンプロジェクトについて検証しているうちに、
どんどん、どんどん、戦前戦後の凄いジイさんたちの話に行ってしまいました。
すいません。

で、レイバーの話に戻るのですが、
作業用レイバーを国内で製造している大手は四菱グループの菱井インダストリーですが、
これはまあ、そのまま三菱グループの三菱重工ということになるでしょう。

物語では、ちょうど90年代から顕著になってきた外資系企業と、
そこにヘッドハンティングされた優秀?な
日本人社員の行動というものが浮き彫りにされており、
そこらあたりも特車二課の組織の雰囲気と対比的で面白いところです。

そのレイバー製造販売で日本進出を企てている企業というのが、
「シャフトエンタープライズ」です。
シャフトエンタープライズ、以下シャフト社は今で言うグローバル企業でして、
シャフト本社とそのの極東支部と、シャフトエンタープライズジャパンは、
必ずしも協同歩調をとっておりません。

そのため、各自がそれぞれ自分の業績と成果を巡って、組織内部でも状況次第で、
味方にも敵にも回るという非情な成果主義を繰り広げています。

漫画版では、その辺のシャフトジャパン社で優秀とされている内海という人物を中心に、
企業戦争の謀略を描いていくわけですね。
そういった意味では、
「機動警察パトレイバー」は近未来ロボットSFと思いきや、
企業小説とサスペンス映画の味わいなのです。

特車二課に配属された警察用レイバーは、篠原重工製のAV98イングラムなのですが、
この機体は作業用レイバー犯罪抑止を前提とし、
専守防衛を遵守した警察用レイバーであるため、
迅速な行動や細かな動きに重点がおかれており、
武器や装甲性能は軍事用レイバーにはかないません。

そこへ、シャフト本社にも無断でシャフトジャパンの内海たち企画7課が、
軍事用レイバーにも勝る勢いの新型レイバー、
通称「黒いレイバー、グリフォン」を送り込んで事件を起こし、
イングラムと対戦させることで売名と実戦データを収集し開発に繋げようとします。

その、陰謀めいた事件の数々の中で、
レイバー操作に秀でた少年を訓練起用するという措置を取ります。
そのためだけにに誘拐された少年を人身売買で入手していた。
といったあたり容赦のなさが、
象徴的行動として描かれています。

この「グリフォン」なのですが、
それまでのレイバーとは機体の手足の関節を動かすアクチエーターが
まったくそれまでのレイバーとは画期的に異なっているとされています。
油圧やモーターで動くアクチエーターではなく、
電磁的に伸縮する人工筋肉のような設定ですね。
そのため、機械的な歩行ではなく生物的なしなやかな動きが出来ることになっています。

これは、現在のロボット産業先進国のわが国のホンダ製「アシモ」でも出来ていない歩行運動です。

しかし、このシャフト社に相当するような、「グリフォン」に相当するような、
トンでもない歩行機能をもった多足歩行機械が既につくられようとしています。
というか既に実用化されているのではないでしょうか、

その会社とは、ボストンダイナミクス社です。
米国防総省、陸軍の車両開発研究所TACOMから研究開発助成費が150万ドル出ています。
ボストンダイナミクス社は歩行機械研究の第一人者マーク・ライバート博士によって設立された会社で、このライバート博士はMITのレッグラボラトリーでも一本足ロボットなんかを研究しています。

脅威の4足歩行マシン通称「Big Dog (ビッグドッグ)」生物的というか、歌舞伎の馬みたい。
坂道や荒地でも転ばないどころか、横から蹴りを入れられても踏ん張って体勢を維持しています。




二足歩行のこの動きは、今までみたロボットの動きではないです。
人と同じというか、、




この会社が、このままいくと、シャフトエンタープライズになるんではないでしょうか。
国産レイバーが完全に押されているような気がしないでもありません。
また、彼らはこれをはなっから軍事用に利用しようとしていますし。

ただ、正直このロボットデザインを比較してみたときに、
どうもボストンダイナミクス社のロボットはとても気味が悪いんです。

それはなぜなんだろう?
と考えたときに彼らは必要な機能しか追い求めていない。
これらのロボットには顔がないんですね。
特にビッグドッグの方は、
首を切られてもなお歩きまわっている家畜ゾンビのようです。
ここまで出来ているんだから首をつけたげようよ。

なんとかロボットをかわいくしようとする、友達にしようとする、
わが国の技術者と、
ここらあたりのセンスは相容れない部分ですよね。


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