彫刻家 片桐宏典さん(再放送)第10回 ~アートは人生を讃えるものです | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

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生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」

 

みなさま こんにちは。

彫刻工房くさか 日下育子です。

 

今日は素敵な作家をご紹介いたします。

彫刻家の片桐 宏典さんです。



片桐 宏典さん
ケイト・トムソンさん
お二人とも彫刻家であり、ご夫妻でもいらっしゃいます。

 

以下、2014年8月の再放送でお届けします。
前回の日下育子からのリレーでご登場頂きます。
     第1回  第2回  第3回  第4回  第5回  

 

片桐 宏典さん  

    第1回 ~三陸のリアス海岸が原風景にあります~ 

           第1回続き 略歴のご紹介

    第2回  ~彫刻でコミュニティーと関わってきました~ 

    第3回  ~芸術家の共働制作で「宇宙」を表現しました~

    第4回  ~アートをプロフェッショナルにやっています~

    第5回 ~制作テーマ①  ストリームラインのシリーズについて~
    第6回   ~制作テーマ②  サウンドインスタレーションについて~ 

    第7回  ~制作の素材と想い、 舟の作品について~

    第8回  ~制作の素材と想い、階段状の作品について~

    第9回  ~社会との接点について アートイベントUK98について~

           第9回リンク UK98カタログより

        

    

    

第10回で最終回の今日は、片桐 宏典さん、ケイト・トムソンさんからのリレー作家の紹介と
今後の活動予定、そして最後に「あなたにとってアートとは?」の質問にお答え頂きました。

お楽しみ頂けましたら幸いです。

 

 

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波打つ愛へのノスタルジア


 「波打つ愛へのノスタルジア」
宮城県産玄武岩
本体寸法 80x50x1800cmH
東京都飯田橋
千代田富士見ザタワー 一階ホール
千代田富士見ザタワー・アート計画
2014

 



 

スBjin 2010


「Streamline-Bjin」
スウェーデン産黒御影石
50 x 25 x 220cm
2010

 



 

眠る心臓07ー05

「眠る心臓 2007-05」
宮城県産玄武岩
35x9x40cmH
2007



 

 


「よみがえる港」
宮城県産玄武岩
幅90x厚15x高25cm
2004


 



 



 




七つの旅1

 


七つの旅2

 南郷プロジェクト
「七つの旅」
青森県八戸市南郷区図書館
(片桐宏典+ケイト・トムソン:共働製作)
 2004

メモ

この作品は、人間の知的好奇心と柔らかな精神が、
世界に広がる文化的多様性と叡智に触れる驚きと
喜びから生まれる「知的果実」を求めて、
理想と現実世界を駆け抜ける精神の旅を象徴しています。





 


2002ラシャ-ナ

「The Towers」
レバノン産ライムストーン
高さ2.5m
ラシャーナ国際彫刻シンポジウム
2002





 

1997岩手シンポ

 

岩手町国際彫刻シンポジウム

1997
岩手町立浮島小学校

「浮島の夢~蜃気楼」
岩手町産黒御影石
高さ3m




 




「コスモス」

1.[ビックバン広場」 モノリス

 



「コスモス」

1.[ビックバン広場」


 

 




「コスモス」

1.[ビックバン広場」

 

 

 


「コスモス」

2.「現在の時空広場」

 

 




「コスモス」

2.「現在の時空広場」

 

 


「コスモス」

2.「現在の時空広場」

 

デザイン及び制作
片桐宏典、ケイト・トムソン、用澤修、吉田昇、ルボミア・ヤネチカ、
アンディー・アルプ、岩村俊秀、清本真右、坪井常男

 

岩手産白御影石、 遠野産黒御影石

本体寸法 

1.「ビックバン広場」6.2mH x 30m x 25m
2.「現在の時空広場」 2mH x 30m x 25m

宮城県仙台市若林区元茶畑  宮城県仙台第一高等学校内
デザインから制作まで全て芸術家の共働制作によるプロジェクト
1993







「春雷」
玄武岩 
60×8×25㎝H

1996

 


1991浮かび上がる悲しみ

「浮かび上がる悲しみ」
スコットランド産赤御影石
直径45cm
1991



 


 

日下
さて、片桐 宏典さん、ケイト・トムソンさんお二人からの
リレー作家をご紹介いただけますでしょうか。

 

 

片桐 宏典さん 
ケイト トムソンさん

彫刻家の山本哲三さんを紹介します。
彼は京都にいる彫刻家で、一番最初の頃のサンクト・マルガレーテンの彫刻シンポジウムに
参加している伝説的な彫刻家です。
僕は大阪のシンポジウムのときに彼と初めて御一緒しました。

 


日下
ありがとうございます。
山本さんへのインタビューを通して、彫刻シンポジウムについて、
もっとおうかがいできましたら、とても面白いと思います。
今の20代頃の作家はあまり彫刻シンポジウムについて、ご存知ないかもしれないので。

 

一番最初の頃のサンクト・マルガレーテンの彫刻シンポジウムに参加された
伝説的な彫刻家といいますと・・・・。
そのシンポジウムはどのような内容で開催されていたのでしょうか。

