おはようございます
昨日のお約束、64卦の意味するものをリストしましょう。上の卦・下の卦・卦の名称の順に並べてあります。/で区切った後ろは、昨日の「易経 64卦の楽しみ方 その1」
に載せた表にあるもので、前はそれを短くしたもの。たとえば、上の卦も下の卦もであれば、
となって、これは「乾卦(乾為天の卦)」ということになります。卦の出し方は、昨日の「易経 64卦の楽しみ方 その1」
をみてくださいね。なにしろ64卦ありますから、ちょっと長くなりますよ。
1)
乾(けん)/乾為天(けんいてん)
強健。充実の頂点。盛運ではあるが、調子に乗りすぎると転落に向かう。
2)
坤(こん)/坤為地(こんいち)
柔静のうちに豊かな力を秘める。柔よく剛を制する道を示す。
3)
屯(ちゅん)/水雷屯(すいらいちゅん)
困難な創業期。生命力はあるが、十分に伸びきれない。忍耐と努力が肝心。
4)
蒙(もう)/山水蒙(さんすいもう)
無心の幼児の状態。無限の可能性を開発するには、周囲の指導に従うこと。
5)
需(じゅ)/水天需(すいてんじゅ)
危険を前にして穏忍自重(おんにんじちょう)する形。時節の到来まで鋭気(英気)を養って待つ。
6)
訟(しょう)/天水訟(てんすいしょう)
もめごとで苦しむ。つまらぬ片意地をすてて、協調を心がけねばならぬ。
7)
師(し)/地水師(ちすいし)
戦いに際しては大義を明らかにし、部下の心をつかんでいることが必要。
8)
比(ひ)/水地比(すいちひ)
親和の心で、多くの協力を得て順調。女性にとっては恋敵の出現で危険。
9)
小畜(しょうちく)/風天小畜(ふうてんしょうちく)
外柔内剛の形。内の剛をみだりに発散してはならぬ。停滞に堪えよ。
10)
履(り)/天沢履(てんたくり)
虎の尾をふむ危険な卦。身のほどをわきまえて着実に進むこと。
11)
泰(たい)/地天泰(ちてんたい)
和合、安定を示す理想的な形。ただし、大吉は凶に転ずる。自戒が必要。
12)
否(ひ)/天地否(てんちひ)
不安定、くいちがい、行きづまりの状態。見かけだけで芯はもろい。
13)
同人(どうじん)/天火同人(てんかどうじん)
豊かな知性とたくましい実行力を示す。ひろく協力者を求めてゆけば吉。
14)
大有(たいゆう)/火天大有(かてんたいゆう)
中天に昇った太陽。盛大、豊有を示す。積極的に行動すべき時である。
15)
謙(けん)/地山謙(ちざんけん)
謙虚、謙譲の必要を説く。おのれを虚しくし、人にゆずってこそ道は開ける。
16)
予(よ)/雷地予(らいちよ)
春雷の季節。長い冬が終わって、ふたたび活動する時である。
17)
随(ずい)/沢雷随(たくらいずい)
盛気衰える秋。おのれをおさえて、他人に従う気持ちが大切。力を内に蓄えよ。
18)
蠱(こ)/山風蠱(さんぷうこ)
腐敗、混乱の象。禍根を断つべく努力すれば、道は開ける。
19)
臨(りん)/地沢臨(ちたくりん)
運気は次第に隆盛に向かう。しかし、急速に衰えるから、切り上げ時が肝心。
20)
観(かん)/風地観(ふうちかん)
嵐吹きすさぶ時。いたずらに動き回らず、冷静に事態をみきわめること。
21)
噬嗑(ぜいごう)/火雷噬嗑(からいぜいごう)
手ごわい障害にぶつかるが、全力を傾け真正面から対処することが必要。
22)
賁(ひ)/山火賁(さんかひ)
美しい夕映え。退廃の美である。外面の虚飾を捨て、内面充実に心がけよ。
23)
剥(はく)/山地剥(さんちはく)
衰滅の危機。みだりに力むことなく、時機の来るまで待つこと。
