スクラップ・アンド・ビルド
 
羽田 圭介 文藝春秋 2015年8月
 
 
 
 

 

「早 う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再 構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。

 
 
老人を手厚く介護する。
それは、老人の死期を早めているだけなのかも?と思えてくる。
 
祖父は、どこまで、体の自由が利かなかったのか?
 
祖父は、本当は動けるのに、無職の健斗に「祖父の世話」という仕事を与えていたのかもしれない。
 
 
食器を自分で片付けさせる。
祖父に対する母のいいつけは、きついように思えるが、それが、祖父にとってのリハビリになっていたのかも。
 
 
死にたい という祖父に対し、楽に死なせてあげるために 健斗 が行った行動とは?
面白い発想だと思った。
 
筋肉に楽をさせてはいけない、鍛えないと・・・という気持ちになった。
 
お気に入り度★★★★
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あの日の声を探して

 監督: ミシェル・アザナヴィシウス

 出演: ベレニス・ベジョ, アネット・ベニング

2014年

 

 

 

 

 

 

 

『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督が、チェチェン紛争を舞台に描いた戦争ドラマ。1999年、9歳のハジは、両親を銃殺されたショックで声を失ってしまう。まだ赤ん坊の弟を見知らぬ家の前に捨て、ハジはひとり放浪するが…。

 

 

最初の場面、何のための殺戮なのか。兵たちは、面白がっているだけのように思えた。

 

両親を殺された少年ハジは、ここにいては、自分たちも殺されてしまうと、弟を連れて、家を出る。しかし、幼い弟を育てられないと、ある家の前に置いていくのだった。

 

ハジは赤十字に保護されるものの、そこを抜け出す。ハジが出会ったのは、 EUに勤める キャロルだった。彼女との暮らしが始まるが・・・・・・

 

ハジにとって、キャロルとの出会いがあったこと、よかったと思う。キャロルにとっても、ハジとの暮らしが、キャロルの考え方を変える。二人の関係が、温かいものに感じた。

 

キャロルは、侵略の現実を国際会議で訴えるが、相手にされない。一人の女性の訴えなど、とるに足らないものなのか!?

 

戦争の恐ろしさを描く中で、キャロルやハジの姉が、たくましく成長していく姿を描いているところがよい。

 

一方、青年コーリャは、街で警察に連行され、軍隊に入ることに~。

軍隊での理不尽な暴力が、普通の青年だったコーリャを変えていく。その変貌していく様子が、見ていておそろしい。戦争のおぞましさを感じた。

 

ハジを演じた男の子、声を失った役なので、話をすることのない演技に泣けた。

 

お気に入り度★★★★★

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本「向田理髪店」

テーマ:
向田理髪店
奥田英朗 光文社 (2016/4/19)

 

向田理髪店向田理髪店
1,620円
Amazon

 

 

北海道。寂れてしまった炭鉱町。通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。心配性の理髪店主人が暮らす北の町は、案外にぎやか。身に沁みて、心がほぐれる物語。

 
 
「向田理髪店」「祭りのあと」「中国からの花嫁」「小さなスナック」「赤い雪」「逃亡者」
 
 
 
康彦は自分の代で「向田理髪店」を終わらせるつもりだったが、息子、和昌が、店を継ぐと町に帰ってくる。
うれしい反面、こんな過疎の町で将来性はあるのか、今までの生活で何かあったのではないのか、と心配になる。
 
この町で起きる様々な出来事・・・・・・・・
異国の花嫁をもらった男性の話や、人気女優主演の映画が、この地で撮影された話、全国指名手配されたのが、地元出身の若者であった話・・・・・・・・・・
 
過疎の村の問題点を提起している。
小さいころから知っていて、プライバシーがない。 しかし。その分、人のつながりを大切し、助け合ってずっとやってきたのだ。
 
この町で暮らすことを決めた若者、これからを見守っていきたいなあ。
 
お気に入り度★★★★
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本「KUHANA !」

テーマ:
KUHANA ! (クハナ!)


