早食い・大食いは胃潰瘍のもと? | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


「胃が悪い」って聞いて思い浮かべるイメージは、食が細い、やせている、顔が青白いなんていうところかしら?確かに、消化する力が弱くて食べられないために、太りたくても太れないなんていう方もいらっしゃいます。反対に、消化がよくて食欲旺盛だと、ご本人も周囲の方も、胃が悪いなんて想像もつきませんよね?


ところが…です。胃潰瘍という病気、初期のうちは、すっごく食欲が出て、胃もたれとか胃の痛みとかは出ないものなんです。だから、胃が弱くて食欲のあまりない方は、むしろ胃潰瘍にはなりにくい。ご存知でした?


なぜか? それは胃における消化のしくみが関係しているのです。その前に、胃を含めた消化管がどういうものか、確認しておきましょう。左側はよくみかける図(鍼灸学校解剖学教科書より)ですが、それをごくごく簡単な模式図にすると、右側(下)のようになります。


春月の『ちょこっと健康術』-消化器  春月の『ちょこっと健康術』-消化管


消化管って、かなり簡略化しちゃうと、こういうこと。右図(下図)の真ん中にあいているところの上が口で、下が肛門。外側のオレンジ色の部分が皮膚で、ピンク色の部分が消化管粘膜です。皮膚と粘膜、どちらも外界と接しているんだってこと、おわかりいただけます?


つまり、身体の組織で囲まれているように思いますけど、皮膚と同じように、外から入ってくる刺激や異物に、直接さらされている場所。胃腸の場合は、消化の間しばらくとどまるだけに、ある意味皮膚以上に刺激物の影響を受けやすい。そのせいもあって、粘膜細胞は、皮膚細胞よりも早く、だいたい2~3日くらいで、入れ替わるようになってます。


食べたものも、十分に消化されないうちは、からだにとっては異物にすぎません。はやいこと片付けようとして、胃は胃酸を出して必死に働く。胃酸は、からだを守るバリア機能のひとつでもあり、トイレ洗剤よりずーっと強力なpH2.0という酸。粘膜細胞表面に分泌される粘液の量が不十分だと、胃壁も胃酸に溶かされます。


大食いだと、入ってくる量が多いので、胃酸の分泌は多くなります。早食いも、短時間に大きな塊で入ってくるので、やっぱり胃酸の分泌が多くなる。当然のことですよね? しかも、

① 食べた量が多いと、その分胃壁が伸ばされて、粘膜の厚みが薄くなっちゃう。

② すると、血流も悪くなるので、粘液分泌が悪くなる。

③ 粘液が少ないと、粘膜細胞やその下にある細胞も、胃酸で溶かされる。

で、胃潰瘍が発生するというしくみ。


そんな状態が長く続けば、からだとしては、粘膜細胞の入れ替わりスピードを速めるしかなくなりますね。そうなれば、間違って正常じゃない細胞だって、できちゃうかもしれないでしょ? つまり、ガン細胞の発生です。暴飲暴食は、胃潰瘍どころか、ガンの原因にだってなりかねないのです。しかも、日本人はピロリ菌保持者も多いですしね。


お肌をきれいに保つなら、胃壁だってきれいに保ちたいものです。大食い・早食い・暴飲暴食は、胃を虐待しているのと同じこと。気をつけましょう。よく噛んで、腹八分目ですよ。刺激物もほどほどに。


ストレスと胃潰瘍の関係については、また今度。一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』-100310_114958.jpg

クリスマスローズの旬、ほんとは今頃なんですね。


東洋医学講座の目次→満月
ツボの目次→やや欠け月
リフレクソロジーの目次→半月
妊娠・産後・授乳・子どものケアの目次→三日月
アロマセラピーの目次→新月
『養生訓』の目次→星空
体操とストレッチの目次→夜の街
からだのしくみ・食・栄養の目次→打ち上げ花火
からだの不調と対処法の目次→お月見
養生法・漢方薬・薬草・ハーブ・食養生の目次→桜