24)
復(ふく)/地雷復(ちらいふく)
一陽来復(いちようらいふく)。春の立ちかえりだが、あわてて飛び出せば危険。復縁によし。
25)
无妄(むぼう)/天雷无妄(てんらいむぼう)
良きにつけ悪しきにつけ、思わぬ事態が起こる。虚心に身をゆだねよ。
26)
大畜(たいちく)/山天大畜(さんてんたいちく)
すでに蓄積は成った。危険を恐れず、大いに活動してよい。
27)
頤(い)/山雷頤(さんらいい)
あごを象徴。口は養いのもと。養いの道を示す。言語、飲食には特に注意。
28)
大過(たいか)/沢風大過(たくふうたいか)
重い任務を与えられたが、実力がそれに伴わない。慎重でないとあぶない。
29)
習坎(しゅうかん)/坎為水(かんいすい)
重大な危機におちいり、容易には抜け出せない。勇気と誠意で堪えること。
30)
離(り)/離為火(りいか)
輝く太陽。知性と情熱の象徴。だが、やりすぎる傾向もあり、要注意。
31)
咸(かん)/沢山咸(たくさんかん)
若い男女の愛撫を象徴する。心の触れ合いは大切だが、感情におぼれては凶。
32)
恒(こう)/雷風恒(らいふうこう)
安定した生活。その中に危険な誘惑がひそむ。初心を忘れてはならない。
33)
遯(とん)/天山遯(てんざんとん)
隠とんの道を示す。いまは時節が悪い。低姿勢で衰運の過ぎるのを待て。
34)
大壮(たいそう)/雷天大壮(らいてんたいそう)
陽気盛大、猛進の時。しかし、外見ほどには実質がともなっていない。
35)
晋(しん)/火地晋(かちしん)
昇り始めた太陽。すべて順調。こんな時はむしろゆったりと進むこと。
36)
明夷(めいい)/地火明夷(ちかめいい)
暗黒が支配する。なまじ局面打開をはかれば叩かれる。韜晦(とうかい)の時である。
37)
家人(かじん)/風火家人(ふうかかじん)
家庭を和やかに保つ良妻賢母。なにごとにも出すぎたまねは禁物。
38)
睽(けい)/火沢睽(かたくけい)
女同士のジメジメした反目、対立。気長に和解できる点を探し求めること。
39)
蹇(けん)/水山蹇(すいざんけん)
八方ふさがりで、にっちもさっちも行かぬ状態。無理をせず気長に。
40)
解(かい)/雷水解(らいすいかい)
雪解けの象。難問がどうやら解決して、心機一転(しんきいってん)、新たな好機をつかむ時。
41)
損(そん)/山沢損(さんたくそん)
目先の利益を捨てて、未来を勝ち取る心構えが必要。損して得取れ。
42)
益(えき)/風雷益(ふうらいえき)
ひろい心で人々をうるおすこと。人心をつかめば、なにごとにも積極的に出て可。
43)
夬(かい)/沢天夬(たくてんかい)
頭をおさえつけているものがある。一大勇猛心でこれを克服すれば吉。
44)
姤(こう)/天風姤(てんぷうこう)
したたかな女。男性によって縁談はよくない。早めに切り上げれば吉。
45)
萃(すい)/沢地萃(たくちすい)
砂漠のオアシス。天恵に感謝する心が大切。入試、就職、人事に吉。
46)
升(しょう)/地風升(ちふうしょう)
伸びゆく若木。順調な成長が期待できる。方角は南方がよい。
47)
困(こん)/沢水困(たくすいこん)
試練のとき。沼のかれはてた形で、万事がうまくゆかぬ。臥薪嘗胆(がしんしょうたん)が必要。
48)
井(せい)/水風井(すいふうせい)
静かな中に豊かな生命力を宿す。常に新鮮な気持ちで、人にうるおいを与えよ。
49)
革(かく)/沢火革(たくかかく)
革新、革命の象。多少の混乱はあるが、私欲をすてて対処すれば道は開ける。
