『養生訓』 菘(な)の調理(巻四14) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「菘(な)は、京都の畑菜(はたけな)や水菜(みずな)などであって、田舎では京菜と呼ばれるものであり、蕪(かぶ)の類である。世間では誤ってほりいり菜という。味はよいがその性はよくない。張仲景は、「薬の中に甘草が入っていて、菘(な)を食べれば、病いは除かず。根は九月、十月のころに食べれば、味が淡いので可である。薄く切って食べるべし。厚く切ると気を塞ぐ。十一月以後、胃虚の人が食べると、滞塞する」という。 」


長野電波技術研究所さん所蔵の「大和本草」 によれば、菘(な)には、ここに書かれている畑菜・水菜に加えて、白菜も入るようです。「ほりいり菜」という呼び方については、調べてみましたが、わかりませんでした。


いずれにしても、菜として葉の部分を食べるよりは、根の部分を薄く切って食べるほうがいいということでしょうか。薄く切ることについては、「根菜類の調理」 「魚と野菜の調理」 「甘い野菜の食べ方」 にもありましたね。


張仲景(ちょうちゅうけい)は、「医道と利養」 にも登場しています。後漢末の医家で、『傷寒雑病論』(後に『傷寒論』と『金匱要略』に分離された)の著者とされていますが、正確なことは不明です。


甘草は、その名のとおり、甘味のある薬草。リコリスのことで、のどの薬としてよく使われます。甘草だけの処方薬、甘草湯は『傷寒論』にあって、咳・のどの痛み・胃の痛みなどの緩和に使われます。「漢方のかぜ薬は葛根湯だけ?」 で見ていただくとわかるように、葛根湯や桂枝湯などにも含まれていますよ。


菘(な)と甘草との食べあわせがよくないこと、11月以降、すなわち冬に胃の弱い人が食べると、気が滞って塞がるということは、菘(な)の性質は寒性であることが想像できます。それで、「性がよくない」につながるのかな。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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