2013.11/9

数年ぶりだなあ。3年ぶり?311後は初めて!久々、少しだけ書く。特定秘密保護法案について。


現在政権与党は自民党と公明党が担っている。ここで言う特定秘密保護法案は、第二次安倍晋三政権が提出しているそれだ。
法案の趣旨はこうだ。[日本が他国と<安全保障上の重要機密>を共有する際、日本だけ機密漏れに対して甘いと、他国は情報を提供してくれなくなる。従って<“スパイ天国”と言われる日本の情報管理>を厳しくせねばならない]
しかしその一方で、[<取材をするジャーナリストなど>が(罰則を恐れて)萎縮してしまって、<国民が知るべき情報>が伝わらなくなる]ことも危惧されている。


●<守旧保守vs合理主義的保守の争点>でもあり得る……政治を無能化させてよいのか

まず最初に、この問題って、<どことどこの対立なのか>を確認したい。つまり、いわゆる右と左の対立なのか。右が賛成して、左が反対しているのか。

<民主主義の手続き>というのは、確かに<国民の権利などのリベラルが標榜する価値>のためにあるのは間違いない。また右は安全保障に敏感で、左はそれほどでもないから、その点では、確かにこれも<右と左の対立点>ではある。
実際、リベラルの側からは[このままでは<国民の知る権利>が‥‥]みたいな言い方ばかりが目立つ。だから自民党議員も、反射的に<[戦後憲法のせいで、今の日本国民は権利ばかり言い立てて≪国家への義務≫を省みない]云々の、例の[憲法を変えれば何でも良くなる]型の精神論>で反応するよう、脳内回路が固まっているのかも知れない。
<日本の保守の政治家>も色々だと思うけど、自民党の議員らは、[情報公開なんて歴史家と左翼の要求することだ]ぐらいにしか考えていないのではあるまいか。

だがそれは違う。以前にも書いたけど、<情報公開の原則>とは、<政策の市場原理>のためにも存在する。後で書く<官僚 対 民間シンクタンク等の政策競争>のことだ。
右の人は<非民主的だが国家として強くたくましいシステム>を期待するかも知れないが、[<情報の“ルールなき”秘匿>で実際に危惧される]のは、実は<政治の無能化の助長>なのだ。<民主主義の手続き>に期待されるのは、まさにそれを防ぐことだ。
そして日本は<他の先進民主主義国が当たり前のようにできている情報公開>ができていない。その意味では、保守の側こそが現状に不満を唱えてもよいはずだ。


●<日本の政策の不透明さ>は無駄と非効率の温床だ

以前、筆者は[<日本の公文書制度>は遅れていて、そのせいで<(当然期待されるべき)行政の機敏なフットワーク>が阻害され、<予算の無駄遣い>や<無駄な規制>もなくならない]と書かせてもらった。

http://ameblo.jp/heav/entry-10580036699.html

更に、[他の先進民主主義国においては、情報公開を前提に<官僚の大規模な交代制度>が可能である]ことも書いた。人材は<外部のシンクタンクなど>から引っ張ってくるそうだが……まあそれはそれで問題もあるらしいけれど。[アメリカでは政権交代時、課長以上3000人ごっそり交代]はやりすぎかも。
────でも、[日本みたいにまったく変わらない]のは、明らかに世界標準から見て不自然だ。

http://ameblo.jp/heav/entry-10218668546.html

  ×   ×   ×   ×   ×

公文書についての記事では、<2009年段階での、公文書館の職員の人数の違い>を下の通りに書いた。

アメリカ:2500人
ドイツ:800人
カナダ:660人
イギリス:600人
フランス:440人

日本:42人


[ある法律や制度を作るとき、きちんと<それを作った前提になるようなデータ>や<そのデータの公明正大な根拠>や<決めたいきさつを記録した議事録>を残す]ことが当たり前になり、しかも[それを誰でもが参照できる]ならば、もし<その前提状況>が変わったとき、それらを<作った官僚本人>に突きつけることができる。
……例えば、[<(八ッ場ダム建設の根拠となる)洪水時の基本高水>が、(<森林の保水力の過小評価>のために)過大に想定されていた]と分かった場合、それを<当初作った(もしくは≪昔からの計画≫を維持しようとする)官僚本人>に突きつければ良い。
その場合、説明責任を負うのは、<状況が変わったのに、敢えて、それを維持しようとする側>になる。

ところが、もし[<それらデータや議事録>が存在しない、もしくは参照できない]ならば、説明責任を負うのは、<≪せっかく決まっていること≫を、敢えて、変えよう止めようとする側>になってしまう!
どんな政策であれ、<最初に作ったいきさつ>がハッキリしないのでは、そもそも<何に役立っているとされてきたのか>すらハッキリしにくいのではないか?それでは、例えてみれば[銃を撃つ前に、まず標的を探さねばならない]のと同じではないか?
これでは<行政の無駄の排除>は大変に非効率になると考える。

  ×   ×   ×   ×   ×

日本の政策決定は、つまりは<官僚組織の市場独占状態>にある。
そして当然、独占企業である以上、彼らは[俺たちの代わりを見つけてこれるならやってみろ!]と居直ることが可能になる。


●自民党政権案には反対!

結論から言えば、あの特定秘密保護法案には反対。
日本の官僚は、(<≪311後の震災復興予算≫配分での、あの呆れた大規模流用>を見てもすぐ分かるが)なんだかんだと理由をつけて、[法の運用を自分らの都合の良いように使う]ことはすぐに想像できる。ならば、(大した理由もなく)多くの情報が特定秘密に指定されて、<無駄な予算措置>や<役目を終えた規制>の温存に働くのではあるまいか。

<安全保障上の必要>があるのは理解できる。だがやるのなら、外国がしているように、<≪本来秘密にすべきでないこと≫まで隠されていないか>をチェックするシステムも、きっちり用意するべきだ。


●野党に機密を見せる難しさ

────もっとも、自民党にすれば、[<社民党や共産党の議員>に<安全保障上の重要機密>をチェックさせるなんてとんでもない]と思うだろうが。

いっそのこと、一度彼らにも扱わせてみたらどうだろう。もし彼らが<足を引っ張る行為>をしたなら、それで彼らは世間から思い切り叩かれる。それで彼らも変わるかも知れないし、変わらないようなら、<彼らだけ委員会から外す口実>ができる……。
────ただ、そういう失敗は、[情報が流出しても、その重大さが分からない]なら痛みにならないか。[そのせいで国が滅びる]ぐらいになれば別だが。
────しかし、国民から叩かれはするし、何かしら口実はできる。

  ×   ×   ×   ×   ×

────ただし、筆者も情報については、リベラルなばかりではない。それはまた、今度……。

晃彩 晶 KousaiAkira

(筆者は“文章のブロック化”を推奨しています!)