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2018-01-12 15:58:34

立憲民主党・枝野代表へ「非正規公務員の正規化」「公契約法で官製ワーキングプア根絶」を基本政策に

テーマ:公務員バッシングを考える

 前回、「立憲民主党の基本政策「公務員人件費削減」は官製ワーキングプア増大で更なる貧困・自己責任社会まねく」と指摘しました。うれしかったのは、旧来の公務員バッシングよりも立憲民主党の公務員人件費削減を批判するツイート、リツイートの方が圧倒的に多かったことです。

 これは政治の世界で最も激しく公務員バッシングを主張している日本維新の会が支持を失っていることにも示されていると思います(▼下の画像はNHKの直近の世論調査〈1月6~8日〉)。

 



 公務員バッシングが激しくなったのは、1981年の第2臨調(第2次臨時行政調査会、会長に土光敏夫経団連名誉会長)が「公務員の総人件費抑制」「行政の効率化、減量化」「民間活力の導入」を打ち出したときからです。

 

 その流れで1982年に発足した中曽根内閣が国鉄分割民営化を強行。2001年には「橋本行革」による中央省庁再編が強行され新たに内閣府が設置され、現在の加計・森友問題の背景にある時の政権による行政私物化の流れや、内閣府に法定化された経済財政諮問会議によって財界の意向がダイレクトに国の施策に持ち込まれることになりました。さらに郵政民営化など「官から民へ」「小さな政府づくり」を強力に進めた「小泉構造改革」によって、今に至る「貧困と格差」が拡大し続ける日本社会となってしまいました。

 こうした貧困と格差を批判して登場した民主党政権も「行革」「官から民へ」「小さな政府づくり」という点では自民党政権の延長線上にあり、いま欧米の市民運動で高揚している反緊縮によって新自由主義に対抗する政策を展開することはできず、民主党政権は瓦解しました。

 そういう意味では、もう40年近く、「行革」「官から民へ」「小さな政府づくり」「公務員人件費削減」は実施されてきたのです。

 その結果、日本社会は良くなったでしょうか?

 ジャーナリストの斎藤貴男さんが指摘しているように、「公務員バッシングすればするほど政府・財界の“思うツボ”、政府・財界・特権官僚による悪政から目をそらす“うっぷん晴らし”の代償は“自分で自分の首を絞める”民間・公務労働者共倒れ貧困社会の到来」というのが事実です。

 また、雨宮処凛さんが指摘するように、「公務員バッシングで得するのは誰か? 公務員バッシングは「犠牲の累進性」の典型=公務員より民間正社員が厳しい→民間正社員より非正規が厳しい→非正規よりネットカフェ難民が厳しい→みんなを黙らせていく」という日本社会になってしまっています。

 今回、立憲民主党の公務員人件費削減を批判するツイート、リツイートの方が圧倒的に多かったのは、公務員バッシングを40年近くやってきたけれど、日々の暮らしが悪くなるばかりであることを、多くの人が認識し始めているということではないでしょうか?

 なので、立憲民主党には公務員人件費削減という「基本政策」を撤回して、「非正規公務員をただちに正規化し官製ワーキングプアをなくします」という政策にあらためて欲しいと思いますが、枝野さんがよく分からないツイートをしていますので、以下少しツッコミを入れておきます。(※「▼」にツイートをリンクしています)

 



◆公務員に労働基本権が回復したら「職員団体」でなく「労働組合」になります。(細かい話ですが)

 



◆「幹部級の一部」は、現在でも労働組合に加入することはできず、職員団体との交渉の課題ではありません。公務員に労働基本権が回復したら実質的に使用者の利益を代表する管理職になりますので、労組法上、組合に加入することはできません。ですので「幹部級の一部」の人件費はそもそも労働組合の交渉の対象にはなりません。

◆「非正規公務員の正規化を含む処遇改善」を「急ぐべき課題」と言うのなら、「基本政策」として「非正規公務員をただちに正規化し官製ワーキングプアをなくします」と明記してください。

 



◆「公務員人件費総額を削減することは困難だと思」うのなら、ただちに「基本政策」から「公務員の人件費削減を目指します」を削除してください。今の書き方だと誰もが「公務員人件費総額を削減する基本政策」だと認識します。

◆枝野さんは「幹部級の一部の人件費削減を目指す」という意味だと言っているわけですが、下表(人事院の資料)にあるように、「幹部級の一部」(指定職俸給表が適用される国家公務員のトップで現在959人。給与法の対象の国家公務員のトップ0.34%)の平均年収は1,684万円(一時金4.4月含む)です。民間企業で言えば役員クラスになるわけですが、この水準をもっと削減すべきというならそれは時の政権ができることですからやればいいと思います。

 




◆これはどう転んでも「官から民へ」をさらに進めることになります。「官から民へ」「公的サービスの民営化」と言うと何か良いことのように思う人もいるのでしょうが、「公的サービスの民営化」の本質は「公的サービスの私物化」です。公務員の仕事を民間に投げるということは、公的サービスを営利企業の利潤追求の対象にしてしまうということです。加えて必然的に労働者の貧困化をまねきます。たとえば、国土交通省の河川事務所の民間委託料のうち35%は民間業者の役員報酬や内部留保等にあてられています。公務員が仕事をすると「原価+人件費」ですが、民間企業に委託すると「原価+人件費+35%の役員報酬や内部留保等」となるわけです。そうすると同じ経費をかけたなら「人件費」を削減するほかありません。結局、労働者の貧困化をまねくことになるのです。どんな仕事でも民間企業は利益を生むために存在しているのですから、公務の「原価+人件費」を民間企業に投げると「原価+人件費+利益」となり、労働者は必ず貧困化することになります。官製ワーキングプアというのは、公務内での非正規化と同時に、「公的サービスの民営化・民間委託」によっても多く生み出されているのです。ですので、より正確に言うなら「非正規公務員をただちに正規化すると同時に公契約法により民間委託等の官製ワーキングプアをなくします」とする必要があります。この「公的サービスの民営化・民間委託」による最悪のケースが派遣労働者です。私は「霞が関で働く派遣労働者座談会」を行ったことがありますので、巻末で紹介しておきます。

 

★「公契約法」については、日弁連の「官製ワーキングプアをなくし、生活賃金を! 公共サービスの質の向上を! 適正な競争で地域経済の活性化を!」を参照ください。

 



◆「非正規を中心とした公的サービスを担う低賃金の皆さんの処遇改善と賃金底上げ」が大事と言うのなら「非正規公務員をただちに正規化すると同時に公契約法により民間委託等の官製ワーキングプアをなくします」と「基本政策」を書き換える必要があります。そして、「官から民へ」「小さな政府づくり」から反緊縮・反新自由主義へと明確に舵を切ってもらいたいと思います。

▼〈霞が関で働く派遣労働者座談会〉
賃下げ有休ゼロとなる競走入札、
交通費は出ず電車遅延で賃金カット
A省庁で働くAさん(男性)
B省庁で働くBさん(女性)
C省庁で働くCさん(男性)
〈司会〉井上 伸
(月刊誌『KOKKO』2017年6月号より)


霞が関で派遣労働者として働く

――きょうは霞が関の省庁でフルタイムで働く派遣労働者のみなさんに集まっていただきました。最初に省庁で派遣労働者として働くことになった経緯について聞かせてください。

 A 大学を卒業して民間の会社で働いていたのですが、上司からパワハラを受け精神的にまいってしまい出勤することができなくなりました。その会社を辞めて仕事をさがしているときに、派遣会社のホームページで、「霞が関の官公庁で安定した仕事をしよう」という告知を見て応募しました。

 B 大学院で勉強して博士課程も修了したのですが、就職先が見つからず、いまの仕事は少しだけなのですが大学院で学んだことも活かせる省庁だったので働いています。

 C 高校を卒業して民間の会社で働いていたのですが、その会社が倒産してしまい失業してしまいました。仕事をさがしていて、最初は霞が関にある省庁の非常勤職員で働いていたのですが、その省庁の職場は、国会対応もあり、非常勤職員も正規の国家公務員並みに働かなければいけないところで、過労がつのり身体を壊してしまいました。それで非常勤職員として働き続けることができなくなって、いま派遣労働者として働いています。

派遣労働者が半数の部署も

――派遣労働者は職場でどのぐらいの人数なのでしょうか?

A 私の周辺でも2013年ぐらいまでは派遣労働者の人数が減ってきているように感じましたが、ここ3年ぐらいはまた増えてきているように思います。いまの部署は全体で十数人ですが、正規の国家公務員と派遣労働者でちょうど半数ずつです。

B 私の部署は全体で三十数名ですが、非常勤職員と派遣労働者はそれぞれ数名が働いています。

C この4月から派遣元の会社がA社からB社に変わったこともあって数名の派遣労働者が辞めさせられて、現在二十数名の部署になり派遣労働者は十名を切っています。

交通費なく電車遅延が欠勤扱いになる派遣労働者

――霞が関で派遣労働者として働いていて改善してもらいたいと思っていることは、どういったことでしょうか?

A 交通費がまったく出ないことです。実家から通っているのですが、霞が関から少し遠いこともあって1カ月の定期代が2万数千円もかかります。時給は1千円を少しだけ超えるのですが、時給があまり変わらない非常勤職員には交通費は出るのに、派遣労働者には交通費が出ないというのは納得いきません。それに交通費が出ればその分は非課税ですが、派遣労働者の時給は交通費込みという考え方なので税金も重くかかってしまいます。

B 私も交通費を出してもらいたいです。それから、電車の遅延なのに欠勤扱いにするのをやめて欲しいです。

――東京は通勤時間帯に人身事故も多くて、毎日のように電車遅延が起こっていますが、鉄道会社が発行する遅延証明書があっても欠勤扱いになるのですか?

