湿った火薬庫

基本的に1日1本お勧め映画の保管庫。たまに駄文交じり


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※今回の記事はドクター・ストレンジの重大なネタバレが含まれています。予めご了承ください。
 
梶原です。
もう新年に入って早い物で2ヶ月も終わろうとしていますが、皆さんお元気でしょうか。僕はドでかいやらかしがあったり財布落としたりもう諸々駄目な感じです。全部雪のせいだ(風化ネタ
それはともかく、今回はもう大分時間が経ってしまった感じはありますが、かのMCU最新作にして、新シリーズ第一作を飾るドクター・ストレンジに僕なりに感じたことを綴りたいと思います。僕にとってはこの作品、功夫映画でありながらもSF映画であり、尚且つオッサン頑張れ頑張れオッサン映画だったという中々不思議な一作でありました。

 

 

それ故にものすごーく心に染み入ったというか、滅茶苦茶泣ける作品だったんです。けれど賛否両論というか、結構評価が割れている作品ではありますが、僕に関しては完全賛のスタンスで行こうと考えてますので、あらかじめご了承ください。次いで、ガッツリとネタバレも行う所なので宜しければ鑑賞後、またはそれも了承した上で読んで頂けると助かります。ではかなり長々しい感想になりますが、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。
 
ドクター・ストレンジは功夫映画だと僕はツイッターで呟いた。
我ながら何言ってんだろうって呟きだけど、僕にはこう感じてしまった理由が二つある。この映画の根幹が問題を抱えた人物が武術と魔術という方法を以て己自身の内面に向き合っていくという、スポ根という言い方も出来るが、僕にとっては学生の頃に見てきたジャッキー映画やブルース映画、そして現在の功夫映画の作品群の中に根付いている、格好いい精神性をひしひしと勝手ながら感じ取った事と、ストレンジを取り巻く環境が、戦いだけでなく人生の矛先を教えてくれる師との出会いや、考え方や性格は異なるが信用出来る兄弟子の存在、そして何より自分自身を映し鏡にする様な宿敵との対決が、あぁ、凄く功夫映画……ってなったから。多分僕よりもずっと功夫映画に詳しい人からすると何言ってたんだ阿呆が、木人にするぞって文章を書き続けてるが、もう少しだけ説明させてほしい。
 

僕がドクター・ストレンジで最も好きなシーンが二つある。

それはビルが縦横無尽に変形しまくる戦闘シーンでも、マスコット的にストレンジを守ってくれる浮遊マント君の活躍でも(勿論どっちも最高に好きだけど)でもなく。まず一つはエンシェント・ワンに弟子入りしたしたはいいが、上手く術を発現する事が出来ず、この手ではでは魔術を行えないと嘆くストレンジに対し、エンシェントの愛弟子であるハミヤ誰だっけ? という方はあの眼鏡をかけた小柄のアジアンルックな男性を思い出してほしい。それでも誰だっけ?なら申し訳ないが、エンシェントの要望で失った片手を振るい、見事な術式を魅せるシーンだ。

僕はここに困難だと感じている難関も、自分自身と向き合う事で乗り越える事が出来るという後々の展開に繋がっていく重要なシーンでかつ、思い起すほどあぁ、これぞ正に功夫だ……と思える名場面な為だ。なんかふんわりしているが、実際武術を通じてフィジカル面を鍛える事こそがどんな回り道よりも近道という考え方が非常に端的に示されている演出だと僕は思う。
そしてもう一つ。ニューヨークでのカエシリウス達との決戦の末、熾烈な一撃により瀕死になったエンシェント・ワンが自分の生き死により、ストレンジに道を示す為に現われ、彼と交わす最後の会話だ。完璧に台詞を覚えているわけではないが、それに近い台詞を書き綴りたい。
 
「ストレンジ、貴方が名医になれたのは成功を欲したではなく、失敗を恐れたからでしょう。人の命を失いたくないという、その為だけに」
「あぁ。だからこそ名医になれた」
「ですが、貴方は失敗を恐れすぎるがあまりに、傲慢さと恐怖で自分を誤魔化し、大事な事を学ぶ事が出来なかった。本当に大切な事を」
「それはなんです?」
我より人です。ストレンジ、人を救いなさい。モルドと共に」
 
大分はしょってるしうろ覚えで申し訳ないが、僕はこの後の伝えるべき事を伝えて去るエンシェントの姿も合わせて、これほど清濁飲み込んだ上での師匠役は中々見た事が無い、そして何より、この一連の会話から、ドクター・ストレンジ、もといスティーブン・ストレンジという人がひた隠しにしてきた本性が露わになるから思わずグッと来てしまう。
そう、ストレンジは宣伝文句では散々上から目線だとか傲慢だとか(実際、ERに対して軽んじた発言をしたり、患者を選別してはいたけど)本当は誰よりも小心者で臆病で、弱いだと僕は思う。
だからこそ、才能に見合う程の弛まぬ努力をし続けて、人の命を誰よりも救えるドクターとなる為に人生を捧げてきた。それが図らずしてカエシリウスの部下であるルシアンを殺し(あえてこの表記で)てしまった事を悔やみ、他の方法を模索しようと試みたり、マスターでもミスターでもなく、ドクターと呼ばれる事に執着した理由だと僕は解釈してる。
 
それこそエンシェントの事も(結果的に真実を見抜いたとは言え)心から信じられず疑ったり、独学的に魔術を極めようとしたのは、そんな性格からくる裏返しだったんだと。スティーブン・ストレンジにとって最大の敵というのは、世界を破滅させようとするカエシリウスでも、カエシリウスが欲する闇の力の根源なドルマムゥでもなく、誰よりも人を救いたいという願いを、失敗を恐れるがあまりに欺瞞と慢心で心をコーティングしてしまった、弱い自分自身だったのだ。
そんなストレンジが自分を映す様なカエシリウスを倒す為に転じた方法、それはドルマムゥが参ったというまで永遠アガモットの瞳の力を全力で使い、時間を巻き間戻し続けて死に続けるというお、おまえ、どこまで自分を犠牲にするんだ……! という方法だった。
 
泣いた。
マジでこの方法を選ぶストレンジの決断に泣いたし、何よりストレンジが本当に人を救いたいと自分の殻を破ったのが、こんな不器用にも程があるやり方なのに、僕は堪らず感涙してしまう。死にまくってるストレンジが、ドルマムゥに言う「痛いのは慣れた。勝てなくても、負け続ける事は出来る!という究極の覚悟完了な至言と、自分自身に言い聞かせている様な、逃げられないぞという宣言が堪らなく愛おしい。
そして何度同じ事を言ってんだという話だが、様々な話がある功夫映画だけど、その中でも己の抱える弱さに打ち勝て、というテーマに順じている点でやはりドクター・ストレンジは僕の中では紛れも無く功夫映画なのだ。
冒頭辺りでこの作品を完全に肯定してると書いてしまったけど、僕は正直この作品は優れた作品でも非の打ちようの無い作品だとも思わない。どころか、悪い意味でテンポを崩しまくるギャグの数々や、全部ドルマムゥ頼りにしか見えないカエシリウスの悪役としてのカリスマ性の無さ、そしてヒロイックさとは程遠い終盤の展開と駄目だと、受け付けないという人の意見は凄く良く分かる。
だから、この映画はヒーロー映画とも純粋なMCU映画とも分けられず、とても分類の難しい不思議な映画だと感じてしまうのは否めない。ヒーローを求めにきた人にはスッキリとした気分で帰してくれないし、MCUのアイアンマン一作目やウインター・ソルジャーといった完成度の高いアメコミ映画としては余剰がありすぎる。故に、最終的な結論として、僕にとってこの映画はまるで自分も人も信じる事が出来ない駄目なおっさんが、0の状態から功夫を学んで自分自身の弱さと向きあい、打ち勝つまでの捻くれた、けれど熱い功夫映画なのだ。
願わくばこの先、志は一緒だったが道を違えてしまったモルドと魔術使わないでモルドとカンフー対決してほしい。MCU的にはいや駄目だよかもだけど俺が許す。
 
 
後書きにかえて、僕がドクター・ストレンジを見ている中で、この映画に凄く似てるなと思った功夫映画があるので最後に皆さんに紹介したい。
それはベニーチャン監督の新少林寺/SHAOLINという作品だ。

 

 

この作品でアンディ・ラウ氏が演ずる主人公、侯杰(こうけつ)という軍人ははっきり言えば最低な人物として最初は描かれる。少林寺に逃げ込んだ敵軍の大将を僧侶達の前で撃ち殺し、寺の大切な教えを刻んだ看板に落書きをしたり。右腕である曹蛮(そうばん) を暴力的に威圧し、娘が転んだ際に付き添いのおばあちゃんを激しく罵倒したり。正直ストレンジ以上に傲慢でいけすかない人物だ。しかしそんな彼に影が、影どころか暗雲その物が全速力でぶつかってくる。
曹蛮の裏切りによって自身の目論見が暴かれただけでなく、逃走中に妻を捕らえられ、娘が馬車に引かれて命を落とし、尚且つ自分は殺人犯として首都を追われるという、ちょっとドン引く位の不幸が一気に侯杰へと襲い掛かる。心身ともに虫の息状態になった侯杰がたどり着いたのは、自分があれほど侮辱していた少林寺だった……。というお話。
 
ここから先は是非皆さんに見てほしいのだが展開を掻い摘んで話すと、この映画はあれほど傲慢だった侯杰が、少林寺に出会い変わっていく、という王道にも王道な展開なのだがその過程で侯杰が自分にとって何が大切なのか、そして何を守る為に戦うのかに気づいていくのが、僕にはドクター・ストレンジと重なった。
それも元は善良であった男が、世の中に塗れる内に本当の自分を忘れてしまったのを、修行によって取り戻していく姿にも。それを差し引いても、とても面白い映画なのでストレンジから功夫映画に(いるのかな……)興味を持った方に入門の一本として薦めたいし、面白い映画ってなんかない?って人にも全力で薦めたい。後ついでにモルドを吹替えで担当した小野大輔氏が、曹蛮役で素晴らしいドS演技を聞かせてくれるので小野氏のファンの方にも(クソ雑な勧誘)いやホント見て、皆見て!
 
という所で、最後まで取り留めのない駄文を読んで頂き、本当にありがとうございました!
いつもの画像を張りつつ、梶原でした。
 
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梶原です。

早い物でもう3月も目と鼻の先です。そろそろ春が恋しい季節ですが財布も心も延々吹雪吹き荒れてます。泣いていいですか。
それはともかく、今や季節の変わり目で色々と体に不調が出やすいこの頃ですが、皆さん風邪など大丈夫でしょうか。結構油断してたりすると寒暖差で気づけば……ってなってしまうんですよね。それ以外でも冬から春へは色々気が緩むので、ここで僕が皆さんに取って置きの元気の出るお薬を紹介しようと思い、この記事を立ち上げました。そう、ドニー・イェンさんという最強に元気が出る薬がこの世界にはあるのですよ!!

