【帚木212-3】古文単語「かひなし」について | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【帚木212-3】古文単語「かひなし」について

勉強お疲れさま~ラブラブあいです。

最近多忙のため、1日1記事の更新とさせていただいてます。

 

ですが、内容の濃い記事を心がけておりますので、

ぜひ隅々までお読み下さいね~♪


古文単語・文法覚えは、古文を読む必要条件
古文目線・慣れを積むのは、古文を読む十分条件

このブログで真の国語力を身につけてください音譜


【本日の古文単語】

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【はかなし】…ちょっとした

■【あだ事】…風流事、趣味の事

※【あだなり】…無駄だ、浮ついた

■【~をも】…~でも

■【まこと】…本当、実

■【大事】…重要な事柄

■【言ひあはす】…話し合う、相談する

■【たる】…完了の助動詞「たり」の連体形

■【かひなし】…甲斐がない、無益である

■【ず】…打消の助動詞「ず」の連用形

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


今日の古語詳解は、「かひなし」について☆

では行ってみよ~♪

 

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かひなし」について理解しておきたいのは、

 

1.「」が歴史的仮名遣いであるということ

2.「甲斐がない」というニュアンスを現代語とともにつかむこと

 

この2点です。

(o^-')b

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

1.歴史的仮名遣いであることを押さえよう。

 

古文で最初に躓くのは、この歴史的仮名遣い☆

現代語の発音とビミョーに違うために、

読めば分かるような言葉でも、

 

(`・д´・ ;)? ? ?

 

となるわけです^^;


 

「言ひあはせたるにかひなからず」

   ↑

このように、平仮名ばかりで続いていると、

 


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どこで区切るかすら、分かりにくいですよね~;


 

言ひあはせ / たる / に / かひなから / ず

 

このように、「かひなから」が、「かひなし」という形容詞未然形であることに気づくためには、

まず、文中に出てくる「ひ」が、「い」と読むのだということを知っておき、

 

かひ(甲斐)」がないのだという、現代でもよく耳にする形容詞であることに気づかなければなりません。


 

これが、歴史的仮名遣いを知るという第一段階☆


 

あなたは、ここ大丈夫ですか?

(*^ー^)ノ

 


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古文がぜんぜん分からないという人は、

こういう一番初歩的なところから曖昧になってしまってる可能性があります。


 

このブログでは、そういうあなたのためにも、

古文ができるようになってもらいたいと思います。

 

なので、

むっえ~歴史的仮名遣いなんて!初歩すぎるわ~

 

などと思わないで、こういう部分からもおさらいしていきましょうね♪

(*^m^*)

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

2.「甲斐なし」のニュアンスをつかむ

 

『伊勢物語』第六段「芥川」の中にこんな一節があります。

 

足ずりをして泣けどもかひなし

    ↑

さらってきた愛しい女が鬼に食われてしまって、

朝になってからそれに気づいた、という場面です。

 

高校1年生で、ほとんどの人が習ってると思います^^

 

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かひなし」というのは、

今さら後悔したって、どうすることもできない状態、

要するに、無益なことをさします。


 

【かひなし(甲斐なし)】

①効果がない、無益である

②価値がない、とるに足らない

(※『全訳古語例解辞典』 より)


 

「甲斐がない」っていう言葉は、

現代でもフツーに用いていますよねー!


 

でも…

 

「甲斐」ってナニ??

(`・д´・ ;)


・・・・・・・・・・・・・・・?
 

「甲斐なし」というのは、実は当て字だと言われています。

 

通説としては、

 

・「替ひ(=代える・替える)」

・「(=価値あるもの)」

 

これらの意から転じて、「効果・効き目」という意味になったというわけです。


(『日本国語大辞典』 」より)

 

貝については、

たしかに昔はお金としても使われていたらしいですし、

(※HP:コインの散歩道 参照)

 

価値のあるもの」という意味で納得いきますよねー!


 

竹取物語』には、こんなふうにも出てきます。

 

五人の貴公子のうちの5番目、

中納言石上麻呂足(いそのかみまろたり)☆

 

かぐや姫から「燕(つばくらめ)の子安貝(こやすがい)」を取ってきてくれたら結婚してあげると言われ、

イソイソと取りに出かけます。

 

燕が子を産むときにのみ、体内から出すそうなんです;

(°д°;)

 

以下、原文よりクライマックス☆

 

 人々あさましがりて、寄りて抱へ奉れり。御目は白眼にて伏し給へり。人々、水をすくひ入れ奉る。からうして生き出で給へるに、また鼎の上より、手取り足取りして、下げおろし奉る。からうして、「御心地はいかが思さるる」と問へば、息の下にて、「物は少し覚ゆれど、腰なむ動かれぬ。されど、子安貝をふと握り持たれば、嬉しく覚ゆるなり。まづ紙燭さして来。この貝、顔見む」と御頭もたげて、御手をひろげ給へるに、燕のまり置ける古糞を握り給へるなりけり。それを見給ひて、「あな、貝なのわざや」とのたまひけるよりぞ、思ふに違ふことをば、「甲斐なし」と言ひける。


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なななんと!ダジャレ好きな『竹取物語』の作者(未詳);

(;゚;∀;゚;)
 

私は、このエピソードから、

「かひなし(甲斐無し)」←「貝なし」

というイメージを、強く持ってしまってるんですが…

(;´▽`A``


 

最近では「交ひ」という説もあるようです。

ヽ(゚◇゚ )ノ

 

黄泉の国との境(交わっている場所)=甲斐の国(山梨県)

   ↑

これは、『古事記(こじき)』に由来する説なので、

(※伊邪那岐命〈いざなぎのみこと〉が黄泉の国から帰ってくる時、持ち物を投げ捨てたところから、奥津甲斐辨羅神〈おきつかいべらのかみ〉という神が生まれた)

 


平安初期に成立した『竹取物語』よりも、

さらに古い『古事記』(奈良時代成立)ということで、

こちらの説も、納得がいきますよねぇ~^^;


 

いずれにせよ、あなたは、

「甲斐なし」の持つニュアンスを、きちんと理解しておけばよいのです。

 

古文を勉強すると、

現在ナニゲに使っている言葉でも、

深く、面白いものが見えてきたりしますよねー!

(o^-')b

 

本日の「源氏物語」まとめ

 

■帚木212(原文)

「…はかなきあだ事をもまことの大事をも、言ひあはせたるにかひなからず、…」

     アップ

自力での現代語訳が難しい場合は、

下のリンクも復習してね♪

 

【帚木212-1】イラスト訳

【帚木212-2】イラスト解釈

 

 

本日の古語~過去記事リンク~

 

はかなし

あだ事

「言ひ~」の複合語一覧

たり(助動詞)  たり②

「に」の識別

ありぬべき

(※その他重要古語一覧はこちら

 

 

あいでしたラブラブ