秦 建日子 河出書房新社 2016年4月



KUHANA !/河出書房新社
¥1,512
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三重県桑名市。廃校まであと一年の小学校にJAZZバカの先生がやってきた。退屈な毎日と家の手伝いから抜け出したい子ども たちは、急遽「ジャズ部」を作ることに!一方、町の雇用を支える蛤サプリの工場が経営不振から大規模なリストラを行うことになり、大人たちは大モメ。親た ちの事情に振り回されて悩み、慣れない楽器に悪戦苦闘しながらも子どもたちはJAZZの楽しさに目覚め、やがて…笑って泣けて、ちょっとしんみり。元気が 出ること間違いなしの青春ローカル小説!単行本スペシャルエッセイ「監督、三重を行く」収録!



三重県が舞台の話ということで読んでみた。


この秋、映画化されるらしいが、その脚本といった感じの本だ。

ジャズばかの先生。その息子は、編み物を職業としている。小学校の校長。その娘は出戻りと個性的な面々・・・・・

小学生のそれぞれの気持ちに加え、リストラ問題等のおとなの事情も組み込まれている。

くすくす笑える部分あり、しんみりする部分あり、元気の出る本だ。

頑張るジャズ部の小学生を応援したい。


これが、映画になったら、面白いだろうと思う。けど、小説となると、ものたりないかなあ。




お気に入り度★★★


後ろに 「監督、三重を行く」 というエッセイが収録されていて、知っている地名や場所が出てきて、親近感を感じた。

幹事のアッコちゃん

柚木麻子 双葉社 2016年2月


幹事のアッコちゃん/柚木 麻子
¥1,296
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背 中をバシッと叩いて導いてくれる、アッコさん節、次々とサク裂!妙に冷めている男性新入社員に、忘年会プロデュースの極意を…(「幹事のアッコちゃ ん」)。敵意をもってやって来た取材記者に、前向きに仕事に取り組む姿を見せ…(「アンチ・アッコちゃん」)。時間の使い方が下手な“永遠の部下”澤田三 智子を、平日の習い事に強制参加させて…(「ケイコのアッコちゃん」)。スパイス絶妙のアドバイスで3人は変わるのか?そして「祭りとアッコちゃん」では アッコ女史にも一大転機が!?突破の大人気シリーズ第3弾。

ランチのアッコちゃん 3時のアッコちゃん に続く第3弾



「幹事のアッコちゃん」
新入社員の久瀬は忘年会の幹事。お店を探したり出し物を何をやるとか憂鬱でたまらない。
一秒でも先延ばしにしたい度ナンバーワンの案件・・・・・


 
<忘年会の極意。それは幹事が他の誰よりも楽しむことよ。 >
アッコちゃんのアドバイスに従い、素敵な忘年会に・・・・
こんな忘年会、楽しそう。
久瀬も、前向きになれてよかった。



「アンチ・アッコちゃん」
赤井温子は、アッコちゃんのインタビューに・・・・・
温子にとってアッコちゃんは、同じ大学出身同じ学年、一番身近に感じられるお手本で、かつての目標だった。

珍しく、アッコちゃんのよわよわしい姿が・・・・・・・
温子は、アッコちゃんに苦手意識を持っているようだったが、自分なりに解決できてよかったと思う。



「ケイコのアッコちゃん」
チームリーダーになった澤田三智子は、毎日忙しく、11時帰宅。
そんな三智子をアッコちゃんは、月曜日から金曜日まで毎日おけいこに連れ出す。


時間は自分で作るものだと感じる。
アッコちゃんに連れ出されて、三智子が行動を共にするパターンは「ランチのアッコちゃん」を思い出した。


「祭りとアッコちゃん」
「ポトフ&スムージー」に企業買収の話が・・

アッコちゃんにとって、自由に動き回っている方があっているかも!?