 

これから11本(本数に他意はありません。ありません)、皆さんが抱えているであろう症状に(勝手な決めつけ)きっと抜群な治療効果を発揮してくれるドニーさんの作品をずらずらと羅列していきます。紹介項目は映画のタイトルを指して薬品名ここが見所な所を効用、最後に特にこういう人に薦めたい、という感じのをこんな症例の方に、という感じで書いていきます。それではかなりの長丁場ですが、最後まで宜しくお願いします。

 

※この記事はガチでお勧めしたいドニーさんの作品を紹介したいだけで滋養強壮とかはあくまでジョークです。本当に体調や精神に不調を感じている場合は仕事や学校を休んで掛かりつけのお医者さん等に相談してください。映画を楽しむには健康第一です。

 

薬品名:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー
あの人気武侠大河ドラマ、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナの外伝的作品。遥か昔の中国、浙江を舞台に義賊、”鉄猿”であるヤンと、武術家兼医者であるウォンが、圧政を敷き人々を苦しめる政府役人による卑劣な罠に勇気と義と功夫を以て果敢に立ち向かう。

 

効用:真面目で正義感の強い、正に理想的なキャラクターであるウォンを全身全霊で演じきるドニーさんの表裏一体っぷりにまず惚れます。特に誤解が解けたヤンと手を組み、ラスボスである和尚と燃え滾る炎陣の中、丸太の上を飛び跳ねながら2vs1で渡り合う凄ましいバトルシーンには、きっと仕事や勉強であーしんどい、綱渡りだなぁ……と落ち込んでいる貴方に、あんな状況でも闘ってるドニーさんに比べれば綱くらい余裕で走れるな!という勇気を処方してもらえる、と思います。
こんな症例の方に:軽い精神的疲労に苛まれている方にお勧めです。

 

薬品名:ドラゴン危機一髪97
のどかな村に突如として現われた、記憶を失った不審な男。興味本位から彼と関わる事になった少年、ワイは次第に男の過去に触れる事となる。しかしそれは、平和だった村を未曾有の危機へと引きずりこんでいく。果たして男の正体は?

 

 

効用:全世界、否、銀河系にその強さを響かせる前のドニーさんが一部界隈でマジやべえ奴がエイジアにいるってよ……!と噂される事になる要因となった、かつては知る人ぞ知る作品であった若き日の代表作。話自体はオーソドックスな記憶喪失の男が実は~な話なのだが、何が何だか良く分からないが凄い勢いに満ちた作風と、とにかく誇張抜きで速い、速すぎて人間の目で追えないドニーさんの連続殴打は何年経っても色褪せない衝撃の真空パック。この目にも止まらぬ伝説連続殴打は見てるだけで腰や肩の凝りが取れます。断言します。
こんな症例の方に:肩凝りや腰が凝っている方にお勧めです。

 

薬品名イップマン 序章・葉問
ブルース・リーの師匠にして、中国拳法の要である詠春拳の一大宗師、イップ・マンの波乱万丈な半生の一部をじっくりと丹念に描く一大功夫ロマン。序章では中国を統制せんとする日本軍の大将を、葉問では親友の師範を嬲り殺したイギリス人のプロボクサーを相手に、人が戦う意味や意義を問う。今年には第三作目にして完結編となる継承が公開予定。

 

 


効用:アクション業界では銀河系最強の地位を確立していたドニーさんが、俳優として熟成し名実共に名俳優としての地位を確立した紛れもない代表作。どんな相手であろうと、詠春拳の型を忠実に、かつ柔軟に繰り出し対抗するドニーさんの演ずるイップマンの姿は某トキよろしく激流に身を任せ同化する柔軟かつ最強のストロングスタイル。しかし何よりイップマンと表裏一体となり、彼の喜び・苦しみ、そして喜びを表現するドニーさんの俳優としての底力に震えます。酷い風邪を引いて気力も体力もダウンしてる時に序章から葉門へと一気見すれば即座に布団から宇宙に飛び起きる事間違いありません。
こんな症例の方に:長引くような悪質な風邪になってしまった方にお勧めです。

 

薬品名:かちこみ!ドラゴンタイガーゲート

恩義によりギャングのボス、マーに仕える用心棒、ドラゴンはある日、ギャングに楯突く血気盛んな若者、タイガーとターボに出会う。当初は敵であったタイガー&ターボと何度も拳を重ねる内にドラゴンは友情を覚え、二人を弟の様に可愛がる様になる。その頃、敵対組織のボス、シブミの企みが俄かに動き始める。

 


効用:初見の人が必ず驚くのが、ドニーさんのサラサラヘアー。華麗に風に靡き、雨も滴るサラサラヘアーを魅せながらド派手に功夫技を繰り出す様は、真面目を絵に描いたアイアンモンキーのウォンや風格溢れるイップ・マンとはまた趣の違う、イケイケドンドンな役を難なくこなせるドニーさんの魅力に気づける筈。また、タイガーとターボに対する不器用ながらも心温まる交流や、二人の危機に満を持して現われるシーンには思わずド、ドラゴン兄貴!!と叫んでしまう事間違いない。最近パソコンとかのせいで目が疲れてるなぁ……という貴方の目もキラキラしながらステキヘアー靡かせるドニーさんを見れば全快回復する事必死です。

(参考図)
こんな症例の方に:仕事等で目の疲れ・疲労が激しい方にお勧めです。

 

薬品名:導火線 FLASH POINT

尋常じゃない正義感が常に炸裂してしまい、ついつい暴力行為が問題視されている熱血刑事、マー。そんな評判も気にせず、今日も元気に捜査に乗り出す。そんな日、同期である潜入捜査官のウィルソンの素性が犯罪組織に暴かれる最悪の緊急事態が発生。かくしてウィルソンを巡り、マーと犯罪組織の仁義なき戦いが勃発する。

 

 

効用:総合格闘技を前面に取り入れたという点で革新的だと評価されるl、ドニーさんの現代刑事アクション三部作の記念すべき一作目。アクションの共同監督を長年付き添っている、日本が誇るアクションコーディネイター、谷垣健治氏がガッツリ手掛けており、ドニーさんが立ち技・寝技を縦横無尽に繰り出す格闘シーンはひたすら圧巻。アクションを主体に置き過ぎて映画としてのバランスが若干悪いのは好き嫌いが出るかもしれません。ですがラスボスとの10分間以上に渡る壮絶すぎる殺陣は本当に一見の価値があります。ひたすら関節を制しまくるドニーさんを見れば関節痛は湿布を張らずとも気づけば完治しています、はい。
こんな症例の方に:関節痛に悩まされている方にお勧めです。

 

薬品名:SPL 狼よ静かに死ね

香港を牛耳る巨大犯罪組織の首領、ポーにより心身に深い傷跡を負わされたチャン。手段を選ばぬ行動に打って出てまでもポーを追い詰めようとするが、組織を壊滅させる為の決定打をいまだに掴めずにいた。定年退職のリミットが迫る中、チャンの引継ぎとして凄まじい強さを誇り辣腕を振るう刑当、マーが赴任してくる。当初はチャンの強引な捜査に否定的なマーだったが、ポーの容赦のない非道さを知り……。

 

(動画は予告編でなく本編のアクションシーンのダイジェストです、割とネタバレ注意)

 

効用:兎に角アクションを徹底的に極めた導火線に対し、警棒VSドスの異種格闘得物戦や、マウントポジションの取り合いを主とした一騎打ち、緊迫感溢れる銃撃戦と娯楽性と物語性を両立した凄まじい完成度を誇るドニーさん主演作の中でもメガヒットとなった現代刑事アクション二作目。特にポーの腹心であるジェットとマーの得物対決はあまりに手数が多い上に速過ぎて、功夫映画だけでなくアクション映画史にさえ伝説として刻まれている程。それだけでなく例えこのまま突き進めば滅びの道と分かりながらも、仁義と宿命を重んじ突き進む男達のドラマとしても見応えがあり過ぎます一本。最近感動する事が無いな、感情揺さぶられたいな……と日々の生活に潤いが欲しい貴方に、非常に強力な劇薬となる事間違いありません。

こんな症例の方に:最近泣いたり感動したりと心が動かされる事が少ない方にお勧めです。


薬品名:スペシャルID 特殊身分

長年一幹部としてマフィア内に潜むベテラン潜入捜査官、ロン。目下の捜査対象であり自らのボスであるホンの尻尾を握もうと務めるが、まだ成果は出せずにいた。そんな折、若手のエリート捜査官であるジンとの共同捜査を命令されるロン。我の道を行くロンに対しきちんとした捜査を望むジン。水と油な二人は果たしてホンを捕らえる事が出来るのだろうか。

 

 

効用:導火線、SPLと続くドニーさんの現代刑事アクション映画三作目にして(現時点では)最終作。正直潜入捜査官としての苦悩とか全然無さそう(一応描写はある)バリバリ武闘派なロンのキャラクターや、アクション面が出色な導火線、娯楽面での完成度がずば抜けてるSPLに比べると話もアクションもぶっちゃけ緩い。ですがですね、この作品のキモはとにかくロンとジンのバディ感、関係性にあります。ジンの若さゆえの未熟さや突っ走る甘さをぶっきらぼうに、けれど優しくしっかりと受け止めて独り立ちさせようとするロン演ずるドニーさんのお兄ちゃんっぷりには思わず甘えたくて仕方なくなります。かちこみ!の兄貴!っぷりもグッドですが、この作品のお兄ちゃん……さも素晴らしく、誰かに頼りたい夜を迎えている貴方にこの二作、処方します。

こんな症例の方に:かちこみ!との2錠投与で人肌寂しい方にお勧めです。


薬品名:孫文の義士団

清朝に不信感を募らせた国民により、情勢が揺れている中国。そんな日、政府打倒を目論む革命派にとって大きな切り札となる人物、孫文が香港に降り立つという情報が流れる。孫文を暗殺せんとする清朝より、多数の暗殺団が送り込まれる事に気づいた革命派のリーダーのチュンは、孫文を守る為に様々な才を持つ者達を集い、義士団を結成。かくして暗殺団と義士団の孫文を巡る決戦が始まる。

 

 

効用:この作品のドニーさんは博打のやり過ぎから奥さんに逃げられたという過去があり、そのせいか目が死んでいて人生捨ててる感が凄い、結構珍しいタイプのキャラを演じています。そんなまるで駄目なオッサンが紆余曲折の末、自分の使命に覚醒めた瞬間のこの時のドニーさんの顔立ちの変化、目付きの澄み切った輝き。これがもうとてつもなく素晴らしく、これがイップマンを経て、スターウォーズへと起用される人の演技力か……と感嘆する事請け合いです。また、尋常じゃない緊張感と使命感から、ドニーさんの映画史の中でもここまで切迫さと切実さに満ちたバトルも中々見ないのでそこも見所。何かやろうとしてもなーんか気だるいな……とアンニュイな貴方の背中を立たせてくれること間違いありません。スパルタ的に。

こんな症例の方に:やらなきゃいけない事があるけどいまいちやる気が出ない方にお勧めします。


薬品名:捜査官X

幾多の事件を解決してきた犯罪捜査官、シュウの元に舞い降りた事件。それは、両替商へと押し入った二人組の強盗が何故か自死したという事件だった。捜査線上に浮かんだのは、店にいて二人組に襲われた為抵抗したという、近隣に住む紙職人のジンシーであった。一見普通の男に見えるジンシーだが、彼にはある重大な秘密があった。果たしてジンシーの正体は。そしてこの事件の真相は?

