【月刊人材ビジネスより】この1年…改正派遣法案をめぐる流転の記録[政治編] | 雇用維新 派遣?請負?アウトシーシング?民法と事業法の狭間でもがく社長の愚痴ログ

【月刊人材ビジネスより】この1年…改正派遣法案をめぐる流転の記録[政治編]

いよいよ年末も押し迫ってきたと言うことで、今日と明日のエントリーで、今年1年の業界を取り巻く状況を振り返ってみる。


ちょうど月刊人材ビジネス平成22年12月号に、今年1年の良まとめ記事があったので、それを引用、加筆しながら、当時書いた拙ブログへのリンクも張って、まとめてみます。



雇用維新 派遣?請負?アウトシーシング?民法と事業法の狭間でもがく社長の愚痴ログ


まずは[政治編]



1月18日 通常国会召集


召集前の年頭会見で、長妻昭厚労相(当時)が通常国会での法案成立に意欲と自信を表明。衆参両院で多数を占める民主党の勢力から見て、「行き過ぎた規制強化」ではあったが、成立の公算は高いと見込まれていた。



2月8日 「専門26業務派遣適正化プラン」の実施を発表


衆院予算委員会の席上、共産党の質問に答える形で長妻厚労相が唐突に発表。3月と4月の2カ月間にわたり、全国の労働局が“大臣指示”という強い意向に沿ってフル展開。過度に警戒した派遣先の一部が、調査開始前と終了後に直接雇用ではなく、契約終了を選択した。(行政の動向も参照)



3月19日 民主、社民、国民新の連立内閣が閣議決定


社民党の福島瑞穂消費者・少子化担当相(当時)が、労働政策審議会の答申にあった「事前面接の解禁」を土壇場で削除させ、閣議決定。当時副総理だった菅直人氏の連立重視の“政略”によるもので、「答申を曲げないと公言していた長妻厚労相は、記者団に憮然とした表情をみせ、不快感をにじませた。



3月29日 参議院へ法案提出



4月1日 労政審が答申に「手を加えた」閣議決定に抗議の意見書提出


これまでの歴史と今後の労政審に禍根を残すとして、公益代表と使用者代表委員のみならず、労働者代表委員も不快感をあらわにした。抗議に対し、細川律夫副大臣(当時)が同審議会に出席し、「申し訳ない」と陳謝した。



4月2日 参議院への法案提出を撤回



4月6日 「重要広範議案」と位置づけ、衆議院へ法案出し直し


会期内成立に万全を期すため、新年度予算関連法案が衆議院で審議されている間、参議院で先に審議を進める「参院先議」の“裏技”を実施。しかし、数ある法案の中で4つだけ認められている「重要広範議案」を参院先議にした例はない、とする野党の正論を押し返せず、参院から引き上げて衆院へ出し直すという43年ぶりの失態を演じた。



4月16日 衆院本会議で長妻厚労相が趣旨説明、審議入り



4月23日 衆院厚生労働委員会で初の審議


野党委員は欠席。与党委員3人が約30分ずつ質疑を交わしただけで終わり、その後、審議はストップ。7月31日召集の臨時国会でも、10月1日に召集された本臨時国会においても、審議は再開されていない。



5月30日 社民党が連立を離脱


直接の理由は「米普天間基地移設問題」における民主党の対応への不満。社民党内には離脱に慎重な意見も少なくなかったが、福島瑞穂党首の強行姿勢は、民主党との「協議の余地」を与えなかった。同時に、改正法案についても同党幹部の衆議院議員から「福島党首が一人で突っ走っている感がある」との批判の声が聞かれた。



6月2日 鳩山由紀夫首相が辞任、改正法案の強行採決は消滅


会期末を2週間後に控え、政府は改正法案の強行採決を同日に実施する手はずだった。しかし、開会の1時間前に鳩山首相辞任の一報が入り、首相出席が原則である「重要広範議案」の採決は宙に浮いた。強行採決を嫌った民主党の藤村修委員長を“交代”させてまで「中央突破シフト」を敷いた政府・民主党だったが、首相辞任は誤算だった。



6月16日  衆院厚生労働委員会が通常国会最終日に改正法案を継続審議とする



7月11日 第22回参院選で民主党惨敗、衆参「ねじれ国会」に

鳩山首相の辞任からわずか3日後に民主党党首となり、首相に就任した菅直人氏。党の支持率下落に歯止めがかからない中で急いで選挙戦に臨んだが、44議席の惨敗。自民党とみんなの党の躍進で、参議院は野党多数となり、与党の狙う改正法案の「原案通りの可決」は厳しい情勢に。



7月30日 参院改選に伴う臨時国会召集、改正法案は審議せず8日間で閉会



9月17日 長妻厚労相退任、細川律夫副大臣が昇格


国会議員票を二分する小沢一郎元幹事長との一騎打ちを制して、党首続投を決めた菅氏。改造内閣では再任に意欲的だった長妻氏を交代させ、細川氏を昇格させた。秋の臨時国会での改正法案可決を視野に、水面下で公明党に修正協議の模索と具体的な打診を強める。



10月1日 臨時国会召集、内憂外患で菅内閣、民主党政権の基盤揺らぐ


毎週火曜日と金曜日に行われる閣議後の大臣会見。外交問題の対応と「政治とカネ」をめぐる批判で荒れる国会に連動するように、改正法案に対する細川厚労働相の発言はトーンを下げていった。



11月22日 柳田稔法相が辞任


柳田議員は厚生労働分野に精通しており、菅改造内閣で法務大臣に任命される直前まで、参院の厚生労働委員長を務めていた。



12月3日 第176回臨時国会閉幕、改正法案は継続審議


23年1月召集の通常国会へ継続審議となったが、予算案件外の法案審議が再開されるのは早くても4月中旬。日本中が統一地方選で熱くなっているため、落ち着いた審議はできないと見込まれる。また、雇用と経済情勢は刻一刻と変化しており、1年半前にまとめた法案が審議に値するのか民主党は大きな判断を迫られる公算が高い。



2011年X月X日 衆議院解散?


解散総選挙の場合は、改正法案を含め衆議院にあがっているすべての法案が「廃案」となる。



[引用ここまで]



最後はあくまでも予想の域だが、来年の通常国会は開催直後から大混乱が予想されている。


派遣法改正案についても審議が早くても4月中旬…。


そのころは、記事にあるように、地方選が実施され、落ち着いた審議はできないと見込まれている。


また、変化し続ける雇用情勢の中で、1年半前にまとめた古い法律が本当に今の情勢にあっているのかも疑問である。


このような結果となったのは、そもそもが「派遣労働者のため」という大儀ではなく、「政権交代と言う勢い」だけで作られたものだったからなのではないだろうか。


大儀のない法案だからこそ、鳩山前首相の辞任で勢いという力を失っただけで、宙に浮くこととなったのだ。


2010年…この1年を不毛な年にしないためにも、来年こそは、大儀である「派遣労働者たちのための派遣法改正」への議論を始めたいものです。


明日は、[行政、業界、団体編]。



ではまたパー