C そうです。電車遅延で出勤が遅れても15分単位で賃金が引かれていきます。人身事故で電車が止まってしまい1時間ぐらい出勤が遅れたことがありますが、その1時間まるまる欠勤とされ賃金はカットされました。

B 珍しく東京に大雪が降って電車がストップしたときも欠勤にされました。

A 逆に職場ですでに仕事をしているときに、大雪とか台風で電車が止まってしまって職場にいられると困るということなのか、「電車が動かなくなる前に仕事を切り上げて帰宅してくれ」と言われることもあります。それと、電車遅延で出勤時間に間に合わないときに、霞が関の職場に連絡するのでなく、派遣会社に連絡しなければいけないので混乱したりすることもよくあり、とても面倒なのです。

毎年の競争入札で派遣会社が変わって
雇用不安・賃下げ・有給休暇が消える


C 毎年、2 月から3 月にかけて一般競争入札が実施されて、派遣会社が変わっていくのですが、派遣会社はコストカットによって競争に勝って落札するわけですから、派遣労働者の賃金も必然的に下がっていくことになります。そして何より、派遣会社が変わるので、現場の私たちは雇用不安に悩まされることになります。チームワークで働いている現場の正規の国家公務員の方などは、継続して働いて欲しいと私に言ってくれるのですが、落札した派遣会社が私と契約するかどうかは分からないわけです。ですので、年度末に落札した派遣会社が変わると、自ら辞めて他の仕事を探す派遣労働者の方もいますし、霞が関のいくつかの部署で10年近く働いていて周りからの評価も高かった派遣労働者の方が、落札で変更になった派遣会社と契約してもらえず、霞が関での仕事を失った方もいます。

――10年近く派遣労働者として働いている方は、部署を移っているわけですね?

C そうです。省庁の場合、いまだと3年ごとに課を変われば、派遣労働者として働き続けることができます。また、派遣会社が例えば、A社からB社に変更になれば、雇用契約が新しく結ばれたとみなされるので、3年を超えて働ける状態になります。そのため3年を超えて働いている派遣職員も少なくありません。逆に言うと、「生涯派遣」ということにもなるわけです。いまの労働者派遣法では、3年を超えて同一の派遣先で働く見込みがあるときには、派遣先か派遣元で正規雇用にするなど雇用確保が義務づけられているのに、霞が関の職場の派遣労働者は、最初から誰も正規の国家公務員になれるとは思っていないので、「霞が関生涯派遣」というのが現実に近いということになりますね。

A 私も年度末になると胃が痛くなります。酷いときは、3月末の段階でも落札した派遣会社と契約できるかどうかも不明な状態が続いたこともありました。そのとき私自身は新しい派遣会社と契約できて同じ部署で働くことができたのですが、何人かは契約してもらえなかったので、4月から仕事を失うことになりました。普通の仕事なら少なくとも1カ月前には雇用側に解雇通告の責任があるわけですが、私たち霞が関で働く派遣労働者は、一般競争入札で派遣会社が変わることによって数日前に仕事を失うようなことが起こっているのです。

現場の声が一切反映されない入札制度

C どんなに一生懸命働いていようと、現場で一緒に働いている方から働きぶりを高く評価されていようと、競争入札で一蹴されてしまう。現場の声など一切反映されない競争入札制度は酷過ぎます。

B 私は2年間だけ同じ派遣会社から霞が関職場で働いたことがありますが、そのときだけは2年目に少しだけ時給が上がりました。3年目に競争入札で派遣会社が変更されて1年目より時給が下がるという、3年目で仕事は慣れて来て1年目より随分できるようになっているのに賃下げというモチベーションも下がる自体になっています。それと、派遣会社が変わることによって、同じ職場で同じ仕事を継続できたとしても、年次有給休暇がリセットされてしまって、また6カ月以上働かなければ有給休暇の取得権利が発生しないのです。毎年度の一般競争入札で税金はコストカットできることは事実なのでしょうが、そこで働く私たち派遣労働者は毎年度、有給休暇の取得権利すら奪われているのです。

――同じ職場で同じ仕事を継続してフルタイムで働き続けているのに、年次有給休暇をも消滅させてしまう派遣という働き方はまさに労働者の権利を奪いながら成り立っているようなものですね。

夏季休暇や忌引きをはじめとする慶弔休暇がない

C フルタイムで働いているので、同じ派遣会社で6 カ月以上働き続けられれば、有給休暇を取ることができるわけですが、派遣労働者にあるのはこの有給休暇だけで夏季休暇や忌引きをはじめとする慶弔休暇はありません。

A 年に1回の健康診断は派遣会社が設定してそこで受けることはできるのですが、有給休暇を取得して健康診断を受けなければいけないのと、健康診断を受ける病院に行く交通費も出ないというのは、とても悲しいものがあります。

B 夏季休暇や忌引きをはじめとする慶弔休暇を正規の国家公務員の方が取得しているときや、私たち派遣労働者には出ない年2回の一時金、ボーナスが正規の国家公務員の方に支給されているときなどは、とてもやるせない思いにかられてしまいます。

C 夏季休暇もないのですが、そもそも低賃金なので、夏休みに旅行に行くお金もありません。最近、友人も結婚することが多くなっているのですが、きちんとした結婚式だとお金がなくて参加できないので、別の理由をつけて欠席せざるをえないことも増えていて切ないです。

将来設計が描けない、結婚できない

A 私たち3人とも自宅通いですから、なんとか生きていますが、そもそも賃金は最低賃金を少しだけ上回る程度で交通費は支給されない、ボーナスも出ない、有給休暇も一方的にリセットされる。「官製ワーキングプア」の中でも最も困窮状態に置かれているのが霞が関で働く派遣労働者だと思います。日々なんとか暮らすことで精一杯で将来設計など描けません。友人の結婚式にもまともに出席できないという話がありましたが、このままでは自分自身も結婚できないと思う。そもそもデートするお金がありません。親戚の子どもたちにあげなくちゃいけないお年玉もきつい。結婚できない霞が関の派遣労働者の低賃金で劣悪な労働条件というのは、霞が関という日本社会の中枢が生み出しているわけで、日本社会全体がどんどん少子化になっていって先細りの社会になるのは当然なのではないかと思います。

B 私は一人っ子で両親はまだ元気に働いていて自宅通いなので、まだ少し余裕がある方だと思いますが、この状況がずっと続くわけもなく、親の介護などの問題もやがてやってくるだろうし、派遣労働者には退職金もありませんから、このままだと自分の老後も藤田孝典さんが指摘されているように「下流老人」になる可能性が高いと思います。私も結婚など展望ができなくて将来不安しかありません。

霞が関発「官製ワーキングプア」は日本社会を壊す
派遣法抜本改善、最低賃金1,500円を


C 霞が関の公務の職場で派遣労働を使い続けるというのは、根本的に問題だと思います。私がいまやっている業務ももう10年ぐらい継続されているもので、臨時的・一時的な業務ではありませんから、本来は正規の国家公務員が継続して担うべき仕事です。それが、部署によっては頻繁に派遣職員が変更になるということは、よくよく考えると公務が非効率になっていると思います。回転ドアのように人が入れ替わる派遣労働では公務の継続性が寸断されてしまい公共サービスは劣化していっています。競争入札制度と派遣労働で近視眼的にはコストカットになって税金が節約できて良かったのかもしれませんが、日本社会の将来を長期的に考えると、まともな人間らしい労働と暮らしが持続不可能な派遣労働に担われる霞が関の公務労働というのに展望があるのでしょうか?

A 霞が関発で公共サービス劣化と「官製ワーキングプア」を生み出す最も歪んだ悪循環が派遣労働だと思います。公務で最も大事なのはマンパワーですから、競争入札によるコストカットは、結局、労働者の賃金と権利のカットだし、マンパワーのカットは公共サービスのカットにつながります。将来への展望が描けない労働者が担う公共サービスで、多くの国民が幸せになることが可能なのでしょうか?

B 最近、エキタスが最低賃金1,500円を求めて頑張っていますが、少なくとも最低賃金が1,500円以上になれば、私たち派遣労働者もなんとか暮らしていくことが可能になります。ですので、労働組合には労働者派遣法の抜本改善をはじめとする「非正規差別」の解消を進めていくとともに、最低賃金1,500円以上の実現を最も重要な課題としてとりくんでもらいたいと思っています。

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2018-01-10 15:48:28

立憲民主党の基本政策「公務員人件費削減」は官製ワーキングプア増大で更なる貧困・自己責任社会まねく

テーマ:公務員バッシングを考える

 立憲民主党が「基本政策」を発表しました。その「基本政策」の最初に「国のかたち」の項目があり、8番目に「■公務員の労働基本権を回復し、労働条件を交渉で決める仕組みを構築するとともに、職員団体などとの協議・合意を前提として、人件費削減を目指します。」とあります。

 「公務員の労働基本権」の問題については、私が熊沢誠甲南大学名誉教授にインタビューした記事で詳しく展開していますので、ぜひ下記リンク先を読んでください。

 ★タックスペイヤーたる中産階級とワーキングプアの絶望的な怨嗟が合流する公務員バッシング、政財界スローガンは「官民横断のユニオニズムは許さない」、公務員の労働基本権剥奪こそ欧米にない日本の強み、予防としての行政改革

 ここでは「公務員の人件費削減を目指す」とする立憲民主党の「基本政策」について考えてみたいと思います。

 公務員の人件費を削減するには、賃下げと公務員数の削減が必要です。実際にこの間、公務員削減と同時に正規の賃金抑制、非正規化(官製ワーキングプア化)による大幅な人件費削減が行われてきました。

 まず、公務員数の削減です。下のグラフは人事院による公務員数です。2000年度(平成12年度)には約435万人いた公務員が2017年度(平成29年度)には約 332.3万人とこの17年間で102万人も減っています。

 



 下のグラフにあるように自治体ではこの11年間で正規公務員が30万人減り、非正規(官製ワーキングプア)が23万人増えています。(総務省のデータから作成したものです)

 



 国家公務員(行政職のみ)は自治体より規模は小さいですが同様の傾向で、下のグラフにあるように5年間で非正規率が1.9ポイント上がっています。

 



 また、省庁別に見ると下のグラフにあるように、厚生労働省は民間企業より多い非正規率になっています。

 



 以上のように、公務員の人件費削減は、非正規化を進め官製ワーキングプアを増やし日本社会を貧困化させてきた一因となっています。

 立憲民主党の「基本政策」の「暮らしの安心」の項目には、「■ワーキングプアをなくし、安心して働き暮らすことのできる賃金を確保します。全国どこでも誰でも時給1,000円以上になるように最低賃金を引き上げます。」「■望めば正社員になることのできる社会を目指します。」とあります。公務員の人件費削減は、非正規化を進めワーキングプアを増やすのですから矛盾する「基本政策」です。

 それと、「公務員の人件費削減を目指す」という「基本政策」を作る背景には、「公務員が多過ぎる」という現状認識があるということになります。日本の公務員は本当に多過ぎるのでしょうか?