アッコちゃんから元気をもらった。

澤田三智子が、結婚し、高潮物産で昇進している様子が知ることができ、
アッコちゃんと三智子がずっと、交流していることに、うれしくなった。


お気に入り度★★★★

映画「ホットロード」

テーマ:
ホットロード

 監督: 三木孝浩
出演 能年玲奈, 登坂広臣 鈴木亮平 太田莉菜 竹富聖花 落合モトキ 山田裕貴 鷲尾真知子 野間口徹 利重 剛 松田美由紀
2014年

ホットロード [DVD]/登坂広臣
¥5,184
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紡木たくの名作コミックを能年玲奈と三代目J Soul Brothersの登坂広臣主演で映画化。孤独な14歳の少女・宮市和希は、夜の湘南で出会った「Nights(ナイツ)」という不良チームの少年・春山洋志に惹かれていくが…


親の愛を感じられずに育った少女が、一人の男性を愛することにより、成長する物語。

和希の母親は、夫が亡くなり、昔から好きだった鈴木君と付き合っているだけというが、自分勝手な言い分で、ふらふらしていて、いやな母親。和希が、母親に反発する気持ち、わかるなあ。

中学生と高校生の二人に芽生えた愛は、純粋で、自分以外の人の気持ちを考える余裕も生まれ、命の尊さも知る。すてきな愛の物語だ。


お気に入り度★★★

映画「キングスマン」

テーマ:
キングスマン

監督: マシュー・ヴォーン
出演: コリン・ファース, マイケル・ケイン, タロン・エガートン, サミュエル・L・ジャクソン, マーク・ストロング
2015年

キングスマン [SPE BEST] [Blu-ray]/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
¥2,571
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ロンドンのサヴィル・ロウにある高級テーラー店“キングスマン"の実体は、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関だった!
17年前に父を亡くし、無職のままロンドンで母と暮らすエグジー。
彼の前にある日、ブリティッシュ・スーツに身を包んだハリーと名乗る紳士が現れる。
高級テーラー「キングスマン」の仕立て職人であるハリー、だがその裏の顔は秘密裏に活動する国際諜報機関「キングスマン」のエリートスパイだった。
かつて同僚だったエグジーの父に命を救われたハリーは、エグジーを「キングスマン」の新人候補としてスカウトする。
エグジーがライバルたちと新スパイの座をかけた熾烈な競争を繰り広げる一方、ハリーは世界規模の人類抹殺計画を企てるIT富豪ヴァレンタインの行方を追っていたが・・・。


仕立て職人であるハリーは、スーツを着こなす紳士だが、その裏では国際諜報機関のスパイだったとは!
身のこなしがスマートであり、圧倒的に強かった。

新人候補の試験、ハードだ。
エグジーは、今までのスパイたちとは違い、貧乏な家の出であり、スパイなど、考えてもいなかったであろう。そんなエグジーと女性のロキシーが、試練に立ち向かっていく様子は、成長物語のよう。
精神面でも、これくらい割り切って行動できないとやれないってことなんだね。(犬のこと)


ヴァレンタインは悪って感じが、みなぎっていたし、女性の悪役ガゼルのあの足、特徴ある!!

スパイ映画、楽しめた。


お気に入り度★★★★
真実の10メートル手前

米澤穂信 東京創元社 2015年12月



真実の10メートル手前/米澤 穂信
¥1,512
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高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリス トの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める…。太刀洗はなにを考えているのか?滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄 執―己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、本書のため に書き下ろされた「綱渡りの成功例」など。優れた技倆を示す粒揃いの六編。




王とサーカス の太刀洗万智の活動を描いた短編集。

 


 


 

ジャーナリストでありながら、犯人捜しのような行動もとる。

 

しかし、その行動は、ジャーナリストの立場に立って、一つひとつ丁寧に真実に近づこうとしている。

 


 

真実を求めて、奔走する太刀洗だが、真実を書くことが、正しいことなのか?

