秘密の貿易交渉 TiSAの恐怖 Part3 | くらえもんの気ままに独り言

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STOP TiSA!!!
tisa


 さて、今回もTiSA(新サービス貿易協定)関連のエントリーになります。


 TiSAに関して初耳だという方は是非、こちらのエントリーを必ず先にお読みください。


秘密の貿易交渉 TiSAの恐怖

Part1 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12005137069.html

Part2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12124514892.html



 今回は先日の参議院予算委員会でTiSAに関する話題が取り上げられたので、その内容を要約してご紹介したいと思います。正確な書き起こしではなく、あくまでも要約なので、正確な内容が知りたい方は実際に国会中継の動画をご覧になってください。


参議院インターネット中継

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

平成28年3月14日

質問者:吉田忠智(社会民主党・護憲連合)


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吉田議員:本日はTiSAについて外務大臣に質問します。安倍政権は国民生活全般に影響のあるTPPの承認案を今国会中に強行しようとしています。その裏でTPPよりも問題があると批判されているTiSAが2013年6月から一部の官僚により、きわめて非民主的に秘密裏に進められている。国際公務労連はTiSAは教育・医療・水・運輸などの公共サービスの民営化や規制緩和を拡大するものとして強く抗議している。まずは、TiSAとは何か、交渉参加国とこれまでの経緯について説明してください。


岸田外務大臣:TiSAは我が国を含む23の有志国・地域がGATSを越えるサービス貿易の自由化を目指してジュネーブで定期的に行われている交渉です。GATS発効から20年以上経ち、より先進的な多国間の協定が必要との認識のもと米国・EU・豪州・カナダ・日本が中心となって2013年春以降から交渉を本格化させております。わが国が力強い経済成長を達成するためには自由貿易体制を強化し、諸外国の活力を取り込むことが必要。サービス貿易分野は我が国にとって攻めの分野でもあるので、国際的なルール作りに参加することは重要との認識のもとに参加している。


吉田議員:サービス貿易の対象は?


岸田外務大臣:TiSAの主な交渉分野は電気通信・電子商取引・金融・海上運送・国内規制・自由職業などが交渉事項で挙げられている。


吉田議員:TiSAの対象は非関税障壁ということで、TPPから関税分野を取り除いたものというイメージでよいか?


岸田外務大臣:TiSAの交渉分野はいくつか実例を挙げたが、TiSAはGATSのルールをベースとしており、GATSでは政府の権限の行使として提供されるサービスについては適応除外とされているので、たとえば消防や救急といったものについては適応除外となると解釈している。TiSAは現在交渉中なので予断はできないが、GATSの基本的考え方から変更になることは想定していないので、公共サービスについて変更を求められる事態は想定しておりません。GATSでは各国の社会事情に合わせて、特定のサービスにつき、その義務を適用しない権利が与えられているので、TiSAにおいてもその権利が維持されると想定しております。わが国はTPP含むEPA交渉において、社会サービス(保険・教育・保育)について留保をしているので、TiSAについても変わらないと認識している。


吉田議員:GATSにおける消防と救急以外の適応除外はどんなものが?


岸田外務大臣:手元の資料ではそれ以上細かい項目は分からないので後程確認して報告します。


吉田議員:教育・医療・公共水道・ごみ収集・交通などの公共サービスに内外の多国籍企業が参入する懸念については?


岸田外務大臣:GATSでは各国の社会事情に合わせて、特定のサービスにつき、その義務を適用しない権利が与えられているので、TiSAにおいてもその権利が維持されると想定しておりまして、今までもわが国は社会サービスは守ってきたので、それは今後も維持していくことになる。


吉田議員:適応除外となる可能性のある項目については後程資料をいただけますか?


岸田外務大臣:交渉中なので結果は予断できませんし、条文が確定し、署名するまでは内容を公表できないのが一般的ですが、一般論としてできる限り説明する努力をしたい。


吉田議員:TiSAには最恵国待遇義務、市場アクセス義務、内国民待遇義務、スタンドスティル条項、ラチェット条項などが入っていると聞くが、事実か?それらはどのようなものか?


岸田外務大臣:交渉中なのでTiSAの議論内容や最終結果に予断はできないが、ダボスでの閣僚会合では本年末までの交渉妥結を目指すことが言及されている。それぞれの項目の説明については整理して改めて報告します。


吉田議員:さっきの5つは入っているかどうかだけ、ご確認お願いします。


岸田外務大臣:交渉中なので入るかどうかは予断できないが、GATSが基本なので最恵国待遇・内国民待遇については原則的に盛り込まれるのではと考える。


吉田議員:ラチェット条項が問題視されているが、これは一旦規制緩和や民営化がなされたら再公有化が禁止されるのが問題だ。ラチェット条項についてはどうなのか?


