金田伊功「サイボーグ009」
図1 図2 図3 図4 図5 図6 図7 図8 図9 図10 ■関連商品 サイボーグ009 ― オリジナル・サウンドトラック Vol.2 石ノ森章太郎 萬画音楽第全集6 サイボーグ009 Vol.1
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【 このコンテンツは批評目的により、偉大なアニメーター金田伊功氏の作画、サイボーグ009の楽曲の引用が一部含まれています。音楽の著作権は著作権者に帰するものです。また、個人的耳コピのため音楽的には間違った解釈である可能性もありますが、故意に著作権者の音楽の価値を低めようとするものではありません。著作権者の権利、音楽の美学を侵害した場合いかなる修正・削除要請にも応じます】
リズム感が卓越したアニメーション。
先日触れたサイボーグ009 ネタで。 TVアニメーションのオープニングは非常に重要だ。それは、未だ何も知らない視聴者に作品の世界像を伝えなければならない。それは、作品に登場するキャラクターを端的に紹介しなければならない。今回は金田伊功氏が原画を担当した「サイボーグ009」(1979年)オープニング曲と金田氏の作画術を研究しよう。このオープニングは、作品の世界像+登場人物の紹介に見事に成功している逸品であり、その後金田氏が作画した「ふしぎ遊戯」オープニング などでの「キャラクター紹介方法論」の基礎を築き上げた金字塔だ。 オープニングソング「誰がために」は、作詞に石ノ森章太郎氏、作曲に平尾昌晃氏、編曲にすぎやまこういち氏という、物凄い面子。うたは、成田賢氏とこおろぎ73。キーはDマイナーから始まるが、この曲でも同主調転調(参照 )が巧みに使われている。4/4拍子。では、曲を追いかけながら、金田氏の作画術に迫ろう。 【I】イントロ
【A】
9人の戦士が009から昇順に登場、画面を右から左手へ走り去る。この走法が各人の個性を捉えたものであるが解るだろう。コード進行はⅠm→Ⅳm→Ⅴ7→Ⅰmという音楽の骨格(参照 )進行。 【B】
ここから各戦士が降順に登場。001=イワン・ウィスキーは揺り籠に乗ったまま電子頭脳をスパーク(図1)、002=ジェット・リンクは高速飛行(図2)、紅一点(←差別語だっけ?)003=フランソワ・アルヌールは優しく振り返り(図3~4)、遠くまで見通す瞳を瞬き(フランソワ、原画修正がかかっていないのか、金田キャラそのものなのが嬉しい)。ここまでが1行目で、Ⅴ7→Ⅰmのドミナント・モーションに続き、サブドミナントマイナー♭Ⅶから4度上昇で♭Ⅲ、そしてドミナントⅤ7へ。サブドミナントマイナーの挿入が物悲しさを際立たす。 2行目。004=アルベルト・ハインリヒは右手内蔵の機関銃を撃ち(図5)、005=ジェロニモ・ジュニアは鋼鉄の腕で岩を持ち上げ(図6)、006=張張湖は口から熱戦を吐き(図7)、007=グレート・ブリテンは蜥蜴に化け(図8)、008=ビュンマは水中を泳ぐ(図9)。コード進行は、Ⅰm→♭Ⅶ→Ⅳm→Ⅴ7とサブドミナントマイナー挿入の骨格進行。続いて4小節目ではサブドミナントマイナー♭Ⅵが引き延ばされる。009=島村ジョーは、サブドミナントマイナーの響きのなかで一筋の涙を流す。シビレル演出。 【C】
と、「空耳ケーキ」 と同様のサブドミナントマイナー→トニックの、パラレル同主調転調が行われ、Dメジャーにキーが変わる。 曲のよさ、アニメのよさ、歌詞のよさ、3拍子揃った名オープニングだ。 |