141.十八歳の誕生日Ⅱ ~ふっ なんだよ勝手に 俺何も言ってないだろう? | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→140.十八歳の誕生日Ⅰ ~イゲ…ムォ? シムニカ…?


アイツ…
俺が知らないと思って4月17日は何の日だか知ってるか何度も聞くから 知らないふりもできなくて…
他人に贈り物なんかしたこと無いから… ホント参ったよ…

それとなくファンにチェギョンの好みそうなものを聞いてみたら あっさりと
「お!チェギョンに誕生日の贈り物?! ひゅ~❤
じゃあ特別に チェギョンの好きな物が売ってるお店のHPを教えちゃう」
なんて言った傍から もう携帯でHPを開き
「何がイイカナ~?指輪?ネックレス?やっぱキラキラしたアクセサリーだよね~
予算は?」
「いくらだっていいが… 負担に感じられては困るから お前が彼女に贈るくらいでいい」
「お!解ってるね~ いいんじゃない? 贈る身としても 普段使って貰えた方が仕舞っておかれるより嬉しいしね! チェギョンはさ~ 色白だし 淡いピンクが似合うよね~♪」
早速 ネックレスや指輪 ピニョ(かんざし)やコチ(Uピン) テンギ(リボン)なんかを 物色している…
ははは… 結局 殆どファンが選んだようなもんだ…
実際目移りして選べそうにもなかったし
俺は ファンが挙げた幾つかの候補の中から選んだだけだった 俺が髪飾りに決めると ファンの元に届くよう手配してくれ… 助かったんだが…
替わりに厄介な忠告を受ける羽目になった…

届いた品物を俺に手渡すファンが言ったんだ
「いい?付けてあげるんだよ?絶対そのままポンとそっけなく渡しちゃダメだからね!?」
わざわざ 髪を掬いとって指で丸めて止める方法までご丁寧に指導が入った
本当にそんなことする必要があるのかと問えば
ファン特有の中性的な甘い眼差しで下から睨みつけられ…
「シン? チェギョンの事 好きなんだよね?
もうすぐ結婚するんだよ?それくらいの愛情表現したって良くない?」
ぐ… 返す言葉も 無い
しまったな… 指輪かネックレスにしときゃ簡単だったのにな…


「入るぞ」
鏡の前のアイツは ドライヤーのスイッチを切って 鏡の中の自分を覗き込んでいた
振返ったアイツは湯上りのうっすらと上気した頬… う…可愛い…
くそ…もう心がざわざわと乱れてやがる 落ち着けよ!
「乾ききってないぞ?また億劫がっているのか?」
「もう…ト チャンソリヤ?(また小言なの?)」
俺はできる限り平静を装っていたが…
その実…ありえない程心拍数が上がっているのを感じながらドライヤーを手に取る
「黙ってろ」
温風と共に立ち昇る甘い香り…
ただのシャンプーの香りだと解っていても この手触りといい艶といい…
コイツの髪は…なんでこんなにも俺の心をかき乱すんだ?
ドライヤーのスイッチを切り 
指先で髪を整えて… ファンに教わった通りにやったのに…

「イゲ…ムォ? シムニカ…?(コレ…何? ですか…?)」
なんだよ…見りゃ解るだろう?
「クニャン…(別に…)」
「コレ…くれるの?」
あたりまえだろう?
왜? 마음에 안들어?생일잖아?
ウェ?マウメアンドゥロ?センイルジャナ~?(なんだよ?気に入らないのか?誕生日なんだろ?)」
ユルだっていつか言ってたじゃないか 女は甘いものとキラキラしたものが好きだって
まさか十八の誕生日に菓子ってわけにもいかないし…

「知ってたの?」
「知ってたさ 許嫁だって渡された紅いファイルに書いてあった 記憶力はいいと言ったろう?一度見れば覚えるんだ」
「そうなんだ…」
「なのに散々催促されたからな…」
「さ 催促だなんて… ただ…知ってるかな?と思って聞いてみただけなのに… 」
「まぁ どうせ たいしたものじゃない… 気に入らなければ…」
「大事にする!大事に…します
殿下も… 来月誕生日だよね?今年もパーティーするの?」
「まぁ…なんらかの形でするだろう?
言っておくが プレゼントなんて要らないからな じゃあな」
「お おやすみなさい」
チェギョンの声に 片手をあげて応える
振返らなかったのは… こんな顔…見せられないから…////