 下のグラフは、OECDが毎年発行している「Govermment at a Glance」の最近版(2017年版)のデータをグラフにしたものです。各国2015年の被雇用者数に占める公務員数の割合で日本はOECDで最低です。しかもノルウェーの5分の1以下、OECD平均の3分の1以下と日本の公務員は異常に少ないのです。

 



 下のグラフは内閣人事局による「人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較」です。上記のOECDのデータと違って「公的部門」と範囲が広くなっても日本はフランスの半分以下です。中央政府職員にいたってはフランスの9分の1以下です。

 



 全体の公務員が異常に少ないのですから、個別分野ごとに見ても当然、公務員は少なくなります。

 下のグラフは国家公務員である労働基準監督官の雇用者1万人辺りの人数です。日本はドイツの3分の1以下です(実質は4分の1以下)。立憲民主党は「基本政策」で「■長時間労働を規制し、過労死ゼロを目指します。誰もが「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」が可能な社会を実現します。」としていますが、公務員である労働基準監督官を削減してはそのような社会を実現することはできません。

 



 次に、公務員の人件費そのものです。立憲民主党は公務員の人件費が高過ぎると認識しているから人件費削減を目指すとしているのでしょうが、日本の公務員の人件費は本当に高過ぎるのでしょうか?

 下のグラフは、OECDが2年に1度程度の頻度で発表している各国の公務員人件費(対GDP比)です。日本は2004年から直近の2014年まで11年連続の最下位です。逆に財政赤字は最悪です。



 下のグラフは、国家公務員の人件費と国の財政赤字(長期債務残高)の推移を見たものです。人件費は半減し財政赤字は倍増しています。上の国際比較のグラフを見てもわかるように、デンマークなど北欧諸国は公務員人件費が他国より高いのに財政赤字は少なく、日本は公務員人件費が11年連続最低なのに財政赤字は最悪です。加えて、日本の国家公務員人件費は半減しているのに国の財政赤字は倍増しているのを見ても、公務員人件費が財政赤字の原因でないことは明白です。

 



 それから、公務員の個別の賃金が高過ぎるというデマもありますが、これについては以前、「世界最高年収で日本は公務員天国?→日本の公務員の個別賃金はアメリカの6割、総人件費はずっと世界最低です」で、一般の公務員も上級管理職公務員も中間管理職公務員も個別賃金は世界最高ではないことを紹介しています。

 



 また、公務員の人件費削減は消費支出減少をもたらし景気を悪化させ結局、税収の減少をもたらします。2012年2月に当時の野田政権が人事院勧告を大幅に超える国家公務員の賃下げを強行しましたが、その際、「国家公務員の賃下げは財源確保どころ財源を減少させる」ことを指摘しました。

 



 上の表にあるように、国家公務員の賃金は、地方公務員や、公務員に準拠する民間労働者625.8万人に直接影響します。この625.8万人は日本のすべての労働者4,898万人の1割を超えて12.7%になります。

 



 上の表は、労働運動総合研究所(労働総研)が、「国家公務員賃金7.8%削減の経済に対する影響」を試算したものです。野田政権が狙う7.8%の賃下げで、家計収入は2兆7千億円も減少し、家計消費は2兆円減少。国内生産とGDPも大幅に減少し、税収が4,213億円も減少してしまいます。

 



 民間企業の中には自社の賃金決定に国家公務員の賃金水準を活用する例も見られるため、上記で指摘した直接影響する労働者の賃下げだけでなく、民間全体の賃下げに連動していきます。そうすると、民間の賃金水準を毎年調査し、役職や年齢、学歴など同種同等の比較をして出される人事院勧告に基づいて決められる国家公務員の賃金もさらに下がることになります。「国家公務員の賃下げ」→「民間労働者の賃下げ」→「国家公務員の賃下げ」という公務員と民間労働者の賃下げが互いに連動する「賃下げの悪循環」は、労働者の生活悪化をもたらすとともに、内需を冷え込ませ、景気をますます悪化させてしまいます。こうして、実際に以下のグラフにあるように主要国で日本だけ賃下げになっているのです。

 



 私は国立研究機関も担当していますが、立憲民主党の「基本政策」の中に「■基礎研究を強化し、イノベーション(技術革新)につながる環境を整備します。」という項目もあります。国立研究機関の多くは「公務員人件費削減」によって民間型の独立行政法人化されました。加えて基礎研究を進めるための運営費交付金も「公務員人件費削減」と同じ流れの中で削減され続けています。そして、研究者を非正規で使い捨て荒む研究現場、職業として崩壊しつつある研究職、ポスドク若手研究者は育休も産休もなく家族形成すら困難、というのが国立研究機関の現場の実態です。基礎研究を強化するためにも公務員人件費削減の流れを反転させる必要があるのです。

 最後に以前紹介した斎藤貴男さんと田端博邦東京大学名誉教授の指摘を、立憲民主党に贈りたいと思います。

 ▼斎藤貴男さんの指摘

 公務員バッシングすればするほど政府・財界の“思うツボ”、政府・財界・特権官僚による悪政から目をそらす“うっぷん晴らし”の代償は“自分で自分の首を絞める”民間・公務労働者共倒れ貧困社会の到来

 国家公務員の給与削減は、政府・財界にとって「一石二鳥」をもたらします。なぜなら、公務員給与削減は、結果として公務員と民間労働者を共倒れさせることができるからです。

 非正規労働者が増え、貧困が広がるなかで、相対的には少しだけめぐまれている公務員に対して意図的に攻撃を加えるのは、民間でひどい目にあっている人たちの感情を公務員バッシングにもっていくことで、事態の本質から目をそむけさせるためです。今は一般の人たちも悲しいかなそれにまんまとだまされてしまっています。

 多くの民間労働者、非正規労働者が苦しい生活を強いられている事態の本質は、企業の収益がどんどん株主に回り、経営者たちが何億円、何十億円の報酬を手に入れる一方で、民間労働者の賃金をカットし続けていることにあります。民間労働者が怒りをぶつける本来の相手は、そういう理不尽な報酬を手に入れている経営トップたちです。また、今の格差社会をつくった政治や特権官僚に対して怒りを向けるべきです。そうしてこそ、労働者にまともな賃金と権利が保障されていく、まともな社会、公平な社会に変えることができます。

 ところが、今の事態は、すべて公務員が悪いからだと問題をすりかえ、問題の本質を見えなくさせられてしまっているわけです。これはかつての国労バッシングと同じで、問題の本質をすりかえるために、つねにスケープゴートを作り出す手法で、今は公務員そのものがバッシングにさらされていて、それが橋下徹大阪市長のようにさらにエスカレートする傾向になっています。

 しかし、民間労働者と一般市民が、公務員バッシングをやればやるほど、政府・財界の“思うツボ”にはまってしまうことになります。公務員の給与が下がったら民間労働者には何が起こるでしょうか? そのときは一時的に“うっぷん晴らし”ができたということでうれしいかもしれない。ところが大変な事態に気づくことになります。多くの経営者は当然のように「公務員の給与が下がったんだから君らの賃金はもっと下げますよ」と言います。結果的に、“自分で自分の首を絞める”ことになってしまうのです。

 消費税増税が強行されれば、多くの中小零細業者はつぶされます。政府・財界は中小零細業者をつぶすために消費税増税をやろうとしているとも言えるのです。国鉄の分割民営化を見ても分かるように、政府・財界にとって労使一体ではない労働組合は許せないので、つぶしたいのです。公務員の労働組合が労働者の権利と労働条件の向上のために声をあげ運動していることを、政府・財界は許せないのです。だから、公務員バッシングによって、公務員と民間労働者を敵対させて、公務員の労働組合を解体したいのです。

 公務員の労働組合は、自らの労働条件を守るためには、民間労働者に理解してもらう方向の運動をする必要があります。民間労働者、一般市民に理解を広げて、公務員給与削減や公務員バッシングを跳ね返す必要があるのです。

 ▼田端博邦東京大学名誉教授の指摘

 「幸せになる資本主義」には「小さな政府」=「自己責任社会」でなく「大きな政府」による福祉国家と「大きな労働組合の力」が必要


 雇用や教育、社会保障、住宅などの公共的な支えが弱くなればなるほど、人々は「自己責任」で暮らさざるをえません。公共性の欠如は人々の利己心を増殖し、公共支出の増加は、利己心から人々を解放するといえるでしょう。

 そして、雇用や教育、社会保障、住宅などの公共支出は、先進主要国の中で北欧がもっとも高く、日本がもっとも低い水準にあります。ところが、新自由主義の台頭や「大きな政府」批判は、先進国でもっとも「小さな政府」である日本において猛威をふるっています。

 世界でもっとも「大きな政府」を持つ国のグループに入るスウェーデンで、2006年9月に保守政党が政権をとるという政権交代がありましたが、そのとき選挙で勝利した保守政党が掲げた政策は、「大きな政府」「福祉国家」を維持するというものでした。北欧では保守政党にまで「大きな政府」が国民の利益になると考えられているのです。

 日本のようなもっとも「小さな政府」の国で、「大きな政府」への批判が起きるのは、政府に対する不信がベースにあるからだと考えられます。それは、日本における民主主義の欠如などから、政府支出をコントロールできないので、高い税金を払っても、国民のためには使われないだろうとする考え方が支配的になっているということでしょう。そうだとすると、日本において「大きな政府」「福祉国家」をつくっていくためには、政治的な民主主義をきちんと確立していくことと、自己責任ではなくて、お互いがつながっていく共同・連帯を、国民の間で発展させていく必要があるということになります。

(井上伸)

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2017-12-30 15:26:41

〈佐川宣寿国税庁長官〉苦情殺到の国税庁職員に「年明け以降の確定申告で苦労かける」と語るも謝罪なし

テーマ:霞が関・公務関連情報

 「カケモリ問題」の一角である森友学園問題において、国有地売却の交渉記録を、国会で「破棄した」と答弁した財務省の佐川宣寿前理財局長。安倍政権への論功行賞で今年7月から国税庁長官として徴税事務のトップに立ちました。このことで、税務署の現場の職員は納税者の苦情の矢面に立たされています。

 こうしたなか前回、「〈佐川宣寿国税庁長官〉苦情殺到の矢面に立たされている国税庁職員にも謝る姿勢なし」という記事で、全国税との団体交渉での佐川国税庁長官のとんでもない姿勢を紹介しました。その続編になります。

