進学、就職、結婚・・・子どもはいつか、親から旅立っていきます。
親としては、「がんばれ!」という気持ちに、さびしさや心配が加わり、複雑な気持ちになることでしょう。
子どもが旅立つ時、みなさんはどんな言葉を贈りますか? または、贈りましたか?
「わかった、自分の夢に向かって頑張れ。ただし、夢をつかむまでは、我が家の敷居をまたげると思うな」
「明日からお前は、この家の者ではなくなる。ここに、おまえの帰る場所があると思うな」
昔の親なら、そんなきびしい言葉で、子どもの覚悟を、後押ししたのでしょうね。
今の親でも、「かんたんにあきらめるなよ」という激励の想いを込めて、同じようなきびしい言葉を贈る場合もあるでしょう。
ただ、その場合、最後に、最後に必ずつけ加えてほしい言葉があります。
「それでも・・・
どうしても・・・どうしても苦しくて、
もうこれ以上頑張れない、という時には、・・・
帰って来い」
その言葉は、子どもを甘やかすことにはなりません。
その逆です。
「いざとなれば帰るところがある」という安心感は、
子どもに挑戦する勇気を与えます。
辛いことにも耐える力を与えます。
子どもにとって旅立ちは、未開のジャングルに探検に行くようなものです。
人は、安心して帰れるべースキャンプがあって、はじめて、ジャングルに探検に出かけることができます。
もし、安心できるベースキャンプがないと、どうでしょうか?
人は不安になり、洞窟に閉じこもってしまうのです。( 第220話 )
◆私が、マツダ(株)在職中にお世話になった、(株)アットストリームというコンサルティング会社があります。
そこの代表交代の発表も兼ねた懇親会が、この8月にありました。
その時の、前代表の平山 賢二さんのスピーチが心に残りました。
平山さんは、島根県の隠岐の島の生まれ。電気が通じ、家に電灯がともったのは、なんと小学生の時だったそうです。
平山さんは、松江の高校への進学が決まり、島を離れることになりました。14歳の息子を見送った、お母様の言葉です。
「お前のやりたいことを、思い切りやってみろ。
じゃが、どうしてもこれ以上無理じゃと思うたら、そん時は、隠岐へ帰ってこい。」
平山さんの成功の陰には、母の大きな心があったんだなと思いました。
◆NHK大河ドラマ「八重の桜」第41回は「覚馬の娘」でした。
八重の兄、覚馬(かくま)のひとり娘みね。
「婿をとって家を継がねばならない」と思っていたみねは、好きな男性からプロポーズされて悩みます。
悩んだ末、その男性の元へ嫁ぐ決心をします。
父親である覚馬(かくま)が、ゆっくりと口を開きます。
「そうか、決めたか。
だったらいい。
どこまでもついて行け。
何があっても、離れるんじゃねぇぞ。
んだげんじょ、どうしても困ったら、そん時は大声を出して呼べ。
おとっつぁま(自分)が助けにいく。」
◆福山雅治が主題曲を歌い、毎週のように視聴者を涙させたTVドラマ「とんび」(原作: 重松 清)の最終回。
主人公のやすは、最愛の一人息子あきらの家族と一緒に住むために、東京にやってきます。
ところが「やっぱりここには住めねぇ」という。
やすは、言葉を探すようにして、息子のあきらに話します。
「オレは親だからな。
おれがここに来たら、おまえが逃げて来る場所がなくなるだろが。
オレだって、ここにいたら楽しいと思う。
けど、オレは親だから、遠くで笑ってねぇといけねぇんだよ」
子どもの旅立ち・・・それは、子育てのゴールです。
でも親は、たとえ子育てが終わっても、「帰れる場所」として、子どもの心の支えであり続けることができるのですね。(完)
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