 

 

効用:秘めた過去を持つ怪しい男という役柄はドラゴン危機一髪97で経験済みなドニーさん。しかして、この映画に於けるジンシー役は詳細は明かせませんがとてつもない重さと辛さを含んだ、見てるこっちが苦しくなる様な凄い難役です。ある種映画でもリアルでも色んな困難を乗り越えてきたドニーさんだからこそ出来る、唯一無二の役柄と言ってもいいかもしれません。これを見た後針治療をすると悩みとか晴れたり晴れなかったり?

こんな症例の方に:針治療に興味がある方にお勧めします。


薬品名:カンフー・ジャングル

武術の心得に深く通じ、警察からも信頼を寄せられる武術家、モウ。が、ある事件が切欠で人を撲殺してしまい収監されてしまう。そんな日、モウと同じく武術に通じている達人達が何者かによって惨殺されていく事件が起きる。この事件に、モウは自分なら犯人を突き止められると警察に談判する。モウの発言にある真意とは。そしてこの事件の犯人の真の目的とは一体。

 

 

効用:文武共に鍛え抜いた師父でありながら、武の有り様に悩み苦しむという、非常に複雑な内面を抱えるモウをドニーさんが時に感情的に、時に情緒的に熱演。例え立派にその道を極めた人間でも間違えるし、失敗もする。そんな人生の酸いと甘さの末の……。まさかの哲学的着地点に向かう展開もさる事ながら、全く見た事の無いアクションばかりなのでもし未見なら是非見てほしい一作です。ついでに竹がいろんな意味で凄くしなるので、竹踏みしながらでもどうぞ。

こんな症例の方に:最近運動していない方に。丈踏みしながらの処方をお勧めします。

 

 


特効薬:スターウォーズ/ローグワン

かの誰もが知る大河SF、スターウォーズのエピソード4、デス・スターを攻略する為の設計図を奪還する為に命の火を燃やした人々の活躍を描く。とある過去を持つ主人公、ジン・アーソは帝国軍に捕らえられた所をレジスタンスと名乗るキャシアンに助けられる。渋々レジスタンスの元へと行くジンだが、その先には世界の行く末をも左右する、彼女自身の宿命が待ち兼ねていた……・。

 

 

効用:この作品でのドニーさんは、レジスタンスの一員として熱心なフォース信仰者でありながら武術の心得を持つチアルート・イムウェなる人物を演じています。このチアルート、ジンやキャシアンにそっと、己の内を越えさせてあげようとしたり、また自らの身を呈して世界の行く末を護ったり……と、まるでドニーさんのキャリアを統括するような本当にありがたや、ありがたや……と今でも思い出して泣いちゃう位素晴らしいキャラクターでした。手前味噌ですが僕自身こんな記事を書いてしまう位には、ドニーさんのキャリアを具現化させた様なキャラなんです。例えればイップマンの慈悲、マーの強さ、モウの思慮深さを兼ね合わせている様な……。勝手な偏見なのは承知でこの記事を読んでる様な人はもうチアルートさんに出会ってそうだけど、これからも劇場でもソフトでもいい。彼に導かれてください。チアルートさんはいまもそこにいます。フォースは我にあり。ありがとうギャレス。

こんな症例の方に:すべてのドニーさん好きの方に。症じゃない、希望です。

 

 

我ながら滅茶苦茶長いし読みにくいな今回!!

本当に最後の最後までこんな良く分からない発端から出来た記事を最後まで読んで頂き、大変ありがとうございました!けれど本当、何か元気が欲しくなった時に元気に動いてるドニーさん見ると大概回復するんですよ。

これが切欠で少しでも皆さんがドニーさんの興味をもたれたら、かつ、辛い時や苦しい時に励みになるのならば、僕は本当にこれを書いた甲斐があります。改めて最後まで読んだ頂き、ありがとうございました。

梶原でした。

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梶原です。

まずはあけましておめでとうございます。だらしなさが祟って2016年に間に合わなかったですね。参ったねぇ。

それはともかく、これから残りの上位20作品と僕的には割と見るのを後悔したレベルのワースト3を、それぞれの予告編付きとコメントでご紹介したいと思います。

ここからのベストに関しては、紹介文と共に僕の中で心に残ったベストシーンを付け足していこうかと。、ワーストに関しては特に許せない部分を抜き出してお伝えします。

それでは最後までお付き合い、宜しくお願いします!!

 

~20位~

太陽

 

SRシリーズやロックンロールは鳴り止まないっ等のイタくて切ない青春映画の名手で知られる入江悠監督が次に手掛けたのは、人気劇団イキウメが原作のまさかのSF映画だった。ウイルスによって人類の大半が死に絶えた末、ノクスとキュリオという二種類に分断された世界を舞台に、キュリオ側に生まれてきた青年、鉄彦が遭遇する局面と決断を描く。土地も人も荒みきった未来世界は、もしかしたら僕達が迎えるかもしれない未来かもしれない。鉄彦含めて、大人になりきれない子供と大人になりたい子供の哀しい世代間闘争にも僕には見えた。この作品全体に漂う一種の「幼稚」さは、僕にとっては心に染み入る物だった

☆マイベストシーン

どうにもならない事態を向かえた時の、鉄彦の獣のような叫び声。

このシーンがある種最も、この映画に於ける幼稚さを示していると思う。人は子供に戻るといやでも大声を上げたくなるから。君の名は。とは全く違うベクトルの人物を演じきった神木さんには尊敬しかない。

 

~19位~

HiGH&LOW THE RED RAIN

 

THE MOVIEから続くHiGH&LOWの映画版第二作。人気キャラクターの雨宮兄弟を主人公に、突如姿を消してしまった長男、尊龍の行方を追う内に自らのルーツに兆す戦いに巻き込まれていく兄弟の死闘をスタイリッシュに描く。雨宮兄弟が披露する、現代アクションにフォーマットされたガン=カタや尊龍が繰広げる香港映画リスペクトが素晴らしいド派手な銃撃戦、何より前作のお祭り映画的だったTHEMOVIEからグッと登場人物を減らした事により、初見の人でも感情移入しやすい分かりやすく熱く泣けるアクション映画になっているのがグー。地獄甲子園とか珍遊記等のギャグ映画が目立つ山口雄大監督だけど、僕が思うにこれが現時点での最高傑作だと思う。

☆マイベストシーン

壮絶な銃撃戦の中で、尊龍が次男と三男に強く生きろと回想込みで語り掛ける所。

拳は大切なものを守る為に使え、俺を壁と思えとかの名言が多い尊龍お兄ちゃんだけど、キャッチコピーでもあるこの台詞が出てくる所は純粋にマジで熱い。何だかんだ三作目楽しみ。

 

~18位~

アイアム・ア・ヒーロー

 

冴えない日々を鬱々と過ごす漫画家アシスタントの英雄。恋人との関係が冷め切るというトラブルを除いて、変わる事のない日常を送り続けている、筈だった。そんな恋人が怪物と化してから、英雄の日常はゾンビで溢れる地獄の非日常と化す。同名の人気漫画を大泉洋さん主演に日本でもしもゾンビ映画を本気で作ったら?に応える、割とガチでこれを超える作品が出てこないんじゃないかという、純国産ゾンビ映画。寄生獣で一躍名を轟かせた特殊造詣のスペシャリスト、藤原カクセイさんのとにかくやりすぎグロすぎな人体損壊描写が本当に最高過ぎる。英雄が英雄となるまでの成長物語も、駄目人間の僕としてはグッと来た。

☆マイベストシーン

終盤、襲い掛かってくるゾンビどもを皆殺しにする為、防御アーマーとして付けていた大量の腕時計を英雄がパージする場面。ここはコマンドーとかアジョシに於いての銃調達シーンに並ぶ、「男が戦闘態勢を整える」劇燃え展開に新しい歴史を刻んだと思う。

 

~17位~

デッドプール

 

アメコミ界のあらゆる意味で暴れん坊、デッドプールがまさかの単独映画化。一体どれだけ滅茶苦茶弾けた話になるかと思われ蓋を開けてみれば、驚くべき事に非常に一本筋が通った正統派アメコミ映画になってたから驚いた。第四の壁も流れる様なギャグ会話もあるけど、壮絶な病に冒された男が、愛する人の為に何が出来るかというシンプル極まる話には、最近(勿論嫌いじゃないけど)の複雑化してきたアメコミ映画に対する心地良いカウンターパンチとなったと思う。個人的にブレイド一作目に並ぶ傑作の一作目でした。

☆マイベストシーン

アクロバティックなバトルシーンとかアメコミ物をおちょくるメタ台詞とか取上げたいのは幾らでもあるんだけど、やはりウェイドとヴァネッサが再び巡りあうあのラスト。照れくさそうなウェイドの語りも素晴らしいんだけど、ここを見て改めてこの映画がヒーロー映画である事にも気づかせてくれる。そして最高のエンディング曲をありがとう,ジョージ・マイケル……R.I.P

 

~16位~

ちはやふる上の句/下の句

 

あまり馴染みのない学園青春物という事で、本音を言えばあまり興味が沸かなかったのだがツイッターで仲良くして頂いている方達の熱量の高い感想に惹かれて鑑賞。結果大号泣してしまった、ある種今年最もダークホースな作品。千早が新しい仲間を揃えていくまでのワクワクするチーム集め映画として、一秒の油断で勝敗が決してしまう、超シビアなスポーツバトル映画として、そして何より机君という自分の世界に篭っていた青年が仲間の手を借りてり新たな世界を開いてゆく、友情映画としてと、多面的な観点で楽しめた世辞抜きで万人向けのエンターテイメント映画でした。

☆マイベストシーン

再び自分の殻に篭った机君をカルタでエアビンタする千早という図。ビンタとは書いたけど、ここからしっかりと各々が持つ持ち味を活かして形勢逆転していく流れも非常に秀逸だった。水沢一勝!っていつかリアルで言ってみたい。

 

~15位~
アズミ・ハルコは行方不明

 

特に未来への進展も夢も無く、ぼんやりと生きているハルコと、貪欲に繋がりを求めるアイナという二人の女性の物語を軸に、この国に於ける女と男の関係性をこれでもかとエグくエグく抉り出す、構成のトリッキーさの陰にドス黒い批評性を秘めている恐ろしい作品。特にハルコのパートの何か悪い事をした訳でもないのに坂道を転げ落ちていく様は、男である僕ですら身震いするほど。しかしそういうクソッタレな現実を超えた先の「だから、幸せに生きるのが最高の復讐」という台詞がとても心に染みた。し、何だかんだ生きてやろうじゃん。という元気を貰えた、気がする。リップヴァンウィンクルと合わせて現代に生きる女性映画として見たい。

☆マイベストシーン

どことは言えないけど、あの「疾走」一択。あのシーンには、女子高生は若くて幼い、という皆持っているであろう固定観念に対して思いっきり中指を立ててたのが最高にグッと来た。加えて、映画というのは走るシーンさえ興奮できれば名作だというのも。

