火に油を注いでいないか?…「ステロイドが効かない!」の前にチェックしたいこと(4) | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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火に油を注いでいないか?


こんにちは。橋本です。


「ステロイド外用薬をきちんと塗っているのに良くならない」


「ステロイド外用薬が、なんだか前より効かなくなってきたような・・・」


こういったことを感じるときが、どきどきあります。


ステロイドが効かないと感じるのには、いくつかの原因が考えられるのですが。


そのひとつが、「火に油を注いでいる状態になっていないか?」ということです。


アトピー:皮膚の炎症


 


ステロイド外用薬は効くのか?効かないのか?


ステロイド外用薬には、皮膚の炎症をおさえる力があります。


効果・効能では、抗炎症作用(こう・えんしょうさよう)といわれるものですね。


抗炎症作用があるといわれる薬は、植物、食品まで含めると、数限りなくあります。


その中でも、ステロイド外用薬の持つ抗炎症作用は、ただ単に、経験やフィーリングから、「抗炎症作用がありますよー」といっているわけではありません。


もっともらしい説明、メカニズム、理屈をつけて、「だから皮膚の炎症がおさえられます」といっているわけでもありません。


ステロイド外用薬が、皮膚の炎症をおさえる。アトピーの症状を良くする。


それは、薬の効果を厳密にみる方法、ランダム化比較試験というものを、いくつも積み重ねることによって、あきらかになってきたことなんですね。


 


消火活動にたとえると


で、このステロイド外用薬が皮膚の炎症をおさえる作用。


よく「消火活動」なんかに、例えたりします。


アトピーの症状がひどくなっている肌では、炎症がおきている。


つまり、火が燃え盛っているわけですね。


その炎症によって、湿疹強いかゆみがおきてしまう、というのがアトピーを治療する上での大きな問題です。


火が燃え盛っている湿疹。


そこにステロイド外用薬を適切に塗ってあげれば、火が弱まってくる。


きちんと塗り続ければ、うまく火が消えてくれる、かゆみもおさまってくれるわけですね。


だからこそ、「火がきちんと消えるまで塗る」ということも大事です。


にもかかわらず。


火がくすぶっている状態で、「ああ、良くなってきた」と気を許して、すぐに薬を止めてしまう、というケースも実際にはよくありがち。


火がまだ、くすぶっている状態で、薬を塗るのを止めてしまうと、カンタンに湿疹がぶり返すことも多々あります。


症状に合わせたステロイド外用薬を処方してもらう。


そして、火がきっちり消えるまで、十分な期間塗る。


こういった消火活動をきっちりおこなうためにも、診察でのお医者さんとのコミュニケーションが、やはり大切になってくるわけですね。


ただ、お医者さんに言われたとおり、適切にステロイド外用薬を塗っても、なかなか症状が良くならないというケースもあります。


原因はいくつか考えられますが、ひとつが「火に油を注いでいる状態」になっているかもしれない、ということです。


ステロイド:皮膚の炎症をおさえる


 


「火に油を注いでいる状態」とは?


アトピーの治療中でいう「火に油を注いでいる状態」とは、悪化因子(あっかいんし)を放置している状態です。


アトピーは、アレルゲン、刺激、ストレス、ほかの様々な要因で悪化します。


いくら、ステロイドで皮膚の炎症を、適切におさえていても、こういった悪化因子が降り注ぐ状態であれば、まるでステロイドが効いてないように見える。


それが、「火に油を注いでいる状態」です。


 


お医者さんには見えないものだから


しかしながら、診察では、お医者さんは患者さんの生活状況、実際のおうちをのぞくわけにはいきません。


あくまでも、問診のやりとりで想像するしかないわけです。


それでは、現実を把握するには限界がありますよね。


残念ながら、お医者さんには、患者さんが、


どれだけ悪化因子に囲まれた生活をしているか?

どれだけ悪化因子を減らせているか?


実際には、目にすることができないのです。


しかも、何がアレルゲンになっているか、何が刺激になっているか。


こういったことは人によって大きく違う場合もあるし、多くの人は悪化因子が複数に渡ります。


そのため、何かひとつ、悪化原因をなくしたからといって、劇的にアトピーが良くなることが少ないのが、実際のところです。


「これが悪化原因だ」とはっきり特定させるのが難しいものもあります。


だからこそ、生活の負担にならない範囲で、悪化因子を取り除いていくということが大切になってきます。


身の回りにアレルゲンがないか?

日常生活で刺激を与えていないか?


たとえば、「かくこと」「ストレス」などに対しても、できる範囲でケアしていく。


そういったことも、ステロイド外用薬を使う上では、必要なことなんですね。


ただ単に薬を使うだけでもダメ。


必死になってアレルゲンを取り除くだけでもダメ。


スキンケアだけ頑張ってもダメ。


それぞれのケアをほどよいバランスで、根気強く続けるという、ごく当たり前の治療がやはり基本です。


「ステロイド外用薬をきちんと塗っているのに良くならない」


「ステロイド外用薬が、なんだか前より効かなくなってきたような・・・」


そう感じるときには、ぜひもう一度冷静になって、「火に油を注いでいる状態になっていないか?」ということも思い出してくださいね。


「あれがアトピーの原因に違いない」「これで悪化してたんだ、きっと」


そんな過度な思い込みをしないように、普段の生活を冷静になって過ごしていると、見えてくる悪化因子があるかもしれません。


 


 


 


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