うつ病とまちがわれる甲状腺機能低下症 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


「女性に多い甲状腺の病気」 で一度ご紹介している橋本病。先週の「試験は受けるよりつくるほうが楽しい?」 でも書きましたけど、私の持病でございます。その橋本病、甲状腺機能を低下させるため、うつ病や更年期障害、年齢によっては痴ほう症と間違われることがあるんです。


1 橋本病の症状


① 甲状腺のびまん性炎症(このため慢性甲状腺炎とも呼ばれます)

② 食欲がなく、食べないわりには太る、便秘がち

③ むくみ、ただし押してもとにもどりやすい

④ 皮膚が乾燥してカサカサする 

⑤ からだの熱をつくる力が弱く、寒がり

⑥ だるい、疲れやすい、昼間でも眠い、横になりたい

⑦ 元気がなく、無気力で、やる気が出ない、集中力が続かない

⑧ 心悸亢進

⑨ のどの違和感、かすれ声


※⑥・⑦があるために、うつ病とよく間違われます。

※ほうっておくと、高コレステロール血症や肝機能・心機能低下などが起こります。


2 原因不明の自己免疫疾患


自分の免疫細胞が、自分のからだの細胞を異物として認識し、抗体をつくって攻撃してしまう病気を自己免疫疾患といいます。なぜ異物と判断して、抗体をつくってしまうのか?いまだに謎。家族性に出現することが多いため、DNAの設計図にまちがって書きこまれているのかも?と言われていますが、まだ解明されておりません。(免疫システムと抗体についてはこちら→「今更ですが、免疫って何?」 をご参考にどうぞ )


自己免疫疾患には、それぞれ特有の抗体がありますので、血液検査でそれとわかります。橋本病の場合は、抗サイログロブリン抗体(TgAb)と抗甲状腺マイクロゾーム抗体の2種類。抗サイログロブリン抗体は甲状腺ホルモンのもとになる物質を、抗甲状腺マイクロゾーム抗体は甲状腺にある酵素を、それぞれ異物として認識してしまいます。


3 女性の30人に1人


初期症状は甲状腺の炎症による腫れなんですが、びまん性で全体的に腫れるため、それとはなかなか気づきにくい。私の場合も、振り返ってみればずいぶん前から、それっぽい症状はあったものの、鍼灸国家試験のころから炎症が激しくなって、一気に悪化してようやく認識したくらいです。


橋本病は、1912年に橋本策(はかる)医師が世界で初めて報告した病気。女性の30人に1人が発症すると言われています。橋本病で、甲状腺機能低下になる人は3割、治療が必要なのに受けずにいる人が3割いるとか。橋本病と診断されても、ほとんどの人は経過観察だけなんですね。


疲れやすいとか、やる気が出ないとか、そんなに食べないのに太るとか、のそんなことがあって、家族や親せきにバセドウ病や橋本病の人がいたら、特に女性の場合は、うつ病や更年期障害を疑う前に、一度甲状腺ホルモンの血液検査を受けてみたほうがいいかも。私みたいに急性増悪なんてことにならないように。


4 治療


甲状腺ホルモンの分泌が低下しますので、人工的に合成された甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)を服用します。検査と診察の結果によって、その量がコントロールされ、炎症がおさまって甲状腺ホルモン分泌が回復してくれば、薬の量を減らしていくことも可能ですが、すべては医師のさじ加減。なので、できれば専門病院あるいは専門医にかかりましょう。


5 日常生活上の注意(甲状腺機能が低下している場合)


① 生活リズムを守る

② 海藻類(ヨード)・アブラナ科の野菜・大豆製品を摂りすぎない

③ 摂取カロリーを控えめにする

④ ストレスをためない

⑤ あせらず気長に病気とつきあう


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』-100219_163509.jpg

東洋医学講座の目次→満月
ツボの目次→やや欠け月
リフレクソロジーの目次→半月
妊娠・産後・授乳・子どものケアの目次→三日月
アロマセラピーの目次→新月
『養生訓』の目次→星空
体操とストレッチの目次→夜の街
からだのしくみ・食・栄養の目次→打ち上げ花火
からだの不調と対処法の目次→お月見