 

交渉冒頭 佐川長官が職場へ表明

 「納税者から様々なご意見あること承知」

 「特に年明け以降ご苦労をおかけする」

 (機関紙「全国税」2017年12月11日付)

 

 佐川長官 年が明ければいよいよ確定申告が始まることになるが、円滑な確定申告ができるよう対応をお願いすることとなる。また、現場において納税者から様々なご意見がよせられていることも承知している。
 このように、職員の皆さんには、特に年明け以降ご苦労をおかけすることとなる。そのような中で、適正・公平な課税徴収の実現のため、現場で職務に精励し、また、ご苦労されている職員の皆さんのご尽力は、納税者と信頼ある税務行政を築くうえで大変重要であり、この件に関して、まず私自身、心から感謝の気持ちをお伝えしたい。

 全国税協議会 一度失った信頼関係を取り戻すことは、並大抵の努力では済まない。再度聞くが職員に長官として冒頭以上の発言はないのか。

 当局 様々な苦情に対しても適切に対応していると認識している。引き続き適切な対応をしていきたい。

 全国税協議会 多数の納税者と接する期間であり、長官に対する苦情等の対策をとること。

 

 この問題での、前回の団体交渉での佐川国税庁長官の回答は、「職員の皆さんが高い使命感を持って職務に精励していることに感謝申し上げる。事務の簡素化、効率化に務めながら、職員の健康にも配慮し、明るく風通しのよい職場を作りたい。」というまったく反省のないものでした。これと比べれば、「現場において納税者から様々なご意見がよせられていることも承知している」「職員の皆さんには、特に年明け以降ご苦労をおかけすることとなる」「ご苦労されている職員の皆さんのご尽力は、納税者と信頼ある税務行政を築くうえで大変重要であり、この件に関して、まず私自身、心から感謝の気持ちをお伝えしたい」と、一応、佐川氏自身が国税庁長官になったことで納税者から苦情がよせられ、現場の職員が苦労し、税務行政の信頼が揺らいでいるという客観的事実だけは初めて認めたわけです。

 しかし結論は前回と同様、現場の職員にも納税者にも謝罪はせず、「感謝」だけして、「様々な苦情に対しても適切に対応している」というだけです。

 確定申告の年明け以降に、職員へ苦労をかけない唯一の方法は、ただちに佐川氏が記者会見を開き、森友問題の真相を語り、納税者と職員に謝罪し、国税庁長官を辞任するほかないと思います。

 

▲上記署名へのリンク

 

(井上伸)

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2017-12-18 11:16:48

前川喜平さんインタビュー「加計・森友のような不正、お友だち優遇案件はあちこちにあるのではないか」

テーマ:霞が関・公務関連情報

 月刊誌『KOKKO』12月号で前川喜平さん(前文科事務次官)に3時間に渡るインタビューを行いました。インタビューのほんの一部になりますが紹介します。

〈インタビュー〉
加計・森友のロンダリングと
国家公務員を「下僕化」する安倍政権
――「全体の奉仕者」の役割問われる国家公務員
前川喜平さん(前文部科学事務次官)

 



 安倍晋三首相と昭恵氏の「お友達」なら、国有地が特別に値引きされ、獣医学部の新設も特別扱いされる国は法治国家とは言えません。この問題が動く渦中に文部科学事務次官であったことを踏まえて加計学園疑惑を告発した前川喜平さんにインタビューしました。(収録日=10月4日。聞き手=国公労連・井上伸

人間を手段にする「人づくり革命」

――安倍政権は「人づくり革命」と打ち出しています。

 「人づくり」という言葉は、人間が生産要素の1つの手段にされてしまうように感じます。一人ひとりが命を持った人間として幸せになれるかどうかが大事なのに、「人づくり」というのは人を客体化していますよね。

 教育の目標は一人ひとりが幸せになることなのですが、そのためにはそれぞれが居場所を得なければいけない。自分にぴったりくる仕事をして、そこで自分の能力や個性を発揮できて、あまり「面従腹背」もせずに(笑い)楽しく仕事ができればいいわけです。

国家戦略特区の非常に乱暴な議論

 社会の分業の中でどの仕事につくかはそれぞれの適性を伸ばしていく中で調和していけるようにするというのが大事です。社会として一定のプランを立てる必要があるのです。そのためには獣医師はどのぐらい必要かを考える必要もあります。

 加計学園に関わって国家戦略特区諮問会議のワーキンググループの人間が何を言っているかというと、とにかく獣医学部はいくらでも作って獣医学部同士、獣医師同士で競争すればいい。それで良い獣医師が残って悪い獣医師は負けていけばいい、獣医学部もつぶれればいいという話です。

加計学園は若者と社会にマイナス

 そんなふうに資格を持った人をムダづかいしていいのかという問題です。ただでさえ日本は少子化でどんどん若者は減っている。その若者を大切に育てなければいけないのにムダな育て方をしてしまう。余るのがわかっていて獣医師を育てるというのは、本人達にとって不幸せなことだし、社会全体にとってもマイナスです。将来の人間の職業がどうなるか、産業構造がどう変化するか、ということを考えながら高等教育のあり方も考えなければいけないわけです。

 そもそも獣医学部のニーズがあるかどうかも問題だし、それがなぜ加計学園なのかということも不明です。加計学園側は「世界に冠たる獣医学部」を作ると言うのですが、実際はそうはならず、最低ラインを何とかクリアする程度でしょう。

国家公務員は安倍政権の「下僕」になってしまった

 安倍政権は加計学園問題に対する国民の記憶が薄れるのを望んでいる。他のさまざまな問題を並べて国民の気をそらして、時間を稼いでいます。

 安倍政権による行政の私物化、国家権力の私物化の疑いはきわめて濃厚で、そのために仕事をさせられた国家公務員は権力者の「下僕」になってしまったと思っています。

 憲法15条に「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とあるように、国家公務員は全体の奉仕者としての「公僕」でなければいけないのに、加計・森友学園の問題では「一部の奉仕者」にさせられているということです。

 一部の権力を握っている人とそのお友達のために仕事をさせられている状態というのは、「下僕化」と言わざるを得ません。加計学園の獣医学部の新設の仕事というのはそういう仕事だったわけです。国家戦略特区の仕組みの中でも説明がつかない。国家戦略特区の制度がいいかどうかはともかくこの制度の目的は、「国際競争力の強化」「国際経済拠点の形成」なのです。この目的に相応しいかどうかが大前提として検証されなければいけません。

 まず加計学園の獣医学部が「国際競争力の強化」「国際経済拠点の形成」を担うものになるのかがまず問われなければいけないのです。さらにそれを具体化したのが、2015年6月に政府が閣議決定した4条件(①既存の獣医師養成でない構想②ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野で具体的な需要③既存の大学・学部では対応困難④獣医師の需要動向も考慮)で高いハードルを設けたわけです。

 この4条件が検討された形跡はまったくありません。加計学園の獣医学部でやろうとしていることは他の大学でもやっていることで4条件を満たしていない。まともな審査をしていないのです。

 加えて京産大をはじくために今年1月の時点で来年4月から大学を開学しなければならないという新たなハードルも設けた。わずか1年後に開学できるところなど出てくるはずがないのに加計学園は手を挙げた。1万メートル競走を加計学園だけ5千メートルからスタートしたようなものです。

 この来年4月からの開学は、官邸の最高レベルが言っていることだ、総理のご意向だと聞いていると当時の内閣府の藤原豊審議官が文科省の課長に言った。ものすごく恣意的なやり方で最初から決まっていたわけです。
 安倍首相の特定のお友達に利益誘導した。これは規制緩和でなく特権の付与です。規制緩和というのは全体で獣医学部の規制を緩和してどこで作ってもいいとするのが規制緩和になりますが、加計学園だけ獣医学部を作っていいというわけですから、これは特権の付与です。

 そして、特権だからこそ学生も確保できるわけです。これは薬学部と比べてみればよくわかります。獣医学部も薬学部も6年制で6年間の期間が必要というのは、公的なお金もかかるし、私的なお金もかかる。加計学園だと年間億単位の私学助成もすることになるわけです。学生1人6年間で1500万円ぐらいの授業料は納めなければならない。公的な投資と、私的な負担が毎年注ぎ込まれることになるわけです。

 加計学園の千葉科学大学に薬学部があるのですが学生募集に四苦八苦しています。なぜ学生が来ないかというと、薬学部がたくさんあるからです。薬学部には新設の規制がかかっていないので、薬学部同士の過当競争が起こっているわけです。それで、千葉科学大学の薬学部の方は定員割れで困っている。それはそもそも規制がないからなのです。

安倍首相のお友達に特権与えた

 一方で、獣医学部の方は規制は残して加計学園にだけ特権を与えるから、薬学部のようなことが起こらないわけです。獣医学部は現在16大学しかなく、獣医学部の入試の競争率は極めて高い。そうすると、加計学園の獣医学部でどんなに学生募集が遅れたとしてもとにかく来年の4月に開学できれば、必ず定員はいっぱいになる。どこでもいいから獣医学部に入りたいという学生がいるからです。だから加計学園の側から言えば、食いっぱぐれがないのです。定員割れで四苦八苦しなくていい。それは規制があるからなんです。そういう特権を安倍首相はお友達に与えたということです。濃厚な状況証拠があることは事実です。

 自民党の二階俊博幹事長が、今回の解散を「加計・森友疑惑隠し」と野党が批判していることについて、「我々はそんな小さな問題を隠したりなどは考えていない」と記者会見で語っていましたが、これは安倍政権と自民党の本音ではないかと思いました。同時に、安倍政権が加計・森友問題を小さな問題と思っているということは、同じような行政私物化、国家公務員の「下僕化」は、今は表面化していないだけで各省庁のあちこちにあるのではないかと危惧しています。

教育勅語の暗唱は教育と言えない

 ――森友学園の方は教育のあり方という点でも大きな問題がありましたね。

 森友問題は直接的に文部科学省の問題ではなかったのですが、日本会議が言っているような国粋主義的な精神を養うために、教育勅語に基づく教育をするという問題がありました。すでに塚本幼稚園で幼稚園児に教育勅語を暗唱させるなどとんでもない愚かなことというか、やってはいけないことをやっていましたよね。私はこれは教育ではないと思います。これを「すばらしい幼稚園だ」と言う人の気が知れないのですが、そういう人が日本のトップにいるというのは非常に危険だと思いますね。

