~外的要因とコンディショニングについて~

 

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今回のコラムは,『外的要因とコンディショニングについて』をテーマとして掲げましたが,外的要因とは何か?細かな内容へ移る前に,まずはスポーツ外傷及び障害の“発生要因”について明らかにしていきましょう。

 

前のコラムでも述べましたが,スポーツにおけるケガには“急性外傷”と“慢性外傷”の2つがあります。そして,一般的に前者は“スポーツ外傷”として,後者は“スポーツ障害”として捉えられています。それぞれの特徴等に関しては以前のコラムにてご確認頂き,ここでは割愛をさせて頂きます。

 

さらに,上記のスポーツ外傷及び障害の発生要因には諸説ある中で,それらを簡潔にまとめると『各種競技特性技術(スキル)内的要因(身体的素因)外的要因(環境や用具等)既存疾患』を土台に,『不可効力的要素疲労過度使用』等が加わり,いわゆる『ケガ』が生じると考えられています。尚,“不可抗力的要素”とは各競技の特性上防止する事が困難な事例を指し,例えばラグビーのような競技とテニスやバレーボールのようなネットで区切られた競技等を比較すると解るように,大きな相違点として“身体的衝突の有無”が真っ先に挙げられます。相手からの厳しいコンタクト等を受ける競技には,やはり不可抗力的な要素がついて回ると考えられています。

 

さて,話を本題に戻しますが,上述した発生要因の“土台”の中に『内的要因』と『外的要因』が出てきました。これまでのコラムでは主に『内的要因』へ焦点を当て,身体(筋肉)の硬さや姿勢不良等が引き起こすスポーツ障害はセルフケアで予防できます!予防しましょう!というようなメッセージを伝えてきました。しかし,今回のテーマは『外的要因』です。前置きが長くなりましたが,以下,外的要因について詳述していきます。

 

―外的要因とは何か?

 

れでは『外的要因』とは具体的に何なのか?

上記では“環境や用具”と端的に書きましたが,それぞれ幅が広く分かりにくい部分もあります。例えば環境についてはまず,『暑い』とか『寒い』などの“気温面”の環境が考えられます。或いは,『雨の日』や『雪の日』などの“気候面”の環境も考えられます。また,気温や気候に加え,(練習や試合の)時間帯等も大きな影響を及ぼすと考えられており,これら全てを含め“環境的因子”として捉え,十分に配慮していく必要があります。

一方,スポーツにおける“用具”には様々な物が挙げられ,スパイクやランニングシューズ,グローブやラケットはもちろん,鉄棒や跳馬等の持ち手や踏み台等もこれに該当します。これらの状態が万全では無く,何かしらの不備等があった場合に『ケガ』が起こる危険性が高まる事は言うまでもありません。従って,上記に述べてきた『外的要因』へも十分に配慮し,スポーツ外傷及び障害の予防はもとより,パフォーマンスの維持及び向上を図って行かなければなりません。

 

―環境について

 

温面については,ウォーミングアップの“時間”や“強度”を配慮する事が重要となり,過度な量となればパフォーマンスの低下を招き,一方不足すれば肉離れ等の急性外傷が生じる危険性が高くなります。また,気候面では雨や雪によってグランドがぬかるみ,足を取られたり,滑ったりして足首の捻挫等を引き起こす危険性が高まります。つまり,セルフケアを励行し『内的要因』への対応が十分に成されていた場合であってもこれらの環境面への配慮が十分に成されていなければ起こってしまう『ケガ』も有るという事がわかります。

 

―用具について

 

述したように用具の中には,体操競技における鉄棒や跳馬等の競技器具も含まれます。しかし,これらの備品管理は十分に施されている場合が殆どです。なぜならば,生じ得る事故の重篤性がより高いからです。その一方で,管理意識が軽視されがちな物としては,シューズ(スパイク)等が挙げられます。シューズの踵部分が擦り減り,クッション性が欠如している場合や片側だけより多く擦り減っている場合など,生じている問題は様々あります。当問題を軽視して履き続けている場合,下肢のスポーツ障害がより発生しやすい状況に陥ってしまいます。従って,当たり前の事ではありますが,これらの物品・備品の管理は日々気にかけ,不必要に生じるスポーツ障害を予防しましょう。

尚,管理以外の問題としては,購入する際の配慮です。誰一人として全く同じ人間はいません。ことスポーツに関して言えば,技術や動きの癖などにも違いがある為,用具選びも多種多様であるはずです。例えば“足の形”を例に挙げると,足が横広な人や細い人,偏平足の人やそうでない人,それら両特徴を有する人や片方の特徴のみを有する人など,幾通りも足の特徴が考えられます。当問題に対しては,“好きなシューズを履けば良い”という概念ではなく,“足の形に合ったシューズ選びをする”という事を念頭に,メーカーやシューズタイプを選定し,スポーツ障害の予防を図りましょう。

 

―外的要因とコンディショニング

 

て,ここまで外的要因について詳述してきました。環境や用具等への配慮を行う事で,防ぐ事のできるスポーツ障害も有るという事を分かって頂けましたでしょうか。

それでは,次に上記を踏まえたコンディショニングについてです。これらの外的要因とコンディショニングについてどのように結び付けて行くか?という事が重要になってきます。環境面では少し触れましたが,気温が高い場合には身体へ流入してくる熱が増大するため,ウォーミングアップの量や強度への配慮が必要となります。普段は1時間弱程度実施しているアップを40分間へ短縮する他,ボールトレーニング中心のアップへ変更する事,又は最後の仕上げ部分のみ心拍数を上げるようなランメニューを入れるなど,方法論は様々です。要するに,徐々に体温を上げるというウォーミングアップの概念に対し,そもそも体温が平常より高い状態からアップを開始するという考えを持つ必要があります。一方,その逆で気温が低い日や,雨によって体温が奪われる場合などは,じっくりと徐々に体温と心拍数を上げるような内容へ変更をする必要があります。これは指導者向けの話となりますが,気温(季節)や天候に応じてウォーミングアップやクーリングダウンの内容を変更する事がスポーツ障害の予防とパフォーマンスの向上へ繋がる事をご理解頂ければ幸いです。

では,用具面ではどうでしょう。用具面におけるコンディショニングの重要なポイントは『選手自身が自分の身体(特徴)を知る』という事にあります。『自身の身体を良く知る』という事は,様々な部分で良い影響を及ぼしますが,用具との関係性は特に重要と考えられます。“身体が硬い”や“今日は少し体調が優れない”といった自己把握ももちろん大事ですが,ここでは“自分の足は横に広い”や“手が他人より小さい方だ”などといった身体的特徴を知る事を指します。小・中学校年代の選手にはまだ難しいかもしれませんが,そこは,指導者や保護者の方々も一緒にこのような視点を持って頂けると嬉しい限りです。

 

て,今回のコラムも最後までお読み頂きありがとうございます。

以上に述べてきた内容は概ね,基本的な事である為「知ってるよ!」と思われた方々も多いと思います。しかしながら,スポーツ現場を見ているとなかなか“理解している”とは言い難いのが現実です。知っていたとしてもそれを実行・実践できていなければ,それは“理解した”という事にはなりません。

是非,今回のコラムをきっかけに選手を取り巻く環境や用具へ再度目を向けて頂ければ幸いです。選手本人のみならず,選手へ関わる指導者や保護者の方々も含めて,防げる『ケガ』は防いで行きましょう!

 

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