 

~14位~

ドント・ブリーズ

 

人の住処を荒らすこそ泥三人組。次に計画を立てたのは、元軍人である盲目の老人の自宅。どうせ何も見えてねえジジィだし楽勝楽勝と意気揚々に挑んだ最後の仕事は、やがて最悪の一夜を迎える事になる。登場主要人物が述べ四人、最初から最後まで実質舞台は家と周りの敷地だけという限定的にも程があるシチュエーションながら、一切気を抜く事の出来ない最上級のパニックバイオレンススリラーに作り出した監督の手腕に唖然。そしてまさかの倫理的嫌悪感すら催す展開に突っ込む容赦の無さにも驚かされました。

☆マイベストシーン

盲目の老人の銃の使い方はほぼ全てベストシーン。特にスマホの着信音を聞いて正確にスマホを撃ちぬいたり、誰がとは言えないけど百発百中で人の頭を打ち抜く腕前にはなんかもう感動してしまった。後、リボルバー用意する所のね、もう絶対許さねえぞお前ら感ね。

 

~13位~

ディストラクション・ベイビーズ

 

喧嘩が大好きで大好きでどれだけボコボコメタクソにされようが立ち上がって、相手を屈服させるまで殴り続ける、生まれる時代を間違えている男が間違えてるなりに暴力で世の中を混乱させていく。それだけの話なのに、画面を支配する異常に禍々しい雰囲気と何が起きるか予測出来ない緊張感。90年代の暴力を主題にした邦画ってそんな特徴があるんだけどよもや2016年にその空気感を詰め込んだ作品が生まれるとは思いもしなかった。正に何考えてるのか分からなくて怖い柳楽さん、虎の威を借りるクソガキを素晴らしく憎たらしく演じきった菅田さん、常々不満げに唾を吐いてる様なビッチを演じきった小松さんと俳優陣は皆大熱演でした。

☆マイベストシーン

主人公の泰良がクロスカウンターでヤクザを沈めて雄たけびを上げるシーン。終始本能だけで動いている化物の泰良だけど、あぁ、こういう瞬間の為だけに生きてるんだなこいつ。と変に理解というか共感してしまった。絶対現実じゃお近づきになりたくない人だけど、こういう奴が映画を面白くするんだなぁと勉強になった、気がする。

 

~12位~

バットマンvスーパーマン ジャスティスの誕生

 

とうとうあのバットマンとスーパーマンが真正面から激突してしまう!と予告編の時点で世界を沸かしていた本作。ついに公開となると、そこに現れたのはバットマンもスーパーマンも俺イズムで染め上げてやるぜ!というザックから全世界のファンへの挑戦状だった。とにかく過剰、とにかく叙情的、とにかく強引な展開と、ついてこれるならついて来いよ!という強烈なザックイズムにすっげえ乗る乗る!派とつきあってらんねえ派に世界的に割れる位には凄い物を見させて頂きました。でもジャスティスリーグは正直不安だぞザック。

☆マイベストシーン

これはもうとにかく、フルアーマーバットマンとスーパーマンの誇張抜きのガチンコ殴り合いです。スーパーな戦闘力を多少手加減してるとはいえウェインというか人間相手に振るいまくるスーパーマンもさる事ながら、マスク割れしてまで善戦、どころか後一歩までいったバットマンの格好良さに軽く泣いてしまった。ザックごめん、ジャスティスリーグ楽しみにしてる。

 

~11位~

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

 

ハリウッドに於ける暗部的事件、赤狩りで優れた才がありながらも作家生命を危機に晒された実在の小説家、ダルトン・トランボをブライアン・クランストンさんが憑依一体となって演じきった男気溢れる伝記映画。様々な政治的思惑に翻弄されながらも、親身になってくれる家族や、道はすれ違ったが大切な友人、ダルトンの生き様に心打たれたハリウッドの面々が力となりダルトンに手を差し伸ばす展開には思わず涙。これは銃も刀も出てこないけど、立派なアクション映画です。戦う人の姿は尊い。

☆マイベストシーン

面白いホンを書ける奴に思想も何も関係ないと、ダルトンに脚本を依頼したカーク・ダグラスさんが完成したスパルタカスを見ながら文句を言う輩に「俺がスパルタカスだ」と言い放つシーン。こういう事を言える様な大人になってみたい。

 

ここまでお付き合いして頂き、大変ありがとうございます。

とうとう残り10作品になってしまいました。ここから先は個人的に順位の後に、各映画の印象的だった台詞を大きくピックアップしながらご紹介していこうと思います。もう皆さんそろそろお疲れだとは思いますが、出来れば最後まで寝ながらとかでもいいんでお付き合い、お願いします……!


~10位~

私達はゴースト・バスターズよ!

ゴースト・バスターズ 

 

あの冴えない男達がお手製ガジェットで幽霊退治に挑むゆるふわ名作コメディ、ゴーストバスターズがまさかの主要キャスト全員女性で帰ってきた!な一本。出演者への不当なバッシング等、作品外の所で騒がれてしまったのが不幸なのだが、そんな悪評を吹っ飛ばす位に面白くて楽しい作品だった。現代的に設定を作り直している為、雰囲気自体が緩々なオリジナルに比べると色々と世知辛い話になってはいるがそれはそれで、世間体や既存のイメージより、自分の好きな事を優先していく事を選ぶ人の前向きと強さを教えてくれる良い改変だと思う。熱く泣ける友情には男も女も関係ないのだ。

☆マイベストシーン

ホルツマン先生大暴れとか、ワクワクする四人での特訓シーンとか多々あるけど、やっぱ昔からの親友であるあの二人が、次元の狭間で手を取り合い脱する場面。ここは3Dで見るとあっ、画面からはみ出す仕掛けはこの為に……!と感動する事必死。3D映画で初めて泣いた気がする。

 

~9位~

俺達は悪(ワル)だがお前は邪悪だ!

スーサイド・スクワッド

 

今年最も予告編で期待して、いざ本編を見てみたらあまりの出来の悪さに高低差で耳がキーンとした映画と言われる、映画界のインテリマッスル番長デヴィッド・エアー監督によるアメコミ映画。それぞれで事情も性格も能力も異なる悪人達が、なし崩し的に協力し合うと聞くといかにもエアー監督案件に思えてくるが実際はちょっと生き方曲がっちゃった人達がバーで俺らマジしょっぺえし辛いけど頑張って生きてくしかねえんだよな……という、エアーのちょっといい話みたいな生温い内容に。はい、僕はとても好きです。駄目なら駄目なまんまで良いんだよね。自分を肯定できるのなら。

☆マイベストシーン

ウィルさんが演じる事になったからか、冷酷な暗殺者な筈だけど割と話も分かるし常識人というまともな人なデッドショットさんが幻想を見せられて唯一感情を露わにする場面。そこからのLOVE。世界はLOVE。僕はこの作品にLOVE。世界は愛で回ってる。

 

~8位~

フォースは我らにあり

スターウォーズ ローグ・ワン

 

スターウォーズep4、新たなる希望に於いてデス・スターの設計図が反乱軍に渡るまで一体何があったのか?を鮮明に描く、ギャレス・エドワーズ監督による意欲的にも程がある外伝作。目付きの悪いはぐれ者連中が、ある者は父の無念を晴らす為、ある者は自分自身を変える為、ある者はフォースの存在を信じる為と己の事情を秘めつつ成功不可能なミッションに挑む姿にただただ泣けてしまう。キャッチコピーで使われている希望という単語だけど、その言葉の背景にとてつもない絶望とそれに負けない様に奮闘する人々の姿が見えるのが、ローグ・ワンという作品の特徴だと僕は思う。

☆マイベストシーン

一秒でチアルート、と答えたい所だけど単独記事にすらぶち上げてるから、やっぱ主人公のジンとパートナーのキャシアンの、最初はギスギスしてたけど次第にお互いを信頼しあうのが分かる会話があぁ、良いなぁ……と響く。「私は一人ぼっちだった」「今は仲間だ」、「誰かに届いてるかな」「届いてるわよ、きっと」とか、五臓六腑に染みる。

 

~7位~

諦めず最後まで、この国を見捨てずにいこう

シン・ゴジラ

 

とにかく情報量、テンポの良さにおいて邦画と洋画をひっくるめてもこの作品に迫れる作品は無かったと思う。それ位圧倒的にディティールに拘っている庵野監督の尋常じゃない執着心が、却って物語の構造をシンプルにしていてこれ以上無く立派な怪獣映画にしている本当に稀有な映画。日本対虚構という洒落たキャッチコピーが本編を非常に端的に示していて、殊更ゴジラが放ったあの一撃はあまりにも凄すぎて虚構に思えなかった。僕自身ゴジラに造詣が深い訳ではないけど、複数回見てしまう位には嵌ってしまった。誰もがここまで売れる作品になると予想していなかったという点で、正に今年の怪物、もとい怪獣枠でした。

☆マイベストシーン

もうネタバレ……ネタバレしていいかな、すみません。終盤のヤシオリ作戦での巨災対とゴジラの瀬戸際での凍らせられるか全滅するかの超瀬戸際の死闘。この死闘は完全に邪神に挑む人間という構図だった。無人在来線爆弾やビルドミノアタックとかの特撮ギミックに、庵野監督の楽しそうな顔が浮かんでくるのが本当に良かった。

 

~6位~

忘れちゃいけない人、忘れちゃ駄目な人……君の名は―――――――

君の名は。

 

秒速5センチメートル等の徹底した美意識によって作られたリリカルなアニメでコアなファン層を獲得している新海誠監督が東宝から招かれて一般層にも届く娯楽大作を作ってみたら本当に一般層に馬鹿ウケしてしまった、脅威の怪物枠その2。どこにでもいる少年少女の魂が入れ替わり、互いの生活を堪能するというジュブナイルSFから一転、大好きになった女の子を救う為なら発電所もぶっ飛ばすし時間も遡るぜ!という少年ヒーロー物(僕フィルター)に鮮やかに切り替わる瞬間が物凄く快感でした。後、彗星見ると綺麗とかより怖いってこれ見た後だと印象変わっちゃうんだけど、皆どう?