 教育勅語というのは、言ってみれば反憲法的文書です。だからこそ戦後、衆議院でも参議院でも確認排除決議とか失効確認決議とかが行われているわけで、今の憲法の柱になっている基本的人権の尊重や国民主権、平和主義の考え方に反している。こうした教育勅語を教育の指針や理念にするわけにはいきません。だからこそ教育基本法ができたわけですし、改正されたとはいえ、改正教育基本法のもとでもやはり教育勅語の存在は認められません。

 教育勅語はまず神話国家的な国体思想というものに基づいていて、「わが国体の精華」という言葉が出てくるのですが、それは万世一系の天皇家を総本家とする一大家族国家として日本という国があって、日本人はみんな血でつながった家族だという観念です。これが戦前の家父長制的な家制度と結びついて個人の尊厳と、とりわけ女性の尊厳を全く認めないような男尊女卑の考え方のもとになっていたわけです。

 そして、「道徳」というものは皇祖皇宗が立てたと、「徳ヲ樹ツル」と言っているわけですね。「我カ皇祖皇宗国を肇ルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ」と言って、天照大神や神武天皇といった天皇の祖先がこの国をつくった。それと同時にこの国の道徳もお立てになった。それを指して「道義国家」と言って、前の防衛大臣がそういう言葉を使っていましたけど、その道徳というのは天皇に対して忠義を尽くすことが中心で、そこから派生して、自分の家族の中のトップであるお父様、あるいはお祖父様に対して孝行しろということで、「忠」と「孝」とが一本でつながっているわけですね。大きな家族の中の「忠」と、小さい家族の中の「孝」というのは1つの価値観の中に入って、それが縦軸になっていて、そこに「夫婦相和シ」とか「兄弟ニ友ニ」とか「朋友相信シ」という言葉が出てくるわけで、最後に「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スへシ」と言って、とにかく天皇のためにだったら命を捧げろという思想になるわけです。

 こんなのものが今の日本の教育の中に存在する余地はありません。かろうじて存在する余地があるとすれば、批判的に見るべき歴史的文書として、戦前の日本ではこんなものをつくって国民の精神をここに同化していって、それぞれの個人の尊厳を放棄させるように仕向けたものだと批判的に見る対象としてだけ使える。ですが、教育勅語を教育の理念に据えるみたいなことはあり得ないことですので、塚本幼稚園のようなものは本来なら存在できないものだと思います。これが存在していることが問題で、まともな民主的な政府ではないから放置されてきたのだろうと思います。

フェイクニュースによって闇の権力が拡がる

 ――行政私物化も問題ですが、前川さんが加計学園の問題を告発する前段のところで読売新聞による個人攻撃があるなど、メディアの私物化も問題ですね。

 私が行政の私物化以上に怖いと思ったのはメディアの私物化です。メディアという言葉は媒体という意味で、それは権力と主権者との間をつなぐものですよね。権力は代議制民主主義を通じて形成される。つまり総選挙をして衆議院議員が決まって、そこから首班指名で内閣が決まる。主権者である国民が行政権力をつくっていくわけですけど、それがつくりっ放しになっているわけですよね。権力を握った人たちがその説明責任を果たす場として憲法が用意しているのは国会しかないわけです。国会が事実を追及しようとしても、徹底して隠ぺいするということは現実に可能なわけで、それを引っ張り出して、明るみに出して国民に知らしめるという仕事をするのはメディアで、これまでもメディアのおかげで国民が知ることができたという事実はたくさんあるわけですよね。沖縄の密約みたいなこともその1つの大きな例だと思うし、メディアがしっかりと権力を監視する役割を果たしてくれないと、国民は主権者とはいえ、政府が何をしているのかを知らなければ、それを代議制のプロセスによって是正することもできないわけです。どういう不正があるかわからなければ是正もできません。ところがメディアが逆に政府のプロパガンダ機関になってしまったら、「いいことをやっている」ということだけが流されて、「じゃあ、いいじゃないか」ということで、真実の情報ではないいわばフェイクニュースによって代議制民主主義が空回りするというか、権力の実態をそのまま放置していってしまう。見えないところにどんどん闇の権力が拡がっていくということが起こると思うんですよね。

加計・森友のような不正はあちこちに?

 そして実際にいま起きていると思うのです。その闇の部分で、国民から見えないところで「このくらい大丈夫だろう」というのでやっている行政私物化が起こってきている。「このくらい」という感覚が彼らにはあると思うのです。「たかが8億円だろう」と。国会家予算90何兆円の中のたかが8億円だと。国の資産という意味ではもっと大きいですけど、国の持っているたくさんの資産の中のたかが8億円の値引きじゃないかと、こんなの誤差の範囲だというぐらいの感覚で、そのくらいのことでお友だちの便宜を図ったって全然問題じゃない。もっと大きな大義のために我々は仕事をしているんだみたいなね。「たかだか一つの獣医学部を今治につくる程度の話でしょ。それが何か問題なの?」「わが政府はもっと立派なことをやってるんだ」というわけです。それが先ほども紹介した二階幹事長の「小さな問題」という発言だと思います。あれは本音だと思うんですよね。加計学園や森友学園は小さな問題で、「この程度は許される」という感覚がすでにある。ということは、ほかにも国民が見逃してしまっている彼らから見て「小さな不正」があちこちにあるのではないかという気がするんですね。

加計以外に私自身が経験したお友だち優遇案件

 加計学園の問題以外に私自身が経験したお友だち優遇案件というのは「明治日本の産業革命遺産」というもので、従来のルールをひっくり返したという問題です。世界文化遺産というのは文化庁の文化審議会で順番に審議していくという確立したルールがあったのに、それをすっ飛ばして候補案件リストのずっと下にあった「明治日本の産業革命資産」を、当時はまだ「九州・山口の近代化産業遺産」と言っていたのですが、それを突然トップ・プライオリティーのところに持ってくるために、審査機関として文化審議会とは別の有識者会議というのを内閣官房につくって、この案件だけはここでやるということにしたんです。ルールもなにもあったものではありません。ほかの案件とは違い、「産業革命遺産だけは別の審査機関を設けます」と言って、それで文化庁の文化審議会が推薦したキリシタンの遺跡と長崎の教会群という候補と、「明治日本の産業革命遺産」という内閣官房のほうで勝手に担いだ別ルートで審査したものと、推薦案件の候補が2つ出てきてしまったわけです。しかし、ユネスコは1年に1件しか受け付けないのでどちらかにしなければいけない。これは内閣官房がこんなことをやり始めたときから文化審議会のほうは負けてしまうという予想はついたわけですけど、案の定、長崎の教会群は後回しにされて、安倍首相のお友だちである加藤康子さんという人が一生懸命担いでいた「明治日本の産業革命遺産」というのが出て2015年に実際に登録が行われたわけです。

 これは徴用工の強制労働の現場だということがあって韓国側からものすごい猛反発を受けたわけで、それに対してユネスコの世界遺産委員会の場で日本政府が一定の方針を表明していて、「情報センターをつくります。そこで朝鮮半島出身者が強制的に働かされたという事実について説明します」と言った。強制労働「forced labor」という言葉は使ってないんです。だけど「forced」という言葉は使っていて、強制的に働かされたという事実はきちんと説明しますという国際約束はしている。しかし、その国際約束をまだ果たしてないという問題があるのです。

 その場所を「六本木につくれ」と、私は和泉洋人首相補佐官に言われたのですが、「ちょっと待ってください」と押し返しているんです。六本木に国立新美術館というのがあるんですけど、「国立新美術館の中につくれ」と言われたのです。なぜ六本木にある国立新美術館なのかということで、当時の松野博一文部科学大臣に相談して、松野大臣も「それはないだろう」となった。それはそれぞれの現場につくるべきでしょう。長崎造船所とか、軍艦島とか、長崎で指定された場所がありますから、その説明をする場所に軍艦島では朝鮮半島出身者が強制的に働かされたんだということを説明する場をつくる。八幡製鉄所なども指定されていますから、八幡製鉄所に「ここで朝鮮半島出身者が強制的に働かされました」ときちんとわかる情報センターをつくるのが筋です。なぜ六本木につくるのかということで、これは押し返したのです。押し返せた案件は少ないのですが、これは押し返した中の1つです。そういうわけで、「明治日本の産業革命遺産」というのもお友だち案件で、かなり無理をして本来のルールを曲げたという事例があるわけです。ですので、恐らく各省にこの程度のものはたくさんあると思います。

 

(月刊誌『KOKKO』12月号より)

2017-11-06 11:50:40

イバンカ氏「アベノミクスで女性進出」のウソ→安倍政権で女性差別過去最悪=所得半分、政府管理職3%

テーマ:ワーキングプア・貧困問題

 テレビ朝日のニュースです。

イバンカさんが“称賛”「アベノミクスで女性進出」テレ朝news 11/3(金) 10:30配信



 来日中のアメリカのトランプ大統領の娘・イバンカ大統領補佐官が3日朝に日本政府主催の国際女性会議で講演し、アベノミクスが女性の社会進出の機会を増やしていると述べました。

 イバンカ大統領補佐官:「私の家族に対するご丁寧なおもてなしに感謝致します。アベノミクスはウーマノミクスです。ウーマノミクスは人口の半分を占める女性が持つ重要性を認めています。力付けられ、働き、成功し、指導的役割を果たしている女性は創造性、新鮮な視点、そして、成功を経済と世界にもたらしています」

 イバンカさんは、安倍総理大臣が進めるウーマノミクスにも言及して「進んでいる」と持ち上げました。ただ、アメリカメディアは「イバンカさんを招いたことは成功だが、日本の女性の社会進出は進んでなく、世界ランキングではむしろ後退している」と報じました。会場の半分が空席だったことも指摘しました。また、アメリカの一部には「イバンカさんは父親の力でビジネスをしているだけで、話は全く参考にならない」という冷ややかな声もあります。イバンカさんは、夜はリッチな外国人に人気のある創作フレンチレストランで安倍総理夫妻と夕食をして関係を深めます。

