星食の潜入・出現の時刻から観測地を特定する方法 | 池袋駅南口の天文計算

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ある星食(掩蔽)を観測したらこんなことになっていたとします。

観測地東経北緯潜入出現
A市140.136.200
B市140.036.1-1020
C市140.236.01040


潜入はB市=>A市=>C市と進み、出現はA市=>B市=>C市と進んだわけです。位置関係を図にするとこうなります。

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潜入の順序と出現の順序が違うのでヘンに感じるかもしれませんがこれはありうることです。ちょっと極端に書くとこんな感じになっているわけです。

池袋駅南口の天文計算

掩蔽される恒星による月の影は矢印方向に進みます。影となった月縁は潜入のときは1,2,3と進み、出現のときはA,B,Cと進むわけです。

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この図を見ていると

  特定の潜入・出現の時刻をもつ観測地は一つしかない

ことがわかります。もっとわかりやすく言うと

  潜入・出現の時刻から観測地を特定できる

ことになります。

この図だけ見ていると具体的にどう特定すればいいかよくわからないのですが次のように考えるとこれは簡単です。

上の表を次のように書き換えます。

潜入出現観測地東経北緯
00A市140.136.2
-1020B市140.036.1
1040C市140.236.0


つまり観測地の東経と北緯それぞれが潜入・出現の時刻の関数となっていると考えるわけです。

こうすれば既知の観測点の潜入・出現の時刻から補間して未知の観測点の東経・北緯を求めることができます。

これは

  「いるか座新星の位置を計算する (1)
  「いるか座新星の位置を計算する (2)

に書いた「関連係数法」のような方法を利用します。

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参考
  長沢工  「日食計算の基礎
  長谷川一郎天文計算入門
  渡邊敏夫 「数理天文学」 (内容未確認)
  藤沢健太日食の計算
    (基準面(ベッセル日食要素)は既知であるという前提で書かれています)

  「星食観測ハンドブック 2013

  「せんだい宇宙館 - 星食(Occultation)
    「ビデオ観測の方法

  「天平の森天文同好会 星食観測のページ