007 スペクター | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Spectre
監督:サム・メンデス
キャスト:ダニエル・クレイグ/クリストフ・ヴァルツ/レア・セドゥ
配給:コロンビア映画/SPE
公開:2015年12月
時間:148分




12月の【くた★むび】では唯一の実写作品の紹介。『ローグ・ネイション』『キングスマン』に続き,今年のエージェントものを締めくくるのは,伝統のシリーズ最新作となった。3作がそれぞれの視点で,冷戦の遺物と揶揄される現代のエージェントたちと,彼らを取り巻く情報社会や国家・文化を捉えていたのが興味深い。

スカイフォール』と同じく,サム・メンデス監督とダニエル・クレイグのタッグによる,3年ぶりとなるシリーズ24作目だが,作品のトーンは明らかに『スカイフォール』とは異なり,過去のシリーズへのリスペクトと,過ぎる位の上品さに溢れている。

“死者の日”の祭りでにぎわうメキシコシティで,凶悪犯スキアラ(アレサンドロ・クレモナ)と大立ち回りを演じたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)。MI6本部に戻ったボンドは,M(レイフ・ファインズ)にメキシコシティでの一件を叱責され,職務停止を言い渡されてしまう。折しもロンドンでは,スパイ不要論を掲げるマックス・デンビー(アンドリュー・スコット)が国家安全保障局の新トップとなり,MI6をMI5に吸収しようと画策していた。表立って活動することができなくなったボンドだったが,マネーペニー(ナオミ・ハリス)やQ(ベン・ウィショー)の協力でローマへと飛び,そこでスキアラの未亡人ルチア(モニカ・ベルッチ)と接触。強大な悪の組織の存在を突き止めるのだが…。

アメリカIMFのイーサン・ハントを演じるトム・クルーズより6歳若いダニエル・クレイグだが,今作ではアクション・シーンでもラブシーンでも肌を晒さない。汚れや体力勝負はイーサンに任せたとばかりに,ひたすらに紳士をキメる。しかし,突き抜けるほど目まぐるしいシーン展開や派手なVFX,アストンマーティンDB10やオメガシーマスターやトム・フォードの高級スーツといったアイテムを使い着こなすキャラクターの魅力は全開で,観る者を全く飽きさせない。メキシコシティ,古都ローマ,冬のオーストリアアルプス,モロッコと,風光明媚なロケ地の旅情も手伝い,シリーズ最長の148分が,アッという間に過ぎてしまう。

Mに就任したレイフ・ファインズが,前任のM(ジュディ・デンチ)と同様のプレッシャーを受けながら,エージェントを信じ,協力してゆく姿もまた継承か…。

後半出ずっぱりのボンドガール,マドレーヌ役のレア・セドゥとの恋の行方を織り混ぜながら迎えるエンディングに,オールド・ファンは少し寂しさを覚えるかもしれない。けれど,エンドロールは最後まで見てね!

“JAMES BOND WILL RETURN”


映画クタ評:★★★★★


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◆シリーズ一覧◆

007 カジノ・ロワイヤル』(2006年)

007 慰めの報酬』(2009年)

007 スカイフォール』(2012年)

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)