 基本的に、安倍昭恵氏付職員の人件費だけで1億1千万円も税金をムダづかいするなど、政治の私物化を進める安倍政権とトランプ政権は同類です。その上、トランプ氏が女性蔑視の政治家であることは、「トランプ氏の女性蔑視語録「スターなら女はやらせる」「女は35歳まで」」(AFP、2016年10月11日)、「暴露されたトランプ米大統領候補の女性蔑視発言の全訳」(BLOGOS、藤沢数希氏、2016年10月9日)などこの2つの記事を読むだけでも明らかです。そして、女性蔑視の面においてもトランプ政権と安倍政権は同類であることが、客観的なデータを見るだけで分かるので以下いくつか紹介しておきます。

 まず、上記のテレビ朝日の報道でも指摘されている「日本の女性の社会進出は進んでなく、世界ランキングではむしろ後退している」というのは、2017年版ジェンダーギャップ指数の世界順位で、以下のように安倍政権で2017年は114位と過去最低を記録しています。



 このジェンダーギャップ指数には、男女の所得格差の項目もあるのですが、今の安倍政権が発足する前の2012年は80位だったのが、2017年には100位と大幅転落しています。これは、アベノミクスによる富裕層と貧困層の格差拡大というのは、じつは男女間の格差拡大にもつながっていることを示していると思います。そして、2017年の男性の所得に対する女性の割合を主な国で見たものが以下です。



 上のグラフにあるように、日本の女性の所得は男性の半分しかありません。この原因は、富裕層と貧困層の格差拡大や、下のグラフにある女性の非正規雇用率・非正規労働者数(総務省「労働力調査」)が安倍政権で過去最高を記録していることにあります。



 それから、下のグラフは、各国の中央政府職員(ようするに国家公務員)の上級管理職と中間管理職の女性割合です。



 上のグラフにあるように、各国2015年の数字(OECDの直近データ)で、日本は3%と上位国のわずか20分の1という異常に低い数字で世界最下位です。それから、以前紹介しましたが、総雇用より公的部門雇用の女性割合が低いのは日本だけです。安倍政権は、女性管理職も世界で断トツ最下位、公的部門においても女性を世界で最も雇用していないのです。以上、見て来たように、「アベノミクスで女性進出」どころか、「アベノミクスで女性差別推進」が客観的事実です。

(井上伸)

2017-10-30 10:49:28

〈佐川宣寿国税庁長官〉苦情殺到の矢面に立たされている国税庁職員にも謝る姿勢なし

テーマ:霞が関・公務関連情報

共同通信の報道です。

森友への値引き6億円過大国有地売却、会計検査院が疑義共同通信 2017年10月26日

 学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が、ごみの撤去費分として約8億円値引きされて売却された問題で、売却額の妥当性を調べていた会計検査院が撤去費は2億~4億円程度で済み、値引き額は最大約6億円過大だったと試算していることが25日、関係者への取材で分かった。

 官僚の「忖度」が取り沙汰された問題は、税金の無駄遣いをチェックする機関からも、ごみ撤去費の積算に疑義が突き付けられる見通しとなった。検査院は関連文書の管理にも問題があったとみており、売却に関わった財務省と国土交通省の責任が改めて厳しく問われるとともに政府に詳しい説明を求める声が強まるのは必至だ。

 さて、この森友問題で、責任が改めて厳しく問われる財務省の人間の中でも、最も責任が問われているのが、佐川宣寿前財務省理財局長(現国税庁長官)です。

 「もう税金払わない」
 「税務調査されても知らぬ存ぜぬを貫けばいいということを、佐川さんが国会で身をもって教えてくれた」
 「税務署員に記録の不備を指摘されたら、うちのもあなたのとこの財務省と同じで短期間で自動的に消去されて復元できないシステムだから許されると、あなたのトップの佐川さんが見本を示してくれてるでしょ」
 「国税庁長官が書類はどんどん捨てられるって言ってるのに、どうして私たち納税者だけ書類を保存しておかないといけないの?」
 「来年2~3月の確定申告で、私たち個人事業主は『書類は廃棄済みで、復元できません』と言えばいいんでしょ」
 「納税者には書類を出せと偉そうに言うのに、財務省、国税庁は書類出さなくて許されるどころか、佐川さんのようにいちばん偉くなるなら、納税者も種類を最後まで出さない人がいちばん偉いってことでしょ」

 などなど、いま税務署には佐川氏をめぐる苦情が殺到しています。こうした中で、国公労連加盟の全国税労働組合(国税庁職員で作る労働組合)が佐川国税庁長官と団体交渉を実施し、その内容を機関紙「全国税」が次のように報道しています。

〈長官団体交渉〉職員が苦情の矢面に佐川国税庁長官 職員へ謝る姿勢なし機関紙「全国税」2017年10月25日(※PDFで読むことができます)


 全国税は10月4日、佐川長官と今年度第1回目の交渉を行いました。交渉では、職員の労働強化をやめ、人事や賃金などの労働条件改善を求めました。

 また、交渉冒頭には、佐川長官の理財局長時代の国会答弁を基とした納税者からの批判の矢面に職員が立たせられていることを指摘しましたが、職員に謝る姿勢は見られませんでした。

 全国税委員長 佐川長官の理財局長時の森友事件に関わる言動に国民から批判があり、職員は批判の矢面に立たされている。現場で苦悩する職員へ、何らかの言葉を発するべきだ。

 佐川国税庁長官 職員の皆さんが高い使命感を持って職務に精励していることに感謝申し上げる。事務の簡素化、効率化に務めながら、職員の健康にも配慮し、明るく風通しのよい職場を作りたい。

 全国税 法定外資料を提出した納税者から、「来年からは提出しない。信用できない」と言われた。消費税無申告事案の調査で、領収書がない仕入税額の否認では、「おたくのトップは認められるのに」と言われた。

 総務課長 今後とも適正な職務に努めてほしい。

 佐川国税庁長官は、就任会見も開かず、国民に一切謝る姿勢がないわけですが、佐川国税庁長官のせいで現場の国税庁職員が国民からの苦情の矢面に立たされているのにもかかわらず、職員に対しても謝る姿勢が全くないことがわかりました。言うに事欠いて「明るく風通しのよい職場を作りたい」などとよくも言えたものです。

 国民から税金を徴収する国税庁の権力は絶大なものがあるだけに、公平性が最も求められるのが国税庁であり、財務省です。その国税庁のトップが森友への値引き6億円を、「記録がない」「記録は破棄した」「電子データも復元できないシステムになっている」では、納税者である国民が納得できないのは当たり前ですし、国税庁職員の税務調査にも支障が出てくるのも当たり前です。そして、実際に国民の苦情の矢面に立たされるのは現場の国税庁職員で「自らに非のない苦情で職員は苦しんでいる」わけで、一刻も早く佐川国税庁長官はトップの座を退き、森友への値引き6億円の真相を国民に説明すべきです。

▲上記署名へのリンク

 

(井上伸)

2017-10-25 10:14:28

衆院選の民意は安倍退陣=安倍政権の少数派支配を可能にする小選挙区制という魔法の装置

テーマ:その他(雑感等)

 今回の衆院選挙の結果について、「自民大勝」や「自民圧勝」などという見出しが全国紙を飾っていますが、相変わらず、実態は「安倍政権の少数派支配」にほかなりません。

 



 上記の右の表は、Primus Pilusさんが「全国統一区で完全比例代表制(ドント式)で465議席だったら、各党の議席数が何議席になるか調べてみた。」ものです。そうすると、自公の合計で「215議席」になりますから、3分の2どころか、過半数の233議席にも届いていないのです。なので、選挙制度さえ民主的ならば、安倍政権は退陣だったわけです。

 このことは、私が行ったインタビューの中で、中野晃一上智大学教授が次のように指摘しています。

 少数派支配を可能にする「魔法の装置」=小選挙区制

 小選挙区制の構造的な欠陥は、「多数派支配」という体裁はとっていますが、実際には「少数派支配」を可能にするシステムであるという点にあります。

 小選挙区制での選挙結果のほとんどで相対多数の票は、絶対的に見れば少数なわけです。今回の選挙でも有権者の自民党への絶対得票率でみると、比例代表制は17%、小選挙区制は24%ですから、自民党に投票した有権者は4人に1人にも達していないわけです。それを小選挙区制は議席の上では多数派に変えてしまう。そういう意味では小選挙区制は「魔法の装置」といえます。

 この「魔法の装置」による結果をもって「多数派支配」だとか、「圧勝」だと言われても、本当の意味での民意が表出されている議席ではないわけです。

 民主主義とは別物の小選挙区制

 民主主義というのは、みんなで決めようということが原点にあるわけですから、そもそも民主主義は単なる「多数派支配」とも違います。もちろん実際にはみんなですべてを合意するのは難しいから、多数決を便宜的な手段とすることに一定の合意がある場合もあります。しかし、多数決でさえなく少数決になってしまう小選挙区制の選挙結果はもう民主主義とはまったく別物であると言わざるを得ません。ここに小選挙区制がもたらす大きな問題があると思います。

 [安倍政権の少数派支配 ? 多数決さえなく少数決となる小選挙区制は民主主義とは別物|中野晃一上智大学教授]

 今回の衆院選の「自民大勝」「自民圧勝」という結果も、この「魔法の装置」である小選挙区制によって作られた「安倍政権の少数派支配」です。安倍政権は「少数派支配」にもかからず、この間、憲法違反の戦争法や共謀罪などを強行してきたわけで、この点からも安倍政権は民主主義の破壊者です。加えて指摘すると、こうした民主主義とは別物の小選挙区制度下の今回の選挙においても、上の表の左にあるように、自公は318議席から313議席へと前回より減って、改憲阻止勢力は38議席から69議席へと今回は増えているのですから、そういう意味でも今回の選挙結果の内実は「自民大勝」「自民圧勝」などではないのです。

(井上伸)

2017-10-18 17:25:28

安倍政権5年の激増ベスト3は富裕層資産・大企業役員報酬・自民党への献金

テーマ:経済・財政・税制の問題

 自民党のホームページによると、衆院選の公示日の10月10日に、安倍首相が第一声で、5年間にわたる経済政策アベノミクスの成果を「客観的な数字を挙げながら、わが国の経済が確実に回復していることを強調」したとのことです。

 それから、自民党の「衆議院選挙公約2017」には、「全力を傾注したアベノミクスの5年間。いま、多くの指標が示す通り、わが国の経済は確実に回復しています。」として、「アベノミクスの加速で、景気回復・デフレ脱却を実現します。」とあります。

 それでは、5年間にわたるアベノミクスの成果を客観的な数字を用いて一つのグラフで表現してみましょう。

 



