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「機動警察パトレイバー」に関する現実的考察6 最終章



機動警察パトレイバーの企画連載放映時期がバブル時代ということで物語の背景として、浮かび上がってきたのが、当時考えられていた近未来の都市構造の変革によるさまざまな問題点、
失われる風景や街並みというのも重要な作品テーマのひとつです。

バビロンプロジェクトと呼ばれる東京湾を干拓埋め立てして新しい都市構造を生み出すことが、
当時の状況としては過密高騰しつづける東京の都市問題解決の切り札とみなされていたわけです。
1995年から始まるこの「バビロンプロジェクト」ですが、
現在のこのビル余り空きビルだらけの不動産不況状況から見れば、
かな~りナンセンスとも思われる国家プロジェクトなんですが
実は戦後高度成長期に多くの建築家により計画されていたという事実が存在します。


まず建築界の大御所、丹下健三氏による「東京計画1960」です。

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そして建築界の理不尽大王、菊竹清訓氏による「海上都市」計画。

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そして、東京都知事選で話題になった黒川紀章氏は霞ヶ浦に水上都市計画をしていました。

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しかし、これらは当時新進気鋭の建築家による戦後復興から構想した夢想のプロジェクトであり、
こんなんどうや!っていう売り出し中の象徴的なプロジェクトであって実際の実現性には乏しいものでした。
それでも、今の建築家では誰もやらなくなってしまった個人による都市計画案の構想力として評価されており、建築界ではそれなりに、かなり評価され学校の授業などでも紹介されています。

しかし!
これが「バビロンプロジェクト」ではないか?というオリジナルな計画が存在します。

その名も「ネオ・トウキョウ・プラン」、
昭和34年のことです。

東京湾2億坪埋め立てを構想していました。

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「産業計画会議」による構想ですが、
この見取り図を見る限りなんか東京湾アクアラインはこのままぴったし実行されている感じなんですよね。
というよりこの計画案そのものが未だに綿々と息づいているのではないかとも思われます。


しかも、この「産業計画会議」という組織、団体、シンクタンクがちょっと謎に包まれております。
松永安左エ門という人によって設立され、彼の死とともに解散消滅したとういう私的機関です。
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しかし、この「産業計画会議」は日本の高度成長期において事実上日本政府の諮問機関として機能していたといわれています。
松永安左エ門とは、戦前戦後を通じて日本の電力界を牛耳ったカリスマにしてフィクサー、「電力の鬼」とまで呼ばれた人です。
いろんな産業界の重鎮といわれた人がいらっしゃいますが、この人についてはあまりにも世間に知られていない。

日本の将来を見据えた鋭い先見性と何事も現場に自ら出向き、山深い現場でドラム缶の風呂に入ってでも、現地の様子を把握する主義で徹底していました。
電力中央研究所のページ

パトレイバーの「バビロンプロジェクト」は具体的かつ現実に実行されようとしていたのです。
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このCONSTRUCTION OF DIKE ACROSS TOKYO BAY、「第12次勧告 東京湾に横断堤を」は英訳され、E.ロスチャイルド氏の元にも送られていました。

他にも多くの戦後の日本の復興と高度成長の礎となる多くの国家のグランドデザインに関わる計画が、この松永安左エ門率いる「産業計画会議」によって政策立案され実行されていったのです。東名高速道路や名神高速道路などもそうです。

田中角栄による列島改造論もここらあたりがベースになっているのではないでしょうか、

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と、するなら

「機動警察パトレイバー」は、機動戦士ガンダムから新世紀エヴァンゲリオンや攻殻機動隊などに繋がる、日本の漫画アニメ界躍進の近未来ドラマのフォーマットを決めた記念碑的作品であり、

現実世界にSF設定を持ち込んでリアルな人物描写を描くという世界観を提示したという意味と、

OVAを駆使して同時多発的に多端末の媒体によってビジネス展開するという日本の漫画アニメ界の産業構造に変革を及ぼしたという意味でも、


原案ゆうきまさみ先生がいうなれば
「機動警察パトレイバー」における松永安左エ門であり、

原作チームのヘッドギアとは実は「産業計画会議」のようなもののだったということになります。

つづく

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