007 スカイフォール | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Skyfall
監督:サム・メンデス
キャスト:ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/レイフ・ファインズ
配給:コロンビア映画/SPE
公開:2012年12月
時間:143分




ソルト』で触れたので『007』シリーズから1本紹介。ダニエル・クレイグ版6代目ジェームズ・ボンドの3作目,シリーズ誕生50周年記念作となる通算23作目の作品。

NATOが世界中に送り込んでいるスパイのリストが盗まれる緊急事態が発生。英国の諜報機関MI6のエージェント“007”ことジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は,リストの収録されたハード・ドライブを取り戻すべくM(ジュディ・デンチ)の指示に従い,敵のエージェントを追い詰めていく。しかし,その作戦が失敗に終り,組織内でのMの立場も危うくなった上,今度はMI6本部が爆破される事態に。そんな窮地に立たされた彼女の前に手負いのボンドが姿を現わし,首謀者を突き止めるため僅かな手掛かりをもとに奔走する。やがてついにその黒幕が判明。一連の犯行は,Mへの復讐に駆られた元MI6の凄腕エージェント,シルヴァ(ハビエル・バルデム)によるものだった。執拗にMをつけ狙うシルヴァとの決死の戦いに挑むボンドだが…。

正直言うと『007』シリーズって,ミドルエイジのハンサムヒーローがボンドカーとボンドガールに乗ってチョイとアクションもキメちゃう…シニアファン向けの〈スパイ映画の水戸黄門〉的なイメージが拭えなくて敬遠していた。でも,シリーズ最高興収,イギリスでは『アバター』を超え,国内歴代興収1位と聞いたら見てみずにはいられない。そして「あれ? 面白いじゃん!」って,考えを改めることになる。

この作品でのボンドは,過激なファイターで,非情なスペシャリストである反面,人間的な弱さをひた隠すセンチメンタリスト。複雑な内面を抱える彼が,まるで半世紀に渡るシリーズの伝統の重みと疲れを引き受けるかのように,ミドルエイジ・クライシスに陥り,自分探しを迫られる。冷戦の遺物であるエージェントに大義はあるのか? デジタル時代における身体能力とは何か?…正義の在り処とヒーローの居場所を探りつつ,ボンド映画が作り続けられる意味を問いかけているように思えた。

そういう視点で見ると…往年のボンドカー「アストンマーチンDB5」の登場も,7度目のMを演じたジュディ・デンチの運命も,シリーズの伝統の崩壊と再生を描いているように映る。

と言って,さすがに過去22作品をコンプリートする気はないが…12月公開の新作『007 スペクター』は劇場で観てみたい。


映画クタ評:★★★★


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◆シリーズ一覧◆

007 カジノ・ロワイヤル』(2006年)

007 慰めの報酬』(2009年)

007 スペクター』(2015年)

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)