 上のグラフにあるように、5年間にわたるアベノミクスの成果のベスト3は、2倍増となった富裕層上位40人の金融資産、1.8倍増となった大企業の役員報酬額、1.7倍となった自民党への企業・団体献金です。

 アベノミクスの成果は、富裕層と大企業役員と自民党の所得倍増計画の成功ということです。富裕層と大企業役員の所得倍増計画をやってくれる自民党に献金が集まるという、ものすごくわかりやすい構図ですね。

 そして、労働者・国民には、貯蓄ゼロ世帯増、過労自殺・精神疾患の労災件数増、非正規雇用増、ワーキングプア増、文教予算減、実質賃金減、家計消費減、労働分配率減が押しつけられています。

 このアベノミクスを、自民党の公約通りに「加速」させると、上のグラフのそれぞれがさらに伸びることになるわけですから、富裕層・大企業役員・自民党にもっと富は集中して、労働者・国民には賃下げ・貧困・過労死がもっと押しつけられることになります。

 今回の衆院選は、労働者・国民の命と暮らしがかかっているのです。自民党を支持して得するのは、富裕層と大企業役員と自民党だけです。

 【※上のグラフは安倍政権の5年間で増減が著しい統計データの推移を見たものです。今の安倍政権は2012年12月26日に発足していますので、2012年の数字を100とした場合の直近データの指数で示しました。出典等は下の表を参照ください】

 

(井上伸)

2017-10-13 20:27:22

前川喜平さんインタビュー「衆院選は加計森友隠しの安倍政権に審判下すチャンス」

テーマ:公務員バッシングを考える

 安倍晋三首相と昭恵氏の「お友達」なら、国有地が特別に値引きされ、獣医学部の新設も特別扱いされる国は法治国家とは言えません。加計学園疑惑を告発した前川喜平さんにインタビューしました。(収録日=10月4日。3時間に渡ったインタビューの中から衆院選に関わる一部を紹介します。インタビューの全体は月刊誌『KOKKO』12月号に掲載します。聞き手=国公労連教宣担当部長・井上伸。「国公労新聞」2017年10月10・25日合併号より)

 



 加計・森友のロンダリング

 ――安倍首相が「国難突破解散」として衆院選となりました。これをどう見ていますか?

 何を国民に問うための選挙なのか、今なぜ解散なのか、安倍首相の説明は理解できません。私は加計・森友学園など安倍政権が抱えている権力私物化の問題をロンダリングするための解散だと見ています。もし今回の選挙で自公与党が過半数を確保すればこの問題をオールクリアできると安倍首相は思っているのではないでしょうか。

 一方、国民の側から見れば、加計・森友問題はもちろん、この5年弱に渡った安倍政権に対する審判を下す大きなチャンスが与えられたということでもあると思います。

 憲法に違反し国会召集せず

 マスコミも「加計・森友隠し解散」と指摘していますが、解散の前段から「加計・森友隠し」は行われていました。憲法53条には衆院ないし参院の4分の1の議員が国会召集を求めたら内閣は国会を召集しなければならないと明記しています。

 立法府が行政府をチェックするための国会召集を、安倍政権は3カ月も放置しただけでなく、臨時国会の冒頭で何の審議も行わずに解散したのです。この明確な憲法違反についても国民は審判を下す必要があります。

 ――安倍首相は、消費税増税を教育の無償化などに使うための解散・総選挙とも言っています。

 無理矢理こじつけたとしか思えません。安倍首相は改憲ともこじつけていますが、そもそも教育の無償化のために憲法改正は必要ありません。

 イージス・アショア1基で奨学金10万人分

 それと国民に耳障りのいい選挙公約はないかということで思いつきで教育の無償化を言っているだけでしょう。イージス・アショアは1基で700~800億円です。たとえば、来年度から本格実施される「給付型奨学金」は2万人が受け取ることになっていますが、イージス・アショアひとつで10万人ぐらいの奨学金がカバーできるのです。でも「イージス・アショアのために」と言うより、「教育の無償化のために」と言った方が国民受けが良いという思いつきに過ぎないと思います。

 それから、消費税増税や教育の無償化の前にやるべきことがたくさんあると思っています。

 消費税は低所得層ほど負担が重い逆進性がありますから、私は税制全体を改善する必要があると思っています。自分達の税金をどう使い、税金を誰からどのように取るのかは民主主義の基本的な問題です。ところが選挙で税制を全体として考えるということがほとんどないわけです。消費税をどうしますかということがあっても税制全体をどうするかということがない。法人税が引き下げられていますが、内部留保を何百兆円も抱えている大企業をそのままにしていていいのでしょうか。所得税や相続税についても国民全体で議論すべきです。

 日本の「国難」は格差拡大

 私が学生の頃の昭和50年代は高い累進税制で、所得税の最高税率が75%、住民税も累進制があって最高税率18%、合わせて93%でした。お金を儲ける人は社会に貢献してくださいという考え方で、人間生きていく上でそんなにお金は必要ないでしょう、そのかわり、福祉や教育に使いましょうということだった。これがこの40年の間で変わってしまって、金融所得の多いお金持ちほど税率が低くなってしまった。本当に格差を是正するためには税制全体の累進性を高める必要があります。

 富裕層から普通に税金を集めるべき

 それから、教育に関するところでも富裕層優遇をまずやめるべきです。たとえば、教育資金一括贈与非課税制度です。この制度は教育費に充てるなら、子や孫への贈与は1,500万円まで非課税というものです。孫が4人いるとしたら6千万円の相続税などの節税ができるわけです。すでに1兆円以上が贈与されていて富裕層はこの制度をフル活用して合法的に税逃れをしています。

 このように教育費負担軽減と言いながら、富裕層の教育費を軽減している制度があるので、それをまず見直すべきです。富裕層から普通に税金をもらって、その分を低所得層の教育費負担の軽減に充てる。教育費の中で所得再分配政策をまずやるべきなのです。

 私は日本の「国難」は格差の拡大だと思っています。格差を是正する政策でなければ信用してはいけないと考えています。富裕層優遇の仕組みをあらためないままの教育無償化というのは、結果的にさらに格差を拡大することになりかねないと危惧しています。

 ――「人づくり革命」も持ち出されています。

 「人づくり」という言葉は、人間が生産要素の1つの手段にされてしまうように感じます。一人ひとりが命を持った人間として幸せになれるかどうかが大事なのに、「人づくり」というのは人を客体化していますよね。

 教育の目標は一人ひとりが幸せになることなのですが、そのためにはそれぞれが居場所を得なければいけない。自分にぴったりくる仕事をして、そこで自分の能力や個性を発揮できて、あまり「面従腹背」もせずに(笑い)楽しく仕事ができればいいわけです。

 国家戦略特区の非常に乱暴な議論

 社会の分業の中でどの仕事につくかはそれぞれの適性を伸ばしていく中で調和していけるようにするというのが大事です。社会として一定のプランを立てる必要があるのです。そのためには獣医師はどのぐらい必要かを考える必要もあります。

 加計学園に関わって国家戦略特区のワーキンググループの人間が何を言っているかというと、とにかく獣医学部はいくらでも作って獣医学部同士、獣医師同士で競争すればいい。それで良い獣医師が残って悪い獣医師は負けていけばいい、獣医学部もつぶれればいいという話です。

 加計学園は若者と社会にマイナス

 そんなふうに資格を持った人をムダづかいしていいのかという問題です。ただでさえ日本は少子化でどんどん若者は減っている。その若者を大切に育てなければいけないのにムダな育て方をしてしまう。余るのがわかっていて獣医師を育てるというのは、本人達にとって不幸せなことだし、社会全体にとってもマイナスです。将来の人間の職業がどうなるか、産業構造がどう変化するか、ということを考えながら高等教育のあり方も考えなければいけないわけです。

 そもそも獣医学部のニーズがあるかどうかも問題だし、それがなぜ加計学園なのかということも不明です。加計学園側は「世界に冠たる獣医学部」を作ると言うのですが、実際はそうはならず、最低ラインを何とかクリアする程度でしょう。

 安倍政権は加計学園問題に対する国民の記憶が薄れるのを望んでいる。他のさまざまな問題を並べて国民の気をそらして、時間を稼いでいます。

 安倍政権による国家公務員の「下僕化」

 安倍政権による行政の私物化、国家権力の私物化の疑いはきわめて濃厚で、そのために仕事をさせられた国家公務員は「下僕」になってしまったと思っています。

 憲法15条に「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とあるように、国家公務員は全体の奉仕者としての「公僕」でなければいけないのに、加計・森友学園の問題では「一部の奉仕者」にさせられているということです。

 一部の権力を握っている人とそのお友達のために仕事をさせられている状態というのは、「下僕化」と言わざるを得ません。加計学園新設の仕事というのはそういう仕事だったわけです。国家戦略特区の仕組みの中でも説明がつかない。国家戦略特区の制度がいいかどうかはともかくこの制度の目的は、「国際競争力の強化」「国際経済拠点の形成」なのです。この目的に相応しいかどうかが大前提として検証されなければいけません。

 まず加計学園の獣医学部が「国際競争力の強化」「国際経済拠点の形成」を担うものになるのかがまず問われなければいけないのです。さらにそれを具体化したのが、2015年6月に政府が閣議決定した4条件(①既存の獣医師養成でない構想②ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野で具体的な需要③既存の大学・学部では対応困難④獣医師の需要動向も考慮)で高いハードルを設けたわけです。

 この4条件が検討された形跡はまったくありません。加計学園の獣医学部でやろうとしていることは他の大学でもやっていることで4条件を満たしていない。まともな審査をしていないのです。加えて京産大をはじくために今年1月の時点で来年4月から大学を開学しなければならないという新たなハードルも設けた。わすか1年後に開学できるところなど出てくるはずがないのに加計学園は手を挙げた。1万メートル競走を加計学園だけ5千メートルからスタートしたようなものです。

 この来年4月からの開学は、官邸の最高レベルが言っていることだ、総理のご意向だと聞いていると当時の内閣府の藤原豊審議官が文科省の課長に言った。ものすごく恣意的なやり方で最初から決まっていたわけです。

 安倍首相の特定のお友達に利益誘導した。これは規制緩和でなく特権の付与です。規制緩和というのは全体で獣医学部の規制を緩和してどこで作ってもいいとするのが規制緩和になりますが、加計学園だけ獣医学部を作っていいというわけですから、これは特権の付与です。

