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朝鮮学校も無償化へ=政府部内で最終調整-文科省
 
 文部科学省は4日、高校授業料の実質無償化法の対象に朝鮮学校を含める方向で政府部内で最終調整する方針を固めた。同省は同法施行時点では朝鮮学校の扱いを保留し、外部の専門家会議で検討していたが、同会議で朝鮮学校を除外すべきでないとの意見が強まっている。このため、同省は月内にも結論を出し、4月1日にさかのぼって実質無償化を実施したい考えだ。
 同法は、公立高校の授業料は徴収せず、私立高校や専修学校高等課程などに通う生徒には世帯の所得に応じて年11万8800~23万7600円の就学支援金を助成する内容。民主党が看板政策の一つとして、昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げ、今年の通常国会で成立した。(2010/08/04-13:47)
 
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010080400417
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これに対して、国会で自民党の山本一太議員や、大阪府の橋下徹知事がかみついてるのをテレビで見たが‥‥さて、どうだろう。
 
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現状であそこに助成することが、例えば拉致問題の解決の障害になるかどうか────例えば家計が楽になる分、北への送金が増えて制裁の効果が減るとか?でも北朝鮮を目的地に届け出なしで持ち出せる現金の上限は、100万からだんだん下がって、今では10万円だとか言うし。
どちらかと言うと、スジ論とか、「国民の感情」レベルの議論と言う気がする。
 
 
●「人心掌握」の工作も必要では
 
よく思うんだけど、得か損かで言えば、北朝鮮籍の人を「こっち側」に引き寄せることを考えた方が、長期的には、ずっと得なんじゃないの??せめて「あっち側」に押しやらないよう気を遣うとか。
 
ネットでいろいろ吠えてる諸君にとって、北朝鮮籍の人は「敵の身内」って感覚なんだろう。
以前、「彼らは北朝鮮本国の家族が人質に取られているので、潜在的には全員が敵工作員だ」みたいに言う人がいた。だが仮に全員北に家族がいるとしても、こちらで生まれ育った人たちをまるまる敵と見るのは、どうもリアリティを感じない。確かに戦争でも起こって、北にいる親戚縁者をたてに脅されれば、嫌々でも何がしかの協力をする人は、それなりに出るとは思う。だが相当に葛藤があるだろう。
なぜなら、北朝鮮は暴れることはできても勝つことがないのは、少なくとも若い世代の人には分るだろうから。「負け馬に乗る」ために自分の生活基盤を投げ出すなんて、本来はバカみたいな話だ。
 
事実としてみれば、過去、一部の人による拉致工作への協力はあった。だが似た可能性が今後もあるとしたら、確かに総連のような組織とその周辺への監視は必要でも、それ以外の多数派から敵対的な少数派が生まれる率をどう少なくするかも、併せて考えるべきだ。
対テロ戦やゲリラ戦だって、尖鋭な分子と多数の人民とを区別し、切り離し、人心掌握することを必ず考えるだろ?ガンに例えれば、確かに短期の「今、負けない」視点では、手術で取り除くのが必要なことはあっても、それでも後から後から敵対者は出てくる。ならば、長期的に「勝利する」視点では、体質の改善のような東洋医学的発想で「ガン細胞が出ない」ことを考える以外に道はない。
 
 
●「公式の」教育論が実感とは限らない
 
確かに、朝鮮学校で思想教育をやっているのなら、それはそれで問題ではある。
だが、例えば革命体制下の現在のイランの話をすると、学校で公式に教えられる内容が「アメリカ帝国主義に支えられたパーレビ体制ではいかに人々が弾圧されていたか」であっても、家に帰って親から聞かされる話は「革命前はいかに自由で消費生活が楽しかったか」であり、その落差に困惑した‥‥なんて若い世代の話も聞く。おそらく両方本当なのだろう。大衆社会ではあっても、反体制派には厳しい時代、という意味で。
‥‥‥‥だから、公式論と、実感の違いってもんがある。
朝鮮学校でいかに金正日体制を礼賛していても、実感としては、この日本社会で生きている以上、「自分はとても北朝鮮に渡って住みたいとは思わない、日本の方がはるかにいい」、そう若い世代に思ってもらうことはできるはずだ。今はいろいろな情報を止めることはできず、かつてのカルト化した左翼のように、北朝鮮を「地上の楽園」のイメージで描き切るのは、たとえ「公式」的な教育であっても、困難だ。
「じゃあなんで日本国籍や韓国籍をとらないんだよ」というのは、人の心を想像する力に欠ける証拠だ。マイノリティの民族アイデンティティの感情が、そうそう割り切れるはずがない。
逆に、あの若者らを生きづらくすれば、敵対的な集団意識が育つかも知れない。
 
確かに教育内容がアレならば、お金を出した事実それだけで「こっち側」に来るって話じゃないだろうが、ただ「出してない」って事実でもって「あっち側」に押しやることは、とりあえず避けたい。ポジティブでなくてもネガティブの回避だ。
本当は、もう一押し、ポジティブな何かがあるべきなんだろうが。
 
 
 晃彩 晶 Kousai Akira 2010年08月05日(木)