恒星と月の位置の調べ方 - 手抜き星食計算 (5) | 池袋駅南口の天文計算

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“手抜き”のため「ステラナビゲータ」から恒星や月の視位置を求めていたのですが、誰でも利用できるわけではないのでもっと別の方法を探します。

1. 恒星の位置

うっかりしていたのですが

  「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 恒星の視位置

にあります。星食(掩蔽)を0.1秒のオーダーで予測できるだけの精度があります。

一点注意すべき点があります。これまでの計算はJ2000でやってきましたが、これは“視位置”ですので注意が必要です。

(神経質な方向け)
恒星の位置は一回調べればよさそうに思えますが、日周光行差の影響で少しだけ変化します。
と言っても潜入の時間帯と出現の時間帯の二つ調べれば十分です。

2. 月の位置

これは

国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 月の地心座標

に非常に精度が高いものがあります。ありますが、そのままでは使えません。「地心座標」だからです。

観測地の緯度経度標高から測心座標に変換できるわけですが、これだけの精度を保って変換するのはたいへんそうなので別の方法を探します。

例によって

  「NASA JPL's HORIZONS system

を使います。ただしこれはデフォルトの設定でデータを取得するとJ2000に対する赤経・赤緯が得られますので国立天文台のデータといっしょに使うためには視位置を取得する設定にしておく必要があります。

なお上のリンクはHORIZONS Web-Interfaceと言われるもので他にtelnet、FTP、メールなどでデータを取得することができるようです。

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具体的な調べ方を
  「8月30日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻の計算方法 (2/4)
に書きました
(2013-08-30 12:00:37)
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3. 月の視半径

じつはこれだけはまだステラナビゲータで測心距離を求めて計算した値を使っています。そのうち次のいずれかでやりたいと思っています。

なお視半径は潜入時と出現時は必ず別に求める必要があります。けっこう違うものです。

これが確実だと思いますが

  「国立天文台 - 暦計算室 - こよみの計算

というのがあって「月の高度と方位」を求めることができます。結果の中に“視半径”がありますがこれは観測地からの視半径だと思います。

以下は測心距離を求める間接的な方法です。

国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 月の地心座標」で地心距離がわかります。これから測新距離を求めます。今やっている計算の精度だと地球を球と考えて計算してしまって問題ないと思います。

NASA JPL's HORIZONS system」でEphemeris TypeOBSERVERからVECTORSにすると直交座標が求まりますのでこれから距離を計算する方法もあると思います。

(続く)

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参考
  長沢工  「日食計算の基礎
  長谷川一郎天文計算入門
  渡邊敏夫 「数理天文学」 (内容未確認)
  藤沢健太日食の計算
    (基準面(ベッセル日食要素)は既知であるという前提で書かれています)

  「せんだい宇宙館 - 星食(Occultation)
    「ビデオ観測の方法

  「天平の森天文同好会 星食観測のページ