かくて異なる三方式の、あんぷを手に入れ暫くは
好みやその日の気分に応じて、とっかえひっかえ状態でした。
されど、この頃わたくしは、PL-70様 により、
この両眼を覚まさせられた、あなろぐれこーどの嗜みにも、
はまってしまった真っ只中で、にもかかわらずこの三人は
「ふぉのいこらいざ」 を備えておらず、どこかで機材の見直しをとも、
思い始めておりました。
。。。それに彼らの身請けのために、要した金の支払いが、
それは月割だったとはいえ、日に日に負担が嵩んでしまい。。。
そうは言っても、いずれのあんぷを、
手元に残すべきだろう?
三者三様の魅力をば、味わい尽くした今となりては、
なまじの選別方法では、後悔が目に見えており、
ぎりぎり悩んだわたくしは、普段使いのすぴーかー
でなく、
大面積の振動 「膜」 をしっかと構えた「まぐねぱん」様 は、
SMGa親方
に、彼ら三人のぶつかり稽古を、
お願いすることにしたのです。
SMGa親方
は、その置き場所さえ許すなら、
いずれは主力のすぴーかーにと密かな思いも寄せていて、
振動「膜」の全面に、電線を張り巡らせたる、
足腰の重たいいでたちは、多少の癖はあったとしても、
あんぷの側の力量を、推し量るにはもってこいだと。
かくして、
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一番槍を勤めたる、SM-SX10様 は、
その美点として受け止めた、滑らかなのにソリッドで、
反応の良い立ち上がりが、重たい膜をきびきびと
揺り動かしたる様子をば、期待したにもかかわらず、
もとより低音の出しかたは、たっぷり鳴らすほうではなくて、
うるさい訳ではないけれど、場合によっては油っ気なく
聞こえてしまう傾向が、ことさら強く出でてしまい、
あるいは捌きが早過ぎて、振動させるその前に、
そのエネルギーが突き抜けてしまい、音に変わらず終わったものか?
結果は肌理の細やかな、陶質のごとき質感と、
例えられたる印象に、大きく変わりはなかれども、
しょせん無機質は無機質とばかり、生気乏しい音として、
聞こえてしまったようなのです。
それにこのとき改めて、気がついたのは、「あなろぐ」 で
つないだときは、さわやかな高域の伸びも丸まってしまい、
あなろぐれこーどの相手には、この点でやや都合が悪く。。。
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それなら、これは!!!と言わんばかりに、
黙っていても勢いで、相手を揺さぶるPA01様 を
次なる相手に選んでみれば、
抑えが効かない勢いは、しっかり残しているけれど、
あれほどまでにドスを利かせた、重低音がどうした訳か、
「すかすか」 空振りしているようで、全体的に締りの緩さが、
目立ってしまったものだから、
例えば人に肩を揉ませて、そこはツボとは言えぬのに、
力任せにぐいぐいと、押されるときの苛立ちに似た、
努力が空を切る音と、聞こえてしまったようなのです。
それに前から気になっていた、ぼりゅーむ操作のしづらさや、
「ぎゃんぐえらー」の問題も、改めて目に付いてしまい。。。
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ならば異国の生まれ同志で、あるいは絶妙の相性では? と、
734A様 の巨躯を、ここぞとばかりぶつけてみれば、
狙いの向きは似通っていて、音の密度は濃厚に、
加えて真夏の陽炎の如きサービス豊かな肉感を、
官能小説顔負けに匂い立たせていたものの、
もともと734A様の、不得手でないか?と思われた、
微細な音の扱いが、ことさら埋もれてしまったようで、
キャラの被りが激しくなって、必要以上の熱気や湿度が、
わたくしの部屋の空間中を、それこそ 「むんむん」 満たすに至り、
重たい「密度」が占めるのに、確かな境は霞んでいる、
亡霊のような音像を、呼び出してしまうようなのです。
しかもこの耳を改めて、欹れてみれば最低域が
まるきり聞こえてこないことにも、気付いてしまったものだから。。。
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三方いずれも決め手を欠いて、そうなるとこの選別自体、
妥当なものではなかったか?と、自らを問う合間にも
財政難は耐え難く、結局のところ手元には、
気負わず聞けると言う理由から734A様のみを、
残す形としたものの、
それさえ別の機会に聞いた、VP-mini300Mk2の、
鮮烈な音の魅力に負けて、手放す結果となったのです。
されど、これらの体験から、
どうやら自分は「真空管」が、一番耳になじむらしいと、
再確認ができたことは、
私が得た唯一最大の、「収穫」だったと思うのです。