 

 


片桐 宏典さん
国際刻シンポジウム運動がオーストリアのサンクト・マルガレーテンでスタートして、
何回目かではあるのですが、シンポジウムで初めてコラボレーション(共働制作)を行なった、
特別な回に参加された作家です。

 


日下
共働制作と言いますと、何人かで一つの作品を制作されたのですね。


 

片桐 宏典さん
日本人だけ5人での共働制作でした。
毎年、彼は国内で個展もやってるし。

彼の場合はあまりスタイルにこだわらずにユニークな作品を発表されています。

 

 

日下
そうですか~。とっても楽しみですね。
ありがとうございます。
さて、片桐さんの近年の活動内容、今後の発表予定などを
お聴かせいただけますでしょうか。

 

 


片桐 宏典さん
今は2カ月か1ヶ月おきに、岩手とスコットランドを行ったり来たりしています。

今年の夏、スコティッシュ・スカルプチャー・ワークショップ ((※) で

久しぶりに滞在制作することにしています。

 

  ※ 施設概要の紹介ページリンク

 

それはハイランドのど真ん中に小さな町にある、
昔のお菓子工場を80年代に改造した集合アトリエで、
いろいろな素材の加工設備と宿泊施設を備えています。

 

要するに彫刻家がちょっと行って、
料金さえ払えば、何日でも何ヶ月でも制作しながら滞在できるんです。

 

 

日下
そういう施設はアーティストにとってとても貴重なものですね。
日本には、あまりそういうところはそうそう無いように思います。

 


片桐 宏典さん
僕は昔、80年代に毎年半年はそこに行って制作していました。
一枝ちゃん (※)も行ったこともあります。
  ※ 佐藤一枝さん

 

以前はそこでも、石の仕事のための道具や設備が揃っていたんだけど
そのうち、いつの間にかやる人がいなくなって、道具とか無くなって。
また再整備したいので、ちょっと来て手伝ってくれって言われて。

 

すごいんですよ。昔はただの倉庫アトリエだったのに、
いまでは冷暖房完備、美術館みたいなアトリエになっているんです。
外の作業場は相変わらずなんですけど。

 

鉄や木材はもちろんのこと、ガラスやセラミックやら、
ブロンズや鉄のキャスティンもができるんですよ。
ブロンズはどこでもやっていますけど鉄の鋳造が出来るのは凄いことです。

 

今年はそこで鉄とブロンズの鋳造作品を作ろうと思っています、
もちろん石もやるけど。


  

 

日下
本当に精力的な活動で素晴らしいですね。

 

片桐 宏典さん
それから来年の5月に3人で展覧会をする予定です。
3人というのは、僕とケイトともう一人、文化人類学者の女の子なんですが。
共働制作にするかどうかはわかりませんが、面白いことが出来ると考えています。

 


日下
そうですか~。とっても楽しみですね。
では最後に「あなたにとってアートとは?」にお答えいただけますでしょうか。

 


片桐 宏典さん
空気みたいなものですね。
いつもべったり一緒にいるということかな。

人生がアートだという考え、
アーティストがやれば、何をやってもアートというのは、
ヨーゼフ・ボイス (※)以降のすごく新しい考えですが。
僕は人生は人生だからちょっとそれはどうかと思います。
 
アートはなくてはならない空気みたいなもの、
あるいは光みたいなものどっちかだよね。

 

 

日下

そうですか~。

 

 

片桐 宏典さん

先日、二人で主催しているPOST CARD TO JAPAN の展覧会を釜石郵便局(※)で行いました。
 
  ※ 学び場美術館 展覧会紹介

 

そのカタログにも書いているのですが、
「芸術は付加価値や気休めでは決してない、人間にとってなくてはならないもののはずなのだ。
人間が芸術を必要とする真の価値が問われている。
冷徹な現実を見据え、傷ついた心を癒し、疲弊し衰弱した信念に情熱を取り戻す。
人生の可能性を信じ、またもう一歩踏み出す勇気を与える。
たった一枚の絵が人生を変える。そんな素晴らしい経験を
こういう時こそ多くの人に体験してもらしたい。」
と思っています。


日下
はい、この言葉に私はとっても感銘を受けました。
なかなかこういう言葉をはっきり明言されるアーティストは少ないので
出会えて嬉しい言葉でした。

 

片桐 宏典さん
ケイト トムソンさん
ありがとうございます。

 


日下
今回は、たくさんの充実したお話をお聴かせ頂きまして
本当にありがとうございました。

 


「Streamline」
インド黒御影石
168 x 20 x 60cmH
東京都高輪台プラウド
2014

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編集後記
 私が片桐 宏典さん、ケイト・トムソンさんに初めてお会いしたのは、
私が大学の副手1年目の冬に、お二人の住む岩手県岩手町にある㈲浮島彫刻スタジオを
訪問した時でした。 大自然と言えるような広いスタジオに姫神産の巨大な原石が置いてあり
「大学の石彫場とはスケールが違う!」と感動したのを覚えています。