 

苦悶しながらも、ジャーナリストとして、事実を伝えようとする太刀洗の姿が描かれている。

 


 

「真実の10メートル手前」

 

10メートル手前でわかった真実は、もっと、早くにわかればよかったのに、と悔しい思いがした。

 


 

「正義感」

 

電車での人身事故。それを調べようとしている女には、不幸を喜ぶ顔が・・・・・・

 


 

「恋累心中」

高校生の男女の心中の真実とは?

 


 

「名を刻む死」

 

死んでまで、名前を残さなくてもいいのに・・・・・・・

 


 

「ナイフを失われた思い出の中に」

さよなら妖精 マーヤのその後・・・・・・・・・・


「綱渡りの成功例」

 

台風の牛乳のことは、あえて、記事にしなくてもいいのにという気はしたが・・・・・・




それぞれに、思わぬところに真実があり、面白い作品だった。


お気に入り度★★★★

本「暗幕のゲルニカ」

テーマ:
暗幕のゲルニカ

原田マハ 新潮社 2016年3月


暗幕のゲルニカ/原田 マハ
¥1,728
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反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの“ゲルニカ”。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、忽然と姿を消した…。大戦前夜のパリと現代のNY、スペインが交錯する、華麗でスリリングな美術小説。



ニューヨークでキュレーターの瑤子が、9,11事件で夫を亡くした時代と

パリでピカソが「ゲルニカ」の絵を描いた時代が交互に描かれている。



 

「ゲルニカ」の絵が描かれた背景、そして、その絵は疎開をし、ニューヨークへ渡り、スペインに戻った。そんな過程があったなんて、知らなかった。


そして、瑤子は、今、ニューヨークにあるMOMA美術館でピカソ展を開く準備をしている。

そんな時、国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、忽然と姿を消す。誰が?なぜ?



ピカソ展には、本物の「ゲルニカ」の絵が必要と、瑤子は、奔走する。


「ゲルニカ」が動かせない理由とは?MOMA美術館で展示できるのか?




 

ピカソの「ゲルニカ」の絵に込めた思い、それは、反戦への強い思いであり、瑤子の思いでもある。


一つの絵をめぐる物語なのに、とても、壮大でスリリングな話だった。

一枚の絵の影響力の大きさを感じた作品。



お気に入り度★★★★★

映画「海街ダイアリー」

テーマ:
海街ダイアリー

監督 是枝裕和
出演 綾瀬はるか, 長澤まさみ, 夏帆, 広瀬すず
2015年

海街diary DVDスタンダード・エディション/広瀬すず
¥4,104
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海の見える街を舞台に4姉妹が絆を紡ぐヒューマンドラマ。眩しい光に包まれた夏の朝、3姉妹に父の訃報が届く。15年前、父は女と出て行き、その後、母も再婚して家を去った。3人は父の葬儀で、腹違いの妹・すずと出会い…



病院で働くしっかり者の長女幸(さち)
男に恵まれない銀行員の二女佳乃(よしの)
スポーツ店で働くマイペースの三女千佳(ちか)

そんな三姉妹と、腹違いの妹すずが一緒に暮らすようになる。

このすずが、けなげで、かわいい。
今までも、ひとりで父親の世話をしてきた。
鎌倉に来ても、みんなに気を使っている様子。
でも、梅酒で、酔ってしまって、本音を言う姿が、かわいかった。
徐々にこの家族の一員になっていく様子が、ほほえましかった。


幸は、昔から優等生で、曲がったことが嫌いのように見えて、実は、恋愛面では、・・・であったり、
佳乃は、仕事よりも、恋愛重視のように思ったが、銀行の仕事に意味を見出したり・・・・・・

喧嘩もよくする姉妹だが、ぶつけることができる相手がいることって、いいことだと思った。

こんな昔ながらの家で、姉妹で暮らすのも、悪くないと思った。

鎌倉の風景が、この物語にあっていたと思う。



お気に入り度★★★★★