【空蝉99-3】古文単語「人知れず」
源氏物語イラスト訳のあいです
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。
…ですが、今回の古語は、
現代でもよく遣う慣用的な古語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
西の君も、もの恥づかしき心地してわたりたまひにけり。また知る人もなきことなれば、人知れずうちながめてゐたり。
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今回出てきた古文単語
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■【西の君】…軒端荻のこと
■【も】…列挙の係助詞
■【もの恥づかしき】…シク活用形容詞「もの恥づかし」の連体形
※【もの】…なんとなく~(語調を整える接頭語)
※【恥づかし】…気恥ずかしい
■【心地(ここち)】…気分。気持ち
■【し】…サ行変格活用動詞「す」の連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【わたり】…ラ行四段動詞「わたる」の連用形
※【わたる】…行く。移動する
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」の連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒軒端荻)
■【に】…完了の助動詞「ぬ」の連用形
■【けり】…過去の助動詞「けり」の終止形
■【また】…そのほかに
■【知る】…ラ行四段動詞「知る」の連体形
■【人】…人。ここでは女房をさす
■【も】…添加の係助詞
■【なき】…ク活用形容詞「なし」の連体形
■【なれ】…断定の助動詞「なり」の已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【人知れず】…人に知られないで。ひそかに
※【知れ】…ラ行下二段動詞「知る」の未然形
※【ず】…打消の助動詞「ず」の連用形
■【うちながめ】…マ行下二段動詞「うちながむ」の連用形
※【うち】…なんとなく(語調を整える接頭語)
※【ながむ】…もの思いにふける
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ゐ】…ワ行上一段動詞「居る」の連用形
■【たり】…存続の助動詞「たり」の終止形
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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☆ 今回の古文単語 「人知れず」 ☆
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「人知れず」とは、
「人」「知る」「ず」の連語です。
「知れず」という接続に
なにか違和感を感じませんか?
私たちがよく知っている「知る」という動詞は、
四段活用なので、「知ら―ず」というつながりになるはず。
ヽ(゚◇゚ )ノ
ところがこの連語は、
「知れ―ず」というつながりなので、
「知る」は、四段ではなく、下二段活用なんです。
─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
【連語:名詞+動詞+助動詞】
…人に知られないで。ひそかに
*「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より
ふだん現代文でもよく見る連語でも、
こんな(↓)ふうに出て来たら……
あなたは解答できますか?
(σ・∀・)σ
西の君も、もの恥づかしき心地してわたりたまひにけり。またA知る人もなきことなれば、人B知れずうちながめてゐたり。
問)傍線部ABの「知る」の異同を文法的に説明せよ。
先日、高2模試の過去問を解いていたところ、
評論の設問で、「異同を説明せよ」と出て来て、
解かせた受験生の全員が
「異」は説明できても、
「同」が説明できていませんでした。
(; ・`д・´) !!
「異同を説明せよ」というのは、
国公二次や、難関私大の記述問題で
今後も出て来そうですねぇ!
(*・ω・*)
しっかり練習を積んで、どう答えればいいか、パターンを持っておきましょうね♪
v(。・ω・。)♪
解答例
A、Bともにラ行の動詞であるが、
Aは、四段活用の連体形であり、
Bは、下二段活用の未然形である。
西の君も、もの恥づかしき心地してわたりたまひにけり。また知る人もなきことなれば、人知れずうちながめてゐたり。
● 過去記事リンク
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