☆マイベストシーン

三葉(と瀧くん)が誰も欠かさずに救う為にとにかく疾走、疾走、疾走し続ける所。こんなにエモく走るシーンを見たのは初めてかも。その末の劇中曲のスパークルがサビになった途端の流星群。そして隕石落下。ここだけでもあっ、なんか凄い物見た……ってなりました。はい。

 

~5位~

これがお前の落とし穴だ

クリーピー 偽りの隣人

 

どこにでもありそうな住宅街に、悪魔のいけにえを一人地でいく殺人鬼が潜んでいた……という、黒沢清監督が現代的な殺人犯を描くとこんなとんでもない映画になってしまうんだなってのが最高に弾けた形で理解出来る、あえてこう表現したい今年一番の怪作。主人公らしい行動をしている筈なのに他人事みたいな表情の高倉と、あからさまに変すぎるおじさんなのに謎のカリスマ性を放つ殺人鬼西野の、あくまで低体温な一種即発の殴り合いがどうしようもなく黒沢清的で本当に堪らなかったです。拳銃の使い方が近年の黒沢映画の中でも格好いい部類なのも好みでした。

☆マイベストシーン

やっぱりいきなり世界が変容する、高倉の部下の野上が西野宅に侵入して地下室への廊下を覗いてしまう場面ですね。あのえっ?っていう瞬間から一気に映画としてのボルテージが暴走していくのが本当に楽しかったです。地下室!注射器!拳銃ってね。最高。

 

~4位~

ありがとう、この世界の片隅にウチを見つけてくれて

この世界の片隅に

 

戦争の影が忍び寄っている広島の呉を舞台に、生活能力が高くて逞しいけど、どこにでもいる普通の女性であるすずさんが食べて、泣いて、恋をして、日常を懸命に生きていく様を驚異的なアニメーション手法で描く人間ドラマ。どうしようもない悲劇が突然襲ってきても、前を向いてしっかりご飯を食べて生きていくこと。そういう平凡さの大切さをすずさんは僕達観客に痛い位、それでいて優しく教えてくれる。この作品に関してはもう宇多丸さんのこの一言で締めたい。クラウドファンディングに参加しとけば良かった~~~~~!と。この映画に携る片隅になりたかった……。

☆マイベストシーン

思い出の詰まっている右手を、すずさんが布団のなかでじっと眺めているシーン。爆弾は一瞬で人の影すら消してしまうけど、その影の中では数え切れない思い出や念が込められていると思うと、之ほど戦争の怖さを示している演出も中々ないと思う。故に、日常の平和さが際立つ。あ、後ね、泣いてばかりじゃ勿体ない、塩分がね!

 

さて、とうとう後残すはトップ3になってしまいました。

その前に閑話休題。ここでワースト3を先にご紹介しましょう。今年の許すまじ映画はこいつらだ!

 

61位 ハイ・ライズ

近未来。巨大な高層マンションで住民間での世代間抗争が始まる……というそそる概要を期待してみれば、全裸でベランダに佇んだりペンキ塗れになったり犬食ったりするトムヒと剥き出しにされる頭蓋骨とプールで溺死させられる犬と万華鏡のなかでリンチされるルクエヴァと、露悪的なだけで面白くない演出と肝心の抗争をすっ飛ばすアホか?アホなのか?な構成が合わさってひたすらただ眠くなるだけの一本。ぶっちゃけ抜けないAVみたいな。だって濡れ場ないんだもん

駄目駄目ポイント:演出。小手先で何かやる前に話をまず面白くて……。

 

62位 ガラスの花と壊す世界

人類が滅んだ後の世界。そこではプログラムが世界の保持を行っていた。そに突如として認識不能のバグが現れ……という壮大な世界観を60分弱で描く、そりゃあ尺足りないだろと思ったら本当にたりてない。尺足りてない、キャラの書き込み足りてない、演出の繊細さも足りてないのダメダメナイナイ1時間。見た事ない1クールアニメの駄目な総集編を見てるみたいな感覚だった。特に人間の業を垣間見る主要キャラ三人の表情が口をポカーンと開けてるだけのクソ演出にはひっくり返りそうになった。1クールあってもこんな演出しちゃうスタッフじゃ駄目だったかもね……。後、パンフ2000円って何?貴族なの?

駄目駄目ポイント:総合的に。にしても60分って無茶振りだよなぁ……。擁護はしないけど

 

それでは栄えあるワースト1位を発表します!それは

 

63位 仮面ライダー1号

俺が見たかったのは例え年齢を重ねて体が衰えても、平和の為にショッカーと戦いを繰広げ、子供達に夢と希望を与える初代ライダーこと本郷猛の姿だった。しかしスクリーンで目の当たりにしたのは、他人にはやけに厳しいけど孫娘にだけは異常に優しい海原雄山みたいな変なオッサンが、最初から最後まで名言っぽいけど別にそうでもない言葉を宗教の押し売りの様にぶつけてきた挙句、無理やり聖書みたいなのを押し付けて笑顔で帰っていく、そんな斬新なプロパガンダ映画だった。もう藤岡さんはジャングルに篭っててほしい。好きな人には大変申し訳ないです。

駄目駄目ポイント:もう全部。井上先生は藤岡さんに飯でも奢ってもらったんですかね?

 

はい、厄落としはこれくらいにして、遂にトップ3を発表します!!

 

~第3位~

ありがとう、楽しい旅だった

ダゲレオタイプの女

 

ドレミファ娘の血は騒ぐから何十年、念願叶い、遂にフランスで映画を撮る事となった黒沢清監督による黒沢清の為の黒沢清映画。外国映画の筈なのに、観客に提示されるのはカーテンを揺らす不吉な風、殺風景を歩く男の横移動、不自然な姿をする幽霊、突然出てくる拳銃という、どこを切っても純粋な黒沢映画のアイコニック。例え撮る国が変わろうと、黒沢清は変わらず黒沢清その物である事を知れた事がとっても嬉しい。嬉しいし、もっと黒沢監督のほかの国の映画も見たい。アメリカとかドイツとか。その前に散歩する侵略者をもう早く見たい。

☆マイベストシーン

主人公のジャンがヒロインであるマリーの亡骸らしき物を車に連れ込む、というかジャンとマリーの車描写全般。特に、マリーらしき物を布で引きずりながら車をドリフトさせるジャンの何が何だか良く分からないが凄い事が起きてる感は正に黒沢映画。生と死の境界線は黒沢映画には存在しない。

 

~第2位~

君に生きるのを、手伝ってほしい

聲の形

無自覚の悪意を持つ、誰もが通り過ぎる小学生の頃に犯した罪から自分で自分を殺してしまった少年、将也。本当は伝えたい事で溢れてるのに自分で自分を罰し続けて声を失ってしまった少女、硝子。そんな二人が不思議な因果で再会し、互いの姿を通して自分自身を許してあげられる様になるまでの物語。どこまでも不器用で繊細な子供達が自分達なりに出来る事を精一杯やりきる姿にまず号泣するし、その末に将也がやっと自分の居場所を見出せた瞬間にはスクリーンが見えなくなった。誰もが誰かを必要としてる。そうして世界は回る。

☆マイベストシーン

数え切れないほどあるけど、やっぱりあの橋の上で将也と硝子が再び出会えるシーン。硝子が将也に伝える、きっと最初で最後の長台詞には硝子が今まで抱えてきた人生の重みがあった。そんな難しいにも程があるシーンを演じきった早見沙織さん。もう大女優だけどこれからも大女優です。応援しています。

 

 

~第一位~

中華街で、会おう

さらば、あぶない刑事

僕はあぶない刑事の熱心なファンでもないし、館さん・柴田さんのファンでもない。これを見にいったのは、かつて松田優作さんと手を組み凄まじい名作を作り出してきた村川透監督と、邦画界で知らぬ人はいない歴史的カメラマン、仙元誠三さんが、あの黒沢満プロデューサーの元に集ったからだ。邦画の活劇アクションを土台から支えてきた大ベテラン達が集ってつくりあげたこの作品には、映画ってのは楽しくて幸福な気分のまま、劇場を出てくれよという温かな懐かしさがあった。近年のリアリティだとかPCだとかで何かと制約の付いて回る映画に於いて、ここまでリアリティなんて知るか!俺達はやりたい様にやる!を突き通した映画が出来たのは、キャスト・スタッフ,、関わってきた全ての人が映画の楽しみを知っているからだと思う。そういう意味で、僕にとってこの映画は心から映画らしい映画として多幸感に満ちていた。

さらばは寂しいけど、これ以上なく美しい有終の美を飾った製作者全てに、さらば。

☆マイベストシーン

全部。以上。

 

 

という訳で、梶原の2016年映画ランキングは

1位 さらば、あぶない刑事
2位 聲の形
3位 ダゲレオタイプの女
4位 この世界の片隅に
5位 クリーピー 偽りの隣人
6位 君の名は。
7位 シン・ゴジラ
8位 スターウォーズ ローグワン
9位 スーサイド・スクワッド
10位 ゴーストバスターズ
 

でした。今年は映画の神様が常にハードワークしてるかのような、洋画も邦画も最高の作品ばかりの年で、なんか生きてるのも悪くないかな、って真面目に思うくらいに最高の年でした。

来年も映画の神様が頑張ってくれる事を祈りつつ……。こんな長々とした記事を最後まで読んでくれた(本当にありがとうございます!)読者の皆さん、いつもツイッターで仲良くしてくれている映画好きの皆さん、映画を楽しむことを教えてくれた、父さん、母さん、いや、もう全人類

 

 

皆元気で良い年になりますように!

梶原でした!

 

 

 

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梶原です。

とりえいず新年明けましておめでとうございます!!皆さんもうやり残した事、悔いなどはありませんか?僕は早速2016年ベストを2016年に出来ず年を迎える大失態を冒しました!悔いしかねえ!

 

……それはともかく、2016年は邦画も洋画もとんでもない話題作に満ちた、前例の無い位豊作の年でありました。故に皆さんランキング作成がとっても難航したのではないでしょうか。僕自身も印象に残った作品ばかりで大変でした。あーでもない、こーでもないとゴロゴロ苦悶しつつ、どうにかトップ10は決められた……のですが。

それでも10位以降、いや、ワーストにさえ何か一言言いたい作品ばかりだったのです。なのでこうしてブログで今年映画館で見た新作映画を順位ごとに一言、ないし二言、20位以降(とワースト3)についてガッツリ語ろうと思い、この記事を書く次第です。

さて、方法と致しましては、ワースト3を入れて今年見た新作映画、延べ63本からワースト3以降の60位~31位は纏めて一言、間にその順位の中から落ち葉拾いとして皆さんに見てほしいな、という作品を一本ピックアップしてみます。凄く面白かった、けどもう一点何か欲しかったな、惜しいなぁ、という30位~21位はちょっと多めに単品でコメントしていきます。

上位20位~1位と、ワースト3には予告編付きでガッツリコメントしていくという感じで、2016年の映画を締めくくっていきます。分量的にどう考えても前後編になってしまうので、後編から多分20位以降の発表かなぁ……とはやってみないと分からないんですけどやってみます。

 

では長々挨拶してても仕方ないので、さっそく60位から50位を発表していきます。

エラい長丁場になりますが、お正月の暇つぶしとして、あるいは年越し前の時間潰しとしてでも読んでいただけると幸いです。泣いても笑ってもこれで映画&ブログ収め!宜しくお願いします!

