139.入宮 ~あ…!と思った時には もう…口に入れていた… | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→138.入宮前夜 ~寒っ ひ… 冷えちゃったね?もっかいお風呂はいる?
このお話は 135.ペクイギサ ~嗚呼…面倒だ! 後を追ってパビリオンに出てみたが に次ぐシン目線です


「俺は絶対おっぱいなんかより顔!…でも有るに越したことはナイよなぁ…」
ギョンの俗物的発言は薄暗い視聴覚室の自習の定番になってしまっている
またなんの話をしてるんだか…
「そりゃあ顔は重要だよ?でもやっぱ揉み甲斐のある胸ってイイよ~❤」
ファンの女は確かに それなりに立派な胸をしてたっけ…
いつ見たの?って ダレだよそんなくだらない事考えたのは…見るわけないだろう?
ったく…
パーティーのときのドレスさ…胸の小さい女には着れないデザインだった それだけだ

「お前ら女は胸や顔ばっかなのかよ?くだらね~」
インの言葉に 胸中でうんうんと頷く俺
「くだらなくはナイでしょ?そうゆうインだって揉んでんじゃないの?」
「ば…何いってんだよ」
インはその手の話を自慢したりしない ヒョリンとキスしたのも ファンに聞かれたから話しただけで その後も特に何も話さない…
そう言えば冬休み フランスに一週間行くって言ったくせに報告はナシだ…
「で?シンはどうなんだよ 仲良くやってんの?」
俺は少し離れて三人の会話に加わらないつもりでいたのに インは自分が逃げるためだろう 急にこっちに振った
「どうだっていいだろう?」
「なんだよ 一緒に住んでんだろ?」
「一緒に住んでるったって部屋は別だ
そっちこそどうなんだ?誤魔化すなよ」
「俺は春休みには会ってない…まあ…冬休みは一週間ずっと一緒だったけどな…」
「なになに?何の話?」
ふうん…リゾートから帰ったあとフランスへ行ったときの事は 本当に誰にも話してないんだな…
「「お前には関係ない」」
「げ…またそれ?最近何?シンとインは二人で俺を仲間外れにするって結託してんの?」
ギョンは前からそうだったが… このところインがヤケに 俺達が進展したか知りたがる …なんでだ?

進展なんかするわけない チェギョンは失恋した勢いで祖父同士の約束に乗っかっただけだ
まあ…祖父同士の約束とは行っても 皇帝と王族が正式に結んだもの…俺に圧力を掛けられてただ「はい」と言ったに過ぎない…
普通の高校生カップルとはわけが違うんだ…


そう アイツは離宮ではなく景福宮へ入宮した…
鮮やかなのに控えめな黄緑色の韓服を纏って 硬い表情に引き攣った笑顔を張り付けて参内し 皇帝皇后並びに太皇太后陛下 皇太后が 大殿に居並びチェギョンを迎えた
「仕来りによれば本来 まず 雲峴宮(ウニョングン)や慶熙宮(キョンヒグン)などの離宮へ入宮し 妃教育を受け 国婚式のあと景福宮へ嫁ぐよう計画していたのだが…教育はともかく 普段主も無く寂しい離宮での生活は静かすぎてそなたが侘しかろうと…」
「ん…んんっ! ああ ぅんんっ!」
俺は大きく咳払いをして皇帝陛下の話を遮る
話が違うじゃないか!なぜ今それを!? 顔色を変える俺を目の端に捉え ニヤリと笑みを含む父上…まさか…俺をからかってるおられるのか?
「まあ とにかく 既に東宮殿へ通っているそなたを 敢えて離宮に一人住まいさせずとも 今日より そなたを皇太子の妃として東宮殿へ迎えようではないかという事になった」

チェギョンをどの離宮に入宮させようかという事が話題に上ったのは春休み前 雪が其処此処に残る 寒さの厳しい二月の朝だった…
仕来りに従い 国婚式のふた月程前に離宮へ入宮させると聞いて俺は眉根を寄せた
「彼女一人でふた月も離宮に住むのですか?」
「何か問題でも?」
仕来りを重んじる宮中で 俺が意見する事など聞き入れて貰えた試は無い だがふた月もアイツを一人にするなんて…アイツに耐えられるのか? イヤ…むしろ俺の方が落ち着かない
「あの…そんなことは無意味では有りませんか?
もう既に東宮殿に彼女の部屋は用意され 週末には使っているのに… 」
俺の言い分なんかいつも二の次で仕来り最優先なのに 今回はなぜかおばあ様も父上も母上も揃いも揃って「そうかそうか」と俺の話に頷き チェギョンを離宮に入宮させるのはやめにしようということになり 今日に至ったので ホッとしたのだが…
大人たちの考えることはよく解らない…

