「世界史は化学できている」★★★★☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

ロマンあり、物語あり、豆知識あり。知的好奇心をすごく満たしてくれる一冊です。

 

これまで読んだ歴史系の本とどんどんつながって、世界史(人類史)の面白さと理解度が一段と増した。

 

◇最近読んだ歴史系の本

「サピエンス全史」上

「サピエンス全史」下

「銃・病原菌・鉄」上

「銃・病原菌・鉄」下

「お金の流れでわかる世界の歴史」

「経済は世界史から学べ!」

「経済は地理から学べ!」

「仕事に効く教養としての「世界史」

「仕事に効く教養としての「世界史」Ⅱ」

 

 

以下、備忘

 

700万年前、立って歩き始めた人類は、自由になった前足(手)によって、石、骨、木で道具を作るようになり、脳が大きくなった。より複雑な道具がつくれるようになり、また発火技術を獲得し、さらには炉をつくって、火をいつでも使える技術を獲得した。

火をコントロールすることによって、暖房、照明、料理、焼き畑、等が可能になり、さらには土器やレンガを焼いたり、鉱石から金属を得る精錬や金属加工に火を利用した。

食物、アルコール、セラミックス、ガラス、金・銀、染料、創薬、麻薬、爆薬、化学兵器、核兵器にいたるまで、化学の成果が人類の歴史に影響を与え続けてきた。

 

料理こそが人類を進化させた(リチャード・ランガム)。

火の利用の始まりは180万年前。この頃、料理が始まった。

それまで肉は生で食べていたが、加熱することで肉が柔らかくなって消化吸収が良くなり(加熱は食材の毒性をなくす効果もある)、臼歯は小さくなり、胃腸の容量が小さくなり、消火に必要なエネルギーが減り、脳にエネルギーを振り向ける余地ができ、脳容量が大きくなっていった。

土器の発明で煮炊き料理が可能になり、栄養豊富な煮汁まで摂取できるようになった。「料理革命」で定住生活が促進された。

 

アルコール飲料の登場は約9千年前。ワインは8千年以上前、ビールは6千年前頃には普及。

果実が成熟したかどうかをアルコールの匂いで判断していたので、もともと人類の祖先はアルコール好きだった。

ビールへの欲求が農業を本格化させてという見方も。

エジプトのピラミッド建設の労働者の給料はパンとビールで支払われた。

人を酔わせる不思議な作用があるワインには神秘性があり、宗教的飲み物に。

大航海時代に、ワインやビールは腐りやすい水の代わりの飲料用に。その後、ウイスキーなどの蒸留酒が場所を取らずにより多くのアルコールを船に積むことができ長期保存も可能なため重用される。

 

「鉄は国家なり」「ドイツ統一問題は鉄と血によって解決する」(ビスマルク)。

鋼鉄製の大砲は熱や圧力に強く3000発撃っても壊れない。プロイセン・フランス(普仏)戦争は、青銅製大砲のフランス軍に対し、プロイセンの鋼鉄製大砲が威力を発揮し、プロイセンが圧勝。

 

美しく着飾りたいという人間の欲望が染料の技術開発を促進。ドイツが世界の染料工業、そして化学工業を牽引。染料の延長で医薬品が開発された。

 

アスピリンをつくったことで有名なドイツのバイエルが、中枢神経を麻痺させる、ずば抜けた効き目の薬を開発。ドイツ語の「ヘロイッシュ=英雄的」から「ヘロイン」と名付けられた。

 

ノーベルは、永遠に戦争が起きないようにするために優秀な軍用火薬を開発した。一瞬のうちにお互いが絶滅するような兵器をつくることができれば、恐怖のあまり戦争を起こそうという考えはなくなる、と。