 

あ、後ブログタイトルはアカデミー賞をもじってますがびた一文もアカデミー賞的要素はありません、ごめんなさい。

 

60位~51位

 

60位 傷物語 鉄血編

59位 傷物語 熱血編

58位 ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

57位 サウルの息子

56位 ジェイソン・ボーン

55位 X-ミッション

54位 キング・オブ・エジプト

53位 HiGH&LOW THE MOVIE

52位 ザ・ウォーク

51位 ザ・ガンマン

 

いきなりこんな事を言うのも変な話ですが、60位と59位の傷物語については来年の冷血編までちょっと評価保留な部分があります。とはいえ、それを差し引くとあくまで僕の感覚ですがあまりにシリアスとギャグの配分が肌に合わないな、ってのが強くて。特に羽川さん部分のエロネタと血みどろなシリアス部分が全く別の作品同士をくっ付けてる様に思えてそこら辺の違和感がキツすぎるかなぁとは……。とはいえ冷血編で一気に評価が変わる気もするので目茶低いですがこの位置で。

58位のジャック・リーチャーは僕の知ってるジャックおじさんはもっと気難しくて面倒くさい人であれは知らない人です、あの人、ジャックおじさんじゃありません。全然知らない人です。って感じです。

57位、サウルの息子。作られた心意気は立派。手法も新鮮で心に迫る部分もあった。けど、僕は例え残酷で醜悪でも見たい物は暈さず見たい側の人間なんだなと変に我に帰ってしまいました。でも立派な映画ですよ、うん。56位のジェイソン・ボーンはですね、あっ、て始まってあっ、て気付けば終わってました。うーん、一言で言うならヴァンサン・カッセルが勿体ないですね。

 

55位X-ミッションなんですが脳筋版CUREと表現したら何故かツイッターでウケたのが今でも不思議な新感覚電波アクションの様な何かです。取りあえずハートブルーを僕の中で大大大傑作にしてくれた事だけは感謝してます。54位のキング・オブ・エジプトなんですが、なんか、哀しくなりました。だってあれだけビジュアルセンスに満ちてるのに最終的に他人の飲み物に唾を入れる主人公しか記憶に残らないんだよ?プロヤスどうしたんだ、もっと君はやれる子の筈だ!次回作はちゃんと見るから主人公くらいはまともに好感持てるキャラにしてくれよ!53位HiGH&LOW THE MOVIEについては、僕はファンムービーとしては満点なんだろうなとは。そういう知識が無いままに突っ込んでる僕が悪いという結論で収めています。でも実際アクション面は下手なハリウッドやフランスのアクション映画をずっと凌駕してる。これは紛れもない。ちゃんとドラマ版を踏まえてもう一度見てみたい作品ではあります。

 

偶然ザが続いていますが特に狙ってないです、52位のザ・ウォークと51位のザ・ガンマンですが、ザ・ウォークは実話とは思えない荒唐無稽さは楽しいですが、何度か手に汗握り股間がヒュッともしたんですが、個人的にツボに嵌らず……。ここらへん何が好きで何が好きじゃないか、自分の中で色々考えちゃいますね。51位のザ・ガンマンはあの96時間の監督であるピエール・モレルとハリウッドきっての才人、ショーン・ペンがよっしゃ!96時間を再来させっぞ!という感じで挑んだのかは分からないのですが、そういう感じで作られた作品です。色々と入り組んでいる話に見えるけど、結局主人公が頭脳より筋肉でどうにかしちゃう展開とひたすら顔も筋肉も突っ張り続けるペンさんのゴーイングマイバイオレンスっぷりが入り混じり、結果的にペンさんの筋肉凄かったな、というイメージだけが鮮烈に残る。多分Xミッション好きな人はこれも好きになると思います(無責任な薦め方

 

~落ち葉拾い~

ザ・ウォーク

世界でも屈指の高層ビル、ワールド・トレード・センター。そんな場所を命綱無しで渡ろうと試みた、とてつもない命知らずがいた……。という、正に事実は小説より奇なりを体現した様な恐るべき実話の映画化。そんな命知らずでかつ、世界を驚かせたエンターティナー、フィリップ・ブティをジョセフ・ゴードン・レヴィッドが時に軽妙、時にシリアスに表情豊かに演じきる様は圧巻。一体どうやって撮られているのか知りたくなる、フィリップのワイヤー渡りは是非とも一見の価値あり。VR環境があれば更に手に汗握る作品になる……かも?

 

50位~41位

 

50位 エージェント・ウルトラ

49位 オデッセイ

48位 ブリッジ・オブ・スパイ

47位 メカニック ワールドミッション

46位 ブラック・スキャンダル

45位 レヴェナント 蘇りし者

44位 クレヨンしんちゃん 夢のユメミーワールド

43位 蜜のあわれ
42位 SCOOP!
41位 テラフォーマーズ


50位のエージェント・ウルトラは初見時はおっ、キャストも物語もアクションも中々捻ってるし全然あり、面白い!ってなったんですが、時間が経つにつれてどこら辺が面白かったのかがぼんやり、ぼんや~りと……。とはいえ決して無駄な作品だったとかは思わなくて、ふとした瞬間に見たくなる様な作品でした、49位オデッセイ。これは非常に作品自体の出来が良くて、メッセージ性も強いし役者も演出も隙無し、なんですが個人的にフックがかからず……。僕、リドスコは意地悪い方が好きみたいです。そういう意味じゃ48位のブリッジ・オブ・スパイもとても完成度が高いしスピルバーグさんのベルリンを再現してやるぜ!!という気概はこれ以上なく伝わってきたんだけど、個人的にはスル-っと抜けてしまった作品です。どちらもグッとくるし熱くなったシーンは多々あるんですが、それ以上にぶつかってくる物が欲しかったかもしれません。

 

47位、メカニック・ワールドミッションなんですがステイサムが 出てきて 殺す。以上。これ以上をやらないしやる気もない潔さ。素晴らしいと思います。46位のブラック・スキャンダルはキ実在のギャングスター、ホワイティ・バルジャーに扮した、ューピーちゃんみたいな頭に禿げ上がったジョニー・デップがショットガンで襲ってきたり、家庭のレシピで恫喝してきたりと中々愉快な作品なんですが思った以上に雰囲気が地味、ないしテンション突き上がる様なシーンもあまりないのが割と結構マイナスだったり。けど久々に真面目でかつ怖いジョニーさんを見たい人にはストライクではないかと。45位のレヴェナントなんですが、題材も動物の肉を殺ぎ、猟銃で銃撃しあう暴力シーンも、終始歯をガチガチ言わせてるディカプリオも好みでした。が、中盤のあからさまにタルコフスキーな幻想場面と、これ見よがしな長回し演出が興奮しかかった所にちょろちょろ水かけてくるのがホントに駄目でした……。同じ題材でフリードキンなら90分でもっと面白いのを見せてくれそう。だからルベツキさんはそろそろイニャトゥ離れしてもっと沢山の凶暴な監督と組んでほしいです。フェラーラとか。44位、クレヨンしんちゃん 夢のユメミーワールド。一見クレヨンしんちゃん版インセプションとかかな? と思われそうな題材ですが、これが実の所インセプション+特攻野郎Aチーム+パプリカという、とってもMADな作品でした。とはいえただ奇抜なだけでなく、子供にとって親とは、親にとって子供とは、を真摯に向き合い語りきる、とても道徳的で楽しい映画でした。ちょっと……というかお子さんにはかなり怖いシーンもあるけど、親子で是非見てほしい作品です。年齢層問わずね。

 

43位の蜜のあわれは、僕自身死ぬまでリスペクトな石井岳龍監督の文芸路線映画。老年の小説家を大杉漣さん、擬人化した金魚を二階堂ふみさんが演じ、世にも不思議な、それでいて胸が締め付けられる世にも不思議なラブストーリーです。一概に魅力を伝えるのが難しい作品ですが、とにかくコケティッシュに金魚を演じる二階堂さんに魅了され、狐に(金魚だけど)包まれましょう。ただ、石井監督の演出も相まってとても独特な作品ではあるので結構好き嫌いは分かれるかも……。42位、SCOOP!。これは僕の中では一種の成長物として面白かったです。捻ったシンデレラストーリーというか、自分の価値を見出せなかったお姫様が、凄く乱暴な王子様に無理やり白馬に乗せられて荒地を走らされる内に逞しくなって二本足で自立するみたいな。後半の展開には賛否両論ありますが、大根監督なりのやりたい放題はこういう方向性なんだなぁ,と興味深かったです。面白いかはともかく。41位のテラフォーマーズは思ったよりも悪くなかったのが逆にガッカリでした。というか三池監督、逆に真面目に作ってやろうってなっちゃったのがある意味最大の誤算だった気がしないでもないです何この文章

個人的に山Pさんにはこれからもガンガン人外路線を突き進んで欲しいですね。あっ、といっても香取君ルートだけには気をつけてね。

 

~落ち葉拾い~

エージェント・ウルトラ

 

コンビ二バイトでダラダラと生計を立てている、冴えない青年マイク。今日もダラダラ一日終わると思いきや、奇妙な女性が来店し……。という所から一気に壮大な話になる様でならない、不思議な味わいのバイオレンス・ダウナー・コメディ。某ボーンシリーズの裏返しの様な主人公、マイクの辿る数奇な運命に最初は笑いながらも、愛はどんな困難も越えられるのか?という普遍的なテーマから紡がれるまさかのラブストーリーに貴方は泣いて震えるか、首を捻って困惑する。お正月に肩の力を抜いて見たい必見の一本です。

 

40位~31位

 

40位 貞子VS伽椰子

39位 ボーダーライン

38位 BFG

37位 マジカルガール

36位 日本で一番悪い奴ら

35位 レジェンド 狂気の美学

34位 ディーパンの戦い

33位 キャプテンアメリカ シビル・ウォー

32位 ズートピア
31位 ポッピンQ


遂に40位にまで差し掛かりました。では40位の貞子VS伽椰子……なんですがこれ今年見た中で一番怖かったんですよ。いやマジ。もう僕伽椰子の声?鳴き声? みたいなのすら一秒でも聞きたくないですからね。とはいえ、こんなフレディVSジェイソンなみの無茶あるバトルカードを、ただの賑やかし企画ではなく双方の作品の特性を活かしつつちゃんとバトルムービーに昇華してた白石監督は本当に天才だと思います。怖いから二度は見れないけど……。
39位のボーダーラインもまた別ベクトルで恐ろしい作品でした。特筆するべき点は多々ありますが、一重に
超リアリズムな世界で尋常じゃない戦闘力を持つ男がどれだけヤバいのかを、その身一つで表現したベニチオさんには頭が上がりません。続編がどんな内容になるかが全然予想つきませんが楽しみですね。38位のBFGはスピルバーグ二本目。こちらは心優しい巨人と、無垢な少女の心の触れ合いというテーマ以上に、夢の在り方についての描写が素敵でもあり、胸を痛くしたり。とはいえもう少しタイトだったなぁ、とは無い物ねだりかも知れません。

 

37位、マジカルガールは魔法少女アニメをモチーフにしたサスペンスという、飛び道具っぽい題材をただ奇抜なだけでなく、ゾッとする程心抉ってくる作品に仕上げているのが流石でしたね、あの主題歌というか、劇中歌の春はSA・RA・RAは一度聞いたら二度と忘れないほど強烈でした。36位、日本で一番悪い奴ら。綾野さんは本当に頑張ってました。凶悪からの白石監督の油の乗った演出はとてもキレがあったんですが、その、思ったり悪くないな……と正直に思ってしまったり。あれでも十分エグいかもですが、個人的にもっと弾けて欲しかったです。