皇帝陛下は 硬くなる事は無いと 口では簡単に言いながら その実 妃としての立場をしっかりと弁えよと諭しているのだから 硬くならないはずがない
まあ… 東宮殿には慣れてきたが 此処へはそう何度も訪れていなかったし…
明日からはおばあ様の上殿へ毎朝通うことになる おいおい慣れるだろう

「はあぁ~…」
彼女が深々とその溜め息をつけたのは 午後 挨拶と会食が済み 妃宮の部屋のクローゼットで韓服を脱ぎ 洋服に着替えて部屋へ戻ったところでやっとだった
「もう懲り懲りか?」
「わぁっ!いたの?!…い…いらっしゃったんですね…失礼しました!」
リビングのカウチに俺を見つけて慌てる
「此処は今日から本当にお前の部屋なんだ 俺に気兼ねすることは無い」
「あ…はい…そう…ですね」
「今チェ尚宮がお前の好きそうなものを持って…来たな」
チェ尚宮がワゴンを押してお茶とお菓子を運んでくる

「ほわぁ~ 癒ひゃれるぅ~」
「フォークを口に入れたまましゃべるな」
「ちっ れんかはイチイチ水刺すねぇ… 朝から緊張しっぱなしらったんらもん いーじゃらい…」
またモグモグしながら話す…懲りない奴め
「ふん…まあそう硬くなるな… 自由は無いなりに 作ればいい」
「あ!それ!」
おいおい…指差すなよな…
「?」
「今のなんか…昨日オンマが言ってた言葉に…似てる」
チェギョンの母親…イ・スンレは俺の乳母…
「そうか?なんとおっしゃっていた?」
「幸せは 自分次第でつかめる物だって 自分で幸せになりなさいって」
ふうん…
「そうか…じゃあ…せいぜい頑張るんだな」
「もう!ちょっとは協力してよね!?皇帝陛下のお言葉を聞いてるうちに もう既に帰りたくなっちゃったんだから!此処であたしには 殿下しか頼れる人がいないんだもの!…ですもの?」
帰りたい? そんなこと…許すもんか…
「協力?俺がか?…ふん…俺は誰かの世話をやくとか 相手の身になって考えるとか…そういう方面にうといんだ… 完璧な俺にも欠点くらい有る
頼られても期待には応えられない…
でもまあ…お前が俺の船に新たに乗り込んだからには 共倒れで沈没でもしてはお話にならないしな…」
「だぁ~っ!もうっ!いいですぅっ!回りくどいこと言ったってあたしには通じませんよ~だ」
べーっと舌を出すチェギョン おい…俺を誰だと思ってるんだ…
「ふん…そうツンケンするな 仲良く行こうじゃないか」
「ちっちゃ…ゴ……チャ……言……最……ら…よ…」
俺に聞こえないようにモグモグブツブツ言いながら差し出す俺の手を 渋々取った
ほっぺたにケーキのクリーム付いてるぞ?また舐められたいのかよ…

「チェギョン!とうとう越してきたんだね!歓迎するよ!」
突然ユルが硝子戸を開けて入って来た おい!ここは妃宮の部屋だぞ!?
「きゃ~ん ユル先輩~♪」
まあ俺と一緒だからチェ尚宮が許可したんだろうが…
「おいヒョン!東宮殿は俺の家だぞ!勝手に歓迎するなよな」
「あ 今俺って言った?」
「なんだよ 悪いか?」自分がそう言えって言ったんだろう?
「ううん!嬉しいよ
チェギョン 僕も一緒にお茶していい?」
「モッチロン!」
チェギョンとユルは本当に嬉しそうに笑う
こういう時 人は こんな風に笑うものなんだな…
と 思ったら チェギョンの頬っぺたに付いていたクリームをユルが指で脱ぐって…
あ…!と思った時には もう…口に入れていた…
「ん 美味しいね♪」
…この胸に広がる黒い靄(モヤ)は…もしかして…ボンボン達に言わせれば…
「コレがイチオシですよ~❤」
二人してアフタヌーンティーの三段重ねのプレートを挟んではしゃいでいる
まったく… ユルとチェギョンは やけに気が合うんだな…
そういえば…皇太子は元々ユルだったんだから…元を正せば俺じゃなくユルの許嫁だったんだよな…
チェギョンには 俺なんかより 面倒見のいいユルの方が安心だっただろうな…