岸田外務大臣:GATSが基本なので最恵国待遇等については推定可能だが、それ以外の部分については申し上げることができない。引き続き守るべきことは守り、攻めるべきことは攻めていきたい。


吉田議員:ラチェット条項がきわめて問題であることは言及しておきます。ISDSも導入されますか?


岸田外務大臣:詳しい交渉の中身は説明するのは現時点で困難。一般論としてはISDSは投資に関する規定で、サービスに関する分野では今までのEPAでもGATSでも存在しないという状況にあります。


吉田議員:これまでの協議の詳細(日時・場所・参加者・議題etc.)を明らかにしていただきたい。


岸田外務大臣:一般的に条約交渉のやり取りは対外秘であり、条文確定するまで案は公表しないのが通例である。可能な範囲の情報提供としては外務省HP等でTiSAの意義や概要を説明している。


吉田議員:TPPにおいては鶴岡TPP政府対策本部主席交渉官が交渉責任者であると説明を受けていますが、TiSAでは誰が交渉の責任者ですか?


岸田外務大臣:責任者は外務大臣です。


吉田議員:事務方の責任者は?


岸田外務大臣:外務省経済局長が責任者になると考えます。


吉田議員:その方は交渉に毎回参加しているのか?


岸田外務大臣:実際に交渉に出ているのはサービス貿易室長です。


吉田議員:室長が責任者ということでよろしいですか?


岸田外務大臣:交渉に参加しているのは室長ですが、責任者は外務大臣です。


吉田議員:日本政府はどのような方針で交渉に臨んでいるのか?TiSA交渉で何を主張しているのか?TiSAのメリット・デメリットは何か?誰が得をするのか説明ください。


岸田外務大臣:TiSAは自由貿易体制の強化によって力強い経済成長を目指す、他国の活力を取り込むためにやっている。サービス貿易はわが国にとって攻めの分野でありルール作りへの参加が重要。デメリットに関しましては国益を考えてデメリットが生じないように、メリットが拡大するような考え方で全力で取り組んでいく。


吉田議員:公共サービスの多国籍企業への売り渡しがもっとも懸念されている。考えれば考えるるほど聞けば聞くほど問題がある協定なので、残された課題についてはこれからも質問させていただきます。


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 というわけで、岸田外務大臣がTiSAに関して直接説明してくれましたので、まとめてみましょう。


・力強い経済成長のために自由貿易体制の強化と諸外国の活力の取り込みが重要

・サービス貿易分野は日本にとって攻めの分野

・ルール作りへの参加が大事

・だからTiSAに参加しています

・消防や救急なんかはGATSでも守られたからTiSAでも大丈夫なはず

・ほかの細かいことについてはよく分からない

・最恵国待遇や内国民待遇はGATSでもあったからTiSAでもあると思う

・ラチェット条項が入るかどうかは言えない

・というか交渉内容は基本的に公表できません

・最低限の情報は外務省HPなどで公表しています

・TiSAの責任者は外務大臣

・実際に交渉しているのはサービス貿易室長

・国益を考えて交渉に取り組んでいく


 いやぁ…突っ込みどころがありすぎて…。


 特に最後の質問なんかは具体的に答えてほしかったところですねぇ。


 ちなみにこの場ででてきた用語について簡単に解説すると


最恵国待遇:いずれかの国に与えた最も有利な待遇を対象のほかのすべての国にも与えること

内国民待遇:自国民と同様の権利を相手国の国民と企業にも与えること

市場アクセス義務:外資等の市場への参入を制限してはいけない

スタンドスティル条項:関税を上げてはいけない

ラチェット条項:一度緩和した規制を元に戻してはいけない

ISDS:外国の投資家が損をしたとき、相手国の政府を訴えることが可能


 という内容でございますが、TiSAにこれらが含まれるかどうかは現時点では公表できないとのことのようです。


 TPPが譲歩に次ぐ譲歩で交渉結果が(日本国民にとって)ボロ負けであったことを考えると、政府の「国益を考えて~」っていうのは全くアテにならん気もしますが…。


 公共サービスが守られるかどうかも、「たぶん大丈夫なはず」って感じの答弁でしたし、守られるという確証はどこにもないってところですかね。


 さて、これでTiSAの全貌がつかめたでしょうか?



 つかめるわけないですよね( ̄▽ ̄;)


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