50)
鼎(てい)/火風鼎(かふうてい)
鼎(かなえ)を象徴。重厚、安定、協和を示す。協力関係を失わねば順調。
51)
震(しん)/震為雷(しんいらい)
雷鳴とどろく象。驚天動地(きょうてんどうち)の事態が起こっても、冷静沈着に行動すること。
52)
艮(ごん)/艮為山(ごんいさん)
泰然として動かぬ山々。軽率な行動をつつしみ、わが道を行け。依頼心は禁物。
53)
漸(ぜん)/風山漸(ふうざんぜん)
着実に成長する。あわてず騒がず、順をふんで進むがよい。女性の縁談に吉。
54)
帰妹(きまい)/雷沢帰妹(らいたくきまい)
道ならぬ恋。華やかに見えても長続きしない。内面の充実が必要。
55)
豊(ほう)/雷火豊(らいかほう)
極盛に達した状態。盛んなれば必ず衰える。よほどの自戒が望まれる。
56)
旅(りょ)/火山旅(かざんりょ)
孤独の旅人。苦難の中でも目的を忘れず、一歩ずつ前進する心構えを持て。
57)
巽(そん)/巽為風(そんいふう)
そよ風。柔軟、謙遜、順応を示す。それが行き過ぎて、優柔不断にならぬよう。
58)
兌(だ)/兌為沢(だいたく)
和合悦楽を象徴。しかも芯はしっかりと保っている。切磋琢磨(せっさたくま)で吉。
59)
渙(かん)/風水渙(ふうすいかん)
分裂、離散の危機。私党を解消して大同団結をはかれば、大事業が可能。
60)
節(せつ)/水沢節(すいたくせつ)
節度を守る。なにごとにも平衡感覚を失わず、けじめをしっかりつけること。
61)
中孚(ちゅうふ)/風沢中孚(ふうたくちゅうふ)
誠実さが何よりも肝要。じっくりと暖かい人間関係を作れば万事順調。
62)
小過(しょうか)/雷山小過(らいざんしょうか)
対立、反目によって困難に直面する。大問題は避け、日常業務に専心せよ。
63)
未済(びさい)/火水未済(かすいびさい)
苦境乗り切りもいま一歩のところで挫折する。一致協力で打開を図れ。
64)
既済(きさい)/水火既済(すいかきさい)
万事成就して安定。これ以上を望むことなく、現状維持に徹すること。
以上、『中国の古典名著総解説』より引用しました。これをごらんになって、何かを連想されませんでしたか?そう、神社のおみくじに書かれた言葉。神社も陰陽五行の影響を色濃く受けていて、『易経』とは切っても切れない仲ですもの。
『易経』は、64卦を説明する『経(けい)』と、その卦の解釈学である『十翼(じゅうよく)』とから成っています。『十翼』の中に『繋辞伝(けいじでん)』があり、これは確かに易の解説書でもあるのですが、自然哲学を生活の中に実践して取り入れるための方法が説かれていて、東洋医学講座 No.2 でご紹介した『陰陽論』が展開されているのです。
「『易経』で運命を打開する?」 にも書きましたけど、「易経の占断は神の託宣ではない。易経に示される吉凶は、変えることのできない宿命として与えられるのではなく、従うべき法則を示すことによって、運命開拓の努力を促がすものである。そこでは人間の能動性が強く要求される。人間の努力をぬきにした運命などあるはずがない。「禍を転じて福となす」のが易の道である。」んですよ。吉凶、良い・悪いではなくて、「ここに気をつけて、こうしよう」というふうに使ってくださいね。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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