このところアイツは いそいそと夕食の席を後にして 妃宮の部屋に籠って何かしているようだ
まあ…ずっとメソメソされるよりはいいけどな…
俺は知ってる
入宮してからずっと アイツはひとりで泣いてばかりいる…
夜一人になるとホームシックになるのはわからなくもないが… この前は昼間だった…

俺が執務室から戻ると パビリオンで まだ咲くには早い蓮の鉢を見つめていたチェギョンが ハッと俺に気付いて立ち上がり「お帰りなさい」と笑った
だけど…その睫毛が濡れていて…
何を思ってお前はそんなに泣く…?
一人にすると泣くのなら 一人にしなきゃいいのか?
チェギョンをよく見ててくれとチェ尚宮に頼んでおくか…? いや…それも不自由だよな…
ふう…いったいどうすれば… 胃痛の種だぞ シン・チェギョン
俺はキリリと痛む胃を押さえる


去年と違って 国婚式という派手な行事を控えた俺の誕生日は慎ましやかなものに留まった
それでも 例によって目も通さないのに 朝から山のような贈り物がダンボール数個部屋に持ち込まれたし 王族に財閥 政治家までが俺に贈り物を持参するそれなりのパーティーが行われた
妃も決まって ご婦人やご息女の出席も無く 王族や政治家の爺さんたちばかりのパーティー
枯草の中に不似合いな 一輪だけの花の様な 愛らしいドレス姿のアイツがちょこちょこと 俺のそばにやって来た

「イゲ…ソンムルエヨ(コレ…プレゼントよ)」
直接手渡しなのもお前だけだぞ?気付いていないのか?ホント自由なんだな…くくっ
「要らないと言ったのに…」
そう言いながら受け取った アイツに差し出された箱の 蓋をあけた俺は…
周りの声も何もかも聞こえなくなって 頭が真っ白になった
コレって…あの時…丁度一年前の誕生日の朝 昇降口で俺が捨てておけって言った… あの上履きなのか?そんなものをどうして…
描かれているのは…龍…青龍…俺の守護神… すごく丁寧に描かれている
こういうのを描くのにどれくらい時間がかかるものだか見当もつかないが…
そうか…泣くのを止めてコレを描いていたのか…
俺は 胸の中に熱い何かが湧きあがってくるのを感じる これは…なんだ?
純粋にチェギョンが俺の為に泣くのを堪えて用意してくれた贈り物への喜び?
それとも お前に無理を強いていることへの罪悪感?

「マウメ…アンドゥロ? ミアンミアン(気に入らなかった?ごめんごめん)
せっかく一年越しで リメイクして返したのに 結局捨てられちゃうなんて… 可愛そうな上履きちゃん
あ でも ホント 気にしないで? 殿下が今日貰った物の中で一番お金かかってないから(笑)」
何も言わない俺が 気に入らなかったと思ったのか バタバタ手を振り回して自己解決して立ち去るチェギョン…
ふっ なんだよ 勝手に 俺何も言ってないだろう?
なかなか良く描けてるじゃないか…流石だな…
去年貰った誕生日の贈り物の中に アイツからのものは無かった 呼ばなかったからな…
でも去年の分まで貰った気がするよ すごいなお前 俺をこんな気分にさせるなんて…

目に青葉… 眩しい新緑の五月は 俺の生まれた月だから 古(イニシエ)より受け継がれてきた血を 恨めしくも愛おしく感じる不思議な季節だったが 今年は今までとは 何かが違う
もっと…暖かくて 生々しい 俺の心を搔き乱す湿り気を感じる…
それは 今年の気候がそうなのか… 俺の気持ちの問題なのか…

これで本当にいいのか まったく解らぬまま… このまま行けば
来月俺は アイツと シン・チェギョンと国婚式を挙げる



いつも ありがとうございます
シンくん 嬉しいなら 素直にただ喜んでおけばいいのに
チェギョンの涙がそれを押し留めてしまいます

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次のお話は4/20になります→142.国婚式Ⅰ ~と…チョルスが言いました…と…さ…
18日は 番外編で 数話分のお話をある方目線でお送りします