35位、レジェンド・狂気の美学。こちらもあのトム・ハーディが双子役、かつ実在し、イギリスを震え上がらせたギャングの双子、クレイ兄弟を演じるとあって見る前はそれこそ期待度MAXでした。けど、良くも悪くも非常に堅実でしたね……。どちらかといえば人間ドラマに焦点が当たっている作品なので、そこら辺を期待するといいかもしれません。あと、過去最高にエロいタロン君も必見。34位、ディーパンの戦いについて、僕はこの作品の監督の過去作、預言者が結構好きな作品だったので、これも結構期待値高めで挑みました。結果、面白かったは面白かったんですが、若干求めてたのと違ってたかなぁ……という印象。とはいえ、移民問題からまさかの展開へと繋がる凄さは、この監督にしか出来ないと思いました。

 

33位のキャプテン・アメリカ シビルウォーなんですがいや、ホント完成度高いしブラックパンサーもスパイダーマンも新規参戦とは思えない魅力溢れてましたし……けど、何となくですが個人的に不思議な位引っかかる感じが無かったんですよね……。とはいえこれでMCUも一旦区切り。次からのクロスオーバーにDr.ストレンジやガーディアンオブ~の面子が入ると思うとワクワクしてきますね!32位、ズートピア。いやもう僕なんかが文句付けようないじゃないですかね。差別意識という誰もが深刻になってしまう問題に、これほど娯楽性を持込つつしっかり答えを出す。ディズニーさんの娯楽職人っぷりにはそりゃ日本は勿論世界も降伏ですし幸福ですよ。たまたま僕にはちょっとだけ合わなかったですね、ハイ……。いや、あんまり映画見ない僕の母も褒めてたくらいなんで、そこら辺のターゲット層にはばっちりですよ、ハイ。

 

31位は自分でもまさかなんですが現在絶賛公開中のポッピンQです。これ、ホントどこら辺が面白かったかと言われると物凄く返答に困る作品ではあるんですよね。演出や話がとび抜けてる訳でもない、キャラが全員印象的な訳でもない、音楽が素晴らしい訳でもない……。それでも何となく、何かが残ってしまうんですよ。この作品。故に出来は全く褒められた作品ではないんですけど、そういう意味で色んな名作を押さえてこの位置です。だってしょうがないじゃん!残っちゃったんだから!

 

 

~落ち葉拾い~

レジェンド 狂気の美学

 

その明晰さと腕っぷしの強さ、そしてカリスマ性で長らくイギリスを支配してきた実在の双子のギャング、クレイ兄弟をあのトム・ハーディが演じきった一大マフィアストーリー。ダンディでカリスマ性溢れるトムハ、何しでかすか分からないいつものトムハ(眼鏡装備)、自分で自分を殴りまくるトムハ……と、とにかくトム・ハーディの演技サンプル詰め合わせセットと言っても過言じゃないくらい、ひたすら濃厚にトム・ハーディに浸れる作品。勿論、凶暴な弟を持ってしまった兄貴の深刻なホームドラマとしても楽しめる。今年の正月は家でトムハ御節でも如何でしょうか。

 

とうとう中盤の30位以降です。ここからはとても面白かった、けどちょっとだけ惜しかったなぁという作品を画像付きでコメントしていきます。

 

29位 溺れるナイフ

山戸監督の作品はこれが初見でしたが、とにかく物凄く独自性を突っ走る監督だなぁと最初から最後まで終始圧倒されっぱなしでした。今年の中でも最もお洒落なタイトルの出方から挿入歌の使い方までこ、こんな作家性見た事ないって感じで……。、コウちゃんだけに異常に神々しい菅田将暉さんの存在感、渇き。の頃のモンスターっぷりが嘘みたいに超恋する乙女な小松菜奈さん、出番少な目ながらも強烈な印象を残す上白石萌音さん、だけど何よりMVPは等身大のホントにお前いい奴だな……を全力で具現化させた 重岡大毅さんです。俺は忘れない、あのガラガラ声のオラこんな村いやだ……!

 

28位 女が眠る時

現在リバイバル上映中のスモーク等、数多の名作で知られる名匠、ウェイン・ワン監督が東映配給で撮りあげた、シュールなエロチックサスペンス。西島秀俊さん演ずるスランプ中の作家が垣間見る、何が真実で何が幻想か観客さえも憑りつかれてしまう、不可思議だけど胸に残る不思議な映画です。主演のビートたけしさんが記者会見でこれは売れないと思うと冗談めいた発言をしていましたが確かに正直……。でも個人的に、こういう作品は後々見た人たちの記憶にこびり付いてカルト化するんじゃないかと思います。するといいなぁ。

 

27位 ヒメアノ~ル

さんかく、ばしゃ馬さんとビッグマウス等、あらゆる意味で心を抉ってくる映画を幾多生み出し観客を瀕死にしてくれる吉田恵介監督が内に秘めていた凶暴性を遂に露わにしてしまった、最凶の青春映画。あまりにも哀しくあまりにも残忍な殺人鬼、森田をあのV6の森田剛さんが全身全霊で演じ、その対となる平々凡々からの脱出を望んでいた筈が血塗れの沼に突っ込む主人公を濱田岳さんが繊細に演じています。どこまでも陰鬱な筈なのに、ラストは何故か泣けてきます。麦茶は美味しいよなぁ……。

 

26位 何者

どうせリア充(みつる)が就活大変だけど恋に友情になんやかんや上手くいくんでしょ?とナーメテーターな僕を溶鉱炉にぶち込んできた、現代の若者が抱えている青春残酷物語。誰もが持っていて否定しえない承認要求と小さい意地っ張りと浮ついた見栄っ張りが原因となる、主人公の拓人君が巡る堂々の地獄巡りには誰もが多かれ少なかれハッとさせられて心当たりを探してしまったはず。僕ですか?拓人君に肩入れしすぎなくらいの長文書く位にはトラウマになりましたよ、ええ……。

 

25位 ドラゴン・ブレイド

引退宣言はとうの昔。いまだ元気にバリバリ現役なジャッキー・チェン師範のシルクロードを舞台にした壮大なスペクタクル超大作。ジョン・キューザックにエイドリアン・ブロディといった芸達者ないぶし銀を重要な役柄に配し、アクションもコメディも欝展開もカタルシスもやり過ぎなくらいにぶち込んだ、割と久々に万人に薦められる第一級ジャッキー映画です!キャプテンアメリカも驚く様な盾アクションも沢山見れるよ!盾戦車とか。

 

24位 リップヴァンウィンクルの花嫁

 

日本映画界屈指の叙情派、岩井俊二監督が現代に生きている女性を主題に、自分らしい生き方とは、自分自身の存在意義を求めてさ迷う、長尺なのに一気に見終えてしまうまごう事なき「女性」の映画。しかし、主人公の七海が抱え込んでいる悩みや怒り、そして救いを求めて歩き出す姿には男女も年齢層も関係なく、共感し涙する部分もあるはず。何者と合わせて見る時は是非、SNSを閉じてからじっくりとご覧ください。

 

23位 ヘイトフル・エイト

ジャンゴから続くタランティーノ西部劇は、まさかの雪小屋での一夜を舞台にした血みどろ推理劇だった!な、まるでタランティーノ自身がタランティーノをオマージュした様な疑心暗鬼と暴力が七転八倒しまくるどうしようもないレザボア共の心理戦。ヘイト、というタイトルが指し示しているのは、人種や性別も超越した、人間同士の腹一杯になるほどの剥き出しの殺し合い。次回作が果たして西部劇になるのかは分からないけど、ジャンゴにこれを通過したタラちゃんの新作が今からとっても楽しみ。

 

22位 GANTZ:O

あのGANTZがフル3DCGアニメ化という、大丈夫か?という前情報の不安を完璧に払拭する、超濃厚な正にGANTZとしか表現できない天晴れな作品。ガンアクションの次にチャンバラとおっぱいがあり、巨大メカと巨大宇宙人とのド付き合いとガンアクションとチャンバラの次におっぱいと、GANTZファンは勿論中学2年生的マインドの欠片が少しでもある人は確実に楽しめる。ポロリもあるよ!沢山あるよ!!

 

21位 イット・フォローズ



得体の知れない何かが迫ってくる。というのはホラーでは定番ですが、それを逆手にとって本当に正体の分からない訳がわからなすぎる何かが全裸で‘歩いて‘襲ってくる、新機軸の次世代ホラー。緩急の非常に見事な使い方、ひたすらエッジの効いている音楽の使い方と、
ポストジョン・カーペンターに収まるのはもしかしたらこの作品の監督かも?ドント・ブリーズと合わせて、今後の活躍も含め見逃せない一本です。

 

ついに次の後編では上位20作品&ワースト3です!

是非是非最後までお付き合いお願いします!

後編に続く!
 

 

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※今回の記事はスターウォーズ・ローグワンの重要なネタバレが含まれています。予めご了承ください。

 

梶原です。

今年ももう数日足らずになりましたが、皆さんもう新年に向かう準備は万端でしょうか。僕は煩悩が1080個位まだあるのでまだまだというか永遠2016年を抜け出そうにないです。冗談は置いておいて、今回は賛否両論合わせて話題沸騰なスターウォーズ・ローグワンについて自分なりに感じた事を徒然と書いていこうと思います。

合わせて、自分が贔屓しているキャラクター、チアルート・イムウェと演じられているドニー・イェンさんについての考察というか妄想をしてみようかと。故に劇中のネタバレをガッツリとしていきますのでご了承して頂けると幸いです。それではかなりの長文になりますが最後までお付き合い、宜しくお願いします。

 

まず、僕にとってローグ・ワンという映画がどう映ったのかを語らせてください。中盤、主人公のジンのパートナーであるキャシアンが、後に新たな仲間となるチアルートとベイズと共にソウの隠れ家で囚われてる時に牢屋から出ようとするシーンがあるじゃないですか。その時、キャシアンの姿を見、チアルートがこういう台詞を言うんですね。

 

「君の牢は目の前にある。己の内にだ」

 

ローグ・ワンという映画がどんな映画だったかというと、僕にとってはチアルートのこの台詞が正にそれだったと思っています。主人公のジンを始め、何かしらの牢や檻に嵌っている(か、いた)登場人物達が、デス・スターの設計図奪取という一つの目的の為に、例え一瞬でもその重荷を飛び越えていく、そんな物語だったなって。

 

まず主人公のジン・アーソ。彼女は目の前で母であるライラを撃ち殺され、父であるゲイレンと離れ離れになり、尚且つジン自身の台詞から想像の範疇ではありますが、育ちの親となる筈のソウからも、満足な愛情を経ずに育ってしまった、そんな気の毒な境遇の持ち主です。故にどこか世捨て人の様な、そんな荒んだ雰囲気を纏っているんですね。そんなジンのパートナーとなるキャシアン・アンドー、彼も彼で、6歳という幼少期からずっと戦地で生きてきており、そういった経験からそれとなく発言や考え方がシニカルでかつ感情を表に出さない、いわば食えない人物です

僕が推しているチアルート・イムウェも、常々フォースフォースと呟いていて、上記の発言前に念仏の如くフォースは我にありと連呼してたり、正直に言えば怖いレベルのフォース狂信……じゃなかった、筋金入りのフォース信仰者です。

