さらば、レアル・ソシエダ。チームを去る決心をする。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

さらば、レアル・ソシエダ。チームを去る決心をする。



リベンジなるか…?2014年。大きな夢実現に向けての開幕戦。VSオリンピア。アウェー
の続きです。




 古巣レアル・ソシエダに復帰 してからの1週間…。チームにもスムーズに溶け込み、思い描く通りのGK練習もでき、監督からの信頼も獲得。さらに開幕戦でホンジュラス最強チームであるオリンピアにアウェーで引き分け「貴重な勝ち点1」を獲得するなど、ピッチ内では順調に物事が進んでいました。


 ところが…。「ピッチ外」では理不尽かつ不可解な問題に振り回され、僕の我慢は限界点に達していました。


 本来、チームが責任をもって行わなければならない、僕がチームで働くために必要な様々な手続きを、チームが1週間経っても行わず放置…。このため、僕は「開幕戦でベンチ入りできない」…という状況に陥りました。

 オファーがあってここに来たのに、チームは責任を果たさない…。ふざけるな。当然ながら僕は「早く手続きを行ってくれ。開幕戦には何としてもベンチ入りして、チームの勝利に貢献したいんだ」とチーム幹部に言い続けてきましたが、その度に取って付けたかのような言い訳をされて先延ばしにされ、結局「開幕戦でベンチ入りする」という願いは叶いませんでした。

 「コーチ」は「選手」と違い、別に「ベンチ入り」できなくても普通に仕事はできます(例えば、日々のGK練習、試合のGKアップなど。「ベンチ入り」しないとできないのは「試合中のベンチからの指示」くらいです)。だからこそ逆に、チームからすると「Yojiがベンチ入りしなくてもGKコーチとしての仕事はできるのだから、面倒でお金がかかる手続きなんてしない方が良いんだ。そうやって手続きしないでYojiの仕事だけを搾取した方がお金もかからないし好都合だ」…という事になる。今回のこの「手続き遅延」からは、チームのこういう魂胆が丸見えでした。



 そして、この先、「さらに酷い魂胆」が発覚する事になるのです…。


 
 我慢の限界にきていた僕は、アウェーのオリンピアとの開幕戦の後、チーム幹部に「いい加減に手続きを行ってくれ。俺は遊びでホンジュラスに来てる訳じゃないんだ。ホンジュラス代表GKコーチになりたいという夢を実現するために、母国・日本での生活を捨てて全てを失うリスクを犯してホンジュラスまで来ている。ちゃんとチームはやるべき事を果たしてくれ」…こう魂の叫びを訴えました。こっちの人間に、基本「魂の叫び」など通用しません。全く響かない。彼らにとって何よりも大事なのは「自分にとって損か得か」…これだけです。しかし、そうとは分かっていても、魂の叫びを訴えずにはいられない状況でした。


 この僕の魂の叫びを聞いた後にチーム幹部が発した言葉に、僕は耳を疑いました。


 「Yoji。手続きを行うには○○という多額のお金がかかる。どうしても手続きを行って欲しいなら行うが、その代わり毎月、Yojiの給料からこの手続きにかかった費用を徴収する」


 
 
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 僕の中で完全に、何かがブチ切れる音がしました。

 チームの「真の魂胆」が、この発言からハッキリしました。

 僕はこの手続きに詳しい人に会って相談したり電話で聞いたりして何度も何度も念入りに確認したのですが、誰に聞いても「この手続きに、○○なんて多額のお金はかからないよ」という答えが返ってきました。そう、「嘘」だったのです。

 チームは本来この手続きにかかる額の何と「10倍」もの額を僕に請求し、それを毎月、僕の給料から差し引く事で、結局は最終的に最初の条件交渉で提示してきた「ありえないほど安い給料」 と同等の額で僕を働かせようとしていたのです。…これがチームが手続きを遅延させている、「真の魂胆」でした。



 僕は監督、コーチ陣に伝えました。

 「選手や監督、コーチ陣の事は好きだし、ピッチ内では何も問題はない。トコアの街も気に入っている。しかし、こんな酷い扱いをしてくるチームでは、残念ながら働けない。申し訳ないが、もう辞めさせてもらう。やってられない」



 僕は昨年、1シーズンをレアル・ソシエダで戦っているので、チーム幹部や会長たちがどういう人間かよく分かっています。昨年も彼らは、僕のビザ手続きを「やる、やる」と言い続けて4ヶ月間放置して全くやらず、それにより僕は後にイミグレーションと警察にキレられ、あわや日本に強制送還されそうになる という地獄の苦しみを味わっています。そこで学んだのが、このチームでは、こういう問題が起こったら、ほぼ解決不可能だという事。それにこのチームでは、【33年間の人生の中で、最も衝撃的な展開 】となった「解雇事件」もありました。話して理解してもらえるような人間たちじゃない。それを昨年の経験から痛いほど学んでいた僕は、だからこそレアル・ソシエダに復帰する前に前もって「もし、今回、何かあったら、すぐに見切りをつけてチームを去る」と心に決めていました。
 


 復帰から僅か1週間…。僕は、レアル・ソシエダを去る決心をしました。


 さらば、レアル・ソシエダ。さらば、愛するチームメイトたち…。



Real Sociedad2014




つづく



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