リスパダールコンスタを試みるポイント | kyupinの日記 気が向けば更新

リスパダールコンスタを試みるポイント

リスパダールコンスタに変更すると、それまで1ヶ月ごとに受診していた人でも2週間ごとに受診しなくてはならなくなる。また、医療費も跳ね上がるため、変更するだけの価値がないと意味がない。

リスパダールコンスタを家族から嫌がられることがある。これは医療費が高くなることも大きい。たとえば自立支援法に入っている人でも上限2万円の人たちである。自立支援法は基本的に世帯の収入で上限が決まるので、本人が働けない状態でも父親か母親の収入が高いと上限2万円になる。

元々、自立支援法は市民税所得割額20万円以上の世帯は対象外であった。ただし「重度かつ継続」の人は対象になる。これは「平成21年3月31日までの経過的特例措置」であったが、それ以後も継続されている。(ただし、市民税所得割額20万円は桁違いの高給取りというわけではない。2007年度から税率がフラット化され概ね一律10%となっているので課税所得を逆算すればわかる)

リスパダールコンスタをしない人でも、よくデイケアに来るような人では上限2万円と言うのは大きな負担額である。本人は働けない(つまり収入0)のに、家族の一部に収入があるだけで差が生じるのは妙なものだと思う。

これも民主党に事業仕分けしてほしいと思ったが、「事業仕分け」は国の無駄な出費を減らすことが主眼である。ところが、自立支援法を事業仕分けするとかえって国の出費が増える。だから事業仕分けというカテゴリーには入らないんでしょうねぇ・・(自立支援法はいったん廃止され、他の法律になる予定であったが、先送りされているようである。)

むしろ精神科の新薬の驚くほどの高薬価を事業仕分けで是正してほしいと思う。イーケプラなんて、絶句するほど高い薬価に決まってしまった。

リスパダールコンスタは基本的にリスパダールの錠剤か液剤を既に使っている人に試みられる。だからリスパダールを使っていて、いまひとつスッキリしない人は試みる価値があると思われる。

普通、リスパダールからコンスタに変更すると種々の副作用が軽減される。たとえば下剤が必要でなくなったり、錐体外路系の副作用も以前に比べ軽くなる。体重増加もリスパダールよりは少ないと言われている。また、血中プロラクチン値がリスパダール処方時より下がることが多い。

プロラクチン値の下がり方であるが、当初上限に推移し、その後もう少し下がるような経過になることが多いようである。

リスパダールコンスタはリスパダールよりも賦活の要素が大きいので、「これは異なる薬ではないか」と思うほどである。

だから逆に言えば、リスパダールが合わなかった人でもリスパダールコンスタなら良いということがありうる。またリスパダールコンスタでは賦活しすぎて情緒不安定になる人もいる。こういう人は何人か診たが、不適切である。

リスパダールコンスタは効き始めるのに時間がかかるので(3週目から効果が徐々に上がってくる)、良くない人は時間の経過につれて徐々に不穏または不安定になる。リスパダールコンスタを使っていると、いかにセレネースがタイトな薬物であり再発を起こしにくい薬なのかがわかる。

ある患者さんで、リスパダールコンスタを使ったために内服薬が大幅に減量できた人がいる。なんとルーランとプロピタンを全て中止できたのである。今は気分安定化薬とリスパダールコンスタだけであるが、以前より錐体外路系の副作用が軽減している。この人は、リスパダール(錠剤および液剤)は何度も失敗していた人なのである。

リスパダールの高用量(8~12mg程度)の人たちがリスパダールコンスタに変更した場合、リスパダールコンスタ37.5mg~50mgで済むことがあるらしい。これで済むならこれだけで減量を達成していると言える。

少ない用量帯でも、内服薬より少ない量で済む傾向があるのは日常臨床でも感じられる。

リスパダールコンスタの普及率であるが、半年くらい前に既に県内で80%以上の精神科病院で採用されていると聞いた。だから、今はほとんどの病院で採用されていると思われる。

参考
重度かつ継続
リスパダール・コンスタ
リスパダール・コンスタ(続き)
リスパダールコンスタが高すぎること
リスパダールコンスタとリスパダール
今までは取り組めなかったことが今は可能
リスパダールコンスタの形状
高プロラクチン血症
器質性荒廃