要旨は上と同じ。
ユーラシア大陸は、食糧生産と定住社会を確立した時間的優位性によって人口増加で大きく先行し、病原菌、文字、技術革新(船や武器)、政治機構、などで決定的な大陸間格差を生み出した。
では、なぜ中国ではなくヨーロッパが新大陸を発見し植民地化していったのか。
この理由としては、政治的に統一されていた中国において、宮廷内権力闘争が発生し大航海が禁止されたこと、さらには水力紡績機の開発を禁じるなどあらゆる機械や技術から手を引いてしまったこと。一人の支配者の決定が全国の技術革新の流れを止めてしまった。
一方、政治的統一がされていないヨーロッパでは、イタリア人のコロンブスが船団派遣のスポンサー探しのため各国を回り、スペイン国王の理解を得た。さらに、スペインの植民地戦略が成功するとヨーロッパ諸国が大砲やその他新しい技術を競い合って取り入れた。
以下、備忘
文字が誕生するには数千年にわたる食糧生産の歴史が必要。集団感染症の病原菌が登場するのに食糧生産の社会が必要であったように。
科学技術の成否は社会の平均寿命にも左右される。発明家が長生きできるようになれば、時間がかかる研究開発が成就する確率が高まるため。現代においても、医学によって平均寿命が延びたことが、近年の技術革新の加速化に貢献しているのかもしれない。
ユーラシア大陸の人口は、アメリカ、アフリカ、オーストラリアの各大陸より圧倒的に多く、その分発明家の数も多く、競合する社会の数も多い。このことが、銃器や火器の製造技術、鉄鋼製造技術がユーラシア大陸で誕生した理由。
宗教が社会全体で共有されることによって、赤の他人同士が互いに殺しあうことなく一緒に暮らすための下地ができた。さらには、愛国心のために戦うという考え方につながった。敵を打ち負かし征服するためには自分たちの一部は死んでもかまわないと思うようになった。
食糧生産の副産物である病原菌について、腺ペスト、天然痘は東方から来たもようで(ローマ時代や中世以降のヨーロッパの記録による)、中国または東アジアが発祥地とも考えられる。インフルエンザは、豚の持つ病原菌が人間に感染した病気で、豚が非常に早い時期に家畜化され飼育されていた中国が発祥地である可能性がかなり高い。