 そして、特権だからこそ学生も確保できるわけです。これは薬学部と比べてみればよくわかります。獣医学部も薬学部も6年制で6年間の期間が必要というのは、公的なお金もかかるし、私的なお金もかかる。加計学園だと年間億単位の私学助成もすることになるわけです。学生1人6年間で1,500万円ぐらいの授業料は納めなければならない。公的な投資と、私的な負担が毎年注ぎ込まれることになるわけです。

 加計学園の千葉科学大学に薬学部があるのですが学生募集に四苦八苦しています。なぜ学生が来ないかというと、薬学部がたくさんあるからです。薬学部には新設の規制がかかっていないので、薬学部同士の過当競争が起こっているわけです。それで、千葉科学大学の薬学部の方は定員割れで困っている。それはそもそも規制がないからなのです。

 安倍首相のお友達に特権与えた

一方で、獣医学部の方は規制は残して加計学園にだけ特権を与えるから、薬学部のようなことが起こらないわけです。獣医学部は現在16大学しかなく、獣医学部の入試の競争率は極めて高い。そうすると、加計学園の獣医学部でどんなに学生募集が遅れたとしてもとにかく来年の4月に開学できれば、必ず定員はいっぱいになる。どこでもいいから獣医学部に入りたいという学生がいるからです。だから加計学園の側から言えば、食いっぱぐれがないのです。定員割れで四苦八苦しなくていい。それは規制があるからなんです。そういう特権を安倍首相はお友達に与えたということです。濃厚な状況証拠があることは事実です。

 自民党の二階俊博幹事長が、今回の解散を「加計・森友疑惑隠し」と野党が批判していることについて、「我々はそんな小さな問題を隠したりなどは考えていない」と記者会見で語っていましたが、これは安倍政権と自民党の本音ではないかと思いました。同時に、安倍政権が加計・森友問題を小さな問題と思っているということは、同じような行政私物化、国家公務員の「下僕化」は、今は表面化していないだけで各省庁のあちこちにあるのではないかと危惧しています。

 ――国家公務員の「下僕化」の原因は内閣人事局の存在にあるということでしょうか?

 複合的な要因があると思いますが、そのうちの1つが内閣人事局による幹部人事の掌握だと思います。実質的な権限は官房長官が持っています。私の経験では幹部人事だけでなく、課長の人事に官邸が介入してきたという事実もありました。

 森友学園を巡る問題に関し、国会で「当時の交渉記録は破棄した」などと答弁した財務省理財局長だった佐川宣寿さんが国税庁長官になったり、安倍昭恵氏付職員だった谷査恵子さんがイタリア日本大使館1等書記官になったりで、安倍政権による国家公務員の「下僕化」は極まっています。

 佐川さんは論功行賞で、谷さんは論功行賞であると同時に、国外に置いての「口封じ」という側面も強いと思います。

 いずれにせよ、国家公務員は、「全体の奉仕者」にもとることをさせられているときにどうするかが問われています。現在の無権利状態に置かれている大変不十分な状況の中でも匿名でリークすることはできます。加計学園の問題では匿名で文部科学省の職員がリークしています。その中には私の知らない職員も頑張っているわけです。厳しい現状の中でも何らかの工夫で「全体の奉仕者」としての役割を発揮してもらいたいと思っています。

 ――今回の選挙では、自民党と希望の党、日本維新の会が公約として憲法改正を掲げています。

 私は憲法改正に反対です。とりわけ憲法9条は改正すべきでないと考えています。集団的自衛権を憲法9条のもとで認められるとするのは暴挙です。立憲主義に反しています。

 立憲主義というのは国民がつくる規範があって、その国民がつくる規範で政府や権力を縛る必要があり、その規範が憲法だということです。縛られている側の権力が、縛っている憲法を解いてはいけない。縛られている側がいくらでも解いていいなら縛っている意味がなくなってしまいます。

 憲法が憲法でなくなってしまいナチスの全権委任法のような状態に陥り、どこまでも際限がなくなってしまう。立憲主義を守るというのは権力の暴走を防ぐ最低限の条件だと思います。

 2年前に安保法制が強行成立させられて立憲主義が崩れたわけですが、このままだと際限なく崩れていく危険性があります。

 憲法9条は人類史の成果

 私は安保法制は憲法違反だと思っているし、それを追認するような憲法改正はすべきではないと考えています。憲法9条が国外に行って戦争をしないということの歯止めになっていると思うので、憲法9条を守るべきだと思っています。

 改憲を主張する人は、今の憲法は自主憲法でないとか、日本民族の憲法じゃないなどと言いますが、民族性ではなくて人類史の多年にわたる努力と成果の中で形づくられたものが今の憲法と見るべきです。

 たとえば、憲法9条は1928年のパリ不戦条約にある戦争の違法化など人類の知恵の積み重ねの中で生まれたもので、人類史の中で燦然と輝いているわけです。

 こうした人類の憲法と言える9条をいかに大事にしていくかが問われています。第2次世界大戦後に世界でいちばん戦争している国はアメリカですよ。世界でいちばん戦争をしているアメリカと一緒に海外で戦争をする法案は絶対に作るべきではありません。今のままの9条改憲は集団的自衛権を認めることになるわけで、絶対に許してはいけないと考えています。

 私は現役の文科省職員だった2年前、安保法制反対の国会正門前デモに参加してシールズと一緒にラップコールも行いました。安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合のみなさんと同じ思いを持っています。

 他の国では平気で消防士がストライキを打ってたたかっていますが、日本の公務員は労働基本権が厳しく制限されています。そして、日本ほど国家公務員の基本的人権が過度に制限されている国はありません。表現の自由、つまり政治的行為が強く制限されていて、とても民主的な先進国とは言えないぐらい制限がきつい。そして労働基準法が適用されないのも酷い。政府は「働き方改革」と言うなら国家公務員の働き方をきちんと改善して欲しい。どんどん定員削減はされるし、仕事は増えるし、政治家はいくらでも公務員バッシングしてもいいと思っている。でも、少なくとも団結権と部分的には団体交渉権があるわけですから、国家公務員の労働条件を改善するとともに、国民本位の行財政・司法のために労働組合には頑張って欲しいと思っています。

 

前川喜平(まえかわ きへい) 1955年奈良県生まれ。東京大学法学部卒。1979年文部省(現文部科学省)に入省し、初等中等教育局長、文部科学審議官、文部科学事務次官などを歴任し、2017年1月退任。加計学園問題で今年5月に記者会見し「行政がゆがめられた」と告発。7月には国会で参考人としても告発した。

▼前川喜平さんのインタビューの一部を視聴できます。

 

 

2017-09-27 14:31:28

安倍政権が招いた「国難」=1人当たりGDP20%減、過去最低の世界35位と激しく落ち込む日本経済

テーマ:経済・財政・税制の問題

 安倍首相が9月25日に行った解散表明の記者会見が首相官邸サイトにテキストでアップされています。その冒頭です。 

 5年前、国民の皆様のお力を得て政権を奪還しました。当時、私たちが公約に掲げた大胆な金融政策には大変な批判がありました。しかし、総選挙で勝利したからこそ実行に移すことができた。アベノミクス三本の矢を放つことで日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長。内需主導の力強い経済成長が実現しています。(2017年9月25日 安倍内閣総理大臣記者会見

 安倍首相の話だけを聞いていると日本経済はアベノミクスで順調に成長しているように思ってしまうかもしれませんが、すでに日本経済新聞でさえアベノミクスの失敗を嘆いていることは、「アベノミクス、史上最低の経済政策確定=日本の1人当たりGDPが過去最低のOECD20位、民主党政権時から2割以上落ち込む」というエントリーで紹介していますす。

 そして直近のデータを見てみましょう。

 下のグラフは、IMFデータの「1人当たり名目GDP」と、厚生労働省の出生数です。

 



 上のグラフにあるように、民主党政権の最後の年である2012年のGDPと比べて、直近2016年は20%の減少、2015年は30%も減少し、出生数は2012年と比べて直近2016年は6万人も減少しています。「我が国が直面する最大の課題は、少子高齢化であります。」と安倍首相は昨日の会見で述べていますが、過去最悪の女性差別貧困の拡大等で日本経済を落ち込ませて「少子高齢化という、最大の壁」「国難」を生み出したのが安倍政権なのです。

 アベノミクスが史上最悪の経済政策であることは、国際比較をすれば一目瞭然です。

 下のグラフは、IMFデータの「1人当たり名目GDP」の国際比較です。

 



 上のグラフにあるように、安倍政権になって激しく落ち込んでします。

 下記は国連統計IMF統計の「1人当たり名目GDP」の国際ランキングです。

 



 上記にあるように、国連統計213カ国中の日本の順位は、民主党政権の最後の年である2012年の19位から2014年は35位と過去最低となっています。また、IMF統計190カ国中の日本の順位は、2012年の15位から2014年は27位と過去最低を記録しているのです。

 ほかにもIMF統計の「実質GDP成長率」の国際順位を見ると、民主党政権の最後の年である2012年の135位から2014年は171位、2015年143位、2016年155位と激しく落ち込んでいます。また、安倍首相は「内需主導の力強い経済成長が実現しています」などと会見で言いましたが、国連統計の「実質GDP民間最終消費支出成長率」の国際順位は、民主党政権の最後の年である2012年の128位から2014年は191位と過去最低(直近データの2015年は173位で2014年に続き2年連続でマイナスを記録)となっています。この点については、すでに「史上最悪の消費不況もたらした安倍政権=リーマンショック超えた家計消費支出15カ月連続減、35年間で最低の消費支出となった2016年」で指摘しているように、安倍首相の話はまったく逆だというのが事実です。

 また、安倍首相は今回の会見で、「今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長」と言っていますが、それは下のグラフになります。(内閣府「GDP実質季節調整系列(前期比)」データ

 



 上のグラフにあるように、確かに直近の6四半期は連続でプラス成長です。しかし、民主党政権時の四半期平均0.407%成長に比べて、安倍政権は0.344%成長です。安倍首相が持ち出す統計データで見ても、「力強い経済成長が実現」どころか民主党政権時と比べても低い経済成長になっているのです。

 ウソとデタラメを並び立てるアベノミクスのデータ偽装を、安倍首相はただちにやめるべきです。

(井上伸)

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