カチャカチャと 皿とナイフとフォークの音しかしない… 今日のチェギョンはヤケに静かだ
夕食の席が静かなのは 当たり前の事だったのにな…
チェギョンとの晩餐なんて 何度も回を重ねてきたのに 今日はヤケに緊張するな…
チェギョンの緊張が伝染したか?
食事が終わると それぞれの部屋へ帰る 今までの週末や季節休暇と 特に何も変わりなんかない
ただ…これからは チェギョンが俺を置いて家へ帰る事は… 多分もう 二度とない…


コン内官が俺の部屋を訪れ 例のユルにアクションを起こしている王族についての報告を始めた
「義誠殿下に働きかけている王族ですが…」
三人の王族はいずれも 考烈元皇太子と親しい者らしく ムン・フェウォン ホン・ジョンス ユ・マンドクと 一人の王族の息子は恵政殿皇太后ことソ・ファヨンの甥にあたるソ・ジテ…
ユルに近づくくらいだ 当然ながら全てが皇太后に繋がってい居た
王族達はそれぞれ娘を皇太子妃候補に出したらしいが 最後に残っていたホン・モネ以外は記憶にない ユ・マンドクは… 芸高を卒業したピアニスト ユ・ジホの伯父らしい…
いずれも 事有るごとにユルに接近し 揺さぶりを掛けているようだが これにはユルは靡かない 具体的に名前こそ出さなかったが 俺もずっと聞かされていた事だ
だが…
初耳だな…ソ・ジテと言えば ユルと同い年だ
「ソ・ジュヨン様とソ・ジテ様 ソ・ジヌ様は従姉兄弟ですから お三人方が義誠大君様にお会いになられても不思議はないのですが…」
どうやら ソ・ジテに限っては 何か訳があってユルと交流しているようで 興信所を雇ってユルや恵政殿皇太后の過去を調べているようだという…
なぜだ?
「義誠大君さまのマンションにも 何度も足を運んでいるようで…」
従兄か…ユルの心に入り込んで 何か策を講じているのでなければ良いが…
その線も十分に考えられる 何しろソ・ジュヨンの父親は本家だが ソ・ジテの父親は次男で分家 既に準王族だ…その息子ともなれば 兄弟で準王族の持つ権利を奪い合わねばならない ユルに近づけば… ましてや俺を蹴落とす策でもあれば 得る物は大きいだろう
「恵政殿皇太后の過去とは?」
「それは… まだ… 解りかねます…」
歯切れの悪いコン内官の様子…俺に知られては不都合な話なのか?
「解った… 引き続き ペクイギサと ソ・ジテについても調べてくれ」

 

 

 

いつも ありがとうございます
実は韓国語では俺(ナ) と僕(ナ)の違いはありません
日本語だとその違いは大きいですよね?
大人になると俺나(ナ)と私(ワタクシ)저(チョ)程の差があるわけで
韓国語でも違います
なので
シンが自分に心を開いていないと感じる理由のひとつとして
実は韓国語に俺(ナ) と僕(ナ)の違いはないけど
敢えてユルくんに気にさせてます
そして 許嫁の件 殿下はちょっと思い違いをしてますね…
いやいや違います!おじい様があなたの為に!
ソ・ジテはユルの思った通りの人なのでしょうか?
それともシンくんの懸念が当たり?

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140.十八歳の誕生日Ⅰ ~イゲ…ムォ? シムニカ…?
の 前に 無予告でしたが インのサイドストーリーをお送りします えぇっ!?(笑)
Power of Love 1~どうだった?うまくやれた?
スミマセン…ギョンのはやっぱり先のお話なのでまだUPできなくて