≪腰痛について≫
“腰痛”はスポーツ選手だけでなく一般成人にもみられる疾患であり,人口の70%以上が一生に1回以上の腰痛を経験していると言われています。
一般的に“腰痛”と聞くと,『ぎっくり腰』や『腰椎椎間板ヘルニア』などの疾患を連想されることが多く,いわゆる過用(使い過ぎ)による筋肉及び骨由来の“腰痛”は単純に考えられがちな印象を受けます。しかし,実際は腰痛の原因を断定・確定できるようなケースは思いのほか少ないのが現実です。
≪腰痛の原因疾患について≫
腰痛を惹起し得る原因疾患は,腰部の骨や椎間板の変性或いは破壊によって生ずる腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・腰椎分離症・腰椎すべり症等と,レントゲンやMRIなどの画像検査上明確な原因を突き止めることができない非特異性腰痛等の2つに大別されます。そして,後者の場合である事が圧倒的に多く,腰痛全体の約85%を占めると言われている他,その非特異性腰痛の中で最も多いと示されているのが筋・筋膜性腰痛です。
さて,ここから成長期における腰部のスポーツ障害について詳述していきます。
成長期における腰痛の代表的な原因疾患は,上述した『腰椎分離症』や『筋・筋膜性腰痛』等が挙げられます。そして,今回のコラムでは筋・筋膜性腰痛に対するコンディショニングについて詳述していきます。
≪筋・筋膜性腰痛とは?≫
一言で言えば“腰部周辺の筋疲労による痛み”であり,主として腰部の脊柱起立筋(※図内青印)に生じることが多いと考えられています。原因としては,いわゆる猫背や反り腰などの不良姿勢により惹起されるケースが非常に多いとされています。しかし,実際には『筋肉の硬さや筋力不足あるいはimbalance(不均衡)等の結果,不良姿勢が構築される』と捉える必要があり,換言するならば,上記の筋肉における諸問題点に対し,日々セルフコンディショニングを実践する事で予防できる可能性が高いという事です。
尚,筋・筋膜性腰痛は筋傷害に伴う急性の痛みと,同様の病態が長期間続く慢性的な痛みがあり,前者は,組織傷害自体の治癒に伴いおおよそ2~3週間で寛解すると言われています。また,後者に関しては傷害組織の治癒遷延だけでなく,筋の器質的・機能的変化を生じ,2~3ヶ月以上にわたって痛みやコリが持続すると言われています。
症状の特徴としては,身体を後ろへ反った(後屈)際に腰痛が出現する(※図内青印部分)事が多いとされ,発症初期はスポーツ活動後にのみ,その後は徐々にスポーツ活動中やその前後にも痛みを生じるようになり,最終的には日常生活においても痛みや違和感を伴うようになります。また,腰椎分離症のような骨・関節上の問題では無いため,痛みは腰部の真ん中には生じず,背骨から左右のどちらか(筋肉)に生じる事も特徴的です。尚,症状の重症化に伴い,どの方向へ身体を動かしても痛みを生じるようになりますが,神経症状(下肢の痺れ)を伴う事は少ないと考えられています。
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