ここまでの考察にて、僕はもうほとんどマタギナガサを購入することに決めていました。
バイクで阿仁まで行き、ちゃんと実物を見て購入しようかとさえ考えていたのです。(笑)
…え、そこまでしなくていい?



そしてそれから数日後のこと…
我が社に、取引先のTさんがいらっしゃいました。
Tさんは神戸の方で、知識が豊富で人格者。
そして地位があり、常に柔らかな物腰というか、穏やかな感じなのに交渉力があるという、(笑)
ある意味僕の目標となっている方です。
ウチの社員の一人も「目標」と言っているくらいで、今までに非常にお世話になっています。

そのTさんと雑談をしていて、ふと僕はナイフのことを思い出して、
マタギナガサのことを話してみました。
するとまぁ、そちらの方面にも造詣の深いこと…(笑)
いろんな話をしてくれたのですが、


その後に、「実は…」と切り出されました。

「実は…世に知られていない、ものすごいナイフがあるんです…」

…と。



僕は突然のことに「え?」と目を見張りました。
マタギナガサの話をした上で、さらにすごいナイフがある…とは??


そのナイフとは、以下のようなもので、
僕は驚きを隠せませんでした。
ここまで色々と考え、探してきた経験から、
それがどれほど凄いことなのか、よく解ったからです。


いくつかをまとめて挙げると…


◆某猟師の方(猟師歴40年)が、40年前から自分のために試行錯誤を繰り返して
 作り上げてきたものである。
 いずれも完全一点モノ
 あまり販売は行っていない。
 宣伝活動等も行っておらず、世に知られていない。(いくらググッても出てきませんでしたw)


◆生産方法は、自分で鍛冶を行い、日本刀と同じように打って鍛えるというもの。
 研究熱心な方で、各方面で修行し、
 現代の高度な金属処理(サブゼロ処理 (←参考リンク)等)の知識もある。
 その中で、旧来の日本刀の制作手順における
 各種焼き入れや焼きなましの工程を見直し、より優れた手順、方法にて制作している。


◆外見は実戦重視で粗忽に感じるかもしれないが、刃には日本刀と同じ刃紋がある
    刃紋は「のたれ (←参考リンク)
    先は「小丸にかえる」
    刃先の上は「化粧研ぎ」


◆職業柄ハンティングナイフであるが、包丁~枝打ちまで全てを1本で済ませることができるよう
 設計されている。
 刀剣類ではなく、ナイフのカテゴリに入るよう、背は反っていない等の設計となっている。
 (そうしないと銃刀法によりフィールドで使うことができない。


◆鞘(さや・シース)が素晴しい。
 鞘に差すだけでロックされ、ボタンを押すだけでロックが解除される
 プロの猟師は山中で激しく動くため、その実戦の中で磨かれたものである。


◆制作したものは全て本人が、竹などを斧のように強く叩いてチェックしている。
 日本刀のように研ぎ上げたもので、竹などをガンガンに叩いて、
 刃こぼれしないものだけを完成品としている。





…などなど…まだまだありますが…

正直これは、思っていた全ての要求を満たすものでした。

マタギナガサで、あえて僕が不満だった点を挙げると、

 ・鞘(シース)からの脱落防止策が、ヒモであること
  例えば渓流での高巻き等で、崖にヘバリついてる時に、両手を使ってナイフを出し入れしていられない。
  片手でサッと出せて、片手で鞘に戻し、片手で素早くロックできないと、使い勝手が悪い。
 ・外見が包丁っぽいこと
  コンセプト欄にある「所有満足度」に関連する。
 ・袋ナガサはまだカッコイイが、柄が金属で雨だと手が滑りそう。気温が低いと手が冷たそう。
  木の柄のナガサはその問題が無いが、木が安っぽく見える。包丁っぽさが増す。

でしょうか。
特に、僕が重視していた「脱落防止」と「サッと抜けて使える」という部分…
この問題がクリアされているというのが大きいです。

そして、(5)の最後に述べた「日本刀の話のようになってきてしまった」という点…
まさか、日本刀をそのまま現代のナイフに昇華し、実戦で数十年磨かれてきたものが出てこようとは…


結局その日、Tさんの個人的な知り合いであるということから、
ご好意で1本送って頂けることになったのです…。

「まず見てみてください。気に入るかどうか…」
とのこと。
いつも本当にありがとうございます…(´;ω;`)



(つづく)



「ナイフ徹底考察 … 真の名作ナイフを求めて」 記事一覧

  (1)まえがき
  (2)ある日、キャンプ場にて
  (3)コンセプト
  (4)叉鬼山刀(マタギナガサ)
  (5)鍛造
  (6)未知のナイフ
  (7)「藤刀」