 

 片桐 宏典さんは私が学生の頃から、地元の美術関係者の中では、
「宮城教育大学の在学中から彫刻に夢中になって、そのままヨーロッパに渡って活動している人がいる」
と有名な存在の方でした。

 

 今現在は、1年の半分がイギリス、半分が日本での活動とのことで、
2カ月か1ヶ月おきに行ったり来たりされているそうです。

 

 私が今回お二人とお会いしたのは、イギリスから昨日帰って来たばかりという日の午前中、
時差感覚が戻ってらっしゃらないところでしょうに、仙台市内の片桐 宏典さんのご実家に
お伺いしてお話をお聴かせ頂きました。(ご親切なご対応ありがとうございます!)
片桐 宏典さんにはほぼ7年ぶり、ケイト・トムソンさんには10年ぶり位でお会いしました。

 

  お二人のインタビューでは、本当に国際的に、プロフェッショナルとして活動していらっしゃる
彫刻家の内容の濃い貴重なお話をお聴かせくださいました。特に社会と具体的に関わった実践を
たくさんお話頂いて、私にとって大きな学びになりました。
私が若い時にお世話になったお二人に、今回、満を持してご登場いただくことができて
とても光栄に思っています。

 

片桐 宏典さんの作品は日本国内、岩手町や東京を中心にあちこちで
ご覧頂くことができるとおもいますので、皆様も是非、ご覧になって見てはいかがでしょうか。

 

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◆片桐 宏典さん、ケイト・トムソンさんのホームページ
 浮島彫刻スタジオ 

 

 

 

スターリング大学(イギリス)での展示
 片桐 宏典さんの紹介ページ 

 スターリング大学 Corridor of Dreams  (「夢の回廊」 インタビュー動画)

 (全23分中、お二人と作品が映るのは11:30~15:30頃です。)

 

 スターリング大学 アートコレクション 片桐 宏典さんの紹介ページ 

 スターリング大学のFacebook ⇒Art Collection at the University of Stirling

                     ⇒片桐 宏典さん、ケイト・トムソンさんの作品写真

 

 

◆展覧会情報 (現在は終了しております。)

IMAGINATIVE LANDSCAPE 3人展
「片桐宏典+ケイト・トムソン+上門周二」

− 「風景」をテーマにした彫刻とドローイングによる三人展 ー

会期:2016年11月24日(木)〜29日(火)
会場:プロモ・アルテ・プロジェクト・ギャラリー
時間:11:00〜19:00 (最終日のみ17時終了)/会期中無休
      プロモ・アルテへのアクセスはこちら:http://www.promo-arte.com/galeria2/map_images/galeria_ArtsMap.htm
   
   プロモ・アルテギャラリー
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目51-3ガレリア2F
Tel. 03-3400-1995  Fax.03-3400-9526
info@promo-arte.com
www.promo-arte.com

 

片桐宏典
「環境と造形芸術」をテーマにヨーロッパと日本を中心に普遍的な造形を目指す作家活動はもとより、国際彫刻シンポジウム運動による公共空間での実験的なアーティスト同士の恊働制作プロジェロトや地域性と連携した様々な特色あるアートイベントの企画運営を次々と手がけている。浮島彫刻スタジオを日本1991と英国2014にケイト・トムソンと共に設立。シンプルな抽象的構成の黒御影石や玄武岩による作品。

 

ケイト・トムソン
ケルト文様や神話をモティーフとした大理石の抽象的彫刻を中心に手がける。代表的な作品として駐日英国大使館、大手町ファイナンシャルシティ、グラスゴー・ゴーブルズ・オートランド地区再開発事業モニュメントなどがある。グラスゴー・スカルプチャー・スタジオ共同設立1986、UK98アートフェスティバル1998企画運営などスコットランドと日本を中心に世界各地でアートプロジェロトを広く手がけている。

 

上門周二
鹿児島県種子島生まれ。春は森でヤマモモと野いちご捕り、夏は珊瑚礁の海で魚たちと戯れ、川エビ捕りに勤しみ、冬はサトウキビ畑で収穫を手伝い、強烈な自然体験と原風景を胸に東京へ出る。1985年株式会社アネトス地域計画を設立しランドスケープ・アーキテクトとして独立。自然と人間との共生をテーマにランドスケープ・コンサルティング及び設計に関わり、日本及び東アジアを中心に世界各地のプロジェロトを手がけている。今回「Creative Landscape」をテーマとしたドローイング作品を初めて発表する。

 

 

 

 

日本・石の野外彫刻―ストーンアート写真集
  藤田観龍 著(写真)  本の泉社

 

 片桐 宏典さんの作品写真と手記「石彫というジャンル」(318ページ)
 ケイト トムソンさんの作品写真が掲載されています。


 

彫刻家 片桐 宏典さん 第1回続き 略歴のご紹介

 

 

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★☆ アーカイブス ☆★


学び場美術館登場作家リスト
学び場美術館登場作家リストⅡ
学び場美術館 登場作家リスト Ⅲ ー2014

 


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