過去には明確には触れられないものの、かなりの修羅場を潜ってきたであろうチアルートの相棒のベイズ・マルバスや元帝国所属のドロイドなK-250、そしてソウに捕まっていた、帝国より寝返る軍人、ボーディ・ルック、これら主要人物には、完全な潔白というか、いかにも立派だったり清らかさがなく、後ろ暗い過去や裏切り者といったダーティさが付き纏っていて、あくまで僕の勝手なイメージですが近寄りがたい人達なんですね。

故に、この6人(1人はドロイドだけど)はそれぞれ出自や経緯は違えど、それぞれが別ベクトルで生きてるのが凄く不器用そう、困難背負ってるなぁと僕はとても勝手ながら彼らを見ていて思ってしまいました。特に主人公のジンとパートナーのキャシアン。この二人は小さい時の出来事が現在まで足を引っ張っている気がして。それこそチアルートが言うと、牢に囚われている様に僕には見えました。

 

ジンは父、ゲイレンの遺言を胸に秘めて、帝国の秘蔵兵器であるデス・スターを破壊する為の設計図を奪取するというウルトラ困難な任務を遂行しようと立ち上がります。しかしそんな任務、とても彼女一人では成し得る事は出来ません。だからこそ、仲間がいる。信頼が置ける仲間が。そんな仲間集めの過程で、僕はジン含め生き方不器用な面々が、次第に打ち解けてきて、一つの目的を成す為に手を取り合い、一瞬でも仲間になり己の中の牢を超えていく。その過程にひたすら泣けて仕方なかったです。そして同時に、この映画に秘められている物語が、ジンという女性が本来の自分を取り戻すまでの話でもある事に気づきました。

 

とてつもない難関が立ち塞がり、母に次いで父までも失いながらも、毅然として前を向こうとするジン。そんなジンに、当初は距離を置いていたキャシアンも、それとなく仲間になっていたチアルートやベイズ、なし崩し的に加入したボーディも感化されていくのも熱かったです。そうして結成された6人、もといローグ・ワンには、強く輝かしいヒーローらしさだとか、憧れる様な格好良さは(あくまで僕は、ですが)感じられません。最後の最後まで、それこそ、どこか躓いてしまった連中が目的が同じだからと、自分達なりの使命に目覚めて戦っている。それだけなんです。

 

だが、それがいい。いいんです。

(この一文書いてるときの僕の顔つき)

 

ローグ・ワンという作品は、そんな自分自身の人生も器用に立ち回れない人達が、例え道中を超えた先に何があろうと、己の中の檻や枷をぶっ壊して、それでも自分の人生に価値があった、生きている意味があったと気付けた瞬間に最後を迎える、あまりにも刹那的な故に眩い。そんな作品なんですよ。

この映画の発端が、オリジナル4作目である、新たなる希望でのオープニングでの一文――――――――反乱軍スパイは帝国の究極兵器の秘密設計図を奪う事に成功する、という一文から成り立っているのは承知の通りです。もしも、もしもの話ですが、他の監督によっては主人公をもっと明るく、物語をもっとヒロイックに描けるかもしれません。そこをギャレスは登場人物達どころか物語さえも陰の濃い話にしてしまいました。なんたって全滅エンドですからね。スターウォーズの熱心なファンの皆さんがこの物語に対してどう反応を示すのか、もし僕がギャレス監督なら怖くて三日三晩、どころか半年は寝られないです。

 

だから僕からすると、あの壮大にも程がある大河ドラマの一片に、こんな陰惨で憂鬱なピースを刻んでしまう事を選んだギャレス監督の胆力に参った! となりました、し、ダース・ベイダーという人物の過去を描くという、エピソード1~3の様な人気キャラクターを前面に出している訳でもなく、本作の主要人物は(観客からしたら名前も存在も認識出来ますが)、新たなる希望に於いて反乱軍スパイは帝国の究極兵器の秘密設計図を奪う事に成功する、という一文でしか表されない人達の物語だと思うと余計に。

 

既に色々な方が触れられている事ではあるのですが、そういう意味でこの映画の最大の功績とは、あのスターウォーズに於ける代名詞とも言えるオープニングスクロールの間、あの流れていく一行一行の間には、敵味方問わず、各々の事情を抱えて戦い、守り、そして散っていった命があるというのを、僕達観客に抱かさせてくれる。そう想像せずにはいられない、一種の厚みを生み出した事じゃないかと勝手ながら感じてしまいます。

そう、ローグ・ワンのみならず、スカリフで戦っていた全ての反乱軍の奮闘が、それが例え一人一人微々たる力であっても、その力が積み重なっていき銀河を救ったのを僕達は確かに目撃したのです。そう考え出すと、僕はまた泣けてきてしまいます。彼らの生き様は歴史や記録には残らないかもしれない。けれど確かにそこで戦って、爪痕を残したんだなって。

 

この映画に対する批評意見の一つに、登場人物達の性格や行動に深みが無く、魅力に欠けるというのがあります。確かに最終決戦に向かうまでのジン達が結束していく様は結構性急な感じがありますし、もっと言えばキャシアンとジンの関係性が変化する過程に説得力は正直欠けているのは否定出来ません、だけど僕はその上で、ローグ・ワンのキャラクター描写には好意的な解釈をしています。しつこい位書いていますが、ジンを始めたローグワンの面々は。どことなく、目付きは悪いし、何考えているのか上手く読み取れないし、どことなく近寄りがたい(あくまで僕のイメージですよ)不器用な彼奴等です

 

そんな連中が、ゲイレンの意思を受け継いで、自分の使命を果たそうと奮起するジンに対しスカリフでの決戦前にする行動。チアルートは優しく触れてきたジンにたいしそっと微笑返し、ベイスは短い言葉でジンに発破をかけます。そして、キャシアンがジンに言う、この一言。

 

「私は独りぼっちだった」

「今は仲間だ」

 

もうこれで十分じゃないかなって、僕は思うんです、はい。分かりやすく親しげにお互いの境遇を話し合って慰め合ったり、厚く握手をし合わなくても、この人達にとっては例えあの一瞬だけだとしても、初めて心の底から仲間と言える絆を共有できた。その証明がこれらの演出だと、僕は思っています。

色々とグダグダウダウダした文章ですみません。最終的な結論を言わせて貰うと、僕にとってローグ・ワンという映画は、ジンを始めとした、どことなく生き方に躓いた人達に、貴方が生きてきた意味は確かにあった。あったし、貴方があそこで戦って、銀河を救った事を忘れないという優しい映画でした。

 

最後に、僕が偏愛しているチアルート・イムウェ、もといチアルートを演じられたアクションスター、ドニ-・イェンさんについて僕なりの妄想を書いて、この記事を終わります。もう少しだけお付き合いお願いします。

 

ドニー・イェンさんはこのローグワンが全く初めてのハリウッド進出ではなく、2002年にあの皆大好きパシフィック・リム等を手掛けた、かのギレルモ・デル・トロ監督のブレイド2なる作品に、アクションコーディネイターとして招かれた事があります。主演のウェズリー・スナイプスさんに格闘指導をするだけでなく、ギレルモ監督の計らいでスノウマンなる役柄も貰ったりと、一見大金星の様に思える処遇を受けました、が……。

(ブレイド2のスノウマンを演じるドニーさん。格好いいやろ。でもな、超脇役なん……)

 

スノウマン自身はドニーさんのチャームポイントな空中三段蹴りなどの見せ場もありながらも

(このシーン自体は最高なんだけどね)

サブキャラ以上の活躍が出来ず、かつ、自身のアクション演出が製作現場に上手く活かされない事に不満を感じ、以降ハリウッドに携らなくなります。(ギレルモ監督とどうこうあった訳ではありません。一応念のため)ここらへんのエピソードはかつてスタローンにエクスペンダブルズに誘われたけど丁重に断ったとかが顕著かも。

 

ブレイド2からはや14年。本当に久々のハリウッド作品、それも主要人物の一人としてドニーさんがチアルート・イムウェなる役柄でスタウォーズ・ローグワンに起用されました。それもただアクションを繰広げるだけの役ではなく、非常に強い、以上に思慮深く、戦い以上に信仰を愛するという、まるでドニーさんのキャリアを統括する様なキャラクターでもう何回泣いてんだって感じですが泣きますよこんなの。

 

チアルートの最後の瞬間を皆さんに思い出して頂きたいのですが、彼が死ぬ間際に行った行動は、トルーパー相手に大立ち回りでも、手強いライバルとの(まぁこれ自体は正直欲しい展開だったけど……)一騎打ちでもなく、反乱軍の艦隊を突入させる為に、決死の銃撃戦の中、反乱軍に情報を伝える為に通信塔のマスタースイッチを起動させる行動でした。

思い返せばチアルートはジン達を束縛しようとするトルーパー達に対して、「通してやれ」と一喝し、それでも邪魔してきたトルーパーを一網打尽にしていました。そして最後のこの、反乱軍を基地へと突入させようとする行動。どちらも直接的にしろ間接的にしろ、チアルートの行動は身を挺し、ジン達を守り導く行動でした。そう考えると、キャシアンに向けた言葉、「君の牢は目の前にある。己の内にだ」という台詞の趣きも変わって来ます。

 

そう、チアルート・イムウェ。彼は、ジン達にとって活路を見出してくれる、重大な導き手だったのです!

そんな偉大な役柄に何故ドニーさんが起用されたのか。ここから先もあくまで僕の妄想です。

 

ギャレス監督は恐らくイップマン三部作だけでなく、カンフー・ジャングルまで見られたんじゃないかと思えてならないのです。イップマンという、文武両道を極めながらも、人としての生き方を模索し続けた世界からリスペクトされる賢人を演じきった時点でドニーさんは人間国宝です。

しかし役者であるドニーさんはその数年後、あまりにも武術に秀ですぎるが故に、自らの力の有り様に苦悩しながらも悪の道に落ちた武人と戦う武道家という、複雑極まりない役をカンフージャングルで演じています。

これらのただ強かったり立派なだけでなく、清濁合わせて「力」を持つ人間の強さと弱さをしっかりと演じきれたドニーさんだからこそ、チアルート・イムウェをオファーされ、かつ演じられたのだと、僕ははっきりと断言します。

そして、僕はフォースを信仰し続けて行動を起こすチアルートの姿にハリウッドでの経験から折れる事無く、自分自身の可能性を信じ続けて俳優行を邁進し続けたドニーさんの姿が重なって涙腺崩壊しました。もう後半から涙でスクリーン見れなかったです。本当に本当にありがとうギャレス監督!

(今使わないでいつ使うんだ?な画像)

そしていつか、このチアルート、もといドニーさんに影響を受けた、まだ見ぬ若きアクションスターが、これからも続いていくであろう新たなるスターウォーズの世界に出られたとしたら、それはとても素晴らしいのではないでしょうか。チアルートと、彼を演じたドニーさんの存在こそが、新たなる希望だったのです!だったのです!

 

という所で、ギャレス監督及び全てのキャスト・スタッフさんに感謝しつつ、この記事を終わります。

こんな取り留めのない長文を最後まで読んで頂き大変ありがとうございました。

梶原でした。

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